幼馴染に異常性癖を暴露(アウティング)されて破滅するけど、◯◯◯希望のかわいい彼女をゲットしたので人生楽しい~幼馴染が後になって後悔しているようだけど、もう遅い

スンダヴ

番外編第3話 欲嗅

「今度は麻衣の番なのです」

 2番目は麻衣ちゃんだった。

 俺と秋山さんが海を楽しんでる間、玲と砂浜で築き上げていたお城を誇らしげに指さす。

 「どうですかお兄ちゃん。これぞ天麻衣ちゃんの最高傑作、『お兄ちゃん専用のお城』なのです」

 たんなる砂遊び、と言い切るにはかなり手の込んだ代物である。
 四角形のお城、城門、塔。
 全てにリアリティがあり、まるで本物のようだ。

 「おお、これは。まさか麻衣ちゃんに芸術の才能があったなんて知らなかったよ」
 「お姉ちゃんにも助けてもらいましたが、基本は麻衣の才能なのです」
 「よし。じゃあ、まずはこのお城の写真を撮るぞ!」
 「わーい!」

 (ふふ。まだまだ子供だな麻衣ちゃんは)
 
 『戸田リベ会』の厳しい戦いの中で、麻衣ちゃんの純真さに救われたことが何度もあった。
 
 これからも、玲と一緒に、彼女の笑顔を守っていこう。

 「少し待ってて。スマホを取りに行くから」
 「はいなのです!」

 俺は3+2人分の荷物を置いているブルーシートに移動しようとする。

 その時、事件は起きた。



 「あ!お兄ちゃん!大変なのです!」
 「どうした?」
 「お城が…!」
 「え…ああ、まずい!」

 城の土台が崩れ、みるみる崩壊し始めたのだ。
 作業場所が海辺に近く、海水混じりの砂を大量に使ったのが祟ったのかもしれない。
 
 慌てて麻衣ちゃんは土台を支えようとしたが、崩壊は止まらず、彼女の方に砂を撒き散らそうとする。

 「麻衣ちゃん!」
 「お兄ちゃ…きゃあ!?」

 間一髪で彼女の胴体を抱き抱え、砂の城からの脱出に成功。
 背後でドサッと大きな音が聞こえた。


 「お兄ちゃん。ありがとうなのです」
 「危ない目に女の子を助けるのは当然の事さ」
 「えへへ、嬉しいのです。でも…」
 
 俺に抱き着きながら麻衣ちゃんはがっくりと肩を落とす。



 『お兄ちゃん専用の城』は、あっという間に姿が見えなくなってしまった。


 ****


 「ぐすん…芸術の神は残酷なのです」

 10分後。
 ジュースを買って戻ってくると、麻衣ちゃんはいじけていた。
 スク水を着ていることもあり、もはや小学生にしか見えない。
 これを彼女の前で言うと「麻衣はレディーなのです!」と怒られるので言わないが。

 「はい。これでも飲んで元気出して。コーラとメロンソーダどっちがいい?」
 「じゃあ、メロンがいいのです」
 「どうぞ」
 
 夏のうだるような暑さの中で、麻衣ちゃんと一緒にジュースを飲む。

 「ぷは〜〜〜。少しだけ心の傷が癒やされたのです」
 「なんなら、俺ともう一回作り直そう。まだ時間あるしね」 
 「だめなのです。芸術の神は同じインスピレーションを与えず、まったく同じものは作り直せません。それに…」

 まるでやけ酒のようにジュースをあおり、雲一つない空を見上げる。

 「あれは、これまでお兄ちゃんがみんなを助けてくれたことに対して、麻衣なりの感謝として作ったものなのです。だから、お兄ちゃんに手伝ってもらうわけにはいきません」
 「そっか…」

 麻衣ちゃんがそう思ってくれるのは、とても嬉しい。
 でも、このまま彼女を沈んだままにするのは男としての沽券に関わる。
 何か良い手は…。

 「そうだ!」

 俺はとあるアイディアを思いつく。

 「お、お兄ちゃん?」
 「芸術の神は、たしかに全く同じインスピレーションは与えないかもしれない。だったら…」

 落ちていた木の枝を拾い、麻衣ちゃんに渡す。



 「違うインスピレーションを獲得すれば良いんだ」

 
 ****


 「できたのです!」

 20分後。
 麻衣ちゃんが木の枝を地面に置き、作品の完成を俺に告げる。

 「おお!さっき見たやつとそっくりだ!」

 俺は用意してたスマホを取り出し、写真を撮影した。



 すなわち、地面に描いたお城の絵にである。
 寸分違わずとは言わないが、先程麻衣ちゃんが表現したかったお城が緻密に再現されていた。

 縮尺を大分小さくしたのですぐできたし、写真で撮影しやすいピッタリサイズである。

 「お兄ちゃんのおかげで作品を記録に残せました。感謝感謝です♪」
 「いや、麻衣ちゃんの才能がなかったらここまでできなかったよ」
 「えへへ…じゃあ、一緒に写真撮るのです!」
 「ああ、喜んで」

 麻衣ちゃんとツーショット状態で写真を撮り始める。
 その時ー、



 「えいっ、なのです」

 スク水に身を包んだ麻衣ちゃんが、こちらに抱きついてきた。
 豊満な胸の弾力がお腹あたりに伝わり、心臓に悪い。
 
 「ま、麻衣ちゃん!?」
 「お兄ちゃん。麻衣はそろそろ我慢ができないのです…いいですか?」
 「…仕方ないなあ。少しだけだよ?」
 「はい!」

 途端に、彼女の鼻息が荒くなった。

 「すんすん、すんすん。これは…お兄ちゃんの肉体が日々逞しくなっているのを感じるのです。お姉ちゃんがメロメロになる理由も分かります」
 「そんなに変わってるかな?」
 「はい。この匂い、もう、たまらんなのです。すんすん、すんすん…」
 「やれやれ。あんまりやられると他の人に見られちゃうんだがなあ」

 言葉とは裏腹に、実は嬉しい。
 秋山さんと同じく、自分と性癖での繋がりずっと覚えてけれている。

 最近なかなか会えなかったし、海じゃなかったら1日中匂いを嗅がせているところだ。
 快晴の天気の下で、スク水美少女が鼻をすん、すんと鳴らす音が響いた。

 「すんすん…はあ。ひとまず満足なのです。お兄ちゃんの匂い、堪能したのです」
 「どういたしまして」

 ゆっくりと顔を離し、恍惚とした表情を浮かべていた麻衣ちゃんだったが、急に耳打ちしてくる。

 「ところでお兄ちゃん。じつは相談があるのです。聞いてもらえますか?」
 「ああ。いいけど」
 「実はですね…」

 



 「お姉ちゃんの匂いも、久々に嗅いでみたいのです」
 「…え?」

 
 ****


 「本当に、やるんだね。麻衣ちゃん」
 「はい。覚悟完了、なのです」
 「じゃあ、ご武運を!」
 「はいなのです!」

 麻衣ちゃんは、砂浜の真ん中で腹這いになり、まるで兵士のように這いながら進んでいく。
 ゆっくり動いてなければ、まるで浜に打ち上げられた土座衛門にしか見えなかっただろう。
 
 スク水も相まってまごうことなき変態だ。

 というか暑くないのか?
 砂まみれだけど大丈夫なのか?

 まあ、変態だからその辺は大丈夫なはずだ。

 「すー…」

 狙うは、少し離れた場所にあるパラソルの下で眠っている玲。
 どうやら、麻衣ちゃんの作業を手伝った後、疲れて眠っているらしい。
 ビキニに包まれた豊満な胸が無防備に晒され、思わずごくりとつばを飲んだ。

 少し怜に悪い気はするが、俺は止めはしない。

 麻衣ちゃんが決断したことだからだ。

 ーもしもし、ポリスメン?姉の体臭を嗅ぎたいと言う変態が…
 ー待ってくださいなのです!これには深い事情があるのです。
 ー…パトカーが来るまでに話は聞いてあげる。
 ー昔、麻衣はお姉ちゃんの匂いが好きだったのです。子供の頃は、1時間ごとに嗅いでいたのです。
 ー麻衣ちゃんは筋金入りの変態だったと。
 ーでも、最近はあまり嗅いでないのです。色々な事件がありましたし、お姉ちゃんも大学生になって会う時間が減りましたので…それと、どうやら最近はあまり乗り気じゃないようで。
 ーなるほど。玲を応援したいところだが、麻衣ちゃんの気持ちもわかるな…

 姉妹同士のスキンシップが足りないと言うことなら仕方ないだろう。

 天野麻衣!
 お姉ちゃんの匂いを嗅ぐんだ!

 …と応援したいところだが、1つだか問題点があった。

 ーでも、俺に何かできるのか?
 ーもうしていただきました。
 ーえ?
 ーすんすん、すんすん。よし、スク水にお兄ちゃんの匂いが付着しています。これなら大丈夫です。
 ーまさか…匂いで俺に化ける!?
 ーはいなのです!普通に接近しても気づかれてしまうでしょうし、起こしたくもありませんから。お兄ちゃんだと油断している間にさっと近づいてさっと嗅ぐ、これしかないのです。
 ーそりゃそうだけど…
 ーお姉ちゃんには後で事情を話します。それに、もし協力してくれるなら、このスク水、永遠の家宝とするのです!
 ー仕方ないなあ。
 
 ま、麻衣ちゃんなら良いだろう。
 彼女らしい行動と思う。

 「…」

 いつのまにか、麻衣ちゃんは玲のすぐそばまで接近していた。

 「涼真くん…まだ寝かせて。昨日あなたと一晩エッチして寝てないし」

 玲はまだすやすやと眠っている。

 これならー、



 「お姉ちゃんあああああああん!!!すんすんさせてなのですうううう!!!」
 「いや起こすなよおおおおおおおお!?」

 どうやら、麻衣ちゃんの変態度を測り損ねていたらしい。
 欲望に負けた麻衣ちゃんは玲にダイブし、全身をむしゃぶりつくように嗅いだ。

 「すんすんすんすんすんすんすんすん!」

 特に胸のあたりが好みらしく、顔を押し付けて鼻息を荒くしている。
 もはや本気で警察を呼ばなければならないレベルであった。 

 「ちょ、ちょっと麻衣!?」
 「あ」



 当然バレた。
 

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