テイマーと錬金術の職業で冒険したい!
鑑定目大活躍! ……ルル、お散歩は?
 「キャンッ! キャンッ!」
 「ちょっ! ルルッ ︎」
 ヤバイ状況なのに、門番に呼びかけるなよぉ!
 「ん? お前はカイリんところのルルじゃねぇか……ってことはカイリもいるのか?」
 「キャンッ!」
 「うん!」と言う様な返事っぽい鳴き声をした後、俺の方に顔を向けて来た。
 ホント厄介ごとが起きてる状況なのに、何でこっちを向くのかなぁ?
 「よぉカイリ。お前がここに来たってことは、冒険者ギルドに登録したってことだよな?」
 「あ、はい……次いでに、錬金術ギルドの方にも登録をした」
 「そうか、仮通行証をこっちに渡してくれ」
 「あ、はい」
 戸惑いつつも仮通行証を渡して800リラを門番から受け取るが、門番と言い争っていた相手が、イライラした表情で俺のことを見ているので聞いてみることにした。
 「さっきから怒鳴っていたみたいだげど、一体どうしたんだ?」
 「ああ……コイツらが偽大銀貨を俺達に渡して来たから、通貨偽造の容疑で取り締まろうとしていたんだ」
 「だからぁっ! 私達も偽装通貨を渡されたとは知らなかったんです!」
 「偽装通貨……渡された銀貨をちょっと見せてくれます?」
 「ああ、これだ」
 門番はそう言うと俺に大銀貨1枚を差し出して見せて来たので、それを鑑定スキルで見てみる。
 ーーーーーーーーーーー
 偽造大銀貨
 説明
 ジルド帝国の紋章が刻まれた大銀貨を、何者かの手で複製したのもである。
 制作方法はスズを鋳造で形成したもので、当然ながら通貨として利用出来ない。
ーーーーーーーーーー
 「……スズを鋳造で作ったものって、こんな薄いものをどうやって鋳造するんだよ」
 物作りの会社で営業をやっていた人間だから、ある程度の知識を先輩や工場の人から教わっている分かる。このアメリカのハーフコイン並みの大きさのある大銀貨を鋳造で再現するのは難しいと思う。
 俺の働いていた工場の人だったら、切断加工してからプレス加工をする方法を選びそうな気がする。
 「カイリ……お前、製造方法まで分かるのか?」
 「あ、うん。材料はスズだから、銀と亜鉛を混ぜて作ったんだと思う……本当に故意で偽物を出したのか確かめたいから、他の通貨も見せてくれるか?」
 「あ、はい!」
 商人はそう返事をすると、門番の机の上に袋に入っていた有り金全部取り出した。そして俺はお金を片っ端から鑑定スキルを使って調べていく。
 「……これと、この大銀貨は偽物だ」
 袋から取り出した内の偽造大銀貨が2枚混じっていたので引き抜いた。
 「偽造大銀貨は門番さんに手渡したのを含めて3枚しかなかったから、恐らくその人はジルド帝国で騙し渡されたんだと思う。心当たりはある?」
 俺が商人に聞くと思い当たる節があったのか、「あっ ︎」と言いながら目を見開いた。
 「そういえば、ジルド帝国は偽造銀貨が流通していると話で聞きました。もしかしたら、鉄鉱石を買い付ける時にお釣りに混じっていたのだと思います」
 「う〜ん……俺も噂程度に聞いていたんだが、まさか本当だったとはぁ…………今回は本物の銀貨を貰うってことで許してやる。分かっていると思うが、同じことをしたら有無も言わさず捕まえる」
 「はい……承知致しました。ありがとうお嬢さん。確かキミは冒険者だったね。何かあった時は武具屋のベルスを頼って下さい」
 「あ、はい……ん?」
 馬車の下に何かいないか?
 「キャンッ ︎ キャンッ ︎」
 ルルも馬車の下に何かいると気付いたらしく、馬車の下に向かって吠える。
 「どうしたんだ?  ……って、あ ︎」
 馬車の下からニョロッと青い玉が出て来た。
 「玉……いや、スライム?」
 「どっか馬車を停めていた時に貼り付いたんだろうな。ちょっと退いててくれ」
 門番はそう言うと腰に携えていた剣を抜いたが、俺は前に立って止める。
 「ちょっと待ってくれ!」
 「どうした? あのスライム何かあるのか?」
 「あ、うん。あのスライムに敵意がないし、それにぃ〜……テイム可能だからさ」
 「……はぁ?」
 そう、俺は門番に黙ってスライムを鑑定していたのだ。
ーーーーーー
 テイム可能状態
 ステータス
 名前 ー
 種族 スライム
 個体名 スライム
 年齢 2歳 
 性別 なし
 契約者 ー
 職業
 Lv2 ※モンスターなので職業は有りません。
 基本能力
 HP 4
 MP 5
 攻撃力 3
 防御力 2
 素早さ 5
 器用性 4
 魔法攻撃力 4
 魔法防御力 3
 運 4
 取得スキル
 水魔法Lv1
 溶解Lv1
 硬化Lv1 
 称号
 ー
 ーーーーーーーーーー
 ステータス自体は俺よりも低いけど、この先鍛えて行けばいい。それにあのプニプニボディを触りたいし、何よりも抱き枕によさそうな気がする!
 「……今、抱き心地がよさそうとか思わなかったか?」
 「うん、思った」
 正直に答えたら、門番が呆れてしまった。
 「お前ってヤツは……」
 「でもテイム可能なんだから、いいでしょ?」
 「ハァ〜……好きにしろ」
 門番の許可が出たので、ぷよぷよと跳ねているスライムに近づき、手をかざす。
 「テイム!」
 テイム成功。名前を付けて下さい。
 プニプニボディゲットだぜっ!
 そう思った瞬間、スライムが俺の懐に向かって飛んで来たので、キャッチしてあげる。
 「カイリッ ︎」
 「お嬢さんっ ︎」
 その様子を見ていた2人には、俺がスライムに襲われそうになってると思ったみたく、慌てた様子で近付いて来る。
 「大丈夫。この子は俺に甘えているだけだから」
 腕の中でスリスリしている姿を見た2人は、ホッと胸を撫で下ろした。
 「全く、驚かさないでくれよ」
 「そうですよぉ……」
 「ゴメンゴメン……この子をテイム出来たから、名前を決めてあげないと」
 俺の顔をジッと見つめている(?)スライムを見て、どんな自分に名前を付けられるのか、期待している気持ちが伝わって来る。
 「スゥ太……それじゃあしっくり来ないから、プルルンとかプニュとかがいいかも」
 「……スゥ太ぁ?」
 「プ……プルルン?」
 「クゥゥ……」
 何か、微妙と言いたそうな声が聞こえて来るけど、俺は気にしない! 全く持って気にしないっ ︎
 「スラァ……ポヨ…………あっ ︎」
 いい名前を思い付いた!
 「プル太郎どうだろう?」
 「「「ッ!?」」」
 個体名スライムはプル太郎という名を気に入ったようです。なのでプル太郎と言う名になりました。
 「やった! 今日からよろしくな、プル太郎!」
 俺の言葉に、プル太郎は身体を大きくくねらせて答えた。
 「なぁルル。もしかしてお前の名前って、アイツが付けたのか?」
 「キャンッ!」
 「うん……」と何とも言えないような顔で答える。
 「……その名でよかったですね」
 「キャンッ!」
 何やら酷い話をされてる気がするけど、気にしないでいようか。
 「まぁ、そのぉ……何だ。新しい従魔が増えてよかったな」
 「はい! ルルとプル太郎と共に、頑張って強くなってみせる!」
 プル太郎は返事をするように、プルンッと揺れた。
 「そうか、頑張れよ。ところで、他に用はあるのか? 街の外に出たいとか……」
 「今日は仮通行証を渡しに来ただけ、だからルルの散歩をしてから帰る」
 それと、すぐ近くの広場でルルとボールで遊ぶ予定だ。
 「……そうか、分かった。暗くなる前に帰るんだぞ」
 「分かりました! それじゃ行こうか、ルル!」
 「キャンッ!」
 ルルを引き連れて広場へと向かうのだが……。
 「散歩している筈なのに、何で抱っこをしているのかなぁ?」
 「キュゥン……」
 そう、ルルが抱っこをねだって来たので、仕方なくプル太郎を頭の上に乗せてルルを抱っこをしてあげているのだ。
 もしかしたら、プル太郎を抱えている姿に嫉妬したのかもしれない。
 「……まぁ生後3ヶ月なんだし、こうなるのも仕方ないか」
 そんなことを言いながら、広場に向けて歩き続けるのであった。
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