天地の落とし穴~異世界たちが覚醒し、人類は激動の時代へ~
第25話 月明かりの下で見たもの
-タギシ視点-
ガルクさんたちが帰った後に、ワタシは池の中に潜って池の状態を調べていた。
取り巻きのサメたちもウェミナとの戦闘前に巨大鮫から出てきてシンさんに倒されていたから、池の中にはほとんどサメが見当たらなかった。
まだサメの残党がいるかもしれないからと、和合隊の隊員がそのうちまた訪ねてくるとガルクさんが言っていたから、それで残りのサメも退治できるのだろう。
これで、また魚を獲ることができるようになる。
期待に胸を膨らませながら、ワタシは水面から顔を出した。
辺りはもうすっかり暗くなっていた。
月明かりだけが、辺りを照らす。
ほら穴に帰ろうかと思っていると、何やら話し声が聞こえてきた。
「これはアンビリバボー!まさか切れた尻尾に本体が移っているとは思わなかったんでしょうねえ!」
ワタシは近くにあった岩の影に身を潜めた。
その小さな影が話しかけている対象は、ウェミナの尻尾だ。
最初にシンさんが切った尻尾を焼き忘れてしまっていたらしい。
「それでは、ワタクシの蘇生魔法を使って……。ファストリジェネレイト!」
ウェミナの尻尾からぐんぐん身体が再生されていく。
何者かによって、ウェミナの尻尾からウェミナが復活させられてしまった。
「イノムントか。おかげで予定より早く動けるようになった、礼を言うぞ」
「いえいえ、それよりワタクシは確認がしたいのです。どうなりましたかね、マ・コ・ウ・セ・キ!」
「ああ、確認してみるとしよう」
ウェミナはそう言うと、池の傍まで移動した。
しばらくすると、池の中から小さいサメが何かをくわえて陸に上がってきた。
ウェミナがそれをサメから受け取る。
「かなりエネルギーを溜めたはずだ。見るがいい」
ウェミナが赤く光る石のようなものをイノムントに見せる。
「ほうほう、ちょいと渡して見せてください」
ウェミナがその石をイノムントに渡し、イノムントはそれを観察する。
「なるほど、これはもう、魔結晶に昇華していますねえ。それでは、ウェミナさん。カルボネイトストーン!」
イノムントの掛け声と共にウェミナの体が白く固まりだした。
「どういうつもりだイノムント!」
ウェミナが何やら動き出そうとするが、すでに遅かったようで何かする前に体全体が固まってしまった。
「アナタのおかげで魔結晶が手に入ったことには感謝します。ですが、アナタはこの魔結晶の所有権を主張したがるでしょうから。それに、和合隊にワタクシたちの動きを悟られては困る」
イノムントが持っていた杖を振るうと、地面からゴーレムが出現した。
「準備は着々と進んでいるのですよ。しかし、不要なものは不要なのです。この池のエネルギーも充分手に入りましたからねえ」
イノムントが出現させたゴーレムは、白く固まったウェミナの像を運び出す。
「次なる目的は和合隊ですねえ」
イノムントも、木々の奥へと姿を消すのだった。
ガルクさんたちが帰った後に、ワタシは池の中に潜って池の状態を調べていた。
取り巻きのサメたちもウェミナとの戦闘前に巨大鮫から出てきてシンさんに倒されていたから、池の中にはほとんどサメが見当たらなかった。
まだサメの残党がいるかもしれないからと、和合隊の隊員がそのうちまた訪ねてくるとガルクさんが言っていたから、それで残りのサメも退治できるのだろう。
これで、また魚を獲ることができるようになる。
期待に胸を膨らませながら、ワタシは水面から顔を出した。
辺りはもうすっかり暗くなっていた。
月明かりだけが、辺りを照らす。
ほら穴に帰ろうかと思っていると、何やら話し声が聞こえてきた。
「これはアンビリバボー!まさか切れた尻尾に本体が移っているとは思わなかったんでしょうねえ!」
ワタシは近くにあった岩の影に身を潜めた。
その小さな影が話しかけている対象は、ウェミナの尻尾だ。
最初にシンさんが切った尻尾を焼き忘れてしまっていたらしい。
「それでは、ワタクシの蘇生魔法を使って……。ファストリジェネレイト!」
ウェミナの尻尾からぐんぐん身体が再生されていく。
何者かによって、ウェミナの尻尾からウェミナが復活させられてしまった。
「イノムントか。おかげで予定より早く動けるようになった、礼を言うぞ」
「いえいえ、それよりワタクシは確認がしたいのです。どうなりましたかね、マ・コ・ウ・セ・キ!」
「ああ、確認してみるとしよう」
ウェミナはそう言うと、池の傍まで移動した。
しばらくすると、池の中から小さいサメが何かをくわえて陸に上がってきた。
ウェミナがそれをサメから受け取る。
「かなりエネルギーを溜めたはずだ。見るがいい」
ウェミナが赤く光る石のようなものをイノムントに見せる。
「ほうほう、ちょいと渡して見せてください」
ウェミナがその石をイノムントに渡し、イノムントはそれを観察する。
「なるほど、これはもう、魔結晶に昇華していますねえ。それでは、ウェミナさん。カルボネイトストーン!」
イノムントの掛け声と共にウェミナの体が白く固まりだした。
「どういうつもりだイノムント!」
ウェミナが何やら動き出そうとするが、すでに遅かったようで何かする前に体全体が固まってしまった。
「アナタのおかげで魔結晶が手に入ったことには感謝します。ですが、アナタはこの魔結晶の所有権を主張したがるでしょうから。それに、和合隊にワタクシたちの動きを悟られては困る」
イノムントが持っていた杖を振るうと、地面からゴーレムが出現した。
「準備は着々と進んでいるのですよ。しかし、不要なものは不要なのです。この池のエネルギーも充分手に入りましたからねえ」
イノムントが出現させたゴーレムは、白く固まったウェミナの像を運び出す。
「次なる目的は和合隊ですねえ」
イノムントも、木々の奥へと姿を消すのだった。
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