東京PMC’s
紫音と真奈美の夕食
 何だかんだで山本さんのお家で夕食を頂く事となり、テーブルを挟んで真奈美さんと向かい合っている。
 「召し上がれっス」
 「頂きます!」
 そう言ってから真奈美さんが作った唐揚げを箸で取り口へと運んで咀嚼をする。
 「・・・・・・これ、美味しい!」
 家事を担当してくれているリュークさんが作る塩味とは違い、醤油味が効いていて美味しい。
 「気に入って貰えてよかったっス」
 味に自信が無かったのか、安堵にも似た笑顔を僕に向ける真奈美さん。
 ん? ちょっと待って。
 「真奈美さんって、いつも1人で夕食を作って食べているんですか?」
 「そうっスよ。父上の分は冷蔵庫の中に入れているんで、全部食べても構わないっスよ」
 あ、やっぱりそうだったんだ。
 「ああ、うん」
 「それよりも、紫音さん。焼肉での出来事を詳しく話してくれるっスか?」
 「いいよ」
 その事に付いては何にも口止めされていなかったから、食事をしながら聞かれた事を全て話した。
 「なるほどぉ〜・・・・・・本当に偶然そこにいて、止めに入ったんっスね」
 「うん、舞ちゃんも彼とは関わりたくなさそうにしていたし・・・・・・」
 「そうですかぁ〜。って、ちょっと待つっス! どうして紫音さんの幼馴染みが話に出て来るんスか? 」
 「え? ここに来る時に話ながら来たんですけどぉ〜・・・・・・ま、真奈美さん?」
 何故か知らないけど、真奈美さんが怒った表情のまま僕を見つめて来る。
 「紫音さん、彼女に容易に会っちゃいけないっスよ!」
 「えっ!? 何で?」
 「何でって、もしかしたら紫音さんに向かってPMCを辞めて欲しいと言うかもしれないっスよ!!」
 「言うつもりだったみたいだけど、僕の話を聞いて止めたみたい」
 「えっ!? そうなんスか?」
 「うん、そうだよ」
 僕がそう言った瞬間、真奈美さんは安堵の表情を浮かべていた。
 「これは僕の予想なんだけど、多分舞ちゃんは周りの人達にそう言われたから、僕のところまで来て説得してみようと考えたんじゃないかなぁ?」
 「どう言う事っスか?」
 「舞ちゃんはね。昔から周りの人からお願いされると、やるタイプなんだ。学級委員をやって欲しいと言われたらやるし、演劇でも主役をやって欲しいとお願いされたらやるんだ」
 「それって、言い方を変えれば断り難いタイプじゃないんスか?」
 うん、その通り。だからみんなが知らないところでストレスを抱えてしまう為、そのストレス発散に僕の耳や尻尾をモフモフしていたのを覚えている。
 「だから今回も周りの人達に言われたから、僕のところにやって来た感じだと思う」
 「そうなんスかぁ〜。何か舞さんが可哀想に思えて来るっスね」
 「やっぱりそう思う?」
 「ええ。舞さんは他の人から頼まれた事をやっているんスよね? それって、自分がやりたくないと言う気持ちを押し殺しているんじゃないんスか?」
 「・・・・・・確かに、そうかもしれない」
 僕が視線を落としてそう言ったら、真奈美さんはずいっと顔を近付けて来たので思わず身体を仰け反らせてしまった。
 「同情する気持ちもわかるっスけど、今の紫音さんは舞さんとは赤の他人なんスから、なるべく関わらない方がいいっスよ!」
 「そう、だけどぉ・・・・・・」
 「それに、彼女には彼氏さんがいるじゃないっスか。そういった事は彼氏さんの役目だから、紫音さんの役目は無いっスよ」
 「う、う〜ん・・・・・・」
 その彼氏も舞ちゃんの性格を把握しているのかどうか、心配になってしまう。 と腕を組んで悩んでいたら、真奈美さんが顔をニヤリとさせながら話し掛けて来た。
 「紫音さんはもしかして、舞さんの事を好きなんスかぁ?」
 「え? 好き? 僕はただ心配なだけですよ」
 第一に彼女の事を幼馴染みとして付き合いはあったけれども、恋愛対象として見た事はない。
 「その様子だと本当に心配なだけみたいっスねぇ。何かホッとしたようなぁ〜。そうでも無いようなぁ〜・・・・・・ともかくっ! 必要最低限に接する事っス!!」
 「わ、わかったよ」
 僕の返事を聞いた真奈美さんは空いた食器を手に取り、シンクの方へ持って行くので僕も同じように空いた食器を持って行く。
 「洗い物手伝うよ」
 「そうしてくれるのは有り難いっスが、ウチのシンクは狭いので気持ちだけ受け取っておくっス」
 「そう? なら、食べ物を冷蔵庫に戻しておく?」
 「ウチでは冷蔵庫に入れる並び順があるから、ウチがやっておくっス」
 並び順!? そんなの事をする必要があるの?
 「そ、そう。何か真奈美さん任せにしてしまって、申し訳ない気がするよ」
 「その気持ちだけで充分っスよぉ。それに紫音さんと色々話せて面白かったっスし」
 そう言うと、汚れた食器を洗い始めた。
 「紫音さん、今日は帰るっスか? それともウチに泊まっていくっスか?」
 「いや、流石に泊まらせて貰うのは悪いから帰らせて貰うよ。それに明日も学校があるからね」
 「そうっスよね。それじゃあ、また明日学校で会うっス!」
 「うん、今日はありがとう。真奈美さん」
 「いえいえ、気にしなくていいっスよ! 帰りに気を付けて下さいっス!」
 真奈美さんに頭を下げた後にスナックを出て事務所へと帰って来た。
 「ん? 天野さん達が先に帰って来てる」
 ガレージの中にピックアップトラックが入っているのが確認出来たのだが、何故かは知らないけどシャッターが開きっぱなしなのだ。
 この事も話しておこう。
 そう思った後に階段を上り、事務所のドアに手を掛ける。
 「ただ今戻りましたぁ」
 「お帰り、思っていたより遅かったから心配したよ」
 「ゴメンなさいリュークさん」
 「いや、別に謝らなくてもいいよ。それよりも何処で夕食を済ませて来たんだい? ファミレス? それとも牛丼屋?」
 「マザー・ラブで夕食を作って貰いました」
 そういった瞬間、リュークさんは驚いた顔をさせた。
 「あのスナックで夕食? 真理亜さんが作ってくれたの?」
 「いいえ、真奈美さんが作ってくれました」
 「そうなんだぁ・・・・・・」
 「何か問題でもあったんですか?」
 「いや、問題ないよ」
 リュークさんはそう言った後、冷蔵庫からジュースを取り出した。
 「あ、そうそう。さっき話した羽田空港の話なんだけどさ。ちゃんと断れたよ」
 「それはよかったです」
 リュークさんは断るのを思い出しているのか、苦笑いをさせている。
 「今回は断れたが、次はわからないぞ」
 「あ、天野さん。ただ今」
 「ああ、お帰り。紫音や真理亜が言っていた通り、あのクソババアは頭の中が狂っている」
 「アマノの言う通りね。どうしてあんな女が校長になってなれたのか、不思議で仕方ないわ」
 あ、リトアさんも居たんだ。
 「真理亜さんの話によると、責任転換しやすい人材を選んだ結果だそうですよ」
 「真理亜が・・・・・って、理由を教えてくれたのか?」
 「はい、まぁ話も無料の範囲なので少ししか教えてくれませんでした」
 「そうかぁ・・・・・・・まぁ真理亜のアドバイスのお陰て断れる事が出来たのだから、今度お礼の為に店に行くか」
 うん、それがいいと思いますよ。と思っていたら、リトアさんが喜びの表情見せていた。
 「マリアのお店でお酒を飲むの? やったぁ!」
 「一応言っておくが、今回は割り勘はしないからな」
 「ええっ!? 奢ってくれないの?」
 悲劇のヒロインみたいな表情をするリトアさんに対して、天野さんは呆れた表情で答える。
 「しない。つーか何で割り勘じゃなく、奢るって事になっているんだよ!」
 「頑張った私のご褒美」
 「ないから自腹で払え」
 「うぇ〜ん!? アマノが私を虐めるよぉ〜!!」
 僕に抱き付いて来るリトアさんに対して ホント、調子のいい人だなぁ。 と思っていると、天野さんのスマホが鳴ったので天野さん以外ピタリと止まった。
 「あ〜もしもし天野です・・・・・・はい・・・・・・・・・・・・わかりました。それでは詳しい事は後日に。それでは」
 そう言うと電話を切り、僕達に顔を向けた。
 「また新しい仕事が舞い込んで来た。詳しい話は後日するから覚えておくように」
 「わかりました。後、ガレージのシャッターが開いていたんですけど、閉め忘れですか?」
 「いや、俺が下で作業をするから開けていた。今から行くから気にすんなよ」
 天野さんはそう言うと、ガレージに向かう為に外へと出て行ったのであった。
 「召し上がれっス」
 「頂きます!」
 そう言ってから真奈美さんが作った唐揚げを箸で取り口へと運んで咀嚼をする。
 「・・・・・・これ、美味しい!」
 家事を担当してくれているリュークさんが作る塩味とは違い、醤油味が効いていて美味しい。
 「気に入って貰えてよかったっス」
 味に自信が無かったのか、安堵にも似た笑顔を僕に向ける真奈美さん。
 ん? ちょっと待って。
 「真奈美さんって、いつも1人で夕食を作って食べているんですか?」
 「そうっスよ。父上の分は冷蔵庫の中に入れているんで、全部食べても構わないっスよ」
 あ、やっぱりそうだったんだ。
 「ああ、うん」
 「それよりも、紫音さん。焼肉での出来事を詳しく話してくれるっスか?」
 「いいよ」
 その事に付いては何にも口止めされていなかったから、食事をしながら聞かれた事を全て話した。
 「なるほどぉ〜・・・・・・本当に偶然そこにいて、止めに入ったんっスね」
 「うん、舞ちゃんも彼とは関わりたくなさそうにしていたし・・・・・・」
 「そうですかぁ〜。って、ちょっと待つっス! どうして紫音さんの幼馴染みが話に出て来るんスか? 」
 「え? ここに来る時に話ながら来たんですけどぉ〜・・・・・・ま、真奈美さん?」
 何故か知らないけど、真奈美さんが怒った表情のまま僕を見つめて来る。
 「紫音さん、彼女に容易に会っちゃいけないっスよ!」
 「えっ!? 何で?」
 「何でって、もしかしたら紫音さんに向かってPMCを辞めて欲しいと言うかもしれないっスよ!!」
 「言うつもりだったみたいだけど、僕の話を聞いて止めたみたい」
 「えっ!? そうなんスか?」
 「うん、そうだよ」
 僕がそう言った瞬間、真奈美さんは安堵の表情を浮かべていた。
 「これは僕の予想なんだけど、多分舞ちゃんは周りの人達にそう言われたから、僕のところまで来て説得してみようと考えたんじゃないかなぁ?」
 「どう言う事っスか?」
 「舞ちゃんはね。昔から周りの人からお願いされると、やるタイプなんだ。学級委員をやって欲しいと言われたらやるし、演劇でも主役をやって欲しいとお願いされたらやるんだ」
 「それって、言い方を変えれば断り難いタイプじゃないんスか?」
 うん、その通り。だからみんなが知らないところでストレスを抱えてしまう為、そのストレス発散に僕の耳や尻尾をモフモフしていたのを覚えている。
 「だから今回も周りの人達に言われたから、僕のところにやって来た感じだと思う」
 「そうなんスかぁ〜。何か舞さんが可哀想に思えて来るっスね」
 「やっぱりそう思う?」
 「ええ。舞さんは他の人から頼まれた事をやっているんスよね? それって、自分がやりたくないと言う気持ちを押し殺しているんじゃないんスか?」
 「・・・・・・確かに、そうかもしれない」
 僕が視線を落としてそう言ったら、真奈美さんはずいっと顔を近付けて来たので思わず身体を仰け反らせてしまった。
 「同情する気持ちもわかるっスけど、今の紫音さんは舞さんとは赤の他人なんスから、なるべく関わらない方がいいっスよ!」
 「そう、だけどぉ・・・・・・」
 「それに、彼女には彼氏さんがいるじゃないっスか。そういった事は彼氏さんの役目だから、紫音さんの役目は無いっスよ」
 「う、う〜ん・・・・・・」
 その彼氏も舞ちゃんの性格を把握しているのかどうか、心配になってしまう。 と腕を組んで悩んでいたら、真奈美さんが顔をニヤリとさせながら話し掛けて来た。
 「紫音さんはもしかして、舞さんの事を好きなんスかぁ?」
 「え? 好き? 僕はただ心配なだけですよ」
 第一に彼女の事を幼馴染みとして付き合いはあったけれども、恋愛対象として見た事はない。
 「その様子だと本当に心配なだけみたいっスねぇ。何かホッとしたようなぁ〜。そうでも無いようなぁ〜・・・・・・ともかくっ! 必要最低限に接する事っス!!」
 「わ、わかったよ」
 僕の返事を聞いた真奈美さんは空いた食器を手に取り、シンクの方へ持って行くので僕も同じように空いた食器を持って行く。
 「洗い物手伝うよ」
 「そうしてくれるのは有り難いっスが、ウチのシンクは狭いので気持ちだけ受け取っておくっス」
 「そう? なら、食べ物を冷蔵庫に戻しておく?」
 「ウチでは冷蔵庫に入れる並び順があるから、ウチがやっておくっス」
 並び順!? そんなの事をする必要があるの?
 「そ、そう。何か真奈美さん任せにしてしまって、申し訳ない気がするよ」
 「その気持ちだけで充分っスよぉ。それに紫音さんと色々話せて面白かったっスし」
 そう言うと、汚れた食器を洗い始めた。
 「紫音さん、今日は帰るっスか? それともウチに泊まっていくっスか?」
 「いや、流石に泊まらせて貰うのは悪いから帰らせて貰うよ。それに明日も学校があるからね」
 「そうっスよね。それじゃあ、また明日学校で会うっス!」
 「うん、今日はありがとう。真奈美さん」
 「いえいえ、気にしなくていいっスよ! 帰りに気を付けて下さいっス!」
 真奈美さんに頭を下げた後にスナックを出て事務所へと帰って来た。
 「ん? 天野さん達が先に帰って来てる」
 ガレージの中にピックアップトラックが入っているのが確認出来たのだが、何故かは知らないけどシャッターが開きっぱなしなのだ。
 この事も話しておこう。
 そう思った後に階段を上り、事務所のドアに手を掛ける。
 「ただ今戻りましたぁ」
 「お帰り、思っていたより遅かったから心配したよ」
 「ゴメンなさいリュークさん」
 「いや、別に謝らなくてもいいよ。それよりも何処で夕食を済ませて来たんだい? ファミレス? それとも牛丼屋?」
 「マザー・ラブで夕食を作って貰いました」
 そういった瞬間、リュークさんは驚いた顔をさせた。
 「あのスナックで夕食? 真理亜さんが作ってくれたの?」
 「いいえ、真奈美さんが作ってくれました」
 「そうなんだぁ・・・・・・」
 「何か問題でもあったんですか?」
 「いや、問題ないよ」
 リュークさんはそう言った後、冷蔵庫からジュースを取り出した。
 「あ、そうそう。さっき話した羽田空港の話なんだけどさ。ちゃんと断れたよ」
 「それはよかったです」
 リュークさんは断るのを思い出しているのか、苦笑いをさせている。
 「今回は断れたが、次はわからないぞ」
 「あ、天野さん。ただ今」
 「ああ、お帰り。紫音や真理亜が言っていた通り、あのクソババアは頭の中が狂っている」
 「アマノの言う通りね。どうしてあんな女が校長になってなれたのか、不思議で仕方ないわ」
 あ、リトアさんも居たんだ。
 「真理亜さんの話によると、責任転換しやすい人材を選んだ結果だそうですよ」
 「真理亜が・・・・・って、理由を教えてくれたのか?」
 「はい、まぁ話も無料の範囲なので少ししか教えてくれませんでした」
 「そうかぁ・・・・・・・まぁ真理亜のアドバイスのお陰て断れる事が出来たのだから、今度お礼の為に店に行くか」
 うん、それがいいと思いますよ。と思っていたら、リトアさんが喜びの表情見せていた。
 「マリアのお店でお酒を飲むの? やったぁ!」
 「一応言っておくが、今回は割り勘はしないからな」
 「ええっ!? 奢ってくれないの?」
 悲劇のヒロインみたいな表情をするリトアさんに対して、天野さんは呆れた表情で答える。
 「しない。つーか何で割り勘じゃなく、奢るって事になっているんだよ!」
 「頑張った私のご褒美」
 「ないから自腹で払え」
 「うぇ〜ん!? アマノが私を虐めるよぉ〜!!」
 僕に抱き付いて来るリトアさんに対して ホント、調子のいい人だなぁ。 と思っていると、天野さんのスマホが鳴ったので天野さん以外ピタリと止まった。
 「あ〜もしもし天野です・・・・・・はい・・・・・・・・・・・・わかりました。それでは詳しい事は後日に。それでは」
 そう言うと電話を切り、僕達に顔を向けた。
 「また新しい仕事が舞い込んで来た。詳しい話は後日するから覚えておくように」
 「わかりました。後、ガレージのシャッターが開いていたんですけど、閉め忘れですか?」
 「いや、俺が下で作業をするから開けていた。今から行くから気にすんなよ」
 天野さんはそう言うと、ガレージに向かう為に外へと出て行ったのであった。
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