天地の落とし穴~異世界たちが覚醒し、人類は激動の時代へ~

天地新生

第59話 炎の闘い

 俺は剣を妖火刀に変化させ、男の攻撃を受け止めた。


 しかし、男の剣の周りの黒い炎が俺に迫ってくる。


 間違いない、これは魔法による力だ。


 それに、この技は俺の火炎斬に似ている。


 なぜこの男がその技を使えるのかは今考えている余裕はない。


 俺は、妖火刀の周りに魔力を纏わせ、ヘルファイアを詠唱した。


 俺の剣の周りに赤い炎が渦巻く。


 俺の赤い炎と敵の黒い炎がぶつかり合い、周囲に広がる。


「これが貴様の魔力か。ならば、これでどうだ!」


 男の右手の甲が青く光り、黒い炎の勢いが一気に増した。


 俺のヘルファイアが敵の黒い炎に飲み込まれていく。


 敵は何らかの方法で魔力を増強したようだ。


 インベルに来てから、久々に使った魔法とそれを用いた戦い。


 だが、俺はインベルに来てから新しい力を手にした。


 実戦で使ったことはないが、その威力は期待できるだろう。


 俺は妖火刀の周りに魔力と同時に妖力を込め、妖力にも同時にヘルファイアを詠唱するイメージをした。


 すると、妖火刀の周りに渦巻いていた炎が青色に変わった。


 さらに何かが溶けるような音がしながら青色の炎が敵の黒い炎を飲み込み始める。


 そして、青色の炎は男の剣をも飲み込むのだった。


 青色の炎は男に到達するが、バリアのようなものが出現し、男は突き飛ばされるのだった。


 あれはおそらく魔力障壁だろう。


 この男はやはりアイルスから来た可能性が高い。


 男は剣をしまい、右手を俺にかざしてきた。


 瞬間的に魂の記憶が発動し、俺は横に飛んだ。


 その後、俺のいた位置に黒い炎が出現する。


「シャドウブレイズまで避けるとはな。やはり要となるのは妖力か」


 男はそう言い終えると、今度は左手を俺に向けてきた。


 男の手から無数の紫色の手が出現する。


 これはイノムントとの戦いで見たことがある、追尾してくる攻撃だ。


 俺は、避けずに青い炎を妖火刀に纏わせ、無数の手を切り続けた。


 この青い炎を纏わせて切る技は、妖炎斬ようえんざんだ。


 カガン島でしか使ったことがなかったが、その燃焼力はかなりのものだ。


 俺が敵の攻撃を切り続けていると、予想外のことが起こった。


 突然地面が大きく揺れ始めたのだった。

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