天地の落とし穴~異世界たちが覚醒し、人類は激動の時代へ~

天地新生

第40話 地下街の住人

 一回戦が終わった後も俺はいつも通り練習を続け、二回戦の日を迎えた。


 今回の対戦相手は細身で身長の高い男だった。


 妖怪ではなさそうだが、一回戦を勝ってきたのだから警戒した方がいいだろう。


「相手は一回戦でシンくんが勝ったのを見ていたよ。おそらく何かしら対策をしてくる。でもガジマ隊長から学んだことを信じて落ち着いて対処すればいいよ」


「ああ、まだ負けるわけにはいかないからな」


 対戦相手も何やらアドバイスを受けていたようだ。


「それでは第二回戦第二試合、アマノ・シン選手対スラーク選手、始め!」


 相手は少しずつ横に動いてこちらの様子を窺ってくる。


 こちらも、相手に合わせて横に動く。


 俺が隙を見せることはないと思ったのか、相手の方から先に殴ってきた。


 俺は一回戦と同じように左にかわし、右手の拳で殴った。


 しかし、俺の行動が読まれていたのか俺の攻撃を俺がかわしたのと同じようにかわし、カウンターで左手で殴ってきた。


 俺は、慌てて妖力でガードする。


 幸い、相手は妖力を使っていないため、ダメージは小さく抑えられた。


 ところが、俺が攻撃を受けてよろめいている間に相手は距離を詰め、ラッシュをかけてきた。


 相手は間髪入れずに連撃で攻めてくる。


 俺は自分の体をフルに使い、すべての攻撃を両手でうまく受ける。


 そして、相手のラッシュのタイミングを掴み、その隙を狙って攻撃を避けてカウンターで相手の腹を殴った。


 相手は吹っ飛び、仰向けで倒れた。


 レフェリーによるカウントが始まり、相手は起き上がれずに試合が終了した。


 レフェリーが俺の勝利を宣言し、俺はアキラの元へと戻った。


「うまく相手の動きに対応できていたね。見応えのある試合だったよ」


「最初の攻撃を避けられた時は少し焦ったよ。少し油断ならなくなってきたな、これは」


 俺たちは少し話をした後、試合会場を後にした。


 和合隊本部への帰り道、俺たちが地下街を歩いていると、何やら怪しい気配がした。


「つけられてるな」


「シンくん、怪我をしたら困るから、ここは僕に任せて手を出さないでほしい」


「分かった、俺はどうすればいいんだ?」


「どうなるか分からないけど、目的は何なのか話をしなきゃいけないから、見ていてほしい」


 そう言うとアキラは、後ろを振り向き、大声で追跡者たちに話しかけた。


「お前たち、目的は何だ!」


 すると、フードや帽子を被って顔を見えにくくしている三人組が現れた。


 三人はアキラを囲むように近づいてきた。


 俺の方からは一人が武器を隠し持っているのが見えた。

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