青春の選択肢は結局気持ちだけで決めるものだ

平等望

第一章第3話

時計の針がもうすぐ午後9時になる頃、俺たち4人は学校の屋上で星を観察を

始めた。

といってもここはそんなに星が見える訳では無い。

なぜならここら辺は明かりが結構多いからだ。

見えても1等星や1.5等星くらいだ。

だけど月葉姫つばきは目をキラキラとひからせながら星空を眺めていた。

後輩ちゃんは記録をつけながら観察している。

陽向ひなたは思ったよりも星空がしょぼかったのかテンションが少し落ちている。

そして俺はというと…


「…帰りたい、ゲームしたい、寝たい」

「星空かなたは黙ってても鬱陶しいのにそれで発言までもが鬱陶しかったらただの騒音ゴキブリよ」

「いやさすがに酷くね?」


うん酷い、今のは酷い。

いくらこいつの罵倒には聞きなれたとはいえ今のは少し傷ついた。

ていうか仕方なくね。

俺がここに入ったのって星が目的じゃなくて千影ちかげが目的だったんだから。


「2人はすごく仲がいいんですね♪」

「纏美まみちゃん、次それを言ったらあなたの家が無くなるわよ」


纏美ちゃんは俺たちの会話を聞いて俺たちをひやかしてきた。

そのひやかしにムカついたのか月葉姫がかなりキレ気味で脅迫した。

いや怖いしどんだけ嫌なんだよ。

纏美ちゃんは顔をひきつりながら「ひぃ〜」と言って後ろに引いた。


「おい、お前脅迫はやめろ。わんちゃん訴えられるぞ」

「星空と仲がいいと言われた私が仲がいいと言われた私が訴えたいくらいだわ」

「いや!そこまでかよ!」

「あっそうだ!私今日お饅頭持ってきたんだった!」

「あら奇遇ね。私も今日和菓子を持ってきていたの」

「じゃあ一緒に取りに行きますか?」

「そうね。じゃあ取りに行きましょうか」


そう言って纏美ちゃんと月葉姫は部室に饅頭や和菓子を取りに行った。

小腹も空いてきたし俺的にはちょうどいいタイミングでのおやつタイム。

だがこれは悪魔で俺のフィジカルを考えた場合だ。

メンタルを考えるとこの状況は少しまずい。

なぜなら今陽向と2人っきりだからだ。

陽向は今日ここの高校に入ったばかりなので、俺に限らずここの生徒みんなとあまり喋ったことがない。

なのでこういう時にどういう話題を振ったらいいかがわからない。

まあとりあえずあっちが何か言ってくるまで待つことにした。


「ねえねえ、星空は月葉姫ちゃんの事どう思っているの?」


いきなり変なことを聞いてきた。

ほぼ話したことがない奴に聞くことじゃねえだろ。


「なんで?」

「すごく仲が良さそうだから好きなのかな~って」

「別に嫌いじゃねえけど好きでもない」

「へえーそうなんだ。」

「ていうかなんでいきなりそれなんだもっと他に聞くことなかったのか?」

「いや〜私恋バナとかそういう話好きでさ、だから好きなら応援してあげたいなあ〜って思って」

「俺の好きな人はあんな暴言女じゃない」

「えっ!月葉姫ちゃん以外に好きな人いるの?」

「当たり前だ。俺だって青春真っ最中の1人の男子だ」

「でっ誰なの誰なの?」


陽向は今日の目的の星空の観察なんてとっくに忘れ、俺の好きなやつのことについて迫ってきた。

いや顔近けーよ。俺月葉姫以外の女に耐性ないからこれくらいでもすごくドキドキするんだけど。


「まあ、優しい人だよ」


゛俺の好きな人は千影だ゛なんて言えるわけもないので大雑把な説明で誤魔化した。


「ふーん、そうなんだ。その恋叶うといいね♪」

「あっうん、ありがとう」


意外にも追求してこなかった。

てっきり゛え〜教えて教えて゛とだだをこねると思った。

陽向は俺への励ましの言葉の後なぜか俺の横へ座った。


「ねえねえ、この高校って楽しい?」

「まあ普通かな」

「じゃあさここの高校の生徒ひとって優しい?」

「まあ、優しいんじゃないか」


俺以外には優しいと思うぞ。

それから陽向は俺にいろんなことを聞いてきた。

゛先生で一番怖い人って誰?゛とか゛一番モテる人は誰゛とか陽キャが気になりそうな質問を3分以上もの間聞いてきた。


「じゃあさ、最後にいい?」

「えっ?まだあんの?」

「だめ?」

「まあいいけど…っでなんだよ」

「…今と昔どっちが楽しいですか?」


陽向は急に真剣な顔に変わりそんな質問を投げてきた。

えっ、急に何?それって学校に関係なくね?

ていうか俺ほとんど昔のことなんて覚えてないけど。


「あ〜今の方が楽しいんじゃないか、多分」

「へ〜そうなんだね。良かった♪」


陽向はさっきよりも笑顔で返事した。

笑顔というよりも安堵に近かった気もする。


「すいませ~ん、大曽根先生のお手伝いしてたら遅れました〜」

「月葉姫ちゃん、纏美ちゃんおかえり〜」


後輩ちゃうと月葉姫が帰ってきた。

どうやら遅れた理由は大曽根先生の手伝いをしていたためらしい。

できればもっと早く帰って来て欲しかった。

陽向と2人っきりでくそ気まずかったから、まじで。


「では続きをお饅頭食べながらやりましょうか」

「了解」


と言いながらも俺は饅頭しか頭になかった。

なので星なんてガン無視でひたすら饅頭をほうばり続けた。

俺がお饅頭を食べている間に星の観察は終わった。

時計の針はもうすぐ10時になる頃に俺たちは解散した。

月葉姫と一緒に帰り 家に着いた時はもうすでに10時を回っていた。

そしてまた明日からただでさえ憂鬱だった学校にプラスして部活というリア充施設に入ってしまい2重でだるくなった学校始まる。



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