天地の落とし穴~異世界たちが覚醒し、人類は激動の時代へ~

天地新生

第52話 盗まれた積荷をめぐって

-シン視点-


「ガッハッハ!なんだシン、ゼンのやつにやられたのか。そりゃ残念だったな」


 闘技大会が終わった後、休み明けの日に、俺は三番隊隊舎に来ていた。


「でも、正直ゼン隊長と戦えたのは幸運だったと思います。参考になる動きも多かったし」


「そうだな。それも、ベスト4まで残ったお前の実力があってのことだからな、自信を持っていいと思うぞ」


 今の段階でゼンと再戦しても、到底勝てるとは思えない。


 だから、とりあえずはゼンと対等に渡り合えるように妖力を使った移動方法を練習することにしている。


「ガルク隊長、シンさんの次の任務の説明が七番隊であるようです」


「おう、来たか。じゃあシン、七番隊に行ってこい。次の任務も、気を抜くなよ」


「分かりました。ではガルク隊長、また今度」


 俺は、七番隊の隊舎に向かった。


 七番隊といえば、アカリがいる隊だ。


 アキラに続いてアカリが、任務を回してくれたのだろうか。


 七番隊は、船の製造や航海術を専門としている隊だ。


 今回の任務は海が関係するのだろうか。


 俺の技は、水中だと意味がないのだが。


 七番隊に着くと、専用の会議室に通された。


 会議室には、アカリと数人の隊員が待機していた。


 アカリの方を見ると、こちらに手を振ってきた。


「お、ようやく来たね。君が噂のアマノ・シンくんかー」


 ピンク色の長い髪をした、紅い大きな目をした女が俺に話しかけてくる。


「今回はよろしくお願いします」


「あたしは七番隊隊長のエッシニア・シューネだよ。よろしくね、シンくん」


 俺は、シューネと握手を交わした。


 俺の後にも数人の二番隊の隊員がやってきて、作戦の説明が始まった。


「それじゃあそろそろ、任務の説明を始めるよ。今回はあたしたち七番隊とシンくんと二番隊のメンバーで、ラバネ島にいる海賊を捕まえに行くよ。ついでに奪われた積荷を取り返す」


「そんな任務に、助っ人なんか必要だったんですか?シューネ隊長」


 眼鏡をかけた背の低い男がシューネに質問する。


「いい質問だね、キーベ。実は今回戦うかもしれないこの海賊たちの中には妖力を使える者がいるらしいんだ。だから決して油断しないように」


「それで今回の任務は妖力を使える者だけであたることになってるんですね。分かりました」


 それから俺たちは、ラバネ島の地図を見ながら作戦の説明を受けた。


 海賊団のアジトを包囲する際に、海賊の船を押さえるのと積荷を安全に確保できるかが要点だろう。


 妖力を使える者が十数人くらいであたるらしい。


「任務は敵に察知されることを考慮して今夜決行する。夕方にはイース港に集合してくれ」 

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