幼馴染に異常性癖を暴露(アウティング)されて破滅するけど、◯◯◯希望のかわいい彼女をゲットしたので人生楽しい~幼馴染が後になって後悔しているようだけど、もう遅い

スンダヴ

第6話 おじゃま虫本田

目標だった☆69までもう少し!
気になった方は評価いただけると嬉しいです。


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「おはよう!佐渡くん」
「おはよう…」
「もう、せっかく彼女が来たんだからもっとテンション高く!」
「お、おはようっ!」
「それでよし!」

朝8時30分、家の前で天野さんは俺を待っていた。
学校指定のブレザーにベージュ色のカーディガンを羽織っているが、その上からでも胸のふくらみがはっきりと見える。
こちらに勢いよく駆け寄るので、丈の短いスカートがひらひらと舞い、きわどいところが見えそうで心臓に悪い。

「行こっか!」
さも当然とばかりに腕を組まれ、一緒に歩き出す。
胸も少しばかり押し付けられ、柔らかい感触が心地よい。

はたから見れば、仲睦まじい仲良しカップルにしか見えないだろう。

「天野さん。首のチョーカー、すごく可愛い」
リードされっぱなしもどうかなと思い、こちらから話しかけることにする。

ハートのネックレスをあしらったチョーカーを、天野さんは身に着けていた。
交換していたLINE(新たに登録した別垢)で僕がお願いしたからだ。

「そ、そうかな?家にあったのがこれしかなかったんだけど…」
「とても似合ってるよ…うっ血の跡もちゃんと隠れてる」
「えへへ、嬉しい」

天野さんの性癖は、なるべく秘密にする。

それが、カップルとなる際に僕が付けた条件だった。
天野さんは「首を隠す必要なんてない」と難色を示したけど、「天野さんの可愛いチョーカーが見たい!」と返すとあっさりOKとなった。

破滅するのは、僕一人だけでいい。
天野さんの秘密は守らなくちゃいけないんだ。

「週末、どこか行く?私見たい映画があってね…」
「…」
「?どうしたの?」

僕と腕を組みながら楽しそうに話す天野さんの横顔を見て、思わず愛おしさがこみあげてしまった。

「ひゃ…」
だから、チョーカーの上からか細い首を触ってしまう。
少し隆起したのど仏、左右を通る血管、少し下って鎖骨の部分まで。
びくり、と体を震わせるけど抵抗しない。

「…佐渡くんのエッチ」
「首を触られてそんなこと言うのは天野さんぐらいだよ」
「そうかな?」
「そう」

天野さんは目を閉じ、僕の手の感触を楽しんでいたが、やがてぽつりとつぶやく。

「今日も、絞めてくれる?」
「もちろん」
「ぎゅーって?」
「きゅーって」
「もっと強くがいいなぁ」
「考えとく」


これが、僕と天野さんの関係だった。

普通の関係ではないけど、幸せだ。


****


登校後、天野さんを先に行かせ、僕は職員室へと向かった。
数日学校を休んだため、僕が所属する1年2組の担任である上原先生に報告しなければならない。
表向きはたんなる休みということになっているが、先生はさすがに事情を察しているようだった。

「その…佐渡さんはもう大丈夫なの?」
「大丈夫です」
「事情は聞いたけど…ちょっと信じられないというか…先生が踏み込んでいい問題なのか分からないというか…」

ぴっちりとしたスーツに身を包んだ上原先生は20代の女性教師で、大学を卒業して数年で担任を受け持っている。

ただし、それは優秀だからではない。

教師を取り囲むブラックな環境による人手不足で、やらざるを得ないというのが真相らしい。

だからさっさと安心させてやろう。

「心配しないでください。別に訴訟とかは考えてないので。他の先生にも言ってません」
「そっ、訴訟!?」
「はい。そういう先生の処理能力を超えた問題が起こるかどうか気になってたんでしょ?」
「…」

図星のようである。

アウティングは、場合によっては訴訟に発展するケースもある悪質な行為だ。
僕は選ばなかったが、弁護士に相談すると言う選択肢も不可能ではない。
そうなれば、先生は何日も家に帰れないだろう。

上原先生は、要するにそう言う人だった。

「で、でもね!みんなにはこれ以上変なことをしないよう言っておいたから!佐渡さんはもう何も気にせず、佐渡さんらしく過ごしていいのよ?」
「分かりました」

早期の幕切れを図る女性教師に、僕は微笑む。

「僕らしく過ごします」


****


「じゃ、先生の後に続いて入ってきてね…」

授業開始時間から5分後、上原先生は教室へと入っていった。
僕もその後に続いて入室する。

1年2組は全員出席していた。
ほとんど全員、驚きと困惑の表情を浮かべている。

天野さんは窓際の席に座っており、こちらを見て微笑んでいた。

戸田は天野さんのちょうど反対側、廊下側の席に座り、こちらを無表情に見つめている。
憎しみが湧き上がるのを感じたが、表面上は平静を装った。

「出席を取る前に、みなさんにお知らせがあります!佐渡さんがみんなの教室に帰ってきました!みんないつも通り接してください!」

上原先生はわざとらしく拍手し、俺に着席を促す。
このまま着席をすれば、表面上は何事もなく収まるだろう。

もちろん、そんなつもりはない。

「先生、みんなに一言伝えたいことがあります」
「え…?」

無能な教師を押しのけ、壇上に立った。

「みんな知ってると思いますが、僕には首絞め、特に女性の首を絞めたいと言う性癖があります。それを誰かさんにばらされ、数日不登校になりましたが、もう大丈夫です」

ざわつく教室。
構わず続ける。

「ですが、これだけは言っておきます。僕は性的に異常かもしれませんが、同意なくむやみに人を傷つけたこともありませんし、もちろん犯罪を犯したこともありません。みんなと同じ人間です」

無能な教(ryが慌てて口を挟む。

「さ、佐渡さん!そんなこと言わなくてもー」
「先生は静かにしてください!」
「は、はい…」

見て見ぬふりをした教師なんて気にする必要はない。

「だから、2つだけみんなにお願いがあります。1つ目、誰かの性癖を安易にアウティングするのは避けてください。相手を深く傷つけるだけでなく、みんなが逆に訴えられる危険性があります」

俯いてる戸田を睨みつけながら話した。

「2つ目、僕と仲良くしろとは言いませんが、そっとしておいてください。何もしなければ、僕の方から報復することは一切ありません。それだけです」

言い終えて席に戻ろうとするが、天野さんが立ち上がる。
予定外の行動だった。

「そうだよ!佐渡くんは何か悪いことをしたわけじゃない。みんなだって、人には言えない性癖の1つはあるでしょ?佐渡くんにひどいことを言ったり、あることないこと言うのは正しくない!」

目を丸くしてる僕に、天野さんは軽くウィンクした。

「私は何があっても、佐渡くんの味方になる!」

そして着席する。
心の中に、じんわり暖かいものが広がった。




「何言ってんだよこの異常犯罪者が!」
残念ながら、そのまま綺麗には終わらない。

サッカー部の本田、すなわち本田大輔だった。
口から唾を飛ばしながら、僕に向けて抗議する。

「こんな奴はな、絶対裏で女をレ◯プしてるんだよ!信じられるわけないだろ!教室に来るんじゃねえ!」

かっとなった天野さんが再度立ち上がろうするも、目線で合図を送り、座らせた。

「お前みたいな奴が…」

まだ色々吹っかけてきてるようだが、耳には入らない。
聞く必要がないからだ。



かくして、最初のアウティングターゲットが決まった。

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