青春の選択肢は結局気持ちだけで決めるものだ

平等望

第一章第11話

ついに月曜日が来た。いつもはダルいが今日は気合いが入っていた。


この日は日直表の通り、俺と岡崎青空おかざきせーらが日直だ。


俺は今日の放課後に作戦を実行する。


その作戦の内容は、まず今日の夜に氷麗が浮気していたことには一切触れずに何とかあいつらを別れさせるように仕向ける。


それで別れた後どうせ氷麗は次の女に手を出すだろうから、その時に浮気の証拠をばらまけば青空が傷つくことは無い。


という作戦だ。


授業が全て終わり、掃除をして、帰りのHRが終わった。


通常ならば誰にもきずかれずにすぐに帰るか、月葉姫や陽向に


部活に連れていかれるかの2択だ。


だが今日は日直、帰りに窓閉めや黒板周りの清掃などがある。


いつもなら厭うような事だが今日に至っては好都合だ。


俺は早速日直の仕事に取り掛かろうとした時、


青空せーら達の方から話が聞こえてきた。



「ねえねえ青空一緒に帰ろ」


「ごめーん、今日私日直なんだよね…」


「あっ!そうだったね」


「しかも星空と一緒とかまじ最悪」


「うわぁーそれはどんまい」


「いっその事名前の通りかなたまで飛んでくれたらいいのにw」



あの…泣いていいですか?


今ならこの教室を水浸しにできる自信があるレベルで悲しい。


ていうか悪口が本人まで聞こえて来てるんですが


星空のプチ罵倒大会が終わりクラスのみんなが帰り、教室には俺と青空だけになった。


俺たちは黒板の清掃、ごみ捨て、花瓶の水の入れ替え、


机を整え終わり、最後の今日のレポートにとりかかった。



「これ面倒臭いからあんた書いて」


「はっ?お前は?」


「先帰る」


「それは認めん、日直である以上ちゃんと仕事はしろ」


「チッ、わかったじゃあ私がレポート出しに行くからあんたは書いて」


「分かった」



青空は仕事をさぼり帰ろうとしたので速攻で止めた。


青空は舌打ちしたが何とか引き止めには成功した。


ここで帰られたら論破のチャンスが無くなってしまう。


俺はシャーペンを手に取りレポートを描き始めたと同時に作戦を実行した。



「そういやお前最近彼氏出来たらしいな」


「はっ?なに急に、出来たけど…もしかして私のこと狙ってたの?


ウケるwごめんなさいねど陰キャ君w、あなたなんて眼中に無いのw」



ウザイ、とにかくウザイ。


今にも堪忍袋の緒が切れそうだが1回落ち着きここはぐっと我慢する。



「そうじゃない、最近校内の話題がそればっかだから気になっただけだ」


「そりゃそうでしょ、あの氷麗ひょうり先輩だもん。


この学校で知らない人はまずいないわ」


「でっどうなんなんだその先輩は?」


やはりほとんど話したことがない陰キャが


こんな質問を投げかけるのはおかしいのか戸惑った顔をしながらも答えた。


「えっどうって言われてもそりゃいい彼氏だなあって感じ」


「ふーんどんな所が好きなんだ?」



青空少しだけテンション高く話し始めた。



「うーんまずスポーツ万能で頭が良くって身長が高いところ」


「ということはお前は外見だけで付き合った事になるな」


すると青空は怒りながら答えた。


「はあ!違うわよ(怒)一番好きなところはもっと違うところにあるの」


「どこだよ?」


「清潔なところよ」


「清潔?」


「そうよ」


「そこら辺が?」


「うーんとまずいつも髪がサラサラで肌がモチモチで


いい匂いがしていつも部屋を掃除して部屋が綺麗で、


服を少しでも来たらすぐに洗うそういう所ところが好きなのよ」


「じゃあそいつは今言った通りの人物ってことだな」


「当たり前でしょ」



ここで俺は氷麗から聞き出したひとつの情報を矛として使う。



「じゃあお前はそいつの家に行ったことがあるのか?」


「そっそれはないけど…」


「何故だ」


「なんか恥ずかしいらしくて何度も拒絶された。」



昨日氷麗に聞いたが青空の家に集まったことは何回もあるけど


氷麗の家に行ったことはないらしい。なのでこう返答することは確信していた。



「じゃあなんで部屋を掃除して部屋が綺麗って分かるんだ?」


「そっそれは…」


青空は戸惑いながら答えた。


「俺が代わりに答えてやるそれは「見た目がそう見えるから」だ。


お前がさっき言ったことはただの妄想に過ぎない」


「そっそんなこと…」



ここでさらに追い打ちをかける。



「それにお前清潔という意味も知らなかったじゃないか。


髪がサラサラや肌がモチモチは清潔感に該当するし、


部屋や衣類に関してもお前は家に行ったことがないのに知っていたおかしくないか?


意味も知らないで言葉を使うことなんて」


「うるさいうるさいうるさい!」



青空は激昂しながら俺の正論を遮った。



「何?なんなの?あんたは私のなんなの?


私の友達でもなんでもないのにいちいち首突っ込まないでよ!」



さすがに怒りすぎているようなので1回話を変えた。



「分かった1回落ち着け、じゃあ話を変えよう。


じゃあ関わりたくない奴ってどんな感じのやつだ?」


「てめえみたいな良い奴気取り陰キャみたいなやつ!」



いやそりゃそうだろうけど。そいうことじゃない。



「じゃなくてタイプのことだよ具体的な」


「まあ色々あるけど…1番は親の言いなりになっているやつ」


こういう事は確信あった。



「何故だ?」


「だってキモイじゃん小学生みたいに親にこべりついてるやつって」


「確かにマザコンキモイな」


「でしょ!親の言うことなんて


無視でいい無視でもしムカついたら家出すればいいんだからそれに…」


「だがお前の彼氏はそれに該当すけどいいのか?」


「はっ?何言って…」


「さっき言ったよな


いつも部屋を掃除して服を少しでも着たらすぐに洗濯する所が好きって、


ということはそいつは親に言うことを聞いてる事になるぞ。」


「そんなこと無いでしょ。自分から綺麗にする人だっているし」


「確かにいるかもしれないだがそうじゃないかもしれないだろ」


「そうだけど」


「確信もないのになぜつき合ってるんだ?一番好きな所の清潔っていう確信もない、


青空が1番嫌いな親のいいなりになってるやつに該当するかもしれないやつと」


「…」



青空は何も言えずにただ唇強く噛み悔しそうな表情でこちらを睨んでいた。



「今お前は3つの選択肢がある。


1つ目はそんな好きがどうかも分からずに付き合い続け


ただの外見だけで判断するチョロ女として生きる。


2つ目は一度そいつの家に行って確認する。


だがこれは不可能に近いだろうあっちが無理って言ってるんだからな。


3つ目は俺の言うことを素直に聞き入れて別れる。まあこれが一番真っ当だろ。


さあどうする?素直に俺の言うことを聞いといた方が…」



すると青空はさっきよりも激昂しそして泣き始めた。



「うるさい!!!本当にうるさい!もう本当になんなの?

いちいちうるさいだよ!もう帰る!」



そういうと青空は自分の机の上から鞄をとって帰ろうとしていたので


俺は教室のドアの前に立ち遮った。



「何?まだ何かあるの!どいてよ!」


「別れた方がいい。そんな何が好きもわからずに付き合ってるなら。


氷麗の彼女としての優越感を味わいたかっただけだろ。


このままだとほんとにチョロ女になる」




俺が言い終わる前に青空は俺の右の顔を鞄で思いっきり殴った。


俺は机に思いっきりぶつかった。



「邪魔なんだよ。もういいよ!そこまで言うなら別れる!


その代わりにあなたなんかもう一生口聞かない!死ね!クズ!」



そう言うと青空は思いっきり教室を出ていった。


口聞かないだって?そんなのこっちから願い下げだよ。


青空の大きく響く足音が段々小さくなりそして消えた。


そしてそれと同時に口が切れていることにきずいた。


どうやら話している途中だったために切ってしまったのだろう。


痛い痛い………痛い…。



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