チートなお家と精霊とスローライフ!
よーしよし、いい子いい子(ニッコリ)
 「うっ・・・・・・うにゅ?」
 あ、あれ? リィンさっきまで起きてたよね?
 「にゅ、にゅにゅにゅ?」
  えっとぉ、たしかお姉ちゃんとお話しをしていて、お姉ちゃんの目を見たら意識が遠くなって行く気がして、ん? んんん?
 「あら、起きてたのですね」
 「あ、お姉ちゃん」
 お姉ちゃんがお菓子と飲み物が乗っているお盆を持ちながら部屋に入ってくるが、なぜだろう。顔に疲労が見えるのは・・・・・・リィンの気のせいかな?
 「ねぇ、お姉ちゃん」
 「ん、どうしたの。リィンちゃん?」
 「どうしてお姉ちゃんは疲れてるの? 大丈夫?」
 「ッ!? あらやだ!」
 お菓子と飲み物が乗ったお盆を机に置くと、慌てながら鏡と化粧品を取り出して自分を色んな角度から見始める。
 「普段の仕事疲れが顔に出ちゃったのかしらぁ〜、どうしましょう〜。化粧で隠せないかしらぁ〜」
 「お姉ちゃんもしかして、リィンになにか隠してる?」
 お姉ちゃんはリィンがジト目で見つめているに気つくと、あたふたしながら鏡と化粧品をしまってから笑顔でこっちを向けてくる。なんともまぁ怪しいとしか思えない動きをするね。
 「な、なにも隠してないですよリィンちゃん。そうだ! リィンちゃんにこの世界について説明しなきゃいけないから、お菓子でも食べながら話しましょう・・・・・・ね、リィンちゃん?」
 どう見ても怪しい、絶対なにか隠してる・・・・・・けど。
 「うん、いいよ」
 お姉ちゃんの言うことを聞こう。だってリィンはお姉ちゃんの言うことをちゃんと聞くいい子だもん! ってあれ? なんでお姉ちゃんはガッツポーズしてるの? もしかして、リィンとお喋りしながら過ごせるのが嬉しいのかな?
 「私がかけた呪いがちゃんと効いてますね。よかったぁ・・・・・・ウフッ、ウフフッ!」
 「え”っ!?」
 いま呪いって言わなかった? いや、言ったよね!!
 「お姉ちゃん、リィンにかけた呪いってなんなの? ねぇ、なんなの!!」
 ベッドから飛び降りると涙目になりながら、お姉ちゃんの身体を揺さぶってリィンにかけた呪いについて問い詰める。
 「あら、嬉しくて思わず言ってしまいました。そうですねぇ・・・・・・私を呼ぶときは女神様と呼ぶのではなく、お姉ちゃんと呼ぶように呪いをかけました」
 「ふぇっ!?」
 お姉ちゃんのことをお姉ちゃんと呼ぶ呪いをかけた? なに言ってるんだろうお姉ちゃんは? ・・・・・・お姉ちゃんはリィンのお姉ちゃんだから、お姉ちゃんと呼ぶのは当たり前だよね。だからお姉ちゃんのことをお姉ちゃんとは・・・・・・ん? あれ? あれれ?
 「 ・・・・・・ハッ!?」
 「どうやら気がついたようですね」
 「もしかして、これが・・・・・・呪い?」
 「はい、正解です」
 「ふ・・・・・・ふぇっ」
 お姉ちゃんのいいようにされてるなんて。リィンは・・・・・・リィンは・・・・・・。
 「グスッ! ムエエエエエエエンッ!!?」
 「でも大丈夫、安心していてください。魔法で解決してあげますから私のお膝に座ってジッとしていてくださいね。さぁおいで、リィンちゃん」
 「ウゥッ・・・・・・うん」
 リィンはいい子だから、お姉ちゃんの言うことをちゃんと聞かないといけないよね。
涙目のままお姉ちゃんのお膝に座ってから振り返りお姉ちゃんの顔を見るが、なぜか顔がニヤリと笑っていたのでもう一度聞くことにした。
 「ホントに・・・・・グスッ! ホントにリィンの呪いを、グスッ! 解いてくれるの?」
 「いいえ、リィンちゃんの記憶の改ざんをさせて頂きます。魔法でね。」
 「き、記憶の改ざん!!?」
 「ええ、わたしのかけた呪いのことはキレイサッパリ忘れましょうねぇ」
 「ヤァー!!」
 そう言いながら立ち上がろうとしたのだが、なぜか身体が思うように動いてくれない。自分の意思を身体が無視していると言ってもいいほどビクとも動かない。
 「な、なんで? なんで動いてくれないの!?」
 「それも私がかけた呪い。ちゃんと効いているから安心しました」
 「ふぇっ!?」
 これもお姉ちゃんがかけた呪いなの!?
 「呪いのかかっているのが出来たので、改ざんしちゃいますね」
 「まって、お姉ちゃんやめて。これ以上リィンをおかしく、うにゃっ!?」
 お姉ちゃんはニコニコしながら左腕でリィンを優しく抱き締めると、淡い光をまとった右手を頭の上に置いてくる。
 「よーしよし、いい子いい子ー」
 そう言いながら光る右手でナデナデしはじめると、とても心地いいと感じる上に眠たくなってくる。
 「うにゅー・・・・・・やぁー、め・・・・・・て」
 頭がぼうっとしてきた。眠い、でも・・・・・・たら、ダメ。
 「ウフッ、ウフフフッ! 安心してください、記憶の改ざん以外は変なことしませんからね。よーし、よし」
 「ふぁ・・・・・・あ」
 その言葉を最後にまぶたが閉じてしまう。
 ーーーーーーーーーーー
 「と言う世界ですよ。リィンちゃん。理解出来ましたか?」
 「うん・・・・・・ん? ・・・・・・ファッ!?」
 「リィンちゃん、どうしたの? もしかして私のお話の中で分からなかったことがあるの?」
 「ううん、大丈夫・・・・・・あれ?」
 なんだろう、お姉ちゃんのお膝の上でこの世界常識とか通貨のお話とか色々とお話をしたのは覚えてるけれども、“お姉ちゃんとお話していた気がしないのはリィンの気のせいかな?”
 「それじゃあお楽しみのお家の中を案内しますね。本当はリィンをこのままギューっとしていたいんですけど」
 抱きつきながら頬ずりとナデナデをしてくるので、暑苦しく感じてしまう。
 「ムゥー、お姉ちゃん!」
 「はい、なんですかリィンちゃん」
 「はやくお部屋を案内してよぉ。リィン、楽しみなんだからぁー!」
 「はいはい、わかりました。転んだりしたら危ないので私と手をつなぎましょうね」
 「うん!」
 立ち上がってからお姉ちゃんと手を繋いだときに、自室についていまさら気づいたことがある。
 「リィンの部屋、女の子っぽい」
 部屋の床から天井まで薄いピンク色で家具もオシャレな物ばかり置いてある。そう、まさしくアニメとかで出てくるような女の子の部屋って感じなので、元男の子のリィンにとってはちょっと落ちつかない。
 「私としてはリィンちゃんにお似合いのお部屋と感じますが、女の子として慣れていくしかないですね」
 うーん、女の子として慣れるしかないのか。
 「・・・・・・うん、わかったよお姉ちゃん。リィン頑張って女の子らしく振る舞ってみるよ」
 「うんうん、お姉ちゃんはリィンちゃんを応援しますよ。さぁ行きましょうか」
 「うん」
 ドアを開き廊下に出るとホッとした。なぜかって? それは廊下も自室みたいにカワイイ感じになっていたら居心地悪いじゃん。それに部屋も廊下もピンクだらけの家にお客さんが入って来たら恥ずかしい思いを絶対するし、向こうからしてみれば『うわぁ・・・・・・どれだけピンクすきなの?』って絶句しそう。
 「リィンちゃん、もしかして『廊下までピンクじゃなくてよかった』って思ってないですか?」
 「フェッ!? は、はい」
 お姉ちゃんは、なんでわかったんだろう?
 「顔に書いてありましたよ。まぁ私達も常識範囲を考えているので、家まるごとピンク色になんてしませんよ」
 お姉ちゃんに常識と言う概念があってよかったよ・・・・・・ホント。
 「全くあの子達はなんなの? リィンちゃんの部屋以外まともな部屋がなかったじゃない・・・・・・廊下なんていくつも通路があって、もう迷路状態で玄関にたどり着くまで苦労したわ。あのとき私が監視するべきだったのかしら、お家の間取りだっておかしなことになってたし・・・・・・ハァ」
 「お姉ちゃん、なにブツブツ言ってるの?」
 それに『目が怖くなってるよ』とまでは言えないよ。うん、多分あれかな? お姉ちゃんは職場の悩みを呟いてるのかな?
「ッ!? な、なんでもないですよ! ほ、ほら正面にあるドアがリィンちゃようのアトリエですよ!」
 「リィンのアトリエ! はやく中入ろう!! 見てみたい!!」
 「ワクワクする気持ちはわかりますよ。でもその部屋に行くのは後にしましょう」
 「え、なんで?」
 「錬金術の道具の使い方や基礎知識も一緒に教えるので時間がかかるからですよ」
 お姉ちゃんが錬金術の手解きをするのね。スパルタ教育じゃなきゃいいなぁ。
 「さぁ、リビングに行きましょう」
 「うん、ん?」
 振り返ってお姉ちゃんを見たときに気づいた。リィンの部屋の左隣にもう一個トビラがあった。
 「どうしたんですかリィンちゃん?」
 「リィンの部屋の隣って空き部屋なの?」
 「いいえ、空き部屋じゃありませんよ。私のお部屋です」
 ・・・・・・・んん? 私の部屋?
 「いまなんて言ったの?」
 「あら、リィンちゃん聞こえなかったのかな? 私の寝室ですよ」
 「えええええええええええ!!!?」
 「なんでリィンのお家にお姉ちゃんのお部屋を作ってるの!!」
 「その答えは至って単純! 愛しのリィンちゃんと一緒に住むために自分の部屋を用意したのですよ! ドヤァッ!!」
 「えぇー・・・・・・ウソだよね?」
 ドヤ顔で言うことじゃないと思うよ。お姉ちゃん。
 「ウソついてないですよ・・・・・・あれ? もしかして私と一緒に住むのイヤだったの?」
 「イヤじゃないけど」
 「けど?」
 「お姉ちゃんがここに住むってことは、ずっとリィンと一緒にいるの?」
 「ずっとはいられませんね。私も仕事があるので天界に行かなければなりません。なので仕事終わりか休日にこちらにいる感じになりますね」
 「うんうん・・・・・・うにゅ?」
 あれ? なんか違和感があるね・・・・・・お姉ちゃんと一緒に住めて嬉しい? ・・・・・・うレシいよ・・・・・・・・・・・・おネエちゃン、ダイすきダカラ。イッショニ・・・・・・はっ!? いまなんてぇ・・・・・・オネえチャン、ダいすきだかラ、イッショにスミたイな。
 「それにこっちのお家に住めば家賃とか光熱費とかを気にしなくていいので貯金が出来る! そしてなによりも、人目を気にせずリィンちゃんとイチャイチャ出来るのです! ドヤァッ!!」
 「それが本音のなの!? しかも『ドヤァ!!』 って言わなくてもいいと思うよ!!」
 「気分でドヤァ!! と言ってるので気にしないでください。私とイチャイチャしましょうねリィンちゃああああああん!!」
 そう言いながら抱きついてくるお姉ちゃんをリィンは呆れた顔で見つめ続ける。
 うわぁー、ダメだこの人早くなんとかしないと・・・・・・いや、出来ないかもしれない。
 「でもリィンちゃんを一人でお留守番をさせるのは不安がありますね・・・・・・彼女を呼びましょうか」
 「彼女って・・・・・・誰?」
「リィンちゃんの身のお世話と護衛を任せる精霊さんです。まぁその精霊さんはもともと人なんですけどね。ああ! その人にリィンちゃんのお世話を任せるのだから、お家の案内をしないといけないですね。また案内をするのも面倒なのでここで呼んじゃいましょうか!!」
 「もともとは人で精霊? ・・・・・・ん? んん?」
 お姉ちゃんがなに言ってるのか理解出来ないよ。
 「説明はあとでちゃんとするので、その人に合って挨拶をしましょう。これからお世話になる人、じゃなかった! 精霊ですから仲良くしてくださいね」
 「う、うん!」
 「それではさっそく呼びますよ」
 お姉ちゃんは首を傾げているリィンを無視して廊下に魔法陣を出現させる。
 「女神スティアの名の元に汝よ我の下へと赴き姿を現したまえ。『セラフィスト』召喚!!」
 光り輝く魔法の中から女の人が現れると魔法陣は消える。そして魔法陣から現れたその人はゆっくりと目を開けるとリィンとお姉ちゃんを交互に見てくる。
 銀色の髪に青、と言うより碧って言ったしっくりくる瞳の色でドレスを着ていてもグラマラスな体型をしているのが分かる。だっておっぱいが大きいのが見ててわかるんだもん!! あと籠手を身につけていて腰には剣を帯刀している。
 あの人、フ◯イトシリーズに出てくるセイ◯ーさんみたいでカッコイイ!
 そんなことを思っていたら、カッコイイお姉さんはお姉ちゃんを見ながらこう言った。
 「なにか御用ですか。スティア様?」
 「アナタに一つお願いしたいことがあるの」
 「それはなんでしょうか?」
 「この子」
 お姉ちゃんはリィンを抱っこすると精霊さんに近づいて見せつける。
 「この子? 可愛らしいこの子がどうしたのですかスティア様?」
 「リィンちゃんと契約して欲しいの!」
 「わかりまし、って! 契約ですか!? この子のお世話ではなく?」
 「ええ、契約よ」
 「なに言ってるんですか!! いくらなんでもこんな子供と契約するなんて無理に決まってるでしょうっ!!?」
 お姉ちゃんは精霊さんに怒られながら、そう言われてしまったのであった。
 あ、あれ? リィンさっきまで起きてたよね?
 「にゅ、にゅにゅにゅ?」
  えっとぉ、たしかお姉ちゃんとお話しをしていて、お姉ちゃんの目を見たら意識が遠くなって行く気がして、ん? んんん?
 「あら、起きてたのですね」
 「あ、お姉ちゃん」
 お姉ちゃんがお菓子と飲み物が乗っているお盆を持ちながら部屋に入ってくるが、なぜだろう。顔に疲労が見えるのは・・・・・・リィンの気のせいかな?
 「ねぇ、お姉ちゃん」
 「ん、どうしたの。リィンちゃん?」
 「どうしてお姉ちゃんは疲れてるの? 大丈夫?」
 「ッ!? あらやだ!」
 お菓子と飲み物が乗ったお盆を机に置くと、慌てながら鏡と化粧品を取り出して自分を色んな角度から見始める。
 「普段の仕事疲れが顔に出ちゃったのかしらぁ〜、どうしましょう〜。化粧で隠せないかしらぁ〜」
 「お姉ちゃんもしかして、リィンになにか隠してる?」
 お姉ちゃんはリィンがジト目で見つめているに気つくと、あたふたしながら鏡と化粧品をしまってから笑顔でこっちを向けてくる。なんともまぁ怪しいとしか思えない動きをするね。
 「な、なにも隠してないですよリィンちゃん。そうだ! リィンちゃんにこの世界について説明しなきゃいけないから、お菓子でも食べながら話しましょう・・・・・・ね、リィンちゃん?」
 どう見ても怪しい、絶対なにか隠してる・・・・・・けど。
 「うん、いいよ」
 お姉ちゃんの言うことを聞こう。だってリィンはお姉ちゃんの言うことをちゃんと聞くいい子だもん! ってあれ? なんでお姉ちゃんはガッツポーズしてるの? もしかして、リィンとお喋りしながら過ごせるのが嬉しいのかな?
 「私がかけた呪いがちゃんと効いてますね。よかったぁ・・・・・・ウフッ、ウフフッ!」
 「え”っ!?」
 いま呪いって言わなかった? いや、言ったよね!!
 「お姉ちゃん、リィンにかけた呪いってなんなの? ねぇ、なんなの!!」
 ベッドから飛び降りると涙目になりながら、お姉ちゃんの身体を揺さぶってリィンにかけた呪いについて問い詰める。
 「あら、嬉しくて思わず言ってしまいました。そうですねぇ・・・・・・私を呼ぶときは女神様と呼ぶのではなく、お姉ちゃんと呼ぶように呪いをかけました」
 「ふぇっ!?」
 お姉ちゃんのことをお姉ちゃんと呼ぶ呪いをかけた? なに言ってるんだろうお姉ちゃんは? ・・・・・・お姉ちゃんはリィンのお姉ちゃんだから、お姉ちゃんと呼ぶのは当たり前だよね。だからお姉ちゃんのことをお姉ちゃんとは・・・・・・ん? あれ? あれれ?
 「 ・・・・・・ハッ!?」
 「どうやら気がついたようですね」
 「もしかして、これが・・・・・・呪い?」
 「はい、正解です」
 「ふ・・・・・・ふぇっ」
 お姉ちゃんのいいようにされてるなんて。リィンは・・・・・・リィンは・・・・・・。
 「グスッ! ムエエエエエエエンッ!!?」
 「でも大丈夫、安心していてください。魔法で解決してあげますから私のお膝に座ってジッとしていてくださいね。さぁおいで、リィンちゃん」
 「ウゥッ・・・・・・うん」
 リィンはいい子だから、お姉ちゃんの言うことをちゃんと聞かないといけないよね。
涙目のままお姉ちゃんのお膝に座ってから振り返りお姉ちゃんの顔を見るが、なぜか顔がニヤリと笑っていたのでもう一度聞くことにした。
 「ホントに・・・・・グスッ! ホントにリィンの呪いを、グスッ! 解いてくれるの?」
 「いいえ、リィンちゃんの記憶の改ざんをさせて頂きます。魔法でね。」
 「き、記憶の改ざん!!?」
 「ええ、わたしのかけた呪いのことはキレイサッパリ忘れましょうねぇ」
 「ヤァー!!」
 そう言いながら立ち上がろうとしたのだが、なぜか身体が思うように動いてくれない。自分の意思を身体が無視していると言ってもいいほどビクとも動かない。
 「な、なんで? なんで動いてくれないの!?」
 「それも私がかけた呪い。ちゃんと効いているから安心しました」
 「ふぇっ!?」
 これもお姉ちゃんがかけた呪いなの!?
 「呪いのかかっているのが出来たので、改ざんしちゃいますね」
 「まって、お姉ちゃんやめて。これ以上リィンをおかしく、うにゃっ!?」
 お姉ちゃんはニコニコしながら左腕でリィンを優しく抱き締めると、淡い光をまとった右手を頭の上に置いてくる。
 「よーしよし、いい子いい子ー」
 そう言いながら光る右手でナデナデしはじめると、とても心地いいと感じる上に眠たくなってくる。
 「うにゅー・・・・・・やぁー、め・・・・・・て」
 頭がぼうっとしてきた。眠い、でも・・・・・・たら、ダメ。
 「ウフッ、ウフフフッ! 安心してください、記憶の改ざん以外は変なことしませんからね。よーし、よし」
 「ふぁ・・・・・・あ」
 その言葉を最後にまぶたが閉じてしまう。
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 「と言う世界ですよ。リィンちゃん。理解出来ましたか?」
 「うん・・・・・・ん? ・・・・・・ファッ!?」
 「リィンちゃん、どうしたの? もしかして私のお話の中で分からなかったことがあるの?」
 「ううん、大丈夫・・・・・・あれ?」
 なんだろう、お姉ちゃんのお膝の上でこの世界常識とか通貨のお話とか色々とお話をしたのは覚えてるけれども、“お姉ちゃんとお話していた気がしないのはリィンの気のせいかな?”
 「それじゃあお楽しみのお家の中を案内しますね。本当はリィンをこのままギューっとしていたいんですけど」
 抱きつきながら頬ずりとナデナデをしてくるので、暑苦しく感じてしまう。
 「ムゥー、お姉ちゃん!」
 「はい、なんですかリィンちゃん」
 「はやくお部屋を案内してよぉ。リィン、楽しみなんだからぁー!」
 「はいはい、わかりました。転んだりしたら危ないので私と手をつなぎましょうね」
 「うん!」
 立ち上がってからお姉ちゃんと手を繋いだときに、自室についていまさら気づいたことがある。
 「リィンの部屋、女の子っぽい」
 部屋の床から天井まで薄いピンク色で家具もオシャレな物ばかり置いてある。そう、まさしくアニメとかで出てくるような女の子の部屋って感じなので、元男の子のリィンにとってはちょっと落ちつかない。
 「私としてはリィンちゃんにお似合いのお部屋と感じますが、女の子として慣れていくしかないですね」
 うーん、女の子として慣れるしかないのか。
 「・・・・・・うん、わかったよお姉ちゃん。リィン頑張って女の子らしく振る舞ってみるよ」
 「うんうん、お姉ちゃんはリィンちゃんを応援しますよ。さぁ行きましょうか」
 「うん」
 ドアを開き廊下に出るとホッとした。なぜかって? それは廊下も自室みたいにカワイイ感じになっていたら居心地悪いじゃん。それに部屋も廊下もピンクだらけの家にお客さんが入って来たら恥ずかしい思いを絶対するし、向こうからしてみれば『うわぁ・・・・・・どれだけピンクすきなの?』って絶句しそう。
 「リィンちゃん、もしかして『廊下までピンクじゃなくてよかった』って思ってないですか?」
 「フェッ!? は、はい」
 お姉ちゃんは、なんでわかったんだろう?
 「顔に書いてありましたよ。まぁ私達も常識範囲を考えているので、家まるごとピンク色になんてしませんよ」
 お姉ちゃんに常識と言う概念があってよかったよ・・・・・・ホント。
 「全くあの子達はなんなの? リィンちゃんの部屋以外まともな部屋がなかったじゃない・・・・・・廊下なんていくつも通路があって、もう迷路状態で玄関にたどり着くまで苦労したわ。あのとき私が監視するべきだったのかしら、お家の間取りだっておかしなことになってたし・・・・・・ハァ」
 「お姉ちゃん、なにブツブツ言ってるの?」
 それに『目が怖くなってるよ』とまでは言えないよ。うん、多分あれかな? お姉ちゃんは職場の悩みを呟いてるのかな?
「ッ!? な、なんでもないですよ! ほ、ほら正面にあるドアがリィンちゃようのアトリエですよ!」
 「リィンのアトリエ! はやく中入ろう!! 見てみたい!!」
 「ワクワクする気持ちはわかりますよ。でもその部屋に行くのは後にしましょう」
 「え、なんで?」
 「錬金術の道具の使い方や基礎知識も一緒に教えるので時間がかかるからですよ」
 お姉ちゃんが錬金術の手解きをするのね。スパルタ教育じゃなきゃいいなぁ。
 「さぁ、リビングに行きましょう」
 「うん、ん?」
 振り返ってお姉ちゃんを見たときに気づいた。リィンの部屋の左隣にもう一個トビラがあった。
 「どうしたんですかリィンちゃん?」
 「リィンの部屋の隣って空き部屋なの?」
 「いいえ、空き部屋じゃありませんよ。私のお部屋です」
 ・・・・・・・んん? 私の部屋?
 「いまなんて言ったの?」
 「あら、リィンちゃん聞こえなかったのかな? 私の寝室ですよ」
 「えええええええええええ!!!?」
 「なんでリィンのお家にお姉ちゃんのお部屋を作ってるの!!」
 「その答えは至って単純! 愛しのリィンちゃんと一緒に住むために自分の部屋を用意したのですよ! ドヤァッ!!」
 「えぇー・・・・・・ウソだよね?」
 ドヤ顔で言うことじゃないと思うよ。お姉ちゃん。
 「ウソついてないですよ・・・・・・あれ? もしかして私と一緒に住むのイヤだったの?」
 「イヤじゃないけど」
 「けど?」
 「お姉ちゃんがここに住むってことは、ずっとリィンと一緒にいるの?」
 「ずっとはいられませんね。私も仕事があるので天界に行かなければなりません。なので仕事終わりか休日にこちらにいる感じになりますね」
 「うんうん・・・・・・うにゅ?」
 あれ? なんか違和感があるね・・・・・・お姉ちゃんと一緒に住めて嬉しい? ・・・・・・うレシいよ・・・・・・・・・・・・おネエちゃン、ダイすきダカラ。イッショニ・・・・・・はっ!? いまなんてぇ・・・・・・オネえチャン、ダいすきだかラ、イッショにスミたイな。
 「それにこっちのお家に住めば家賃とか光熱費とかを気にしなくていいので貯金が出来る! そしてなによりも、人目を気にせずリィンちゃんとイチャイチャ出来るのです! ドヤァッ!!」
 「それが本音のなの!? しかも『ドヤァ!!』 って言わなくてもいいと思うよ!!」
 「気分でドヤァ!! と言ってるので気にしないでください。私とイチャイチャしましょうねリィンちゃああああああん!!」
 そう言いながら抱きついてくるお姉ちゃんをリィンは呆れた顔で見つめ続ける。
 うわぁー、ダメだこの人早くなんとかしないと・・・・・・いや、出来ないかもしれない。
 「でもリィンちゃんを一人でお留守番をさせるのは不安がありますね・・・・・・彼女を呼びましょうか」
 「彼女って・・・・・・誰?」
「リィンちゃんの身のお世話と護衛を任せる精霊さんです。まぁその精霊さんはもともと人なんですけどね。ああ! その人にリィンちゃんのお世話を任せるのだから、お家の案内をしないといけないですね。また案内をするのも面倒なのでここで呼んじゃいましょうか!!」
 「もともとは人で精霊? ・・・・・・ん? んん?」
 お姉ちゃんがなに言ってるのか理解出来ないよ。
 「説明はあとでちゃんとするので、その人に合って挨拶をしましょう。これからお世話になる人、じゃなかった! 精霊ですから仲良くしてくださいね」
 「う、うん!」
 「それではさっそく呼びますよ」
 お姉ちゃんは首を傾げているリィンを無視して廊下に魔法陣を出現させる。
 「女神スティアの名の元に汝よ我の下へと赴き姿を現したまえ。『セラフィスト』召喚!!」
 光り輝く魔法の中から女の人が現れると魔法陣は消える。そして魔法陣から現れたその人はゆっくりと目を開けるとリィンとお姉ちゃんを交互に見てくる。
 銀色の髪に青、と言うより碧って言ったしっくりくる瞳の色でドレスを着ていてもグラマラスな体型をしているのが分かる。だっておっぱいが大きいのが見ててわかるんだもん!! あと籠手を身につけていて腰には剣を帯刀している。
 あの人、フ◯イトシリーズに出てくるセイ◯ーさんみたいでカッコイイ!
 そんなことを思っていたら、カッコイイお姉さんはお姉ちゃんを見ながらこう言った。
 「なにか御用ですか。スティア様?」
 「アナタに一つお願いしたいことがあるの」
 「それはなんでしょうか?」
 「この子」
 お姉ちゃんはリィンを抱っこすると精霊さんに近づいて見せつける。
 「この子? 可愛らしいこの子がどうしたのですかスティア様?」
 「リィンちゃんと契約して欲しいの!」
 「わかりまし、って! 契約ですか!? この子のお世話ではなく?」
 「ええ、契約よ」
 「なに言ってるんですか!! いくらなんでもこんな子供と契約するなんて無理に決まってるでしょうっ!!?」
 お姉ちゃんは精霊さんに怒られながら、そう言われてしまったのであった。
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