幼馴染に異常性癖を暴露(アウティング)されて破滅するけど、◯◯◯希望のかわいい彼女をゲットしたので人生楽しい~幼馴染が後になって後悔しているようだけど、もう遅い

スンダヴ

第12話 首絞めと妨げ

次回から新章に移ります!
コメントでは幼馴染編と書きましたが、それは誤字です、すみません。
次の次となります。

イラストは、こちらの希望をイラストレーターの方にに本日お伝えします。
年明けからの作業になりますので、気長にお待ちください。


****


「良かったね佐渡くん!クラスのみんなも受け入れてくれて」

夕陽が差し込む部屋の中で、天野さんは微笑んだ。

ここは僕の家。
部活である吹奏楽部を辞めたので、放課後は何もすることがない。
だから天野さんを伴って帰宅した。

この前とは違い、僕の意思によって天野さんはここにいる。

「一件落着…ってわけじゃないけど、ひとまずは落ち着いた。天野さんのおかげだよ」
「どういたしまして。あ、このお菓子テレビで見たことある!食べていいかな?」
「どうぞ」

天野さんは初めて来た時と同じく、床に敷かれた絨毯にちょこんと座っている。
包装紙を上品に剥き、チョコレートをゆっくりと口に運ぶ。

「あむ」
天野さんは奇麗な舌でチョコレートをペロリと飲み込むと、ぱっちりとした目を緩ませ、とろけるような表情を浮かべた。

「おいひい…」
舌足らずな言葉を話す彼女の姿にキュンとしながら、僕の視線はとある部位に向いていた。

すなわち首。
僕の手にすっぽり収まるぐらい細く、雪のように白い。
黒いチョーカーで隠れていても、ハリを感じる筋肉や力強く脈動する血管の位置が手に取るようにわかる。

高ぶりを感じながら、彼女の隣に座る。
「…」
天野さんはピクリと体を震わせるが、やがてこちらに体を傾けた。
それをそっと両手で支える。

「…いい、よ」
耳の裏まで赤くし、俯きながら彼女は言った。

「その前に、伝えたいことがあるんだ」
「え…?」

僕の意外な申し出に、天野さんは思わず顔をあげる。
不意を突かれて丸くなる瞳を愛おしく感じながら、自分の想いを伝えた。



「僕と、付き合ってくれませんか」


****


「ふえええええ!?」
天野さんの動揺は想像以上だった。
いつも僕をリードする飄々とした姿はない。

「だ、だだだだってもう私たちカップルでしょ?そんな急に…」
「僕の口から告白したことがなかったから、きちんと伝えておきたかったんだ」
「そうだけど、心の準備がー」
「天野玲さん!」
「は、はい!」

肩を優しく抱き、彼女と真正面から向き合った。

「僕はあなたが好きです。とても可愛いし、料理も美味しくて、性格も素敵で、いつも僕のことを支えてくれて、それにー」

右手で、彼女の首に触れる。
けい動脈が熱く脈打って、まるで生き物のようだ。

「性癖を受け入れてくれて。こんな僕でよければ、付き合ってください」

天野さんは息を震わせ、返事をしない。
でも不安はなかった。

返事を聞く前から、彼女の感情は手に取るようにわかる。

「私もだよ!」
沈黙を破り、天野さんが力強く応える。

彼女は僕に身を寄せ、互いの距離は唇が触れ合いそうな距離まで近づいた。

「初めて会った日からかっこいいと思ってたし、秋山さんを助けた時すごいと思った!運動場で私が見つからないように身を挺して守ってくれて、それにー」

瞳から清水のような涙があふれ、絨毯を濡らしていく。

「私の性癖を、受け入れてくれた…!」

「佐渡くんと、ずっと一緒にいたいっ!」

もう、僕と天野さんの間に入るものは何もなかった。


****


天野さんの桜色の唇に、自分の唇を合わせる。
最初は、唇同士を合わせる恋人キスだ。

「んんっ…」
唇が触れ合い、くぐもった声をあげる天野さんの手を掴み、少し強引に押し倒す。
ブレザー越しでもよくわかる天野さんの胸がたゆんと揺れた。
熱烈なキスを続けると、彼女の体から力が抜けるのを感じ、そのまま舌を彼女の舌に絡ませる。

ぬらぬらとした暖かい感触と、甘いチョコレートの味。

「…ぷはっ」
数十秒後彼女の唇からゆっくり離れると、互いの唾液が小さく糸を引いた。
天野さんが心臓が早鐘のようになっているのを感じる。

「天野さん、綺麗だよ」
そのままチョーカーをゆっくりと外し、うっ血がなくなった綺麗な首を見て安堵した。
傷をつけるのは本意ではない。

「えへへ、じゃあそろそろ…」
「その前に」
「ひゃっ?!」
彼女の予想を外す形で、僕は彼女の首にキスする。
うっ血していた箇所を強く吸うと、甲高い声で嬌声をあげた。
久々に味わう首の感触に興奮が止まらず、遂には舌を出して舐め上げる。

「いやっ…それダメ。首、そんなに舐められたら…っ!」
「気持ちいい?」
「…うん。だからもうーひゃあああああん!」

少し被虐心が燃え上がってしまい、彼女の首に半ば噛み付くように食らい付いてしまった。
歯で柔らかい首筋を軽く噛むと、それだけでびくびくとした震えが走る。
天野さんはサバンナで首を食い破られたような草食動物のように喘ぎ、体を震わせ、僕にしがみついた。
互いの呼吸が混ざり合い、空気中に熱として放出されるのを確かに感じる。

「それ以上されたら…私、私…」
天野さんはひときわ体を震わせ、僕にしがみついた。
そしてー、

「あっ…!はっ…」
ぶるぶると震える。
体から緊張が解け、呼吸を吐き出した。

そして、口から少しよだれが垂れ、床にこぼれ落ちるのだった。


****


「大丈夫?」
ぼうっとして身動きが取れない私の体を、佐渡くんが優しく抱き抱える。

「…気持ち、よかった」

正直な気持ちを、伝えた。
昔から首筋を触られるとゾクゾクと震えが来てしまう。
生まれた時からの、私の性癖。

佐渡くんは嬉しそうな笑顔を浮かべ、床に横たわる私の上体を起こした。
自分も足をピンと伸ばしたまま床に座り、私の体を丁度膝の上に乗せ、対面する。

確か、対面座位って言ったっけ。

「背中に手を回して」
佐渡くんが私に直接命令するのは初めてだ。
背筋にぞくぞくしたものを感じながら、彼の硬い背中に手を伸ばす。

「絞めるね…」
そして、両腕で首を絞められた。
うっ血が治ったせいか、この前より力強く。

数秒もしないうちにふわふわとした感覚に包まれ、世界が歪んでいく。

「かはっ…!」
夢の世界でたどり着く寸前で解放される。
私の手が背中から離れたからだ。
ぜいぜいと息をする私に、佐渡くんは再び命令する。

「手を放さないで」
「そう、言われ、ても…」
口では反抗しながらも、必死に佐渡くんの背中にしがみついた。
快感が失われないように。
この夢心地が1秒でも続くように。

そして、再び首を絞められる。

(私、やっぱり異常なんだな…)

世界が音を無くしていくのを感じながら、実感する。
恋人同士の交わりでこんなことをする人はいない。
戸田さんのような普通の人が見れば怯え、非難するだろう。

(それでもいいんだ…)



私には、自分の異常を理解してくれる人がいるのだから。


****


「天野さん!?」
彼女の意識が眠るように失われたのを感じ、慌てて手を離し、抱き寄せる。
久々のプレイで興奮しすぎてしまったようだ。

「…すー」
幸い、気絶してるだけで大事はなさそうである。
安堵するが、別の問題が発生した。

(まずい、興奮してきた…)
無防備な彼女の柔らかい胸の感触による、生理的現象の発生である。
異常ではあるが、僕もその辺はきちんとしているのである。

自制しようと試みるが、手が止まりそうにない。
そうなれば高校生男子の脳内は野獣と変わらない。
そのまま彼女のブレザーに手をかけ、脱がそうとー



ピーンポーン。
ピーンポーンピーンポーンピーンポーン。

僕を人間に戻したのは、複数回鳴らされるチャイム音だった。


****


「だ、誰ですか?」
慌てて家の扉を開ける。
宅配便など頼んだ覚えはない。

開けた先にはー、

「…?」
誰もいなかった。
いたずらか、間違いか、判断できる材料は存在しない。

「ま、いいか…」

もしかすると、僕の自制心が生み出した幻聴だったかもしれない。

すでに夕日も落ち、夜となっている。
早く天野さんを帰そう。



(戸田が僕と天野さんの関係を知ったらどう思うんだろうか…)

リビングに戻りながら、そんなことを考えるのであった。


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