高校を退学させられた後、異世界へ留学することになりました。
修行を始めるセリア達
 道場の稽古場で由美子さんと待っていると、襖が開く音がした。
 「お待たせぇ〜」
 「遅くなってゴメン」
 「2人共紹介するよ。この人は俺の姉弟子で師範の娘の 英城 由美子さんだ」
 「英城 由美子と申します。私が教えるので、よろしくお願いします」
 「こちらこそ、よろしくお願いします!」
 「よろしくお願いします!」
 まぁ由美子さんなら師範よりも厳しくないから、心配しなくてもいいかな?
 そう思っていたら、由美子さんはセリア達に武器を持たせた。
 「先ずはアナタ達の実力を見たいので、準備が出来たらお声掛け下さい」
 そう言うと籠手を付けて稽古場の真ん中に立った。
 『うわぁ〜、何かスパルタな感じがする』
 ああ見えて結構優しいぞ・・・・・・師範に比べてって意味だけど。
 「私からお願い致します!」
 「いつでも掛かって来なさい」
 手渡された細い棒を構えるセリアに対して由美子さんは構えもせずに、ただ突っ立ているだけなのでルノアとリタが不思議そうな目で見ていた。
 「あれが由美子さんの戦闘スタイルだから、気にしなくてもいい」
 「戦闘スタイル? 私には普通に立っているようにしか見えないんだけど」
 「普通に立っているようにしか見えないのは、相手を油断させる演技。実際は何処からでも対応出来るように身構えているんだ」
 「洸夜くん。出来れば説明して欲しくなかったわ」
 いやいや、由美子さんなら対応出来るでしょ。
 セリアも俺の話を聞いていたのか、ジリジリと距離を詰めて行く。
 セリアの方は先手を取ろうとしているが、由美子さんは先手を譲る気なので気にせず攻めていいと思う。
 「フゥッ!?」
 その掛け声と共に由美子さんに向かって棒を突き出したが、あっさりと避けられてしまう。セリアは驚きつつもバックステップで距離を取った。
 「う〜ん、なるほど」
 由美子さんは何かに気が付いたようすで俺を見つめる。
 どうやら俺が教えたってことに気が付いたっぽいな。
 そんなことを思っているとセリアは意を決したのか、一気に詰め寄って突きを繰り出したがこれも躱されてしまう。
 「クッ!?」
 悔しそうな顔をさせ、バックステップを踏んで由美子さんから距離を取ろうとしたのだが、由美子さんはその動きに合わせてセリアに突っ込んだのだ。
 あ、これ。ウォーラー先生と同じ対処法。
 セリアは驚きつつも棒を横に構えてガード姿勢を取るが、由美子さんは死角になっている腹に拳を捻り込んだ。
 「うっ!?」
 セリアはそのパンチが効いたのか、お腹を抑えながら膝を着いてしまった。
 「動きは悪くありませんが咄嗟の判断に欠けてますね。ガードをする前に避けようか迷いましたよね?」
 「・・・・・・はい」
 「その一瞬の迷いが行動の遅れに繋がるので、直していきましょう」
 由美子さんはセリアそう伝えると、ルノアの方に目を向ける。
 「ヒィッ!?」
 「次はアナタの番ですよ」
 ルノアに向かってニッコリとそう言う由美子さんに対して、ルノアは怯え切った表情で脚をガクガク揺らしていた。
 『ルノアファイトォ〜!』
 「もうここまで来たんだから、逃げるって選択肢はないぞ」
 むしろ逃げた方がヤバイから、向かって行った方がいいぞ。
 「わ、わかったわ! 頑張ってみる!」
 前に出るルノアのと同時に俺は膝を着いているセリアに肩を貸して回収をするが、セリアは何故か嬉しそうな顔をさせていた。
 「よ、よろしくお願い致します」
 「模擬戦だから緊張しなくてもいいわ。リラックスしましょう。リラックス」
 念の為に説明をするが、ルノアが持っている矢は先がグニャグニャに曲がるゴムで作られている為、なるべく安全を考慮している。そう、な・る・べ・く!
 「いきます!」
 ルノアはそう言うと矢をつがえて由美子さんに狙いを定めるが、由美子さんは狙いを定められないようにする為か、不規則な動きをし始める。
 「えっ!? ちょっ!!」
 ルノアは狙いを定めようとしているのか、構えた状態で忙しく弓を動かす。
 『翻弄されているね』
 リタの言う通り、相手の動きに翻弄されているのが一目でわかる。そんな中、由美子さんがピタリと止まった。
 「チャンス!」
 ルノアはそう言って矢を放ったが、バシッと由美子さんに飛んでいる矢を掴まれてしまった。
 「ええっ!?」
 『嘘ぉ!?』
 「飛んでいる矢を掴んだぁ!?」
 3人が驚いている間に、一気に距離を詰めて行く由美子さん。
 「わっ!? わわわっ!!?」
 慌てふためきながら矢に手を掛けたが手遅れ。由美子さんはルノアの首元に先程掴んだ矢の先端を当てた。
 「終了です。ルノアさん、弓の扱いにムラを感じますね。それに判断能力も乏しい感じも見受けられます」
 「あ、いや。そのぉ〜・・・・・・」
 「アナタも色々と直さなといけない箇所が多いですね」
 「は、はい」
 ルノアはションボリした顔で返事をする。
 「とにかくこれでどう鍛えればいいのか把握しました。なので2人共、模擬戦して早々ですがストレッチから始めましょう」
 「「はい!」」
 2人はそう返事をしてストレッチを始めたのだが。
 「も、もうだめぇ〜〜〜!?」
 「これ以上はいけないですよぉ〜〜〜〜〜〜!?」
 「はい、大丈夫。息をゆっくり吐きながら曲げていけば大丈夫よ」
 座った状態で脚を広げて状態を倒す運動をしているのだが、2人共思った以上に身体が硬いせいで由美子さんに背中を押されている。
 「これでよく武術をやろうと思ったわね」
 「すみませぇ〜ん」
 「アタシ達、普段こんなことをしないのでぇ〜」
 「まぁいいわ。身体の硬さは運動中の怪我の原因にも繋がるから、暇なときやお風呂上がりとかに軽くやるようにね」
 「「は、はい〜」」
 因みに興味を持ったリタも真似してやっている。
 『見て見てコウヤ! 私こんなに曲がるよ!』
 床にベッタリとまではいかないが、いいところまで身体を曲げている。
 2人がこの光景をみたら、嫉妬の目を向けるだろうなぁ〜。 そう思いつつ2人のストレッチを見つめる。
 「はい、次はランニングに行くわよぉ!」
 「「はぃ」」
 ストレッチで少しバテ気味の2人を知ってか知らずか由美子さんはランニングを始めるが、家を出て200m走った辺りで2人はペースダウンしてしまい、さらに100m進んだらバテてしまった。
 「ジョギング程度の速さで、これはちょっとぉ〜・・・・・・」
 流石に由美子さんも考えるところがあったのか、悩ましそうな顔で2人を見つめていた。
 変だなぁ。向こうの世界じゃ、もっと体力があった気がする。
 『もしかしたら、魔力でカバーしていた部分を切っているからだと思うよ』
 それはどういう事だ? と言いたそうな顔でリタを見つめる。
 『セリア達の世界は自分の力を無意識に強化している部分があるんだ。多分、今魔力を使えないようにしているから・・・・・・』
 今の状態が素の体力ってことか。
 「ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・如何に、自分達が、魔力に助け、られていたか・・・・・・よく、わかったわ」
 「今度から、ハァ・・・・・・魔力を・・・・・・切った状態、で・・・・・・訓練を・・・・・・しようと思う」
 「ん? 魔力?」
 「ああ〜、気にしないで下さい! こうなっちゃったら仕方ないので、道場に戻って筋トレに移りましょう!」
 ここでバレたらヤバイ!
 魔力から興味を離す為に、そう言ったら仕方なさそうな顔で話し始める。
 「そうね。ランニングを続けても意味はなさそうね。戻りましょうか」
 「「は、はい」」
 俺がホッとしている中、セリアとルノアはフラフラと立ち上がり由美子さんに付いて行くようにして道場に戻って来て筋トレを始めたが。
 「ああ〜・・・・・・」
 『これはちょっとぉ・・・・・・』
 「困ったわねぇ〜」
 腹筋2セット目の半分でバテバテになっている姿を見た俺達は、何とも言えない顔で見つめていたのであった。
 「お待たせぇ〜」
 「遅くなってゴメン」
 「2人共紹介するよ。この人は俺の姉弟子で師範の娘の 英城 由美子さんだ」
 「英城 由美子と申します。私が教えるので、よろしくお願いします」
 「こちらこそ、よろしくお願いします!」
 「よろしくお願いします!」
 まぁ由美子さんなら師範よりも厳しくないから、心配しなくてもいいかな?
 そう思っていたら、由美子さんはセリア達に武器を持たせた。
 「先ずはアナタ達の実力を見たいので、準備が出来たらお声掛け下さい」
 そう言うと籠手を付けて稽古場の真ん中に立った。
 『うわぁ〜、何かスパルタな感じがする』
 ああ見えて結構優しいぞ・・・・・・師範に比べてって意味だけど。
 「私からお願い致します!」
 「いつでも掛かって来なさい」
 手渡された細い棒を構えるセリアに対して由美子さんは構えもせずに、ただ突っ立ているだけなのでルノアとリタが不思議そうな目で見ていた。
 「あれが由美子さんの戦闘スタイルだから、気にしなくてもいい」
 「戦闘スタイル? 私には普通に立っているようにしか見えないんだけど」
 「普通に立っているようにしか見えないのは、相手を油断させる演技。実際は何処からでも対応出来るように身構えているんだ」
 「洸夜くん。出来れば説明して欲しくなかったわ」
 いやいや、由美子さんなら対応出来るでしょ。
 セリアも俺の話を聞いていたのか、ジリジリと距離を詰めて行く。
 セリアの方は先手を取ろうとしているが、由美子さんは先手を譲る気なので気にせず攻めていいと思う。
 「フゥッ!?」
 その掛け声と共に由美子さんに向かって棒を突き出したが、あっさりと避けられてしまう。セリアは驚きつつもバックステップで距離を取った。
 「う〜ん、なるほど」
 由美子さんは何かに気が付いたようすで俺を見つめる。
 どうやら俺が教えたってことに気が付いたっぽいな。
 そんなことを思っているとセリアは意を決したのか、一気に詰め寄って突きを繰り出したがこれも躱されてしまう。
 「クッ!?」
 悔しそうな顔をさせ、バックステップを踏んで由美子さんから距離を取ろうとしたのだが、由美子さんはその動きに合わせてセリアに突っ込んだのだ。
 あ、これ。ウォーラー先生と同じ対処法。
 セリアは驚きつつも棒を横に構えてガード姿勢を取るが、由美子さんは死角になっている腹に拳を捻り込んだ。
 「うっ!?」
 セリアはそのパンチが効いたのか、お腹を抑えながら膝を着いてしまった。
 「動きは悪くありませんが咄嗟の判断に欠けてますね。ガードをする前に避けようか迷いましたよね?」
 「・・・・・・はい」
 「その一瞬の迷いが行動の遅れに繋がるので、直していきましょう」
 由美子さんはセリアそう伝えると、ルノアの方に目を向ける。
 「ヒィッ!?」
 「次はアナタの番ですよ」
 ルノアに向かってニッコリとそう言う由美子さんに対して、ルノアは怯え切った表情で脚をガクガク揺らしていた。
 『ルノアファイトォ〜!』
 「もうここまで来たんだから、逃げるって選択肢はないぞ」
 むしろ逃げた方がヤバイから、向かって行った方がいいぞ。
 「わ、わかったわ! 頑張ってみる!」
 前に出るルノアのと同時に俺は膝を着いているセリアに肩を貸して回収をするが、セリアは何故か嬉しそうな顔をさせていた。
 「よ、よろしくお願い致します」
 「模擬戦だから緊張しなくてもいいわ。リラックスしましょう。リラックス」
 念の為に説明をするが、ルノアが持っている矢は先がグニャグニャに曲がるゴムで作られている為、なるべく安全を考慮している。そう、な・る・べ・く!
 「いきます!」
 ルノアはそう言うと矢をつがえて由美子さんに狙いを定めるが、由美子さんは狙いを定められないようにする為か、不規則な動きをし始める。
 「えっ!? ちょっ!!」
 ルノアは狙いを定めようとしているのか、構えた状態で忙しく弓を動かす。
 『翻弄されているね』
 リタの言う通り、相手の動きに翻弄されているのが一目でわかる。そんな中、由美子さんがピタリと止まった。
 「チャンス!」
 ルノアはそう言って矢を放ったが、バシッと由美子さんに飛んでいる矢を掴まれてしまった。
 「ええっ!?」
 『嘘ぉ!?』
 「飛んでいる矢を掴んだぁ!?」
 3人が驚いている間に、一気に距離を詰めて行く由美子さん。
 「わっ!? わわわっ!!?」
 慌てふためきながら矢に手を掛けたが手遅れ。由美子さんはルノアの首元に先程掴んだ矢の先端を当てた。
 「終了です。ルノアさん、弓の扱いにムラを感じますね。それに判断能力も乏しい感じも見受けられます」
 「あ、いや。そのぉ〜・・・・・・」
 「アナタも色々と直さなといけない箇所が多いですね」
 「は、はい」
 ルノアはションボリした顔で返事をする。
 「とにかくこれでどう鍛えればいいのか把握しました。なので2人共、模擬戦して早々ですがストレッチから始めましょう」
 「「はい!」」
 2人はそう返事をしてストレッチを始めたのだが。
 「も、もうだめぇ〜〜〜!?」
 「これ以上はいけないですよぉ〜〜〜〜〜〜!?」
 「はい、大丈夫。息をゆっくり吐きながら曲げていけば大丈夫よ」
 座った状態で脚を広げて状態を倒す運動をしているのだが、2人共思った以上に身体が硬いせいで由美子さんに背中を押されている。
 「これでよく武術をやろうと思ったわね」
 「すみませぇ〜ん」
 「アタシ達、普段こんなことをしないのでぇ〜」
 「まぁいいわ。身体の硬さは運動中の怪我の原因にも繋がるから、暇なときやお風呂上がりとかに軽くやるようにね」
 「「は、はい〜」」
 因みに興味を持ったリタも真似してやっている。
 『見て見てコウヤ! 私こんなに曲がるよ!』
 床にベッタリとまではいかないが、いいところまで身体を曲げている。
 2人がこの光景をみたら、嫉妬の目を向けるだろうなぁ〜。 そう思いつつ2人のストレッチを見つめる。
 「はい、次はランニングに行くわよぉ!」
 「「はぃ」」
 ストレッチで少しバテ気味の2人を知ってか知らずか由美子さんはランニングを始めるが、家を出て200m走った辺りで2人はペースダウンしてしまい、さらに100m進んだらバテてしまった。
 「ジョギング程度の速さで、これはちょっとぉ〜・・・・・・」
 流石に由美子さんも考えるところがあったのか、悩ましそうな顔で2人を見つめていた。
 変だなぁ。向こうの世界じゃ、もっと体力があった気がする。
 『もしかしたら、魔力でカバーしていた部分を切っているからだと思うよ』
 それはどういう事だ? と言いたそうな顔でリタを見つめる。
 『セリア達の世界は自分の力を無意識に強化している部分があるんだ。多分、今魔力を使えないようにしているから・・・・・・』
 今の状態が素の体力ってことか。
 「ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・如何に、自分達が、魔力に助け、られていたか・・・・・・よく、わかったわ」
 「今度から、ハァ・・・・・・魔力を・・・・・・切った状態、で・・・・・・訓練を・・・・・・しようと思う」
 「ん? 魔力?」
 「ああ〜、気にしないで下さい! こうなっちゃったら仕方ないので、道場に戻って筋トレに移りましょう!」
 ここでバレたらヤバイ!
 魔力から興味を離す為に、そう言ったら仕方なさそうな顔で話し始める。
 「そうね。ランニングを続けても意味はなさそうね。戻りましょうか」
 「「は、はい」」
 俺がホッとしている中、セリアとルノアはフラフラと立ち上がり由美子さんに付いて行くようにして道場に戻って来て筋トレを始めたが。
 「ああ〜・・・・・・」
 『これはちょっとぉ・・・・・・』
 「困ったわねぇ〜」
 腹筋2セット目の半分でバテバテになっている姿を見た俺達は、何とも言えない顔で見つめていたのであった。
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