青春の選択肢は結局気持ちだけで決めるものだ

平等望

第二章第5話

小学校を出て3時間ほどで目的地の中津川へと着いた。

周りを見回しても駐車場とでかい寮みたいな建物があるだけでほとんどが木で囲まれている。

俺はシートベルトを外し戸棚に置いてある荷物を取る。

「陽向、千影、ほれ荷物だ」

俺は自分荷物の隣にあった2人の荷物を渡した。

「ありがとう」

「意外と気が利くのね。」

「まあな」

2人は荷物を受け取って俺と同様に奥のヤツらが出るのを待つ。

全員が行ったのを見て俺は最後に残ったヤツらに声をかける。

「先出ていいぞ」

「あっうん」

陽向がそう言い先に出てその後び月葉姫も出た。

俺は忘れ物がないことを確認して、最後にバスを出る。

バスを出た瞬間猛烈な暑さが俺を攻撃してくる。

「いや、あつっ…」

「ほんとだね、暑い」

「やばいですねこれ、軽く死ねますね」

千影は空にある太陽手で覆い隠しながら、纏美ちゃんはだるそうにたらたらと歩きながらそうぼやく。

「何この暑さ!熱中症になるじゃんこんなの!」

「やべえわこれ、死ぬわこれ」

あのガンガンにクーラーがきいたバスに居たためかみんながこの暑さに悶える。

「みんな、今日は気温が40度近くになるそうだから水分補給はしっかりとした方がいい」

さすがクラスのリーダーと言わんばかりにみんなに注意喚起をする堀越。

というかほんとにこの暑さはやばい、この中で飯盒炊飯とかやるのまじで鬼畜すぎる。

考えただけで危うく熱中症になりそうなレベルだ。

「じゃあみんなとりあえず寮の中に入ろうか」

大曽根先生がそう言うとみんなが「入ろ入ろ」と言いながらノロノロと着いていく。

俺も寮に入ろうと思い荷物を持ち向かう途中右を見ると小学生が整列していた。

だが色黒の背の高い先生がもう前にいるというのに、小学生たちは来たことがない場所で興奮しているのか話が止まないでいる。

2分ほど経ちようやく静かになると色黒の先生は腕時計のストップウォッチを止める。

「アディショナルタイム2分31秒」

俺は「はいみんなが静かになるまでに2分半かかりました」が聞けると思ったがなんでサッカーなの?

「何してる星空かなた〜、はやくはやく!」

っと俺がぼーっとその様子見ていると寮の方から俺を呼ぶ陽向の声が聞こえてきた。

「あっわりぃ、今行く」

俺は小走りで寮へ向かい中へ入った。

入るとスリッパの入った下駄箱が沢山並んでおり奥には階段が見える。

下駄箱でスリッパに履き替えて月葉姫達ががいる2階へと向かう。

「じゃあこっちの部屋が男子、こっちの部屋が女子だからそれぞれ荷物を置いて準備出来たらあそこの飯盒炊爨の広場まで来てね」

先生が部屋をとりわけその後の指示を出す。

それに全員が「はーい」と返事をして各々部屋へとはいる。

入ると中は4人にしてはかなり広くかなり綺麗だ。

床に畳は新品のような触り心地だ。

「思ったよりもいい部屋じゃ〜ん」

「だね。もっとボロボロかと思った。」

碧南と清須は荷物をドシッっとおきながら部屋への感想をこぼす。

「よしじゃあ準備出来たら向かおうか」

堀越がそういうと清須と碧南はチャチャッと荷物を持つ。

「準備出来た」

「こっちも」

「よし、星空かなたくんは準備出来た?」

堀越は荷物を持ちながら俺に確認をする。

「いや俺は最後鍵閉めて行くからさっき行っていいぞ。」

俺は自分の荷物の前に座りながら言う。

「じゃあよろしく頼むよ」

堀越達は「よろしく」と言いながら部屋を後にする。

俺は自分のバックからタオルと水筒と小型の虫除けスプレーを取りだして部屋を出る。

鍵を閉め下駄箱に向かう。

その途中に何やら1枚の絵をじっと見つめる陽向を見つけた。

俺は「何してんだ?」っと声をかけようと思ったがその絵を見つめる彼女の顔はどこか尊げで美しげな感じがして思わず俺は見入ってしまう。

「…あっ!星空かなた!どうしたの?もうてっきり行ったと思った。」

俺の姿に気付きはっと後ろに後退する陽向。

「いや、悪い。何してんのかと思ってな」

「あーちょっとね、この絵綺麗だなって思ってさ」

ひなたは若干早口で何かを隠すような口調だった。

「そうか?俺からしたらただの小学生の絵にしか見えないが」

その絵を見ると何やら星の下で手を繋いだ男女が笑っている絵だった。

ちっ、小学生のくせにリア充とかマジデムカツク。

俺は危うくこの絵を破りそうな手をグッとこらえる。

「うん、でもなんかね…」

陽向なにか大事なことを言いたげだったが俺はそれについては言及しない。

「そうか」

俺は話を終わらせるためにここで質問をきった。

「じゃあ行こ!みんなが待ってるから!」

そう言い下駄箱で靴に履き替える陽向。

俺も下駄箱で靴に履き替え外に出て飯盒炊爨の広場へと向かう。

だがそれにしてもあの絵どこかで見た気がする……。



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