第７話　現れた刺客

　俺たちは馬の形をした魔物と戦っていた。

　キースが剣を振るうが、硬い骨によって弾かれてしまう。

「シンさん、魔法を使ってください！」

　珍しくアカリが魔法を催促してきた。

　俺は、ヘルファイアを敵に向けて放った。

　あまり効き目はないようだが、ヘルファイアを受けた部分が黒く焦げる。

　キースがすかさず切りかかった。

　今度はキースの剣が骨に食い込むが敵が暴れて振り払われた。

　どうやら焦げた表面だけは脆くなったらしい。

　敵は、頭に生えた角をキースに向けて突進した。

　キースが剣を構えて迎え撃つが、切れるはずもなく、敵の突進を食らってキースは吹き飛ばされた。

「大丈夫ですか、キース様！？」

　アカリがキースの元に駆け寄る。

　どうやら魔力を込めた剣でも弾かれるらしい。

　俺は最近、魔力について考えを巡らせていた。

　魔力は魔法を放つことで属性が付与され、現象として様々に変化する一方で、武器に込めて強化することもできる。

　その二つを同時に行ったらどうなるのかと。

　実戦で使ったことはないが、今がその時なのかもしれない。

　俺は、魔力を剣に込めて敵に切りかかった。

　そして、剣を振り下ろすと同時に、剣に込めた魔力を消費してヘルファイアを使った。

　俺の持つ剣が赤く光り、炎が出現する。

　俺はそのまま敵の首を横から切った。

　炎で骨が燃える音と剣で骨が切れる音が重なって鳴り、馬の骨首が豪快に落ちた。

　敵を焼きながら切り裂くことができる、この技は火炎斬かえんざんだ。

　俺が感傷に浸っていると、馬の骨の残骸の後ろから拍手の音が聞こえた。

「これはアンビリバボー！まさか本当にスカルホーンを倒してしまうとは！」

　俺の腰ほどの高さの身長に赤い肌、ローブを被った謎の生き物が嬉しそうに声を出した。

「ゴブリンか？」

　キースがそう呟く。

　どうやらキースに対するさっきの敵の攻撃によるダメージは浅かったようだ。

「ゴブリンではありません、ワタクシはイノムントという名のインプなのですよ！それより、スカルホーンを倒したその攻撃、なんと言うのでしょう？」

「火炎斬ですよ、今考えましたけど」

「インプは魔物を使役する高位の魔物、魔族です！油断しないでください！」

　俺が質問に答えた直後にアカリが伝えてきた。