勇者として神からもらった武器が傘だった俺は一人追い出された。えっ?なにこの傘軽く見積もって最高じゃん
勇者が使う闇の竜
戦いの時の基本なんてものは俺も正直わからない。
元の世界では何でも屋の報酬がわりに剣道で近所の県剣道好きのおじちゃんから滅多打ちされ続けられたのと、合気道の先生からひたすら投げられた記憶しかない。
特に何を教わったわけではないが報酬だと言われた以上、ただ打たれるのもしゃくに触るのでしっかり打たれながら学んだ……と思いたい。
そんな素人の俺でもわかるほどナオキもノボルもヒドイありさまだった。
きっと勇者の剣や弓の力を過信して基礎的な扱いなどすっ飛ばしてしまったんだろう。
確かに異世界の魔法は強いかも知れない。
しかも剣や弓の勇者に選ばれたら、それなりのチートな能力をもらっているかもしれない。
でも、いくら強い魔法が使えても必ず相性の悪い相手や自分より強い者に必ず出会う。
その時、きっと生死を分けるのは自分の基礎力だ。
強い力を得たからといってそれに頼りきるのは身の破滅をまねく。
そういえば昔、何でも屋になる前に働いていた会社の上司でも虎の威を借りる狐みたいなのがいっぱいいたっけ。他人の力を自分のように使うのも時には必要だと思うが、それに頼り切ってしまうと失敗のもとだ。
俺の傘は別に切れもしないし、打撃にも強いわけではない。
だけど、基本的な心得があれば相手を転ばせるくらいはどうにでもなる。
タイミングと重心の問題だ。
相手が片足で立っている時に背中を押してやる。
それくらい簡単なことだ。
ナオキは俺に何度も切りかかってくるが、その度に避けられ転がされている。
時々、火竜や風竜などの魔法も使ってくるが、覚えた魔法はもういいので別の魔法を放って欲しい。威力も……可哀想になってきた。
イブキの方は……。
ノボルはイブキに弓矢を弾かれ両手をあげていた。
どうやら見ていない間に決着がついたようだ。
「イブキそっちは終わりか?」
「えぇ、口ほどにもなかったです」
イブキがノボルに背を向けると、地面に落ちていた弓矢を拾いこちらへ向け構える。
「馬鹿が、俺はまだ降参してないっての。俺の最大魔法必中の弓を受けてみろ!」
俺はとっさにイブキの方へ走り傘を広げる。必中とはいえ傘の面積ならはじけるはずだ。
その直後、『カラン』と弓が弾かれ地面に落ちる音がする。
「なんで必中の弓がそんな傘に弾かれるんだよ」
ノボルは驚きと恐怖で顔が歪んでいる。
そうだろう。今までバカにしていた奴が急に強くなったなんて信じられないよな。
でも、俺が強いわけじゃなくてお前らが弱すぎるんだよ。
俺は傘でノボルの足を払いそのまま顔面から地面に落とす。
女の子を後ろから狙うなんてそんな卑怯なことを俺は許さないよ。
「テルさんありがとうございます。かわりに私がこっちの剣の男もらいますね」
「えっ……まぁいいけど。イブキ気を付けてね」
「はい。基礎をみっちり叩き込んであげます」
イブキは杖を握るとナオキの身体に杖を振り下す。
といっても完全にすんどめだ。
「あなたは自称勇者のようですが、お城で何をならっていたんだですか? 脇をもっとしめて、剣の握り方からしておかしいです。そして、ほらここで剣先を下げてしまうから簡単に頭上への攻撃を受けるんです。違いますよ。ほらここです。反応が遅いですね。本当に勇者なんですか? 全然勇気を感じられませんよ。こんなんではスライム一匹倒せないんじゃないですか」
イブキは矢継ぎ早にナオキへ杖を振り下しながら指導するように説明をしていく。
イブキ可愛いのに、まるで鬼教官だな。
「うっうるさい。お前らなんて勇者の剣なんて使わなくても勝てるんだ。とっておきを見せてやろうじゃないか。そのかわりもう泣いて謝っても許してやらないからな」
「おいっ! ナオキまさかお前あれをやるつもりじゃ。お前にもまだ扱いきれないのにやめろ」
「うるさいノボル。このままこけにされたまま終われるわけないだろ。俺たちは傘男とは違って国から認められた勇者なんだからな。いでよ。闇竜! こいつらを食い尽くせ」
ナオキ剣から黒い魔力が噴きだしてくる。
まじか。勇者が使うような手段じゃないだろ。
黒い魔力はだんだんと竜の形へと変化していく。大きさは先ほどのカメレオンよりも数倍はでかい。その闇竜は今までの魔法とは全然違う。
あきらかに質が別のものだった。
闇竜は空へ舞い上がり俺たちを見下ろしていた。
元の世界では何でも屋の報酬がわりに剣道で近所の県剣道好きのおじちゃんから滅多打ちされ続けられたのと、合気道の先生からひたすら投げられた記憶しかない。
特に何を教わったわけではないが報酬だと言われた以上、ただ打たれるのもしゃくに触るのでしっかり打たれながら学んだ……と思いたい。
そんな素人の俺でもわかるほどナオキもノボルもヒドイありさまだった。
きっと勇者の剣や弓の力を過信して基礎的な扱いなどすっ飛ばしてしまったんだろう。
確かに異世界の魔法は強いかも知れない。
しかも剣や弓の勇者に選ばれたら、それなりのチートな能力をもらっているかもしれない。
でも、いくら強い魔法が使えても必ず相性の悪い相手や自分より強い者に必ず出会う。
その時、きっと生死を分けるのは自分の基礎力だ。
強い力を得たからといってそれに頼りきるのは身の破滅をまねく。
そういえば昔、何でも屋になる前に働いていた会社の上司でも虎の威を借りる狐みたいなのがいっぱいいたっけ。他人の力を自分のように使うのも時には必要だと思うが、それに頼り切ってしまうと失敗のもとだ。
俺の傘は別に切れもしないし、打撃にも強いわけではない。
だけど、基本的な心得があれば相手を転ばせるくらいはどうにでもなる。
タイミングと重心の問題だ。
相手が片足で立っている時に背中を押してやる。
それくらい簡単なことだ。
ナオキは俺に何度も切りかかってくるが、その度に避けられ転がされている。
時々、火竜や風竜などの魔法も使ってくるが、覚えた魔法はもういいので別の魔法を放って欲しい。威力も……可哀想になってきた。
イブキの方は……。
ノボルはイブキに弓矢を弾かれ両手をあげていた。
どうやら見ていない間に決着がついたようだ。
「イブキそっちは終わりか?」
「えぇ、口ほどにもなかったです」
イブキがノボルに背を向けると、地面に落ちていた弓矢を拾いこちらへ向け構える。
「馬鹿が、俺はまだ降参してないっての。俺の最大魔法必中の弓を受けてみろ!」
俺はとっさにイブキの方へ走り傘を広げる。必中とはいえ傘の面積ならはじけるはずだ。
その直後、『カラン』と弓が弾かれ地面に落ちる音がする。
「なんで必中の弓がそんな傘に弾かれるんだよ」
ノボルは驚きと恐怖で顔が歪んでいる。
そうだろう。今までバカにしていた奴が急に強くなったなんて信じられないよな。
でも、俺が強いわけじゃなくてお前らが弱すぎるんだよ。
俺は傘でノボルの足を払いそのまま顔面から地面に落とす。
女の子を後ろから狙うなんてそんな卑怯なことを俺は許さないよ。
「テルさんありがとうございます。かわりに私がこっちの剣の男もらいますね」
「えっ……まぁいいけど。イブキ気を付けてね」
「はい。基礎をみっちり叩き込んであげます」
イブキは杖を握るとナオキの身体に杖を振り下す。
といっても完全にすんどめだ。
「あなたは自称勇者のようですが、お城で何をならっていたんだですか? 脇をもっとしめて、剣の握り方からしておかしいです。そして、ほらここで剣先を下げてしまうから簡単に頭上への攻撃を受けるんです。違いますよ。ほらここです。反応が遅いですね。本当に勇者なんですか? 全然勇気を感じられませんよ。こんなんではスライム一匹倒せないんじゃないですか」
イブキは矢継ぎ早にナオキへ杖を振り下しながら指導するように説明をしていく。
イブキ可愛いのに、まるで鬼教官だな。
「うっうるさい。お前らなんて勇者の剣なんて使わなくても勝てるんだ。とっておきを見せてやろうじゃないか。そのかわりもう泣いて謝っても許してやらないからな」
「おいっ! ナオキまさかお前あれをやるつもりじゃ。お前にもまだ扱いきれないのにやめろ」
「うるさいノボル。このままこけにされたまま終われるわけないだろ。俺たちは傘男とは違って国から認められた勇者なんだからな。いでよ。闇竜! こいつらを食い尽くせ」
ナオキ剣から黒い魔力が噴きだしてくる。
まじか。勇者が使うような手段じゃないだろ。
黒い魔力はだんだんと竜の形へと変化していく。大きさは先ほどのカメレオンよりも数倍はでかい。その闇竜は今までの魔法とは全然違う。
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