猫と宇宙人はゴーストバスターを始めたようです

たっさそ

第80話 ★海だ―――――!!



「海だ――――――――――――!!」










 タマが海に向かって全力で叫んだ。




 そりゃ海だわ。


 学校のすぐ近くに海があるし、清掃活動もしてるんだから、珍しくもなんともないだろう。


 今この場所に居るのは


 三猫 僕 時輝トキメキ 里澄リズム ナナシ 正明デブ そして、パパ礼子ママの10人だ。


 おっちゃん?


 おっちゃんはキラメキ団にリンチされた時の傷が痛むから海水に入れないらしく、ウチで優やおばあちゃんとトランプしているようだ。




「はーっはっはっは! 泳ぐぜーーー!!」




 なぜいるのかわからない時輝が、夏休みに入ったばかりだというのに黒々と焼けた肌をさらす


「うわー、トキメキくんのはだ、もうやけているんだね!」


 ぐっぐっと屈伸をするトキメキに近づき、無邪気に話しかけるティモ。


 ティモは時輝とはちがって華奢な体だ。
 線が細く、ちょっと力を込めたらマッチ棒みたいに折れてしまいそうなほどだ。
 だが、筋力は意外とバカにならない。猫の筋力としなやかさをもっているんだ。


「うぁ………お、おう。オレは夏休みに入ってから毎日忙しくてな。カブトムシを捕まえたりザリガニを釣ったりしてるんだ」


 なぜかティモから目を逸らしつつ、鼻の頭を掻きながら夏休みに入ってからしていたことをティモに説明する


「へー! おもしろそう! トキメキくん、こんどはぼくもさそってよ! いっしょにカブトムシをつかまえようよ!」


「お、おお! いいぜ! すっげーの捕まえてやるよ!」




 キラキラと瞳を輝かせるティモの羨望光線に、時輝はタジタジになりながらテンション高く宣言した


「やったぁ! ありがとう、トキメキくん!!」




 ぴょんぴょんと跳ねながら時輝の手をブンブンと振るティモ。
 今日は暑いからだろう。トキメキは顔を真っ赤にして「あ、お、おう。」とか言っている。


 暑いなら休んで入ればいいものを。






「クロ! もうちょい右だ右! あと三歩前!」
「え、えっと………この辺、かな?」
「そこだ! 振り下ろせ!!」
「う、うん! えい!」


 ―――ゴン!


「イダァ!! 岡田さん!? なにするの!?」
「あっはっはっはっは!」
「あ、あわわわ! ご、ごめんなさい、正明くん!」




 ナナシとクロと正明はスイカ割りならぬ正明マサアキ割りを楽しんでいた。
 あれは楽しいのだろうか。 正明は首まで砂に埋もれているけど、叩かれること前提で埋まってないか、あれ?


 ああ、マゾか。


「夏と言えば海! 海と言えば、オレ!!」
「さっすがダディちゃん! かっこいー!! 惚れちゃいソーダ!!」
「バカ言っちゃいけねェ。礼子はとっくに俺に惚れているのだろう?」
「おっとっと、そーだったァ!」


 ビシッとポーズをとるパパの前方で、パパと同じポーズをするママ。
 二人とも、テンションが高い。


 ママは上は競泳用みたいな水着で、下はパレオを巻いている。


 中学生がすこし大人びた水着を買ってみたという印象しかない。


「ええっと、澄海くん。」


「………なに。」


 僕も軽く準備運動をしていたら、里澄に声を掛けられた。
 里澄は水色の水着を着ており、下はスカートみたいになっているかわいらしい水着だ。


「あの大きくて白い髪の人が、澄海くんのお父さん?」
「………(こくり)」




 僕は静かにうなずくと、里澄は首を捻った


「イメージとずいぶん違うね。澄海くんは静かな男の子だから、お父さんも静かな人かと思ってたもん」


「………そんな馬鹿な。」


 僕の家族は大概テンションがおかしい。
 だから僕は人としゃべるのに疲れてしまう。


 そのせいで僕は人とコミュニケーションを取るのがめんどくさいと感じるようになってしまったんだ。
 それだけだ。


「あと、礼子さん。最近テレビでよく見かけるけど、本当に若い人だね! 実際に会ってみたら、澄海くんのお姉さんかと思っちゃった。」


 それだけ、ママは幼く見えるということか。


 ママは中学生だと言われても身長が低い部類に入るくらいだ。


 今の僕が125cm 同い年に比べたら少し低いだろうか。
 対してママは137cmだ。調べたら10歳の平均身長がこのくらいだった。


 ママ、どんだけチビなんだよ。




 テレビでも『ちっこい霊媒師』としてロリコン層にどえらい人気がある。


 それで既婚者だからロリコン層から残念がられている


「………あれは気にしたら負けだよ。」


 僕を産んでからママは見た目に変化がない。




 それはおそらく、『時間を止める能力』を持った僕を産んだ影響だろう。


 ママの見た目に変化がないのは、きっとそのせいだ。
 ママの成長は止まってしまっている。




「………それはそうと、泳ごうよ。」


 ママの事なんかどうでもいい。泳ぐなら早いとこ泳ぎたい。
 だから僕は里澄を促した。


「う、うん! そうだね! え、えっと………」


 でも、なにやらもじもじしている様子の里澄。
 なんだ? トイレか?


「こ、この水着、どう、かな?」
「どうでもいい。」




 さあ、泳ごう。
 僕は里澄に背を向けて軽く筋肉を伸ばしながら海に向かって歩き始めた。


 後ろから「せっかく新しい水着買ったのにー!」とか聞こえない。
 赤いパーカーをパラソルの下に放り投げようとまずはパラソルに向かう。




「えへへ、スカイくん! およごー!」


 すると、時輝のほうからこちらに走ってきたティモが僕に抱き着いてきた。
 暑苦しいんだよ、どっかいけ




「あ………」


「んふふ~ ティモちゃん×澄海くん ありだね~! ティモちゃん! 澄海くんを押し倒しちゃってー!」




 僕がティモを引きはがしていると、うらやましそうに手を伸ばす里澄と、改造麦わら帽子をかぶり鼻息荒くして目を光らせるタマがやけに印象に残った。




 ………ゆっくりさせてくれ










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