高校を退学させられた後、異世界へ留学することになりました。

青空鰹

第2話 スイゾクカンって何?

 その後に授業を受けてセリアさんと共に食堂で食事を取っているのだが、ちょっと気掛かりな事があったので話すことにした。


 「そういえば、今日はアンリネットさんがいないな」


 明日も来る。って言っていたけど結局来なかったな。


 「そうだね。何かあったのかな?」


 「それはそれでいいんじゃない? だってぶっちゃけ話が出来るもん」


 確かにそうだけども。


 「そう言う言い方しなくても、いいんじゃないのか?」


 「そうだよ。本人が聞いていたら、傷付いちゃうよ」


 「いいんだもぉ〜ん、だって私あの子好かないし」


 好かない?


 「どうして好かないんだ」


 「何かあの子、何て言うかぁ〜・・・・・・フラフラしているって言うか、そのぉ〜・・・・・・」


 「優柔不断?」


 「そう、そんな感じ!」


 優柔不断かぁ。


 「12歳だから、色んなことに興味を持って当たり前だと思うぞ」


 俺は格闘技に一途だったけどな。


 「そうなのかなぁ〜?」


 「そういうもんだと思うぞ。あ、そうだ。今度行く水族館は2人共どんなところか把握している?」


 「スイゾクカン・・・・・・」


 「スイゾクカン・・・・・・」


 2人は う〜ん。 と唸りながらどういうところか想像している。


 「魔法を使ったスポーツ場!」


 「うん、違うぞ。リタ」


 その競技は世界的に人気があったハリーなんちゃらって言う魔法の物語だけだから、向こうの世界にはないぞ。


 「お花畑へ行くの」


 「そこでもないんだよなぁ・・・・・・」


 でも趣旨は合ってるかなぁ。


 「わかった! ユウエンチみたいなところに行くんでしょ!?」


 ああ、そういえば夢の国のCM見ていたな。


 「そう、そんな感じだけど! ちょっと違う!」


 「ちょっと違う?」


 そう言ってリタは傾げた。


 「答えを言うと、色んな魚を鑑賞するところなんだ」


 「「色んな魚を鑑賞?」」


 2人はそう言うと、微妙そうな顔をする。


 あ、あれ? 何で行く前から、つまらなそうな顔をしているんだ?


 「魚を見るだけだったら、魚屋さんで見れるよ」


 「いやいや、魚屋とは違うぞ。てか水族館を魚屋と一緒にするなよ。ちゃんと生きた魚を観れるんだぞ」


 俺が小さい頃両親と姉さんと一緒に行って楽しんだぞ。


 「生きた魚を・・・・・・もしかして食用で生捕りなのかな?」


 「いやいや、鑑賞用だから食べないって。ん?」


 もしかして2人は・・・・・・。


 「水族館がお魚屋さんだと思っている?」


 「うん!」


 「えっと、そのぉ・・・・・・はい」


 そういうことか。


 「水族館ってところは海や川に生息している生き物がどういう風にして生きているのか、見て学んで貰う為に作られた場所なんだ」


 「へぇ〜、それで?」


 「最近では来てくれたお客様に楽しんで貰えるように、色んな工夫を凝らしているから楽しめると思う」


 「そうなんだぁ〜」


 何だよその疑いの目は。


 「リタ、後で画像を見せてあげるから、その疑いの目を止めてくれ」


 「わかったよ。コウヤを信じてみる」


 信じると言う割には疑いの目を向けるなぁ。やっぱり今この場で画像を見せようかなぁ?


 「ミヤマ様、こちらにいらしたのですか」


 「あ、カーシャさん。それにアンリネットさん。こんにちわ!」


「ん」


 アンリネットはそう頷いて挨拶をした。


 彼女なりの挨拶か、それよりもだ。


 「お2人共今日は遅かったですね。何かあったのですか?」


 「はい。アンリネット様にお会いしたいと言う方が現れたので、そちらの対応をしていました」


 「迷惑だった」


 「迷惑?」


 俺がそう言ったのだが、カーシャさんはちょっと怒った顔でアンリネットを見つめる。


 「アンリネット様、あの方はアナタ様の婚約者の1人ですから、そう言う言い方をしてはなりませんよ」


 「でも仮。しかも家族に認められてない」


 「そうですが、節度ある対応をして頂かないとグランドル家の名に恥じます」


 「むぅ・・・・・・無礼なのはあっちだった」


 不貞腐れた態度を取るアンリネットさんに、呆れたようすで頭に手を置くカーシャさん。


 「あ、それよりも時間大丈夫かな?」


 時計を見てみると12時43分をさしていた。


 「来て早々すみませんが、校庭の方に移動しましょうか?」


 「そうですね。行きましょうか」


 カーシャさんの返事を聞いた俺達は、席を立ち校庭へと向かう。


 「あの、カーシャさん」


 「何でしょうかセリア様?」


 「不躾がましいと思われると思いますが、アンリネットさんと婚約者様の間で何かあったのでしょうか?」


 「向こうが悪い」


 いや、アンリネットさんに聞いてるんじゃないぞ。


 「いいえ、お嬢様の対応が悪いと私は思います」


 「絶対向こう」


 「お嬢様も反省して下さい」


 「反省点なし」


 「だからお嬢様も・・・・・・」


 ちょっちょっちょっ!? ケンカを始めそうなぐらいの剣幕になってるぞ。


 「2人共その辺にしてよ! それに私達に何があったのか説明をしてよ!」


 「あ、申し訳ありませんリタ様」


 カーシャさんはそう述べて頭を下げて来た。


 「あの、実はお嬢様の婚約者候補の1人が、今日お嬢様に会いたいと申されたので会うことになりました」


 「今日ってこと急に決まったのですか?」


 「はい、セリア様の仰る通り、急に決まったことなので慌てふためきました」


 アポなしで来るって言われたらそりゃ困るだろうなぁ。


 「それでセッティングをして通したのですが・・・・・・」


 「生意気だった」


 「な、生意気っ!? もしかして、言い方が悪いのですがボンボンとか?」


 「はぁ・・・・・・ミヤマ様の仰る通り、箱入り息子と言う感じでした」


 ああ〜、なるほどね。何となくわかって来たぞ。


 「つまり、自分の親の権力をかざしているような子供だったって感じかな?」


 「その通り、正解」


 何だよ。クイズ番組の 正解! みたいな言い方は。


 「旦那様も奥様もあの態度に頭来たそうなので、その日に婚約者候補から外されました」


 「あらぁ〜、残念ね」


 「ん、清々した」


 清々したのか。


 「大変でしたね」


 「はい、とても大変でした」


 そう言っている間に校庭へとやって来たのだが・・・・・・。


 「あれ? アニス学園長の他に誰かいる?」


 片方は傘を持った女性で、もう片方は男性っぽいって、あっ!?。


 「お、お父様!? お母様ぁ!?」


 セリアさんのその一言で向こうにいる3人が気づき、こっちにやって来た。


 「おお〜、セリア! 待っていたぞ!」


 「どうしてお父様達がここに?」


 「何って、アナタと彼のようすが気になったから来たのよ」


 俺も?


 戸惑っているとセリアのお母さんが俺の目の前までやって来た。


 「初めまして。セリアの母の マーガレット・オルコス です。以後お見知り置きを」


 「ご丁寧にありがとうございます。コウヤ・ミヤマ と申します。こちらが精霊契約をしているリタです」


 「リタだよ。よろしくね!」


 「よろしくお願いします。あら?」


 今度はアンリネットさんに近づき、挨拶を始める。


 「ご機嫌よう、アンリネット様」


 「ご機嫌よう、マーガレット様」


 挨拶を済ませた後に、こっちを見る。


 「この間ワインを差し入れて下さって、ありがとうございました」


 「いえいえ、セリアさんにお世話になっているお礼ですから、お気になさらずに」


 「しかし、初めて見ましたよ。ほのかに黄色く透明度が高いワインがあったのですね。それにお味の方も、とてもよかったです。
 主人も喜んでおりました」


 「お口に合って何よりです」


 父さんが お世話になってるお礼に。と買って来たお酒で、 これでお礼になるの? と心配していたんだけど、案外大丈夫でよかった。


 「それで、何と言う名のワインですか?」


 「はい、俺の国では白ワインと呼ばれているお酒で、普通のとは色の違うブドウで作られています」


 「そうなのですか。色の違うブドウ・・・・・・色の違うブドウ」


 ん? マスカットに心当たりがない。もしかして。


 「もしかして、この国では白ワインは生産されてないのですか?」


 「はい。ワインとエール以外はありませんよ」


 お酒の方もそんなに発展してないのか。


 「今度は紅茶の方も買って来て・・・・・・」


 「まぁ、そこまでして頂かなくても構いませんよ」


 「あ、そうですか。機会があればお持ちいたします」


 「楽しみに待っています」


 まぁ本音を言うと、何が口に合うのか知りたいだけだけどね。


 「お〜い、授業を始めたいのだが、いいか?」


 「あ、はい! 今そっちに向かいます!」


 アニス学園長の側に行き、魔法の授業を始めるのであった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品