幼馴染に異常性癖を暴露(アウティング)されて破滅するけど、◯◯◯希望のかわいい彼女をゲットしたので人生楽しい~幼馴染が後になって後悔しているようだけど、もう遅い

スンダヴ

第7話 食べちゃってください!

目標☆69を達成!
イラスト化企画が決定しました。
応援いただき、ありがとうございます!
詳細は後日お伝えします。
追加の企画も考えていますので、気に入った方はどしどし評価いただけると嬉しいです。


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本田大輔。

東洋高校1年2組、サッカー部。
整髪料をべたべた塗りつけたツンツン頭、弱そうなやつに喜んで喧嘩を吹っ掛けそうな狂暴な顔つきが特徴。
性格は粗暴、悪い意味での体育会系。

誰も表立っては逆らわないが、実際は嫌われており人望がない。
それを自分でも気づいているせいか、僕をストレスのはけ口にでもしたいのだろう。

早急にアウティングして、僕の平穏な学生生活と天野さんの秘密を守らなければならない。
幸い、本田の弱みを握っている人物に心当たりがあった。


****


「てめえ!」
というわけで、そろそろお昼時なのにまた絡まれている。

「廊下に画鋲を置いたのはお前か!いってぇ…」
「違うけど?誰かが落としたんじゃない?よくあることでしょ」
「針が長えんだよ!まるで上履きをきちんと貫通できるようになあ!」
「証拠がないのに犯人扱いは良くないよ。それに、サッカー部なんだから避ければ良かったじゃん」

もちろん犯人は僕である。
「いってぇ…」と言いたいのは、先にやられたこっちの方だ。
僕の被った精神的苦痛を鑑みれば、たかが画鋲ぐらい良いだろう。
肉体の傷はすぐ治るしね。

「殺してやるううう!」
「やめなさい本田くん!それ以上やると先生に報告するから!」

激高した本田を止めたのは、生徒会長の福田さんだ。
おさげ頭を振り乱し、強い口調で止める。
それに同調したのか、周囲のクラスメイトも冷ややかな視線を送った。

「…ちっ!」
本田はそれに抗しきれず、荒々しく教室を出ていく。

(思い切って演説した甲斐があったな…)
それを確認し、僕も教室を出ていった。



以前と違い、クラスの支持は少しだけ僕に傾いているようだ。

ー僕と仲良くしろとは言いませんが、そっとしておいてください。

これを聞いてもなお攻撃しようとするのは、本田のようなどこか異常な人間だけなのである。

「いたっ!」

考え事をしながら歩いてると、誰かとぶつかった。

「あ、すみません。佐渡さん…」

同じクラスの秋山結衣だった。

童顔、ナチュラルメイク、ふんわりとしたセミロングの髪型と、天野さんより子供っぽい雰囲気を醸し出している。
おっとりとした性格で、同年代の人間にも敬語を使う気弱な性格だ。

「こちらこそごめん。実は聞きたいことがー」
「よ、用事があるので失礼します」

セミロングの髪をなびかせ、秋山さんは足早に去っていった。

どうも元気がないようだ。


****


「今日は佐渡くんにお弁当作ってきたんだけど…どうかな?」
「自分で作ったの?」
「うん!男の子にお弁当作るの初めてだから緊張したよ」

お昼時。

僕と天野さんは、学校の屋上でお昼ご飯を食べることになった。
この学校、すなわち東洋高校は運動場の面積が狭いため、屋上に人工芝を植えて運動場としている。

今日は他に誰もおらず、天野さんと二人きりだった。
いわゆる、お弁当イベントという奴である。

「いただきます!」

女の子らしく色鮮やかにデコレーションされたおかずとご飯の中から、キャベツとニンジンを巻いたフライを選んで口にする。

「うま~~~い!天野さん料理の才能あるよ!」
「本当!?嬉しい…」

その花のようにほころぶ天野さんの笑顔がなによりのごちそうです!

「じゃあ、こっちも食べてみて?結構自信作なんだぁ」

天野さんが自分のお弁当から卵焼きをつまみ、箸を僕の口に近づける。
…据え膳食わぬはなんちゃらってやつだ!

こちらも頂く。

「ふわふわだ!自分で作るとべちょべちょになるんだよなあ」
「じゃあ、今度作り方を教えるからうちに来る?」
「妹がいるんだっけ?会ってもいいかな?」
「ふふふ、分かった。伝えておくね」

幸せだなあ。
わざと箸をゆっくりと進め、天野さんと取り留めのない会話をする甘いひと時を楽しむ。

こんな時間が、永遠に続けばいいのに。


****


「でもよかった。佐渡君が元気そうで」
「?」

会話していた天野さんの声のトーンが、少し落ちた。

「本田くんに酷いこと言われて、落ち込んでたらどうしようかなって、心配だったの…」
「心配しないでよ、さっきちょっぴり仕返ししてやったからさ」
「本当?」
「もちろん」
「じゃあ、佐渡くんをもっと元気にしてあげたい」
「?」

いつの間にか、お互いのお弁当は空になっている。



天野さんは、首のチョーカーをゆっくりと外した。

「まだ、時間あるから…」

うっ血の跡がまだうっすらと残っている天野さんの首。
天野さんがそれを愛おしそうに撫でるのを見て、スイッチが入ってしまう。

ゆっくりとそこに手を伸ばしてー



「いるんだろ、佐渡おおお!」
突然の怒号。
本田だ。

「隠れて!」
「え…きゃっ!?」

佐渡さんの腕を掴み、お弁当を抱えて柱の陰に隠れた。
足音が2組聞こえる。

「あ?いねえじゃねえか。秋山さん、本当にいたのあいつ」

本田の不機嫌そうな声に続き、震えた少女の声が響いた。

「は、はい。方角的にこちらに向かったと思います」
「じゃあどこいったの!」
「…分かりません」
「使えねえなあ。もういいよ。あいつの秘密は絶対に暴いてバラまいてやる!」

本田は足早に去っていった。
当面の危機は去ったらしい。

「ね、ねえ…」
天野さんが恥ずかしそうな声をあげる。

気づくと、天野さんを事故防止用のフェンスに追い詰め、僕が両手を突いて覆い被さるような形となっている。
いわゆる壁ドンだ。

「ご、ごめん!怪我はない?」
「うん。ちょっと驚いただけ…」

天野さんは顔を赤くしながらも、微笑んだ。

「でもありがとう。私を守ってくれたんだね」
「…」
「あ、ちょっと照れてる?」
「ごほん!そんなことより、秋山さんに声をかけよう」

本田のアウティングの鍵を握っているのは、おそらく秋山さんだ。
なぜなら、入学当初から今に至るまで、本田はずっと秋山さんに絡み続けているからである。

理由は言うまでもないだろう。

彼女は一度本田の告白を断ったらしいが、気弱さにつけこんで、いいように使われる姿を目撃されている。

きっと、本田に復讐してやりたいと思っているはずだ。


****


「ふええええっ!?ど、どうしてここに2人が」

柱から出て、いまだ人工芝に立ち尽くしていた秋山さんの前に姿を現すと、素っ頓狂な声を上げた。
目を丸くし、逃げようとするも、転んで尻餅を付く。

「あだっ!」
「ごめん、驚かせて。秋山さんに頼みたいことがあるんだ」
「で、でもー」
「佐渡くんは、みんなに誤解されてるけど悪い人じゃないの。話だけでも聞いてあげて」

迷う秋山さんに、天野さんからの援護も入る。

「…分かりました」
ふう、と息を吐き、秋山さんは人工芝に倒れん込んだ。
ブレザーのボタンを開け、首から鎖骨までに至るラインをあらわにする。

「おいしいかは分かりませんが、結衣の首でよければ食べちゃってくださいっ!」
「ちげーよ」
「え、〆るってそういうー」
「怖えーよ!」



秋山さんは良い人なんだろうけど、多分天然だ。

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