私の思い

梛子

戦争の音


あの音は何?
もう少しで起きる予定だった私の体内時計は
その音で狂ってしまった
母に聞いたら 戦争が始まったと答えた
音の方向へと 静かに見据えて言った 
いつも笑顔の母が凛として見えた
そう見えただけ
本当はどんなに不安で怖かったんだろうか
静かに握られた手は冷たかった 

一度聞いた爆発音を一生忘れることはないでしょう

テレビの画面からその音を聞いた
ここから何万キロ離れた所でその音がしたのだ
ここは静かで いつもの車の音
電車や登校中の学生の笑い声
テレビの向こう側では
戦争が始まった
ここは銃撃 砲弾の音はないのに
ただ自分たちという
人類へと向かう戦争の音が聞こえた

一度聞いた爆発音を一生忘れることはないでしょう


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