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テイマーと錬金術の職業で冒険したい!

青空鰹

商売敵との遭遇……の筈

 錬金術ギルドを出たカイリは、ルル達と共に冒険者ギルドへと向かっていた。

 「時間もあるし。キバネズミ討伐依頼を受けてから街の外にでようか」

 「キャンッ ︎」

 プルンッ ︎

 「〜〜〜♪」

 ルル達は「さんせぇ〜い!」と言いたそうな返事をした後に俺の側にやって来て、ジィ〜〜〜……っと見つめて来る。

 「もしかしてぇ……撫でて欲しいのか?」

 ルル達にそう言うと、「うん!」と言いたそうに首を縦に振った。

 「もぉ〜……可愛いヤツらめぇ〜〜〜っ! ︎」

 そう言ながらしゃがみ込んでルル達を撫でてあげたら、とても嬉しそうな顔をしていた。……のだけれども。

 「よしよ…痛っ ︎」

 何かがぶつかって来たので地面に倒れてしまった!

 「イタタタタタァ〜〜〜……」

 一体何なんだぁ?

 「ゴ…ゴメンなさいなんだなぁ」

 な…なんだなぁ? 語尾がスゲェな。

 そう思いながら前を向くと、両手に串焼きを持ったふくよかな男性がオロオロしてこっちを見下ろしていた。

 「ハ、ハァ……大丈夫です」

 そう言ってから立ち上がり、服を叩いた。

 「怪我とかしなかったのかなぁ?」

 「え、まぁ…平気です」

 まさか立ち止まっているのに人とぶつかるとは思ってもみなかった。

 「キュゥ〜ン?」

 ルルが「大丈夫?」と言いたそうな鳴き声を上げて心配していたので、もう一度しゃがんで答えてあげる。

 「俺は大丈夫だから心配いらないよ」

 「うぅ〜……本当に申し訳ないんだなぁ〜……。ハムハム……」

 手元にある串焼きを食べ出した。

 今さらに分かったんだけど、服もよさ気なものを着ているから恐らく貴族かもしれない。面倒ごとになりそうな気がするから、早く行っちゃおう。

 「いえ、気にしないで下さい。冒険者ギルドに用があるんで、それじゃあ!」

 そう言って立ち去ろうとしたら、カイリの視界内に手を振りながらこっちに向かって走って来る男性が見えた。

 ん? 何だあの人は?

 「ゼラフ様ぁ〜っ ︎  やっと見つけましたよぉおおおおおおっ! ︎」

 ……ゼラフ? どっかで聞いたことある名だなぁ……。

 彼の言葉が引っ掛かったカイリが足を止めて考えている間に、走って来ていた男性はカイリの側を駆け抜けて行き、ふくよかな男性の前で立ち止まった。

 「ハァ…ハァ……まったく! どうしてこんなところにいるのですか ︎」

 「バザンくん。そんなに慌ててどうしたんだなぁ?」

 「どうしたもこうしたもないですよ! 今日は商会の会議があるって言ったじゃないですかぁ ︎」

 ゼラフと呼ばれたふくよかな男性は思い出そうとしているのか、首を傾げながら串焼きを食べる。

 「ん? ……あっ ︎ そうだ! 忘れてたんだなぁ ︎」

 「忘れていたんだなぁ ︎ じゃないですよ! 予定を立てていた秘書さんがカンカンになってますよっ ︎ どうするんですかぁっ ︎」

 バザンと呼ばれた人の言葉を聞いたゼラフは、よほど秘書が怖いのか顔を青ざめさせて串焼きを持ってる手を小刻みに震わせる。

 「た……たたた…大変なんだなぁ! 秘書ちゃんを怒らせたら怖いんだなぁ〜……。ハムハム……」

 「呑気に食べている場合ですかっ ︎ 今すぐ謝りに行きますよっ!」

 いや…多分串焼きを食べて現実逃避をしているんじゃないかなぁ?

 カイリがそう思っていると、プル太郎が触手を伸ばして身体をツンツンして来た。

 「どうしたの、プル太郎?」

 プルンッ ︎ プルンッ ︎

 「……え? 昨日? 食事? ……あっ ︎ ひょっとしてサシャさんが言ってたゼラフ商会かっ ︎」

 「「ッ ︎」」

 そう言った瞬間、2人が顔を向けて来た。

 「サシャ?」

 「もしかして……バルグ商会のサシャ?」

 「……あっ ︎」

 しまった ︎ 今の言わなきゃよかった!

 「〜〜〜♪」

 ファニーが「何やってるのぉ ︎」と言いたそうにカイリの周りを忙しく飛んだ。

 「ゴメンよ! わざとじゃないんだって ︎」

 ファニーにそう言っている間にも、2人はカイリの側まで歩いてやって来てしまった。

 「サシャさんのことを知ってるってことは……バルグくんとも知り合いなのかなぁ?」

 「え…えっとぉ〜……」

 どうしよう…この場から逃げるにはぁ〜…………本当にどうしよう!

 「……お嬢さん」

 「はっ、はい ︎ 何でしょうかっ?」

 「バルグくんに……バルグくんに申し訳なかったって言って欲しいんだなぁ〜!」

 ゼラフと言う人はそう言ながら地面に土下座をした姿を見たカイリは、ポカンとした顔でその姿を見つめる。

 「え? ……え?」

 これって…どう言うことなの?

 カイリはそう思いながらルル達の顔を見るが、逆にルル達も「どうして?」と聞きたそうな顔でカイリを見つめていた。

 「ゼラフ様、お顔を上げて下さい」

 「で…でもぉ……こうしないとバルグくんに誠意が伝わらないし……」

 誠意? それにバルグくんって言ってるし……一体全体どういうこと? 商売敵じゃないのか?

 「彼女はゼラフ様が頭を下げている理由は分かりませんよ。ちゃんと話をしませんと……」

 「あ…あのぉ〜……バルグさんとはどういったご関係なんですか?」

 「ボクとバルグくんはね。親戚なんだなぁ〜」

 「親戚! 親戚が商売敵なの ︎」

 「〜〜〜♪」

 「商売敵って何?」と言いたそうにしているファニーが、俺とゼラフの間に入って来た。

 「キュ〜ン……」

 ルルも同じようなことを俺に言って来る。

 「商売敵っていうのはね。ライバルみたいなものだよ」

 「キャンッ ︎」

 「そうなんだぁ ︎」納得した様子を見せるルル達。本当に理解しているのか分からないけど、納得したなら説明しなくていいか。

 「そうです。……と言いたいところなのですが、今の我々は落ちぶれつつあるので商売敵とは言えるか怪しいです」

 バザンと言われてる人は、しゅんとした顔でそう言う。

 もしかして、何か訳があるのか?

 「お話だけなら聞きましょうか? 一応バルグさんとは知り合いなんで……」

 「……うん。お言葉に甘えるんだなぁ……」

 この人ちょっと話し方が特徴的だなぁ〜。と思いながら、バザンとルル達に串焼きを買ってあげ、近くのベンチに腰を掛けた。

 「ありがとう…えぇ〜っとぉ……」

 「カイリって言います。錬金術ギルド冒険者ギルドの両方に登録していて、両方ともFランクの新人。こっちは俺の従魔達」

 「キャンッ ︎」

 プルンッ ︎

 「〜〜〜♪」

 ルル達は「よろしく〜」といった感じで挨拶をした。

 「ご丁寧に挨拶してくれて、ありがとうなんだなぁ。もう知ってると思うけど、ボクはゼラフ商会の会長を務める ゼラフ・ノービス なんだなぁ。こっちは優秀な部下のバザンくんなんだなぁ」

 「バザンです。よろしくお願い致します」

 バザンさんはそう言って頭を下げて挨拶をしたので、ちょっと礼儀正しい人だなぁ〜。と思った。

 「それで、先ほどの話なんですけど…バルグさんとゼラフさんはどういったご関係なんですか? 親戚って部分と商売敵って部分は分かってるんだけど……」

 その間にルル達は取り分けた串焼きを美味しそうに食べていた。因みにファニーちゃんは食べれないそうなので、隣にあった露店でジュース買ってあげた。

 「話すと長くなるけど…ボクとバルグくんは小さい頃からよく会って遊んでた仲だったんだなぁ」

 「とても仲がよかったんですか?」

 「うん……バルグくんと色んなお遊びをして楽しんでたんだなぁ。でもね、大人になってから、バルグくんがお店を開たいと言ってからちょっと関係が変わったんだなぁ」

 関係が変わった?

 「ゼラフ様の話はちょっと言葉足らずでしたね。バルグ様が自分の商会を建てるのと同時に、ゼラフ様は父親の商会の跡を継いだのです。
 そこから1年ほど経った頃にバルグ様との関係性が拗れ始めたのです」

 「関係が拗れ始めた……」

 カイリは真剣な面持ちでバザンの話に耳を傾けるのであった。

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