猫と宇宙人はゴーストバスターを始めたようです

たっさそ

第29話 実はおっちゃんな。あれでもミントン部の副部長やねん





「修ちゃん。そろそろ起きろメートル」


「………ぅぅ」


「ティモちゃんもー。澄海くんちについたよー。」


「………ZZZ」




 ゆすっても起きない二人にため息をついたママとタマは、顔を見合わせ




「「…………。せい!!」」


「「ボハァ!?」」


 二人の腹を、同時に殴った


「おえぇ………なんなんや、いきなり………」


「ううう………いたいよぅ………。あ、にいちゃんだ。」


 タマは加減していたようで、ママが殴ったおっちゃんほどダメージを受けていないようだ
 おっちゃんに抱き着くように、もう一度寝ようとしたが、タマが引っ張って引きはがした。


「おはよー、二人ともー。」


「目が覚めたな。さっさと車から降りろ。」


「あ、れ? おはようございます?」


「おう、おはよう。とにかく早く、何も言わずに車から降りろ。」


 おっちゃんとティモは混乱する頭で、言われるがままに車から降りる






「あれ………? 部活してたはずだけど………」


 車から降りて、ママの後ろについていきながらおっちゃんがそう漏らした


「部活、ねぇ。………修ちゃん、バドミントン部、もうやめたら?」


「へ? なんで?」


「あの顧問、クソだろ。」


「…………。………見ていたんですか」


 能天気な表情から一気に真剣な顔になり、眉をしかめる。おっちゃんにとって、その話はタブーだったようだ。


「ティモ以外は全員、見た。」


「??? くぁ………。 みたってなにを? にいちゃん、そんなこわい顔してどうしたの? なにかあったの?」


 それを見ていないティモは、眠たそうな頭に疑問符を浮かべて首を捻る
 おっちゃんはティモの頭をなでまわしてから「なんでもない」と言った
 それからおっちゃんはティモの頭の耳を両手でパタリと閉じる


「………?」




「部活は、やめませんよ。下手でもミントンは好きやからね。顧問がああなのは今に始まったことじゃないからさ。………クロとタマには恰好悪いところを見せちゃったね………ごめん。」


「いいんだよー。おっちゃんはー、いつまでも、私たちのヒーローなんだからさー」


「そう………だよ。わたしたちが、修さんを嫌うことは、ぜったいに、ないよ。だから………修さんがあやまらないで………」


 クロがおっちゃんの服の裾をつかむ。


「ありがとね。………あと、俺は高校三年生。もうすぐ就職なり進学なりするんだ。バドミントン部副主将の称号が履歴書からなくなるのは惜しかろうて。どうせ、あと2か月で全部終わる。」


 そこまで言うと、おっちゃんはティモの頭から手を放し、クロの頭に手を乗っける。ティモの耳がぴょんと立った


「そっか。そこまで言うならもうアタシからはなんも言わない。」


 ママはおっちゃんに振り返ったりはせずに、屋敷の中に入っていった。






「………おっちゃん、あの実力で副部長なの。」


 僕がそういうと、おっちゃんは眉をしかめる


「なんや、そこも見てたのか。意外だった?」


「………(こくり)」


「三年部員は、二人しかいないんだよ。」


「………なるほど。」




 それじゃあ確かに副部長にもなるね。


「おっちゃんと試合してみる? 初心者相手だったら、たぶん澄海でも負けないけど。」


「………機会があったらね。」




 僕は運動ができても、バドミントンはしたことがない。でも僕が運動が常人以上にできることを知らない運動音痴のおっちゃんに負けるとは思わなかった。


 だから、そういう風にあいまいに言って、僕もママの後ろに続いて、屋敷に入った。



コメント

コメントを書く

「その他」の人気作品

書籍化作品