青春の選択肢は結局気持ちだけで決めるものだ
第二章第3話
夏休みというのは本当に素晴らしい。
宿題が死ぬほど出るのはたまに傷だが、休みが40日以上あるなんてこんないいことは他にない。
だが今年の夏休みは通年とは少し違う。
なぜならなんと夏休み初日から合宿があるから、さらにそれが今日という事だ。
やべえめちゃくちゃ行きたくねえ。
俺は朝からテンションが低く、超スローペースで支度をしていた。
"ピンポーン"
っとまだ朝の7時前だというのにインターホンが鳴った。
おそらく押したのは月葉姫だ。
昨日、朝の7時くらいに来ると言っていた。
少し早いが月葉姫は心配性な性格なのでなるべく早く出たいのだろう。
俺はリビングのインターホンのモニターで門の前にいる月葉姫と話した。
「おはよ」
「おはよう、用意はできた?」
月葉姫そう問いかけるも半分わかりきった表情をしていた。
「Noって言ったら怒る?」
月葉姫「はあ〜」と呆れた表情していた。
「怒らないからすぐに用意しなさい」
月葉姫は少し肩をおろし、自分の方の荷物を背負い直し言った。
「へーい、その間うちに入るか?」
俺はだらしない返事をして暑い中外で待たせておくのが悪いと思い月葉姫にそう提案した。
「いや、外で待ってるわ」
俺は「了解」とだけ言ってインターホンを切り、服に着替えた。
上は灰色のポロシャツ下は長ズボンか半ズボンか微妙なラインのズボンを着て、合宿用の着替えなどの荷物を持って外に出た。
「おはよう」
「おは…」
月葉姫は俺を見るなり口を少し開けて絶句している様子だった。
なっなんだよ?俺の地味顔はお前が1番見ているはずだが…
「どうした?」
「はあ〜」
月葉姫深いため息をついてこめかみを抑えながら下を向いた。
「星空かなたはもっとオシャレに気を使おうと思わないの?その服ださすぎよ」
あー何だ服装に呆れてたのね。
ていうかこれそんなダサいかね?
「まあどうせ一泊二日で帰るし何でもいいやん」
月葉姫はどこか腑に落ちない表情をした。
「まあいいわ。行くわよ」
俺は門を出て月葉姫といっしょに今日一緒に行く小学生のいる小学校へと向かった。
ちなみにそこはおれたちの母校ではなくではなくまた別の小学校だ。
20分ほど歩くと目的地である小学校が見えてきた。
正門らしきところから入りグランドへと向かう。
そこにはたくさんの小学生と職員が集っていた。
夏休み初日だというのにご苦労なことで。
やはりこれだけの人数が集まるとかなり暑く、何人かの先生はもう汗でびしょびしょだった。
俺と月葉姫は一番奥にある星空研究部とアウトドア部専用のバスに向かった。
バスの前にはもう既に千影と纏美ちゃんがいた。
「あっおはようございます!月葉姫先輩、星空先輩」
「おはよう、月葉姫ちゃん、星空くん」
千影と纏美ちゃんがこちらに気ずき手を振りながら言う。
それにこたえるように俺と月葉姫は手を振り返した。
「おはよ」
「千影と纏美、おはよう」
それに続き、俺と月葉姫も2人に近ずきながら挨拶をかわす。
周りを見てもまだ俺を含めた4人しか来ておらず、陽向とアウトドア組はまだ来ていない。
「おーい!」
すると学校の正門の方から聞き慣れた声がした。
そちらを見るといたのはやはり陽向だった。
手を振り、小走りしながら俺たちの方へと来る。
「おはよう!みんな!ごめん、遅れちゃった?」
自分以外の部活のメンバーが全員来ているからなのか申し訳なさそうに言う。
「いや、むしろ早いくらいだ」
俺は自然とそう答える。
そうまだ集合時間の10分前だと言うのに星空研究部のメンバーは全員揃った。
だが、まだアウトドア部の奴らは1人も来ていない様子だ。
まあ10分前だし、さすがに早いか。
そう思っていると、正門の方から出来れば関わりたくない連中がやって来た。
そうアウトドア部の皆さんです。
そしてその中央には、高身長、好青年、高ステータスの3Kを兼ね備える堀越翼が居る。
ちなみにだが俺も3K持ちだ。
孤独、孤立、孤高ほら。
そして堀越を中心として男女5人がこちらに向かう。
まあ俺も詳しくは知らないが一応聞いた情報だけで紹介をしておくと、
右から2年4組の碧南響と2年3組の清須晴輝。
碧南の方はチャラい性格らしく、
清須はすごくおっとりして、男子ぽくないらしい。
そして左から2年6組の毛受奏音と2年3組の牧野明希。
毛受はキビキビしていて女子のリーダー、
牧野は静かであまり明るくはないらしい。
「星空かなたくん、おはよう、待ったせちゃったかな?」
まだ朝早いのに眩しいなと思ったらこいつの笑顔だった。
くそ、なんで男子に向かってもそんな顔できるですかね?
「まあ、待ったと言ったら嘘になるな」
俺は少し目を細め遠目に堀越を見ながら言う。
「あっみんなに紹介するよ。右から響、晴輝、明希、奏音そして俺で部のメンバー全員だよ」
堀越は一人一人に手を指しながら紹介した。
まあ見た感じの特徴を言うと碧南はやはり明らかにチャラい感じがしてる。
タンクトップにDJみたいに帽子をかぶり、ダメージジーンズをはいてる。
清須はなんつかーおっとりしてるというよりもあっけらかんとしている。
牧野は少し下を向いて俺たちから一歩引いてるのを見るとあまり人が得意とはいえなそうだ。
服装も透明感あふれる若干幽霊にも見えなくないような感じだ。
まあ本場の幽霊(月葉姫)は俺の近くにいるんですけどね。
毛受は女子高生にしてはかなり化粧をしていて服装まさに流行に乗った服装という感じがする。
ちなみにうちの学校は髪を染めたり化粧したりするのは長期休暇のみ許されている。
「千影じゃ〜ん!、おひさ!」
毛受は千影に近寄り手を取りながら言う。
千影は顔が広いだけにいろんな人知り合いなため毛受とも会ったことがあるのだろう。
「久しぶり、奏音ちゃんそれとみんなも」
千影は握られた手を強く握り毛受に一言、そして他のみんなにも挨拶を交わした。
何だ、他の奴らとも知り合いだったんだ。
すると月葉姫が俺の方を叩き耳を貸せとジェスチャーをしてきた。
「もしかして覚えてないの?あの人達」
「覚えてないのって会ったことあったけ?」
俺は月葉姫の耳から少し離したところで聞き返す。
「いや、前のクラスメイトでしょ、あの人達」
あー言われてみれば確かにそうだった気がする。
俺は「ああ〜」少し感銘かんめいを受けた声が出た。
「ていうか千影、なんでそのこと会議の時に言わなかったんだよ」
「私も顔見るまでは忘れてたからよ」
お前も忘れてたんじゃねーかよ。
月葉姫とそう話しているとさっきまで話していた千影たちの話題はこちらへと向いた。
「よく見たら月葉姫ちゃんもいるじゃ〜ん、よろしく〜」
碧南が月葉姫を指を指し、手を振る。
「えっええ、よろしく」
月葉姫は親しくない相手なだけあってよそよそしく答える。
「あと君たしか、1年のテストで学年1位の天才纏美ちゃんじゃん!」
「あっはい、一応はい、よろしくお願いします」
動揺しながらもちゃんと挨拶をする、さすがよくできた子だ。
でも天才は否定しないんだね。
「それとあれその子誰?」
碧南は陽向のを指している。
もう3ヶ月近くいるとはいえ、知らない人も沢山いるのだろう。
「あっ紹介遅れたね。この子は欠村陽向ちゃん5月にうちのクラスに転校してきたんだよ。」
「よろしく!」
陽向は一歩前に出て手を上に掲げながら挨拶をした。
「マジ?知らんかったわ!こちらこそよろしく!」
碧南はかなりのオーバーリアクションでこたえた。
「へ〜陽向ちゃんって言うんだ、私毛受奏音。でそっちが私の幼なじみの牧野明音ね。」
「よっよろしくお願いします…」
牧野は最後の方は聞き取れないくらいの小さな声で細々と喋る。
「うん、よろしくね!」
それに対して陽向は大きな声で返事をする。
「でっそっちの奴は誰?転校生?」
おい、誰が転校生じゃ。一応去年一緒のクラスだったろ。多分。
碧南は俺に向かってとんだ失礼なことを言ってきた。
「違うよ響、そいつは刈谷星空かなた、去年一緒のクラスだったの覚えてないのか?」
そう堀越は言うが、全員が首を傾げている。
誰一人として覚えてねえじゃん…
「まあいいやよろしく…えっと…誰だっけ?」
いや良くねえし、ていうか名前をもう忘れたのかよ。
何?お前の頭はニワトリなの?
「刈谷星空かなたな、よろしく」
俺は今度は忘れられないように強く自分の名前を誇張して言った。
「みんなおはよう!早いね〜さすが高校生!」
校舎の方から歩み寄ってくる小柄な女性あれは大曽根先生だ。
「大曽根先生!おはようございます!」
「あいちゃん遅いよ。ねえいつ出発するの?」
陽向が大きく挨拶をした後、毛受が愛称で先生と話す。
「あい」だけに。かなっちです。いや古い。
「ごめんね会議が長引いちゃって、もうすぐ出発すると思うよ」
少し息を切らし、申し訳なさそうに姿勢を低くして先生はあやまった。
「じゃあさ、もう乗っちゃお。もう暑くて溶けちゃう。」
毛受は小洒落たノースリーブの服をパタパタさせ少し滴る汗も相まって、危うく凝視しそうになる。
なんて言うか、jk見慣れてないせいでこういうちょっとした仕草でさえもエロくみえてしまう。
「そうしよ、そうしよ」
碧南はそう言いながら乗り込み、それに続き堀越たちも乗り込む。
ちなみにだが俺たちが乗るバスは職員用のバスで小学生たちが乗っているバスに比べると少し小さめのバスだ。
「じゃあ私達も乗ろ」
そう言いながら乗る陽向に続き俺達も乗る。
中はクーラーがガンガンついており人によっては寒さすら感じるくらいの温度だ。
「じゃあどこに座りますか?」
「そうだな…」
バスの奥の方にはアウトドア部の奴らがもう既に座っている。
うーん、あいつらとはなるべく関わりたくないからな。
「普通手前d」
「奥行こうよ、奥!おーい奏音ちゃん達〜!」
俺の声を遮り、奥へ行く陽向。
それに続き「私は千影ちゃんの隣なら…」とボソッと言う纏美ちゃんとそれが聞こえたのか少し微笑む千影も奥に向かう。
どうやら奥に座るのは決定事項のようですね。
「はあ〜、まあいいや。行くか」
俺は明らかに嫌そうな顔をしている月葉姫に向かって言った。
「…私はここでいいわ」
「じゃあ俺もここで」
「2人とも何やってるの?ほらこっちに来て」
陽向は手前の席へ座ろうとする俺と月葉姫の腕を掴み奥の方へ引っ張った。
必死に抵抗するも俺たちは奴らの近くに座らされた。
はあ〜、ほんとこれからの事を考えるだけで憂鬱だ。
宿題が死ぬほど出るのはたまに傷だが、休みが40日以上あるなんてこんないいことは他にない。
だが今年の夏休みは通年とは少し違う。
なぜならなんと夏休み初日から合宿があるから、さらにそれが今日という事だ。
やべえめちゃくちゃ行きたくねえ。
俺は朝からテンションが低く、超スローペースで支度をしていた。
"ピンポーン"
っとまだ朝の7時前だというのにインターホンが鳴った。
おそらく押したのは月葉姫だ。
昨日、朝の7時くらいに来ると言っていた。
少し早いが月葉姫は心配性な性格なのでなるべく早く出たいのだろう。
俺はリビングのインターホンのモニターで門の前にいる月葉姫と話した。
「おはよ」
「おはよう、用意はできた?」
月葉姫そう問いかけるも半分わかりきった表情をしていた。
「Noって言ったら怒る?」
月葉姫「はあ〜」と呆れた表情していた。
「怒らないからすぐに用意しなさい」
月葉姫は少し肩をおろし、自分の方の荷物を背負い直し言った。
「へーい、その間うちに入るか?」
俺はだらしない返事をして暑い中外で待たせておくのが悪いと思い月葉姫にそう提案した。
「いや、外で待ってるわ」
俺は「了解」とだけ言ってインターホンを切り、服に着替えた。
上は灰色のポロシャツ下は長ズボンか半ズボンか微妙なラインのズボンを着て、合宿用の着替えなどの荷物を持って外に出た。
「おはよう」
「おは…」
月葉姫は俺を見るなり口を少し開けて絶句している様子だった。
なっなんだよ?俺の地味顔はお前が1番見ているはずだが…
「どうした?」
「はあ〜」
月葉姫深いため息をついてこめかみを抑えながら下を向いた。
「星空かなたはもっとオシャレに気を使おうと思わないの?その服ださすぎよ」
あー何だ服装に呆れてたのね。
ていうかこれそんなダサいかね?
「まあどうせ一泊二日で帰るし何でもいいやん」
月葉姫はどこか腑に落ちない表情をした。
「まあいいわ。行くわよ」
俺は門を出て月葉姫といっしょに今日一緒に行く小学生のいる小学校へと向かった。
ちなみにそこはおれたちの母校ではなくではなくまた別の小学校だ。
20分ほど歩くと目的地である小学校が見えてきた。
正門らしきところから入りグランドへと向かう。
そこにはたくさんの小学生と職員が集っていた。
夏休み初日だというのにご苦労なことで。
やはりこれだけの人数が集まるとかなり暑く、何人かの先生はもう汗でびしょびしょだった。
俺と月葉姫は一番奥にある星空研究部とアウトドア部専用のバスに向かった。
バスの前にはもう既に千影と纏美ちゃんがいた。
「あっおはようございます!月葉姫先輩、星空先輩」
「おはよう、月葉姫ちゃん、星空くん」
千影と纏美ちゃんがこちらに気ずき手を振りながら言う。
それにこたえるように俺と月葉姫は手を振り返した。
「おはよ」
「千影と纏美、おはよう」
それに続き、俺と月葉姫も2人に近ずきながら挨拶をかわす。
周りを見てもまだ俺を含めた4人しか来ておらず、陽向とアウトドア組はまだ来ていない。
「おーい!」
すると学校の正門の方から聞き慣れた声がした。
そちらを見るといたのはやはり陽向だった。
手を振り、小走りしながら俺たちの方へと来る。
「おはよう!みんな!ごめん、遅れちゃった?」
自分以外の部活のメンバーが全員来ているからなのか申し訳なさそうに言う。
「いや、むしろ早いくらいだ」
俺は自然とそう答える。
そうまだ集合時間の10分前だと言うのに星空研究部のメンバーは全員揃った。
だが、まだアウトドア部の奴らは1人も来ていない様子だ。
まあ10分前だし、さすがに早いか。
そう思っていると、正門の方から出来れば関わりたくない連中がやって来た。
そうアウトドア部の皆さんです。
そしてその中央には、高身長、好青年、高ステータスの3Kを兼ね備える堀越翼が居る。
ちなみにだが俺も3K持ちだ。
孤独、孤立、孤高ほら。
そして堀越を中心として男女5人がこちらに向かう。
まあ俺も詳しくは知らないが一応聞いた情報だけで紹介をしておくと、
右から2年4組の碧南響と2年3組の清須晴輝。
碧南の方はチャラい性格らしく、
清須はすごくおっとりして、男子ぽくないらしい。
そして左から2年6組の毛受奏音と2年3組の牧野明希。
毛受はキビキビしていて女子のリーダー、
牧野は静かであまり明るくはないらしい。
「星空かなたくん、おはよう、待ったせちゃったかな?」
まだ朝早いのに眩しいなと思ったらこいつの笑顔だった。
くそ、なんで男子に向かってもそんな顔できるですかね?
「まあ、待ったと言ったら嘘になるな」
俺は少し目を細め遠目に堀越を見ながら言う。
「あっみんなに紹介するよ。右から響、晴輝、明希、奏音そして俺で部のメンバー全員だよ」
堀越は一人一人に手を指しながら紹介した。
まあ見た感じの特徴を言うと碧南はやはり明らかにチャラい感じがしてる。
タンクトップにDJみたいに帽子をかぶり、ダメージジーンズをはいてる。
清須はなんつかーおっとりしてるというよりもあっけらかんとしている。
牧野は少し下を向いて俺たちから一歩引いてるのを見るとあまり人が得意とはいえなそうだ。
服装も透明感あふれる若干幽霊にも見えなくないような感じだ。
まあ本場の幽霊(月葉姫)は俺の近くにいるんですけどね。
毛受は女子高生にしてはかなり化粧をしていて服装まさに流行に乗った服装という感じがする。
ちなみにうちの学校は髪を染めたり化粧したりするのは長期休暇のみ許されている。
「千影じゃ〜ん!、おひさ!」
毛受は千影に近寄り手を取りながら言う。
千影は顔が広いだけにいろんな人知り合いなため毛受とも会ったことがあるのだろう。
「久しぶり、奏音ちゃんそれとみんなも」
千影は握られた手を強く握り毛受に一言、そして他のみんなにも挨拶を交わした。
何だ、他の奴らとも知り合いだったんだ。
すると月葉姫が俺の方を叩き耳を貸せとジェスチャーをしてきた。
「もしかして覚えてないの?あの人達」
「覚えてないのって会ったことあったけ?」
俺は月葉姫の耳から少し離したところで聞き返す。
「いや、前のクラスメイトでしょ、あの人達」
あー言われてみれば確かにそうだった気がする。
俺は「ああ〜」少し感銘かんめいを受けた声が出た。
「ていうか千影、なんでそのこと会議の時に言わなかったんだよ」
「私も顔見るまでは忘れてたからよ」
お前も忘れてたんじゃねーかよ。
月葉姫とそう話しているとさっきまで話していた千影たちの話題はこちらへと向いた。
「よく見たら月葉姫ちゃんもいるじゃ〜ん、よろしく〜」
碧南が月葉姫を指を指し、手を振る。
「えっええ、よろしく」
月葉姫は親しくない相手なだけあってよそよそしく答える。
「あと君たしか、1年のテストで学年1位の天才纏美ちゃんじゃん!」
「あっはい、一応はい、よろしくお願いします」
動揺しながらもちゃんと挨拶をする、さすがよくできた子だ。
でも天才は否定しないんだね。
「それとあれその子誰?」
碧南は陽向のを指している。
もう3ヶ月近くいるとはいえ、知らない人も沢山いるのだろう。
「あっ紹介遅れたね。この子は欠村陽向ちゃん5月にうちのクラスに転校してきたんだよ。」
「よろしく!」
陽向は一歩前に出て手を上に掲げながら挨拶をした。
「マジ?知らんかったわ!こちらこそよろしく!」
碧南はかなりのオーバーリアクションでこたえた。
「へ〜陽向ちゃんって言うんだ、私毛受奏音。でそっちが私の幼なじみの牧野明音ね。」
「よっよろしくお願いします…」
牧野は最後の方は聞き取れないくらいの小さな声で細々と喋る。
「うん、よろしくね!」
それに対して陽向は大きな声で返事をする。
「でっそっちの奴は誰?転校生?」
おい、誰が転校生じゃ。一応去年一緒のクラスだったろ。多分。
碧南は俺に向かってとんだ失礼なことを言ってきた。
「違うよ響、そいつは刈谷星空かなた、去年一緒のクラスだったの覚えてないのか?」
そう堀越は言うが、全員が首を傾げている。
誰一人として覚えてねえじゃん…
「まあいいやよろしく…えっと…誰だっけ?」
いや良くねえし、ていうか名前をもう忘れたのかよ。
何?お前の頭はニワトリなの?
「刈谷星空かなたな、よろしく」
俺は今度は忘れられないように強く自分の名前を誇張して言った。
「みんなおはよう!早いね〜さすが高校生!」
校舎の方から歩み寄ってくる小柄な女性あれは大曽根先生だ。
「大曽根先生!おはようございます!」
「あいちゃん遅いよ。ねえいつ出発するの?」
陽向が大きく挨拶をした後、毛受が愛称で先生と話す。
「あい」だけに。かなっちです。いや古い。
「ごめんね会議が長引いちゃって、もうすぐ出発すると思うよ」
少し息を切らし、申し訳なさそうに姿勢を低くして先生はあやまった。
「じゃあさ、もう乗っちゃお。もう暑くて溶けちゃう。」
毛受は小洒落たノースリーブの服をパタパタさせ少し滴る汗も相まって、危うく凝視しそうになる。
なんて言うか、jk見慣れてないせいでこういうちょっとした仕草でさえもエロくみえてしまう。
「そうしよ、そうしよ」
碧南はそう言いながら乗り込み、それに続き堀越たちも乗り込む。
ちなみにだが俺たちが乗るバスは職員用のバスで小学生たちが乗っているバスに比べると少し小さめのバスだ。
「じゃあ私達も乗ろ」
そう言いながら乗る陽向に続き俺達も乗る。
中はクーラーがガンガンついており人によっては寒さすら感じるくらいの温度だ。
「じゃあどこに座りますか?」
「そうだな…」
バスの奥の方にはアウトドア部の奴らがもう既に座っている。
うーん、あいつらとはなるべく関わりたくないからな。
「普通手前d」
「奥行こうよ、奥!おーい奏音ちゃん達〜!」
俺の声を遮り、奥へ行く陽向。
それに続き「私は千影ちゃんの隣なら…」とボソッと言う纏美ちゃんとそれが聞こえたのか少し微笑む千影も奥に向かう。
どうやら奥に座るのは決定事項のようですね。
「はあ〜、まあいいや。行くか」
俺は明らかに嫌そうな顔をしている月葉姫に向かって言った。
「…私はここでいいわ」
「じゃあ俺もここで」
「2人とも何やってるの?ほらこっちに来て」
陽向は手前の席へ座ろうとする俺と月葉姫の腕を掴み奥の方へ引っ張った。
必死に抵抗するも俺たちは奴らの近くに座らされた。
はあ〜、ほんとこれからの事を考えるだけで憂鬱だ。
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