幼馴染に異常性癖を暴露(アウティング)されて破滅するけど、◯◯◯希望のかわいい彼女をゲットしたので人生楽しい~幼馴染が後になって後悔しているようだけど、もう遅い

スンダヴ

第38話 陰謀

「そろそろ交代しようか」
「分かった。麻衣に連絡するね」

尾行を開始してから約2時間後。

石井と戸田が新たなアトラクションの列に並ぶのを確認し、麻衣ちゃんを呼び寄せる。
ここからは、俺と麻衣ちゃんでしばらく監視を行う予定だ。

「まずはお兄ちゃん成分を補充なのです。すんすん」

合流した瞬間に抱きつかれ、麻衣ちゃんは俺の匂いを堪能する。

どんな気持ちかって?
もちろん最高さ。

「お姉ちゃん、お兄ちゃんは麻衣が守るので安心して欲しいのです。すんすん」
「本当にいいの?麻衣。あなたが直接尾行しなくても…」
「良いのです。これは、麻衣の戦いでもあるのですから」

心配する玲と、気丈に振る舞う麻衣ちゃん。
2人の美しい姉妹愛は紛れもなく本物である。

「じゃあ行こうか麻衣ちゃん!性悪たちの化けを皮をどんどん剥がすぞ!」
「おー、なのです!」



俺自身が復讐を果たすため、この2人に笑顔をもたらすためー、



戸田と石井には、今日地獄を見てもらう。


****


列に並んでいる石井と戸田を見張っている時、麻衣ちゃんが声をかけてきた。

「戸田さんと石井さんは、尾行に気づいていないのでしょうか?ドキドキなのです」
「気をつける必要はあるけど、2人は俺たちが別の場所にいると思い込んでるはずだ」
「そうなのですか?」
「ああ。今俺たちは別の場所で遊んでることになってる」

ー涼真くん!今度の日曜日アメリカ街に行かない?
ーいいね!最高だよ。秋山さんはどう?
ー行きたいです!

金曜日の夕方に、戸田の前でそれとなく偽の予定を伝えていた。
戸田は明らかに不機嫌な表情を浮かべ、教室を飛び出している。

まさか尾行されているとは夢にも思うまい。

「なら安心なのです」

麻衣ちゃんは胸を撫で下ろした。

「あ、そういえば麻衣ちゃんってこのアトラクションのこと知ってる?」
「実はここに来るのは初めてで、あまりよく知らないのです。教えていただけないでしょうか?」
「もちろん!」

船着き場風の建物を見回しながら、俺は説明する。

1.ユニバーサル・スタジオ・ワールド開演当初からある
2.クルーズ船に乗りながらー、
3.ガイドのコミカルな解説を楽しみつつ
4.とある巨大生物との死闘を楽しむアトラクション

それはずばりー、



「ジョーンズだよ。鮫が出てくるやつ」
「鮫、なのですか?」
「ちょっと水飛沫がかかるけど、まあ鮫のミニチュアがうろちょろしてるだけだし、ガイドがギャグ風に仕上げてくれるから」
「そ、そそそそうなのです。ささささ鮫なんて怖くないののののでででです」
「…もしかしてダメなタイプ?」

玲はかなりスリリングなライドも「楽しいいいいい!」と叫びながらハイテンションになっていたが、どうやら麻衣ちゃんはそうではないらしい。

どうしたものか。

「怖いなら俺1人で乗ってもいいけど、どうする?」
「そ、そんなわけには行かないのです。麻衣もちゃんと尾行したいのです」
「うーん。でも声とか出されるとバレちゃうからなあ」
「むむむむむ…そうだ!」

麻衣ちゃんはポンと手を叩く。

「麻衣に良い考えがあるのです!」



…ダメな時のやつだ、これ。


****


「何と、巨大な鮫が現れました!皆さん!捕まってください!」

というわけで乗り込んだ『ジョーンズ』のクルーズ船。

ガイドが切迫した表情で銃を構えると、途端に巨大な鮫がザバン!と姿を現す。
よく見ると結構ボロボロ。

(もうオープンから19年も経ってるからな…入れ替えとかしてるんだろうか)

というわけで鮫は全然怖くないのだが、別のことに気を取られてる。

「さ、鮫は退治されたのですか?」
「もうちょっとだよ。鮫がガスタンクを口に咥えるから、それをガイドが銃でバン!と撃ったら終わり…あひいん!」
「すんすん、もう少しだけ我慢するのです」
「…麻衣ちゃん、直はまずい。新たな世界の扉が開かれてしまう…!」
「すみませんなのです。すんすん、すんすん」

何をしてるのかというとー、



麻衣ちゃんが俺のお腹に張り付いていた。
シャツを少しめくり、直に俺の匂いを嗅いでいる。
ガイドから見えないよう、俺の膝に顔を埋めながら。

むふー、むふーと息を荒くしており、かなり危険な状態である。

「今、鮫が倒されました!私たちの勝利です!」
「麻衣ちゃん、ジョーンズはもう死んだ。もう顔を出してもいいんだ!」
「安心できないのです。このまま最後まで顔を埋めるのです」
「それってやりたいだけ…アーーーッ!!!」

こうして、色々な意味でアトラクションを楽しむのだった。


****


「一周間分のすんすんでした。ありがとうございますなのです」
「明らかに確信犯だったね、麻衣ちゃん…さて、あいつらはどこへ行くかな」

『ジョーンズ』が終わり、石井と戸田は行動を再開する。
再びアトラクションへーと思ったが、別の行動を取り始めた。



人気のない場所へ移動し始めている。

(まさかこんな時間から?いや、本番は夜と言っていたはず…)

「麻衣ちゃん、少しここで待っていてくれ」
「は、はいなのです」

麻衣ちゃんの教育によくないものを見せるのはまずいため、後方で待機させる。

俺自身は、息を殺しながら接近。
木が生い茂り周りから死角となってる場所で、2人は話を始めた。

「どうしたの〜?次のアトラクション行こうよ〜〜〜」
「1つ聞きたいことがあるの」
「なに〜〜〜?」
「天野麻衣とは、どんな関係?」

俺は少し、息を呑んだ。

「えっ…だ、誰それ?」
「とぼけないで。西方中学校の中学3年生の女子。連絡を取り合ってるそうじゃない」
「…なんで知ってるの」
「それは秘密。でも、私という彼女がいるのに、そういうことするのは良くないわよね」
「怒るなって〜あいつとは何ともないから〜」
「怒ってはいないわ。その子と付き合ってもいいわよ。その代わり条件があるわ」
「条件…?」
「ええ」

戸田は邪悪な笑みを浮かべ、信じられない声を放つ。



「2週間後、その子と私とで3Pしましょ」
「はあ?」
「はあ、じゃないわよ。複数の女と関係を持つのがあなたの望みなのは調べがついてるわ」
「そ、それはそうだけどさ」
「心配しないで。私、天野麻衣の姉、玲には恨みがあるの。あなたが麻衣に何をしても秘密にしておくし、なんなら映像や写真の撮影を手伝うわ。証拠を押さえておけば、彼女も口に出さないでしょう」
「お前…」
「やりたくないの?」
「いや、すげえやりたい。協力してくれんの?」
「ええ、もちろんよ」
「へへへ…意外と話わかんじゃ〜ん。そういうの夢だったんだよね〜」

石井にそっと唇を合わせ、戸田は歩き出す。

「さ、行きましょ。デートはまだまだこれからだわ」
「お、おう」

そして、人気のない場所から2人は去っていった。


****


「だ、大丈夫なのですか?」

内心の怒りを隠し、俺は麻衣ちゃんに笑顔を浮かべる。

「ああ、大丈夫だ」

何故わざわざ石井から麻衣ちゃんを寝取ろうとしてるのか、ようやく分かった。
俺たちを徹底的に苦しめたいからだ。

石井にそのまま麻衣ちゃんを弄ばせるだけでは、不十分ということなのだろう。

ならば、こちらももっと力をいれなければ。

「麻衣ちゃん、『例のグループ』にもやっぱり声をかけよう」
「いいのですか?」
「ああ」

俺も、おそらく戸田のような凄惨な笑顔を浮かべていた。



「あいつらとは、徹底的にやり合わないといけないようだ」






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