テイマーと錬金術の職業で冒険したい!
ゼラフの後悔…
 「ゼラフ様が商会長になってからはあんまり景気がよくなくなり、逆にバルグ様が経営する商会がよくなっていきました」
 まぁ…そこら辺の話はダンジョン前に設置していたレストランを見て何となく察してた。
 「バルグくんの経営を見てたボクは、バルグくんと同じことをすれば何とかなるんじゃないかな? って思ってやってたんだなぁ」
 「ああ〜なるほど。…で、実際にやってみたら商会ギルドから注意を受けちゃった。ってこと?」
 「そうなんだなぁ〜……。きっとバルグくんも怒っているんだなぁ」
 ゼラフさんはそう言ってショボーンとした顔で串焼きを食べる。
 決して悪い人じゃないみたいだから、警戒しなくてもよさそう。でも、関わったからには何とかしてあげたいなぁ〜……。
 「う〜ん……ゼラフさんって、父親から受け継いだお店をどうしていきたいんですか?」
 「どうしていきたい? ってどういうことでしょうか?」
 いや、俺はゼラフさんに聞いてるんだから、ザバンさんが聞いて来ないでよ!
 「例えばぁ……受け継いだ商会の事業を拡張したい! とか。父親がやってなかった事業を取り入れてみたい! とか。目標に近いものがゼラフさんにないの?」
 「目標ですかぁ……ゼラフ様、ありますか?」
 「お父様がボクに託してくれた商会を守りたいんだなぁ〜」
 う〜ん……。これじゃちょっと経営アドバイスが出来ない。
 「えっとぉ〜……じゃあ、ゼラフさんが好きなことはある? それか興味があること」
 自分の趣味を職業にする作戦。
 「美味しい食べ物を食べることなんだなぁ」
 「……それだけ?」
 「他にはぁ〜……ないんだなぁ」
 「りょ…料理をしたりとかは?」
 「料理は使用人に任せてるからしないんだなぁ」
 ダメだこりゃ ︎
 カイリは心の中でそう思いながら、肩を落としてしまった。その様子を見ていたザバンは慌てた様子を見せる。
 「す、すみませんカイリ様! ゼラフ様は幼少期の頃から美味しいものを食べるのが好きでして、商業の勉強をしながら色んなお店を見て回っておられたんですよ!
 ゼラフ様の下は特別なのか、料理に使われている食材どころか香辛料まで見抜けるほど優秀でとくに甘いものに目がなく…えぇっとぉ〜……」
 「味覚が凄いってことだね?」
 「仰る通りです!」
 味覚かぁ〜……ん? 味覚?
 「ゼラフさん。この街のオススメ料理店は?」
 「オススメ?」
 「うん。オススメ」
 カイリがそう聞くと、ゼラフは迷いなく答え始める。
 「東地区のパスタ屋さん。あそこのミートソーススパゲッティは美味しいんだなぁ〜。北地区のパン屋も美味しいパンを作ってるんだなぁ。
 それと同じ北地区の飴の屋台があるんだけど、そこで売られている飴は他の地区で売られてるのと違って味がしつこくなくて美味しいんだなぁ。この街1番のお菓子屋さんなんだなぁ!」
 「クッキーとかお菓子を取り扱うお店でのオススメの店はある?」
 「この街だと美味しくないんだなぁ」
 「どうして?」
 「この街のお菓子屋さんは、砂糖量を少なくする為に果実を絞り出した液を使うんだなぁ。だから変な味にしかならないんだなぁ」
 とても残念そうな顔をしているゼラフだが、カイリは目を見張って立ち上がったのだ!
 「それだ!」
 「……それ?」
 「それとは?」
 「ゼラフさんが美味しいと思えるお菓子を作って、売りに出せばいい!」
 「……ハッ ︎」
 ザバンもカイリの言葉に気が付き、同じように立ち上がった!
 「そうです! 何で私は気が付かなかったのでしょうか! ありがとうござますカイリ様!」
 「いえいえ、大したことではないです」
 カイリの手を取ってお礼を述べるザバンの姿に、ゼラフは訳が分からないと言いたそうな顔をしている。
 「ど…どういうことなの? ザバンくん?」
 「この街で我々の商会が、美味しいと思えるお菓子を作って売りに出せば儲かると思いませんか?」
 「……あっ!」
 おおっ ︎ ゼラフさんも気が付いたみたいだな!
 「でもボクは料理が苦手だからぁ……」
 「そういうのはお抱えのコックに任せれば大丈夫なの!」
 それとルル達は何やってんの? プル太郎の突き出したり薙ぎ払ったりする攻撃を避けるのって、戦闘訓練にしか見えないんだけどぉ ︎
 喧嘩に発展しないでね!
 「しかし……既存のお菓子を作っても、売れるかどうかぁ……」
 「ああ…目玉商品が欲しいってことですね」
 カイリがそう言うとザバンは頷いた。
 確かに目玉商品は欲しいなぁ〜。……一応この世界のお菓子をリサーチしてみようかな?
 『……本に載せてあげたよ』
 「……へっ ︎」
 「どうしたの?」
 「いや…今女の人の声が聞こえた気がして……」
 空耳か? でも本って……まさか!
 万物の書を取り出すと目次のページを開く。
 ……目次に料理が増えてる!
 「あ、あのカイリさん……その本は一体何なんでしょうか?」
 「企業秘密です」
 ニッコリとした顔でそう言うと料理のページを開いた。
 凄い! おにぎりから煮込みスープまで色んなレシピが書かれている! ……て、今はお菓子のページを探さないと……。
 目次のおかげでスムーズにお菓子が書かれたページを見つけることが出来た。
 「えぇっと……クッキーは普通のところで売ってるからダメ。飴も他のお店と被るから却下。
 残りは……ケーキかアイスの2択だけ」
 「ケーキ……」
 「アイス?」
 …ん? アイスが疑問系な気がする。
 「あのカイリ様。ケーキは我々の商会でも取り扱ってますよ」
 「あ…そうなんですか」
 じゃあ、ケーキを作るのはな……待てよ。
 「一応確認しますが。ゼラフさんが商会取り扱っているケーキって何種類?」
 「イチゴケーキとフルーツケーキ。それとナッツケーキの3つ。ナッツケーキがダントツ不人気なんだなぁ」
 「それと生ものなので、全部レストランの方で提供しております」
 そりゃナッツは味がないからなぁ〜……。でもこれはチャンスだぞ!
 「ケーキの種類を増やして、さらに新しいメニューが増えればお店が繁盛すると思いませんか?」
 「それはそうですけど……もしかして、その本にレシピが載っているんですか?」
 「そう! ただし内容は俺にしか読めないので覗いても意味がないよ」
 ゼラフさんとザバンさんは俺の言葉が信じられないのか、万物の書を覗き見て「本当だ」と言った。
 「う〜ん……色々聞きたいことがあるけど、ボクのお家の厨房に案内してあげるんだなぁ」
 「そうですね。ゼラフ様の邸宅へ案内するので、私達に付いて来て下さい」
 「了解! みんな、移動するからこっちに来てぇ!」
 「キャンッ ︎」
 プルンッ ︎
 「〜〜〜♪」
 ルル達は元気よく返事をすると、カイリの下へ駆け寄って来る。
「いい子達なんだなぁ」
 「この子達は俺の自慢ですから!」
 ゼラフとカイリが会話をした後、屋敷へ向けて歩き出した。……が! 歩いて数分後に事件は起こった!
 「アアアアアアアアアアアアッ! ︎ お前たち何やってるんだぁ ︎」
 聞き覚えのある声と共に、後ろから何か抱き付いて来た!
 「私の大事なカイリをお前らなんかに渡さない!」
 聞き覚えのある声だと思ったら、マナさんだった ︎
 「マナさん、何でこんなところにいるの? 仕事は?」
 「…………休憩中だから大丈夫」
 あ…これ絶対サボってる。
 「そんなことよりも! 私らに迷惑掛けた商会が何でカイリと一緒にいるのぉ ︎ まさかカイリ! コイツらにポーションを渡すつもりじゃないよね? そうだったら怒ってこの胸を揉み揉みしちゃうよ!」
 「止めてくれ! 契約はちゃんと守るから安心してくれ! 俺はただゼラフさん達に料理を教えようとしているだけ!」
 カイリの言葉にマナはキョトンとした顔になった。
 「料理? ……本当にそれだけ?」
 「それだけ」
 「ムゥ〜……いまいち信じられない。だから私も同行させて貰う!」
 いや…それは流石にゼラフさん達が……。
 「構わないんだなぁ〜」
 「えっ ︎」
 「ゼラフ様がそう仰っているので、付いて来て下さい」
 「あ…はい」
 カイリは抱き付いて歩いているマナを気にしながら、ゼラフの邸へと向かうのであった。
 まぁ…そこら辺の話はダンジョン前に設置していたレストランを見て何となく察してた。
 「バルグくんの経営を見てたボクは、バルグくんと同じことをすれば何とかなるんじゃないかな? って思ってやってたんだなぁ」
 「ああ〜なるほど。…で、実際にやってみたら商会ギルドから注意を受けちゃった。ってこと?」
 「そうなんだなぁ〜……。きっとバルグくんも怒っているんだなぁ」
 ゼラフさんはそう言ってショボーンとした顔で串焼きを食べる。
 決して悪い人じゃないみたいだから、警戒しなくてもよさそう。でも、関わったからには何とかしてあげたいなぁ〜……。
 「う〜ん……ゼラフさんって、父親から受け継いだお店をどうしていきたいんですか?」
 「どうしていきたい? ってどういうことでしょうか?」
 いや、俺はゼラフさんに聞いてるんだから、ザバンさんが聞いて来ないでよ!
 「例えばぁ……受け継いだ商会の事業を拡張したい! とか。父親がやってなかった事業を取り入れてみたい! とか。目標に近いものがゼラフさんにないの?」
 「目標ですかぁ……ゼラフ様、ありますか?」
 「お父様がボクに託してくれた商会を守りたいんだなぁ〜」
 う〜ん……。これじゃちょっと経営アドバイスが出来ない。
 「えっとぉ〜……じゃあ、ゼラフさんが好きなことはある? それか興味があること」
 自分の趣味を職業にする作戦。
 「美味しい食べ物を食べることなんだなぁ」
 「……それだけ?」
 「他にはぁ〜……ないんだなぁ」
 「りょ…料理をしたりとかは?」
 「料理は使用人に任せてるからしないんだなぁ」
 ダメだこりゃ ︎
 カイリは心の中でそう思いながら、肩を落としてしまった。その様子を見ていたザバンは慌てた様子を見せる。
 「す、すみませんカイリ様! ゼラフ様は幼少期の頃から美味しいものを食べるのが好きでして、商業の勉強をしながら色んなお店を見て回っておられたんですよ!
 ゼラフ様の下は特別なのか、料理に使われている食材どころか香辛料まで見抜けるほど優秀でとくに甘いものに目がなく…えぇっとぉ〜……」
 「味覚が凄いってことだね?」
 「仰る通りです!」
 味覚かぁ〜……ん? 味覚?
 「ゼラフさん。この街のオススメ料理店は?」
 「オススメ?」
 「うん。オススメ」
 カイリがそう聞くと、ゼラフは迷いなく答え始める。
 「東地区のパスタ屋さん。あそこのミートソーススパゲッティは美味しいんだなぁ〜。北地区のパン屋も美味しいパンを作ってるんだなぁ。
 それと同じ北地区の飴の屋台があるんだけど、そこで売られている飴は他の地区で売られてるのと違って味がしつこくなくて美味しいんだなぁ。この街1番のお菓子屋さんなんだなぁ!」
 「クッキーとかお菓子を取り扱うお店でのオススメの店はある?」
 「この街だと美味しくないんだなぁ」
 「どうして?」
 「この街のお菓子屋さんは、砂糖量を少なくする為に果実を絞り出した液を使うんだなぁ。だから変な味にしかならないんだなぁ」
 とても残念そうな顔をしているゼラフだが、カイリは目を見張って立ち上がったのだ!
 「それだ!」
 「……それ?」
 「それとは?」
 「ゼラフさんが美味しいと思えるお菓子を作って、売りに出せばいい!」
 「……ハッ ︎」
 ザバンもカイリの言葉に気が付き、同じように立ち上がった!
 「そうです! 何で私は気が付かなかったのでしょうか! ありがとうござますカイリ様!」
 「いえいえ、大したことではないです」
 カイリの手を取ってお礼を述べるザバンの姿に、ゼラフは訳が分からないと言いたそうな顔をしている。
 「ど…どういうことなの? ザバンくん?」
 「この街で我々の商会が、美味しいと思えるお菓子を作って売りに出せば儲かると思いませんか?」
 「……あっ!」
 おおっ ︎ ゼラフさんも気が付いたみたいだな!
 「でもボクは料理が苦手だからぁ……」
 「そういうのはお抱えのコックに任せれば大丈夫なの!」
 それとルル達は何やってんの? プル太郎の突き出したり薙ぎ払ったりする攻撃を避けるのって、戦闘訓練にしか見えないんだけどぉ ︎
 喧嘩に発展しないでね!
 「しかし……既存のお菓子を作っても、売れるかどうかぁ……」
 「ああ…目玉商品が欲しいってことですね」
 カイリがそう言うとザバンは頷いた。
 確かに目玉商品は欲しいなぁ〜。……一応この世界のお菓子をリサーチしてみようかな?
 『……本に載せてあげたよ』
 「……へっ ︎」
 「どうしたの?」
 「いや…今女の人の声が聞こえた気がして……」
 空耳か? でも本って……まさか!
 万物の書を取り出すと目次のページを開く。
 ……目次に料理が増えてる!
 「あ、あのカイリさん……その本は一体何なんでしょうか?」
 「企業秘密です」
 ニッコリとした顔でそう言うと料理のページを開いた。
 凄い! おにぎりから煮込みスープまで色んなレシピが書かれている! ……て、今はお菓子のページを探さないと……。
 目次のおかげでスムーズにお菓子が書かれたページを見つけることが出来た。
 「えぇっと……クッキーは普通のところで売ってるからダメ。飴も他のお店と被るから却下。
 残りは……ケーキかアイスの2択だけ」
 「ケーキ……」
 「アイス?」
 …ん? アイスが疑問系な気がする。
 「あのカイリ様。ケーキは我々の商会でも取り扱ってますよ」
 「あ…そうなんですか」
 じゃあ、ケーキを作るのはな……待てよ。
 「一応確認しますが。ゼラフさんが商会取り扱っているケーキって何種類?」
 「イチゴケーキとフルーツケーキ。それとナッツケーキの3つ。ナッツケーキがダントツ不人気なんだなぁ」
 「それと生ものなので、全部レストランの方で提供しております」
 そりゃナッツは味がないからなぁ〜……。でもこれはチャンスだぞ!
 「ケーキの種類を増やして、さらに新しいメニューが増えればお店が繁盛すると思いませんか?」
 「それはそうですけど……もしかして、その本にレシピが載っているんですか?」
 「そう! ただし内容は俺にしか読めないので覗いても意味がないよ」
 ゼラフさんとザバンさんは俺の言葉が信じられないのか、万物の書を覗き見て「本当だ」と言った。
 「う〜ん……色々聞きたいことがあるけど、ボクのお家の厨房に案内してあげるんだなぁ」
 「そうですね。ゼラフ様の邸宅へ案内するので、私達に付いて来て下さい」
 「了解! みんな、移動するからこっちに来てぇ!」
 「キャンッ ︎」
 プルンッ ︎
 「〜〜〜♪」
 ルル達は元気よく返事をすると、カイリの下へ駆け寄って来る。
「いい子達なんだなぁ」
 「この子達は俺の自慢ですから!」
 ゼラフとカイリが会話をした後、屋敷へ向けて歩き出した。……が! 歩いて数分後に事件は起こった!
 「アアアアアアアアアアアアッ! ︎ お前たち何やってるんだぁ ︎」
 聞き覚えのある声と共に、後ろから何か抱き付いて来た!
 「私の大事なカイリをお前らなんかに渡さない!」
 聞き覚えのある声だと思ったら、マナさんだった ︎
 「マナさん、何でこんなところにいるの? 仕事は?」
 「…………休憩中だから大丈夫」
 あ…これ絶対サボってる。
 「そんなことよりも! 私らに迷惑掛けた商会が何でカイリと一緒にいるのぉ ︎ まさかカイリ! コイツらにポーションを渡すつもりじゃないよね? そうだったら怒ってこの胸を揉み揉みしちゃうよ!」
 「止めてくれ! 契約はちゃんと守るから安心してくれ! 俺はただゼラフさん達に料理を教えようとしているだけ!」
 カイリの言葉にマナはキョトンとした顔になった。
 「料理? ……本当にそれだけ?」
 「それだけ」
 「ムゥ〜……いまいち信じられない。だから私も同行させて貰う!」
 いや…それは流石にゼラフさん達が……。
 「構わないんだなぁ〜」
 「えっ ︎」
 「ゼラフ様がそう仰っているので、付いて来て下さい」
 「あ…はい」
 カイリは抱き付いて歩いているマナを気にしながら、ゼラフの邸へと向かうのであった。
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