テイマーと錬金術の職業で冒険したい!
ダンジョンでの初戦闘!
 「オオ〜ッ! 結構賑わっているんだなぁ〜!」
 道具屋に鍛冶屋。それに泊まり宿まである! でも建物自体が臨時で作った感じに見えるのは俺だけだろうか?
 窓越しに見える景色を楽しみながら見ていると、後ろからサニーさんが俺に抱き付いて来た。
 「ダンジョンは利益があるから、色んなお店が建てられているのよ」
 「へぇ〜、そうなんですかぁ〜……。でも、ダンジョンの近くに建物を作って大丈夫? ダンジョンの中にいる魔物が地上に出て来たりしない?」
 「大丈夫! ……とは言い難いわね。たまにダンジョンの中から魔物が出て来て地上で暴れることがあるのよ」
 ああ〜やっぱり。そういうことがあるんだぁ。
 「そういった魔物に対応する為に警備隊や国の兵士がいます。ほら、あそこがダンジョンの魔物に対して対応する為に作られた兵舎。通称ダンジョン管理隊です」
 ダンジョン管理隊?
 そう思いながらサシャさんが指をさす方向に顔を向けると、今見た店や宿とは違った頑丈そうな長屋があった。
 「立派な長屋ですねぇ〜」
 「医療施設、武器庫、寝床。それに緊急避難場所としても使えるようにしているから、立派なものを作っているのですよ」
 「へぇ〜……じゃあダンジョンで何かあった時は、あの兵舎に行けばいいってことですか?」
 「まぁ実際は隣とかにある冒険者ギルドとかに連絡をするのが正解なんだけど
、兵舎の方でも冒険者ギルドに伝えるから大丈夫よ」
 「緊急事の時だけですけどね」
 地球で言うところの、自分で病院行けるほどの怪我や病気なのに、救急車を呼んで連れって行って貰おうとするな! って感じね。
 そんなことを思っていたら馬車が止まった。
 「さぁダンジョンの前に着いたわよ」
 どうやらダンジョンの前に着いたみたいだ。なのでサニーさん達と共に馬車を降りた。
 「サニーさん、もしかしてあれが?」
 「ええ、あれがダンジョンの入り口よ」
 目の前にレンガを積み立てて作った神殿のような建物があり、その入り口の前には受付けらしき机と人が見えた。
 「あの場所で受付けしないとダンジョンには入れないわよ」
 「ああ……はい。でも何でこんなに立派な作りをしているんだ? もしかして古代に作られた神殿が、長い年月をかけてダンジョンになったとか?」
 ファンタジーゲームならありそうな設定だ。
 「違いますよカイリ様。ダンジョンの上に強固な建物を建てたのですよ」
 「えっ ︎ あれ後から作ったものなんですか?」
 「そうよ。迷宮内でスタンピートが起きても建物内に止められるようにする為に、あのレンガ作りの建物を作ったのです」
 「あの建物は内側に結界が張れるようになっているの。まぁ気休め程度の能力しかないけど」
 「へぇ〜、そうなんですかぁ」
 もしかしたらその結界は、防衛態勢を整える為の時間稼ぎって感じなんだろうな。
 「こんなところで話しても仕方ないから、迷宮に行きましょう」
 「そうですね。カイリ様、私達が受付けをするところを見て覚えて下さいね」
 「あ、はい!」
 そうだった! いずれは俺も誰かとパーティーを組んでダンジョンに挑むのだから、受付けのやり方を覚えておかないと!
 サシャさん達の後を追うようにして付いて行き、ダンジョン入り口の受付けまでやって来た。
 「おはようございます。迷宮をご利用でしょうか?」
 「はい。私達3人で迷宮に入ります」
 「3人のパーティーですね。ギルドカードの提示と、こちらの用紙にアナタ方のお名前のご記入をお願い致します」
 「わかりました。カイリ、ギルドカードを出して彼に見せて」
 「あ、はい!」
 サニーさんに言われた通り、ギルドカードを受付けの人に見せる。その間にサニーさんが用紙に俺達の名前を記入して受付けの人に返した。
 「……確かに確認が取れました。お節介と思われるのですが、彼女を深い階層へと連れて行くのはオススメ出来ません」
 「1階から2階らへんで彼女のレベル上げをするだけだから、その点に関しては安心して」
 「そうですか。でしたら問題ありませんね。どうぞ中に入って下さい」
 ホッとした顔を見えながら、手でダンジョン入り口を指し示す。
 「どうも」
 「失礼致します」
 「ありがとうございます」
 「キャンッ!」
 プルンッ!
 俺達は受付けの人にお礼を言うと、ダンジョンの中へと入って行く。
 「ここが……ダンジョン」
 上を見上げれは青い空。周りを見渡せば草原に岩が点々とある。そう自分が思っていたのとは違う景色が目の前に広がっていた。
 「ここのダンジョンは1階から3階までは草原エリアなのよ。だから基本的なモンスターはウルフとキバネズミとゴブリン。それにスライムやスケルトンが出て来るわ」
 「ふぅ〜ん……って、スケルトン ︎ 何でアンデット系のモンスターが出て来るんですか!」
 「この迷宮で亡くなったハンターや兵士の亡骸が、モンスターになって迷宮に出て来ることがあるのよ」
 今おっかない話を聞いているような気がする。
 「まぁ出て来たとしても1階ですから、簡単に倒せますよ」
 まぁ1階から強いモンスターが出て来るのなら、周りに店とか開かないよなぁ〜。
 「私の方で地図を持っているから、迷うことはないわよ」
 「私も持っていますのでご安心を」
 あっ、俺だけが持ってない……。
 「す、すみません。地図を用意して来てません」
 「大丈夫。私達が用意してなんて言ってないからね」
 「ん? 早速魔物が来たみたいですよ」
 サシャさんが見つめる方向に顔を向けると、遠くの方からウルフが2匹こっちに向かって来ていた。
 「あらまぁ、ちょうどいいわね。カイリ、あの2頭を倒して経験値を稼ぐのよ!」
 「あ、はい! ……って、サポートの方は?」
 「カイリ様がピンチになりそうになったら、私達が助けます」
 「ルルちゃん達の力を借りてもいいわよ」
 「キャンッ!」
 プルンッ!
 ルル達はやる気満々の様子で俺の顔を見つめて来る。
 「じゃあ右側のウルフは俺が相手するから、ルル達は左側のウルフを頼む」
 「キャンッ!」
 プルンッ!
 ルル達は「分かった!」と言いたそうな返事をすると、ルルとプル太郎は俺の前に出た。
 ルル達が張り切っているんだ。俺も主人として頑張らないとな。
 指輪をマジックリボルバーに変えると弾を詰め込んで、ウルフに向けて構える。
 「喰らえっ ︎」
 そう言いながらトリガーを引いてマジックリボルバーを撃ったのだが、狙いが逸れてしまった。
 あっ ︎ 当たらなかった! やっぱり狙いが目標が遠いと狙いにくい。
 そんなことを思っていると、ルルがプル太郎を背中に乗せて走り出した。
 「キャンッ ︎」
 プルンッ ︎
 プル太郎が返事をするように身体を震わせると、右側のウルフに水魔法を当てる。そしてそのウルフが立ち止まっている間に目の前に駆け寄った。
 せっ、戦闘が上手くなってるっ ︎
 そう思った後、残った方のウルフが俺目掛けて走って来るので、マジックリボルバーを構えて狙いを定める。
 今度は外さない!
 そう思いながらトリガーを引いて弾を発射させると、前足に当たり転倒させた。
 転倒したウルフが起き上がろうとしたところを、頭に狙いを定め撃ち倒した。
 「よしっ ︎」
 何とか倒せたぁ〜! ……ところでルル達は?
 ルル達の方に顔を向けると、ダメージを負ってヘロヘロになっているウルフにルルがトドメの一撃と言わんばかりに噛み付き、ウルフを倒した。
 「ルル、プル太郎! よくやったっ ︎」
 「キャンッ ︎」
 プルンッ ︎
 2匹は「褒めてぇ〜 ︎」と言わんばかりに俺の元にやって来るのだが、後ろから何者かに肩を掴まれて引っ張られてしまった!
 「へ?」
 何だっ ︎ 誰が引っ張ったんだ?
 そう思いながら後ろを向くと、サニーさんとサシャさんが怖い顔で俺を見つめていた。
 「カイリ様、今のは一体何なのですか?」
 「私達に説明してくれるわよね?」
 「ア、アハハハ〜…………」
 これ、逃げ場ないよね?
 こうしてカイリはマジックリボルバーのことを、根掘り葉掘り聞かれることになったのであった。
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