幼馴染に異常性癖を暴露(アウティング)されて破滅するけど、◯◯◯希望のかわいい彼女をゲットしたので人生楽しい~幼馴染が後になって後悔しているようだけど、もう遅い

スンダヴ

第51話 集結

「東洋高校前、東洋高校前です。お降りの方は、足元にお気をつけください」

真っ白な髪をした女性が、電車から降りる。
サングラスやマスクで顔を隠しており、その表情は窺いしれない。

「娑婆の空気は、おいしいわね…」

年齢に似つかわしくない言葉を呟き、駅構内を女性は彷徨う。

「衝動的に来てしまったけど、何をしようかし…」

突然、彼女は口ごもる。

「…」

迷うそぶりを見せたが、やがて足を早め、駅から姿を消した。


****


「お兄ちゃんとお姉ちゃん、遅いのです。すんすんタイムをお預けするとは、2人共なかなかの策士なのです」

校門前で2人を待ちながら、麻衣はため息を付きます。
今日は秋山さん、お兄ちゃん、お姉ちゃんたち『戸田リベ会』のメンバーが久々に全員で集合する日。
お姉ちゃんはお兄ちゃんの家に泊まるとのことだったので、ここには1人で来たのです。

集合場所は、麻衣も何度か行ったことがある東洋高校。
そこから『戸田リベ会』ゆかりの地をいくつか巡ろうという計画です。
ですが、集合時間である10時から5分過ぎても、誰も来ませんでした。

「これは、お兄ちゃんたちが来たらすんすん1時間は必要ー」
「みんな、遅れてごめんなさい!」
「佐渡さま、リアルで出会うのは3年ぶりで少し!!!会いたかった…」

と思ってたら、秋山さんたちがやってきました。
ですが、もう1人の方は見覚えがありません。

おさげと丸眼鏡という、今の時代なかなか見られないファッションです。
蒸し暑い季節だと言うのに、分厚いコートを全身に羽織っています。

暑いせいか、少し顔を赤くしています。

「秋山さん!お久しぶりなのです!そこのお方は…」
「この人は福田美奈子さん。『戸田リベ会』のメンバーではないんだけど、佐渡さんとちょっとした関係があってね。今日は和解と許しの日として…」
「贖罪の旅を終え、美奈子覚醒いたしますっ!!!」

そう叫ぶと、福田さんは羽織っているコートを勢いよく脱ぎました。



青少年の学舎の前だと言うのに、何も着ていません。
全裸です。
ポリスメンを呼べばすぐに逮捕されるでしょう。

(なるほど、変態さんでしたか…)

不意に、1週間ほど前お姉ちゃんとお風呂に入ったことを思い出します。

ー久々のすんすんなのですっ!
ーひゃあっ!ちょっと麻衣、そんなとこ舐めちゃ、だめ…だめだったらぁ…

あの時のお姉ちゃんの匂いは、お兄ちゃんに匹敵する程だったのでした。
次は、お姉ちゃんとお兄ちゃんと3人ですんすんを…

「もう福田さん、それは佐渡さんの前だけって言われてるでしょ?」
「はっ…佐渡さまはまだでしたか。すみません。しかし秋山さんもヴァンパイアの付け歯しないんですか?ここに来る途中はウキウキで…」
「それはまだ言わないで!さ、佐渡さんを驚かせたいからぁ…」
「あはは、すみません。はあ、早く佐渡さんの視線でゾクゾクしたいです」

2人の姿を見る限り、福田さんも悪い人ではないようです。
お兄ちゃんの周りには自然と変態が集うものなのでしょう。

お兄ちゃんたちが来た時が楽しみなのです。


****


「どうかしたの?」
「いや、なんだか後ろから視線を感じてさ」
「気のせいだよ、きっと」
「そうだな。仮にそうでも…」
「?」
「いや、何でもない。急ごう」
「うん!」

俺と玲は手を繋ぎ、急ぎ東洋高校へと向かっている。
最寄り駅である『東洋高校前』に到着したのが
本来ならもう少し余裕があるはずだったのだが、すでかなり遅れてしまっている。



なぜかって?



朝、玲に迫られたからだ。

ーお願い涼真くん。私の首絞めて、無茶苦茶にして…

前夜彼女を数回抱いたのだが、玲は満足できなかったらしい。
俺だって男だしそう言われたらそりゃもう…あとは分かるよね?

一時の快楽に溺れるあまり、集合時間に遅れてしまったわけだ。

でも、1つだけ気掛かりな点がある。

ーもっと…強く…して。
ー玲?でもこれ以上はまずいよ。
ーおね、がい…!

彼女の首絞め願望が日増しに強くなっている気がする。

結局、彼女は失神するまで俺に首絞めをねだった。
あんまり強くするのは非常に危険だし、どこかで歯止めをかけないといけないかもしれない。

そんなことを思いながら急いでいると、とある交差点の信号が赤に点灯した。
2人で立ち止まり、青になるのを待っていると、玲がぽつりと呟く。

「ごめんね、私のわがままで涼真くんまで…」
「いいってことさ。俺は玲のわがままななんで聞いてあげたい。でも…」

少しだけ玲のチョーカーに触れる。
彼女にプレゼントしてから、肌身離さずつけてくれているものだ。

「君の体のことはそれ以上に大切にしたい。それだけは分かってくれ」
「涼真くん…」

玲は表情を曇らせ、手を握りしめる。
少しだけ体を震わせていた。

「私…私ね」

そして、俺を強い目線で見つめる。

「あなたに隠していることがー」
「久しぶりだなあ、お前ら」

玲の告白は、突如首筋に突きつけられた包丁に遮られる。

信号の柱に隠れていた人物が飛び出し、玲の背後に回ったのだ。
目出し帽を被っており、誰なのかさっぱり見当がつかない。

「涼真くんっ!」
「玲を離せ!」
「離せと言われて離す奴がいるかよ!!!ひゃはははははははっ!!!」
「誰だお前は!なぜ俺たちにこんなことをする!」
「いいぜ、教えてやる…忘れたとは言わせねえぞ」

目出し帽をめくり、その人物は姿を現した。




「…誰だっけ?」
「なっ!お前らどこまでも人を舐めやがって!!!俺だよ!!!」

整髪料をべたべた塗りつけたツンツン頭。
弱そうなやつに喜んで喧嘩を吹っ掛けそうな狂暴な顔つきが特徴。

性格は粗暴、悪い意味での体育会系。



「本田だ!お前らに不当に破滅させられた、本田大輔!!!」














          

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