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勇者として神からもらった武器が傘だった俺は一人追い出された。えっ?なにこの傘軽く見積もって最高じゃん

ノベルバユーザー521142

イブキの声

 俺たちは妖精たちの酒飲みに混ぜてもらう。
 魔王が復活したことは、俺たちにとってめでたい事ではないが俺たちにどうこうできる話ではない。

「なんだ? 人間も一緒に飲むのか? じゃあほれ来たらまずは一杯飲むのが礼儀だ」
 いきなり妖精に絡まれる。

「ありがとう」
 小さなコップに黄色い液体が入った飲み物を渡される。

「さっほらいっきに飲め」
 毒などは入っていないだろうが、いきなり飲むのも勇気がいる。
 俺が周りを見渡すとチョロさんが座りながら、器用に前足でコップを持ちいっきに飲み干す。

「美味しいです! これなんていう飲み物ですか?」
「これか? これは妖精のはちみつ酒だよ。非常に喉にいいんだ」
「あっ……あっ確かに声が違う感じがしますね」

 普通に妖精とチョロルが話をしている。
 チョロさんの疑いがないそのまっすぐさは俺にはないものだけど、少しは話せるのに疑問をもとうか。

 俺も少しだけ口をつけてみる。
 ん? すごく甘い。だけどその甘さもしつこすぎない甘さというか飲んだあとなのに口の中がすっきりして飲みやすい。

「これは飲みやすい。イブキも飲んでみな」
 イブキも少しずつ口につけると表情が一気に明るくなる。

「テルさんこれすごい飲みやすいです!」
「えっ……イブキ……今声が……」
「あっあぁ……私の声が……テルさん」

 そこには目から涙を流したっているイブキの姿があった。
「イブキ……よかった」
 俺は思わずイブキのことを抱きしめ頭を優しくなでる。

「本当に良かった。イブキの声は治らないのかと思ってたよ」
「私も一生このままなのかと思ってました」

「いやーめでたい。これは飲むしかない」
 俺のまわりで妖精たちが飛びながら酒を飲み交わしている。

「この妖精のはちみつ酒がイブキの喉を回復させたのか?」
「昔からこの酒は喉にいいって言われていたからな。これの原料には喉にいいはちみつと呪いを払うと言われている神水が使われているからな」

「呪い?」
「イブキはなんで声がでなくなったの?」

「テルさん実は私奴隷商人に運ばれる前の記憶がないんです。気が付いたら奴隷商の車に乗っていて」
 イブキは俺と出会う前の記憶がほとんど何も残っていなかった。

 何かを思い出そうとすると頭痛がして思い出せないという。
 もしかしたら精神的なものかも知れない。
 ニクスやチョロさんもイブキの声がでるようになったのを喜んでくれている。

「声がでるようになってよかったです」
「ピヨヨヨヨン」

 残念ながらチョロさんの言葉はイブキには理解できないようだが、二人が喜んでいるのはわかったようだ。

 「ニクスに、チョロさんもありがとうね」

 それから宴会をはじめ途中で俺の傘に妖精のはちみつ酒がこぼれたことで、妖精のはちみつ酒の生活魔法を覚えた。

 俺たちが飲んだ以上に樽の中にはちみつ酒を入れてやったらさらに盛り上がり夕方から朝まで宴会が続いた。

 結局妖精の王には忙しく会うことはできなかったが仕方がない。
 俺たちはゴルドノームの村を目指して妖精の村を後にした。


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