高校を退学させられた後、異世界へ留学することになりました。

青空鰹

イレイラ王女様とショッピング!

 まぁ何や感やあったが、無事にカレーに使う食材を買い出す事が出来、今はフードコートの方で休憩している。何故かって? その答えはイレイラ王女の理解力が限界を迎えてしまったからだ。

 「この場所に食材がこんなに揃っていて、更には日用雑貨からこんな食べる場所まで・・・・・・私は夢でも見ているんじゃないか?」

 「夢じゃなくて現実ですよ。はい、チョコアイスです」

 「ああ、ありがとう」

 そうお礼を言って、チョコアイスを受け取った。

 「コウヤくんいいの? お金を出して貰っちゃって」

 「ああ、これぐらいなら気にしなくてもいい」

 バイト代で払える範囲だからな。

 『コウヤ、早くそのアイスを食べさせてよ!』

 「はいはい。ほら、食べな」

 俺がリタにバニラを差し出すと、嬉しそうに舐め始める。

 『う〜ん! 甘くて美味しい!』

 「こっちは抹茶の味が効いていて美味しいわぁ〜」

 ホント母さんは抹茶味のアイスが大好きだよなぁ。

 「ストロベリーの方も美味しい!」

 セリアが俺に笑顔を向けている中、イレイラ王女はチョコアイスを夢中になって食べている。

 「気に入られましたか?」

 「こんな美味しい甘味を食べたのは初めてだ! 礼を言うぞ、コウヤ!」

 よかったぁ〜。気に入って貰えて。でも・・・・・・。

 「向こうの世界にはこういった食べ物は、存在していないんですか?」

 「これに似たような物があるが、こうドロドロした液状と言うかぁ・・・・・・」

 「シャーベット状な感じ?」

 「そう! それだ!」

 バニラエッセンスが足りないのか、はたまた冷やしている途中で止めているのが原因かもしれない。

 「それに、しつこい味がするので嫌う大人もいるんだよ」

 「へぇ〜、そうなんだ」

 砂糖を入れ過ぎているのか、それとも砂糖の質が悪いのかもな。セリアの家に行ったときに、確認させて貰おうか。

 そう思っている間に、リタが俺のバニラアイスを食べ進めていたのだ。

 「う〜ん、私的にはコウヤが持っているのが好みかなぁ〜」

 「王道の味が好きなのか」

 てかコイツ、結構食ったなぁ。って、あ〜あ。顔中ベトベトになっているじゃないか。

 「セリアもコウヤのアイスを食べてみなよ!」

 「コウヤくんのアイスッ!?」

 何で驚いたような顔をしているんだ? もしかして、そんなことしたら悪いんじゃないか? って考えているのか?

 「食べてみたいのなら、食べてもいいんだぞ」

 そう言って差し出してみたら、何故かセリアは頭から湯気を出すんじゃないのかと思うぐらいに顔を真っ赤にさせた。

 「いやっ、あのぉ・・・・・・私!」

 「遠慮せずに食べちゃいなさい」

 「そうだよ! ここでチャンスを逃したらダメだよ!!」

 セリアは母さんとリタに背中を押されるようにして、俺の目の前に来た。

 「あ、あのぉ〜・・・・・・頂きます」

 セリアはそう言うと、俺が持っているバニラをペロッと舐めた。

 「・・・・・・美味しい」

 「そう、それはよかった」

 そう言ってからバニラを食べたら、セリアはまた顔を真っ赤にさせる。

 「かっ、間せちゅっ!!」

 間せちゅ? 何て言いたいんだ?

 「う〜む・・・・・・なるほど。セリアは・・・・・・なのか」

 ん? イレイラ王女は何を言っているんだ?

 「みんな、早く食べないとアイスが溶けちゃうわよぉ〜」

 「ああそうだった!」

 母さんに最速されたので、慌ててアイスクリームを食べたのであった。食べ終わった後は、家に帰り夕食の準備に取り掛かる。

 「それじゃあ、お夕飯の準備をするから待っててね!」

 「あ、私も手伝います!」

 「セリアちゃん。手伝ってくれるの?」

 「はい! お料理出来るように・・・・・・じゃなかった! 出来ますから!」

 今出来るようになった。 って言い掛けていたよな?

 「ふ〜ん。それじゃあ、お野菜を洗ってちょうだい」

 「はい!」

 ジャガイモをタワシで擦っているセリアから、謎のやる気を感じる。

 「何であんなにやる気になっているんだ?」

 「セリアも必死だからねぇ〜」

 「何に必死なんだ?」

 「コウヤにはおしえなぁ〜い。私も手伝って来よぉ〜っと」

 リタはそう言うと、セリア達方に飛んで行ってしまった。

 「ホント、キミ達家族は仲睦まじいんだな」

 「まぁ、人並みには・・・・・・それよりもよかったんですか?」

 「何が?」

 「イレイラ王女様の独断で、こっちの世界に来ても」

 「ああ、別に構わんさ。さっきも言った通り、王族達にとって私は厄介者だからな。王宮に帰っていないことも、気に掛けないだろう」

 顔は平常心を装っているが、悲しそうな雰囲気が伝わって来る。

 「そう、ですか」

 「そうだ。それよりも、この薄い箱に映っているのは何だ?」

 「ああ、それはですね。テレビって言って色んな映像が観れるんですよ」

 「色んなぁ、映像?」

 「ええ、今やっているのがニュース番組と言って色んな報道を紹介してくれる番組です。他にも色々観れますよ」

 そう言ってテーブルに置いてあったリモコンを手に取ると、チャンネルを変えて観せていく。

 「・・・・・・とまぁ、様々な番組があって時間帯と日にちで番組も変わるんです。ってぇ、どうしたんですか、イレイラ王女?」

 俺がそう聞くが、子供向けのアニメをジィーッと見つめている。

 「まぁいいや。とりあえず番組を戻しますね」

 「あっ!?」

 「ん?」

 今、イレイラ王女が残念そうな声を出した気がした。

 「もしかして、さっきの番組を観たかったですか?」

 「い、いや! 別に私自身は観たいと思ってないぞ。ただ、あの番組があれば国民に知識を広められるんじゃないのか? と思っていただけだ」

 「まぁそうですね。小さい子供向け番組は子供を育てる親にとって、色々と有り難いらしいから・・・・・・」

 「コウヤもそう思うか! 我が国にテレビが普及すればなぁ・・・・・・」

 そう言ってため息を吐くイレイラ王女だが、何か引っ掛かるような気がした。

 「2人共、夕ご飯出来たわよぉ!」

 「おっ! 出来たか」

 俺とイレイラ王女の目の前にカレーを置いたのだが、何故かイレイラ王女は微妙な顔をしてカレーを見つめていた。

 「これが・・・・・・カレー?」

 「そうよ。日本に住んでいるのなら誰もが知っているカレーよ!」

 「カレー・・・・・・」

 カレーのルーの色を気にしているのか、困ったようすで俺の方を見つめて来る。

 「カレーはいくつかのスパイスを混ぜて作る食べ物だから、こういう色になるんだ」

 「変なものは入っていないから、食べても大丈夫ですよ」

 「普通に美味しいし、毒なんて入っていないから安心して食べなよ」

 リタは待ち切れなかったのか、先にカレーを食べていた。

 「そ、そうか。では遠慮なく頂こう」

 イレイラ王女はそう言うと、スプーンでルーを掬った後に意を決した顔で口に運んだ。

 「・・・・・・美味い」

 「でしょぉ〜!」

 「ああ、少し辛味があるが味わい深い食べ物だ」

 「ご飯と一緒に食べるのが正解だよ」

 「そうか」

 リタの言う通り、ご飯と共に食べると目を輝かせる。

 「美味い! さっき感じていた辛さが和らいで、先ほどよりも美味さを味わえる!」

 「お口に合ってよかった」

 「ああ、こんなに美味しい物を食べたのは初めてだ!」

 ん? 初めて?

 「王宮には専属の料理人がいるから、ここで作られる料理よりも美味しいのが出る筈ですよね?」

 「ああ、確かに美味しい料理が出るが、毒が入っていないか検査をしなければならないから、出来てから時間が経った料理しか口に出来ないんだ」

 「魔法で検査すれば済む話しじゃ?」

 「鑑定スキルを持っている者も検査する人間として置いているのだが、いかんせんそのスキルを突破する者も存在するから、ちゃんと食べて検査する者もいるんだ」

 王宮って、本当に大変なんだなぁ。

 そう思いながらカレーを食べ進めるのであった。

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