幼馴染に異常性癖を暴露(アウティング)されて破滅するけど、◯◯◯希望のかわいい彼女をゲットしたので人生楽しい~幼馴染が後になって後悔しているようだけど、もう遅い
第54話 帰還
「そんな…!できないよ!」
俺の突然の申し出に、玲は動揺する。
当然かもしれない。
自分でもどうかとは思う。
でも、彼女を見捨てる、あるいは1人だけで死の世界に近づけるなんて俺には耐えられないことだった。
「大丈夫さ、俺も一度君に絞められてみたかったんだ。可愛い彼女に絞められるってのも、悪くない経験だろ?」
「どうしてそこまで…私は涼真くんや麻衣の願いを無視して、自分の欲望に負けそうになってる最低の人間なんだよ?そんな私に涼真君が付き合う必要なんてー」
玲は取り乱して叫びそうになったが、途中で遮られる。
俺が、彼女の唇に口づけを交わしたからだ。
玲は大きく目を開けて驚愕する。
でも、優しく唇に触れていると、恐る恐る彼女も舌を絡ませる。
しばらく、ずっとそうしていた。
「あ…」
ゆっくり玲の唇から離れると、混ざり合った2人分の唾液が糸を引く。
顔を真っ赤にしてこちらを見つめる彼女は、とても愛らしい。
だから、迷わない。
「君がいなければ、俺は破滅したまま家から出ることもできなかった。玲が受け入れてくれたからこそ、Tに復讐することもできたんだ」
「…」
「君が秘めた欲望のために俺を利用していたのだとしても構わない。俺だって、そんなに高尚な存在じゃないさ。でもね…」
本田。
吉岡と福田。
石井とT。
今まで多くの人間が性癖を暴走させ、その身を滅ぼしてきた。
もしかすれば、俺と玲もその中の1人になるのかもしれない。
それでもー、
「君の存在は、俺の人生の中でかけがえのないものだ。だから、どんなことも君と分かち合いたい…!死の淵まで一緒にいたい!」
「涼真くん…!」
玲の両腕が伸び、全ての指が俺の首に絡まる。
ぐぐっと力が込められ、頭がチカチカした。
その後、すーっと意識が混濁していく、
流石に、うまい。
「好き…好き…大好き!涼真くん、好きだよ…」
玲が泣き顔と笑顔の入り混じった表情を浮かべ、もんどんと絞めあげていく。
いつもは見られない彼女の姿を見られることに、とても興奮した。
(っていかん。これじゃあ俺だけ死んじゃうな。もう玲は止まらないだろうし)
今日は手を抜くつもりはない。
馬乗りになって両腕に体重をかける玲の首に、両腕を伸ばす。
そしてー、
「玲…!」
「涼真くん…!」
俺も、彼女の首を絞め始めた。
****
「佐渡さまの視線が…消えた!?」
「どういうことなのですか?お兄ちゃんに何かあったのですか?」
「分からない。でも、恐らく佐渡さまは目を閉じて、意識を失っているわ!」
「そんな…天野さんはどうなってるの!?」
「ごめん秋山さん。私は佐渡さまのゾクゾクする視線しか感じることができないの。とにかく急いで運転手さん!」
「はいよ!」
今度は全裸おさげ女が変なことを言い始めた。
佐渡とか言う男に露出写真を送信していたら、写真をじっくり観察される体験を通して、その男の視線を感じることができるようになったらしい。
佐渡とか言う奴はよほど好かれているようだ。
正直羨ましい!
軽自動車は高速道路を降り、とある山の中に入ろうとしている。
スピードは徐々に落ち始めており、停車するようた。
「…ここでいいわ。あとはあたしが行く」
その時、俺のタクシーのドアが乱暴に開かれる。
確か戸田とか言ったっけ、白髪の女が強引に降車しようとする。
「ちょっとお客さん!?」
「みんなは警察を待ってて!」
慌てて減速すると、戸田は地面に転がり落ちるように着地し、軽自動車を追いかけていく。
「抜け駆けなんて卑怯よ戸田さん!結衣だって、佐渡さんと秋山さんのことが大好きなんだから!」
「佐渡さま、あたしの全裸を直接見るまでは死んじゃダメですよおおおおお!」
「お兄ちゃん!お姉ちゃん!麻衣はまだ一生分のすんすんを終えていないのです!」
残る3人も一斉に降車し、白い軽自動車を追いかけていった。
「「「今、助けます!!!」」」
「仕方ねえ、運賃はサービスしてやるよ!」
俺はタクシーを路肩に止め、彼女たちに叫んだ。
「好きな人間は、絶対に守り抜け!!!」
****
「…ここ、は?」
一面に広がる花畑の中で、私は目覚めた。
空には今まで見たことがないほど美しい青空と、眩い太陽。
空気も澄んでいて、胸いっぱい吸い込むと気持ちが良い。
でも、どうしてこんな所にいるのだろう。
ー死の淵まで一緒にいたい!
その時、私の脳裏にこれまでの記憶がよぎった。
(そうか…私、涼真くんに全てを打ち明けて、受け入れられて、首を絞めたんだっけ。それで涼真くんも私の首を…)
意識が完全になくなるまで、涼真くんと見つめ合っていたまでは覚えている。
ということはー、
「ここが天国なのかな」
この非現実的な光景も、天国だとしたら納得できる。
常に穏やかな時間が流れていて、とても暖かい。
思考がふわふわもしてまとまらないけど、それすらも心地よく感じられる。
私が追い求めた、死の世界。
以前の私だったら、大喜びしたはずだ。
でも、今の私はそれを楽しむことはできなかった。
なぜならー、
愛する人が、そばにいてくれないから。
「…涼真くん」
名前を呼ぶと、ふいに涙が溢れてきた。
ー初めて、彼に首を絞めてもらった想い出。
ー一緒に、ソフトクリームを食べた想い出。
ー本田君を捕まえて、秋山さんを救った時の想い出。
ースカーフやチョーカーを送ってもらった時の想い出。
ー麻衣を守ってくれた時の想い出。
ーTさんとの戦いに勝って、楽しく過ごした高校2年間の想い出。
想い出。
想い出。
想い出。
生きているからこそ得られるもの。
ここにいても、絶対に得られないもの。
死の淵に来てようやく実感した。
私はー、
「涼真くんに会いたい!みんなと離れたくない!死にたくない、死にたくないよぉ…」
生きたいということに。
「…死にかけてこそ気づくこともある、てことかな」
「え…?」
その時、私の耳に懐かしい声が飛び込んできた。
胸が一瞬で高鳴り、声の主に飛び込みたい衝動にかられる。
声のした方を振り向くとー、
「帰ろう、玲」
そこには、涼真くんがいた。
****
「涼真くん…ごめんね!私が、馬鹿だった…!」
気がつくと、俺たちは元いた車の中で抱き合っていた。
肉体から離れていた精神が元に戻っていたらしい。
なぜ合流できたかは謎だけど、愛の力ということにしておこうか。
(いずれは、あの空間にまた行くのかな…)
確かに心地よい空間ではあった。
でも、玲が感じている通り、俺たちはまだここに来るべきじゃない。
「いいんだ。戻ってきてくれてありがとう…」
「もう、死ぬことなんて願わない!あなたとずっと、一緒にいるから…」
泣きじゃくる玲をしっかりと抱きしめて、俺は彼女との絆が強まったことを実感する。
後は帰るだけー、
「何やってんだおめえら!!!」
車のドアが乱暴に開けられ、包丁を握りしめた男が乱入してきた。
「…誰だっけ?」
「本田だよ!!!本田大輔!!!」
「ああ、そうだった。色々ありすぎて忘れてたよ」
「ふざけやがって…いつの間にか縄も解いてるし、逃げるつもりだったな!!!」
包丁を振りかざし、本田は俺たちに襲いかかってきた。
玉を蹴り飛ばす隙がない。
一気に距離を詰められる。
「まずは天野、お前を血祭りにあげてやる!」
振り上げられる包丁を見て、咄嗟に俺は玲に覆い被さった。
「涼真くん!」
「玲!」
背中に激しい痛みがー、
やってこない。
「なっ…!おめえは!!!」
本田が驚愕の声をあげるのを聞いて、俺は振り返る。
1人の女性が本田と俺たちの間に立ち塞がり、包丁を身に受けていた。
「そんな…まさか!」
その人物を見て、俺は叫ぶ。
「Tぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ!」
俺の幼馴染にして仇敵が、そこにはいた。
俺の突然の申し出に、玲は動揺する。
当然かもしれない。
自分でもどうかとは思う。
でも、彼女を見捨てる、あるいは1人だけで死の世界に近づけるなんて俺には耐えられないことだった。
「大丈夫さ、俺も一度君に絞められてみたかったんだ。可愛い彼女に絞められるってのも、悪くない経験だろ?」
「どうしてそこまで…私は涼真くんや麻衣の願いを無視して、自分の欲望に負けそうになってる最低の人間なんだよ?そんな私に涼真君が付き合う必要なんてー」
玲は取り乱して叫びそうになったが、途中で遮られる。
俺が、彼女の唇に口づけを交わしたからだ。
玲は大きく目を開けて驚愕する。
でも、優しく唇に触れていると、恐る恐る彼女も舌を絡ませる。
しばらく、ずっとそうしていた。
「あ…」
ゆっくり玲の唇から離れると、混ざり合った2人分の唾液が糸を引く。
顔を真っ赤にしてこちらを見つめる彼女は、とても愛らしい。
だから、迷わない。
「君がいなければ、俺は破滅したまま家から出ることもできなかった。玲が受け入れてくれたからこそ、Tに復讐することもできたんだ」
「…」
「君が秘めた欲望のために俺を利用していたのだとしても構わない。俺だって、そんなに高尚な存在じゃないさ。でもね…」
本田。
吉岡と福田。
石井とT。
今まで多くの人間が性癖を暴走させ、その身を滅ぼしてきた。
もしかすれば、俺と玲もその中の1人になるのかもしれない。
それでもー、
「君の存在は、俺の人生の中でかけがえのないものだ。だから、どんなことも君と分かち合いたい…!死の淵まで一緒にいたい!」
「涼真くん…!」
玲の両腕が伸び、全ての指が俺の首に絡まる。
ぐぐっと力が込められ、頭がチカチカした。
その後、すーっと意識が混濁していく、
流石に、うまい。
「好き…好き…大好き!涼真くん、好きだよ…」
玲が泣き顔と笑顔の入り混じった表情を浮かべ、もんどんと絞めあげていく。
いつもは見られない彼女の姿を見られることに、とても興奮した。
(っていかん。これじゃあ俺だけ死んじゃうな。もう玲は止まらないだろうし)
今日は手を抜くつもりはない。
馬乗りになって両腕に体重をかける玲の首に、両腕を伸ばす。
そしてー、
「玲…!」
「涼真くん…!」
俺も、彼女の首を絞め始めた。
****
「佐渡さまの視線が…消えた!?」
「どういうことなのですか?お兄ちゃんに何かあったのですか?」
「分からない。でも、恐らく佐渡さまは目を閉じて、意識を失っているわ!」
「そんな…天野さんはどうなってるの!?」
「ごめん秋山さん。私は佐渡さまのゾクゾクする視線しか感じることができないの。とにかく急いで運転手さん!」
「はいよ!」
今度は全裸おさげ女が変なことを言い始めた。
佐渡とか言う男に露出写真を送信していたら、写真をじっくり観察される体験を通して、その男の視線を感じることができるようになったらしい。
佐渡とか言う奴はよほど好かれているようだ。
正直羨ましい!
軽自動車は高速道路を降り、とある山の中に入ろうとしている。
スピードは徐々に落ち始めており、停車するようた。
「…ここでいいわ。あとはあたしが行く」
その時、俺のタクシーのドアが乱暴に開かれる。
確か戸田とか言ったっけ、白髪の女が強引に降車しようとする。
「ちょっとお客さん!?」
「みんなは警察を待ってて!」
慌てて減速すると、戸田は地面に転がり落ちるように着地し、軽自動車を追いかけていく。
「抜け駆けなんて卑怯よ戸田さん!結衣だって、佐渡さんと秋山さんのことが大好きなんだから!」
「佐渡さま、あたしの全裸を直接見るまでは死んじゃダメですよおおおおお!」
「お兄ちゃん!お姉ちゃん!麻衣はまだ一生分のすんすんを終えていないのです!」
残る3人も一斉に降車し、白い軽自動車を追いかけていった。
「「「今、助けます!!!」」」
「仕方ねえ、運賃はサービスしてやるよ!」
俺はタクシーを路肩に止め、彼女たちに叫んだ。
「好きな人間は、絶対に守り抜け!!!」
****
「…ここ、は?」
一面に広がる花畑の中で、私は目覚めた。
空には今まで見たことがないほど美しい青空と、眩い太陽。
空気も澄んでいて、胸いっぱい吸い込むと気持ちが良い。
でも、どうしてこんな所にいるのだろう。
ー死の淵まで一緒にいたい!
その時、私の脳裏にこれまでの記憶がよぎった。
(そうか…私、涼真くんに全てを打ち明けて、受け入れられて、首を絞めたんだっけ。それで涼真くんも私の首を…)
意識が完全になくなるまで、涼真くんと見つめ合っていたまでは覚えている。
ということはー、
「ここが天国なのかな」
この非現実的な光景も、天国だとしたら納得できる。
常に穏やかな時間が流れていて、とても暖かい。
思考がふわふわもしてまとまらないけど、それすらも心地よく感じられる。
私が追い求めた、死の世界。
以前の私だったら、大喜びしたはずだ。
でも、今の私はそれを楽しむことはできなかった。
なぜならー、
愛する人が、そばにいてくれないから。
「…涼真くん」
名前を呼ぶと、ふいに涙が溢れてきた。
ー初めて、彼に首を絞めてもらった想い出。
ー一緒に、ソフトクリームを食べた想い出。
ー本田君を捕まえて、秋山さんを救った時の想い出。
ースカーフやチョーカーを送ってもらった時の想い出。
ー麻衣を守ってくれた時の想い出。
ーTさんとの戦いに勝って、楽しく過ごした高校2年間の想い出。
想い出。
想い出。
想い出。
生きているからこそ得られるもの。
ここにいても、絶対に得られないもの。
死の淵に来てようやく実感した。
私はー、
「涼真くんに会いたい!みんなと離れたくない!死にたくない、死にたくないよぉ…」
生きたいということに。
「…死にかけてこそ気づくこともある、てことかな」
「え…?」
その時、私の耳に懐かしい声が飛び込んできた。
胸が一瞬で高鳴り、声の主に飛び込みたい衝動にかられる。
声のした方を振り向くとー、
「帰ろう、玲」
そこには、涼真くんがいた。
****
「涼真くん…ごめんね!私が、馬鹿だった…!」
気がつくと、俺たちは元いた車の中で抱き合っていた。
肉体から離れていた精神が元に戻っていたらしい。
なぜ合流できたかは謎だけど、愛の力ということにしておこうか。
(いずれは、あの空間にまた行くのかな…)
確かに心地よい空間ではあった。
でも、玲が感じている通り、俺たちはまだここに来るべきじゃない。
「いいんだ。戻ってきてくれてありがとう…」
「もう、死ぬことなんて願わない!あなたとずっと、一緒にいるから…」
泣きじゃくる玲をしっかりと抱きしめて、俺は彼女との絆が強まったことを実感する。
後は帰るだけー、
「何やってんだおめえら!!!」
車のドアが乱暴に開けられ、包丁を握りしめた男が乱入してきた。
「…誰だっけ?」
「本田だよ!!!本田大輔!!!」
「ああ、そうだった。色々ありすぎて忘れてたよ」
「ふざけやがって…いつの間にか縄も解いてるし、逃げるつもりだったな!!!」
包丁を振りかざし、本田は俺たちに襲いかかってきた。
玉を蹴り飛ばす隙がない。
一気に距離を詰められる。
「まずは天野、お前を血祭りにあげてやる!」
振り上げられる包丁を見て、咄嗟に俺は玲に覆い被さった。
「涼真くん!」
「玲!」
背中に激しい痛みがー、
やってこない。
「なっ…!おめえは!!!」
本田が驚愕の声をあげるのを聞いて、俺は振り返る。
1人の女性が本田と俺たちの間に立ち塞がり、包丁を身に受けていた。
「そんな…まさか!」
その人物を見て、俺は叫ぶ。
「Tぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ!」
俺の幼馴染にして仇敵が、そこにはいた。
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