東京PMC’s
紫音と護衛依頼の終わり
 パトカーのサイレンに加えて救急車のサイレンに野次馬の声が聞こえて来てくる中、僕達は警察官の事情聴取を受けている。
 「じゃあ彼らが襲って来たから、キミ達PMCは応戦したって事でいいんだね?」
 「はい、その通りです」
 「岡喜株式会社から悪質な犯行予告が届いたと聞いていましたが、まさか本当に社長を襲うとは・・・・・・」
 「ワシも元社員が襲って来るとは思っていなかったぞ」
 そう、天野さんが言っていた通り、リーマン・ショックで解雇した社員達が団結して社長を狙ったらしい。
 「話せる程度に意識のある方がいて助かりましたが、あの様子ではちょっとぉ・・・・・・」
 警察官が襲って来た人達を心配するのも、何となくわかる気がする。実行犯6人中2人が意識不明の重体。それに加えて3人が重傷を負ってまともに立って歩けない状態で残り1人は・・・・・・心肺停止状態。
 「ワシがあの時に解雇しておらんかったら、こんな事にはならんかったかのぉ?」
 「社長、それは違います」
 「どうしてじゃ?」
 「社長は彼らを解雇する前に様々な企業に斡旋出来るように努力しておりました。そのほとんどが感謝をしておりましたよ。
 だから社長は気にする事はありませんよ」
 「そうか・・・・・・そう言ってくれると助かるのぉ」
 「お話する事は以上です。詳しい事は追ってお話をするので、もう行っても構いませんよ」
 「ありがとうございました。社長、行きましょうか?」
 「うむ、そうじゃのう」
 運転手と岡喜社長が車に乗ったところで、天野さんが僕に近付いて来たが何故か恐い。
 「えっとぉ〜・・・・・・どうしたんですか、天野さん?」
 「このバカッ!」
 ゲンコツを頭に喰らってしまった。
 「イッタァ〜!?」
 「お前、人の車の窓ガラスを壊してんじゃねぇ!」
 「えっ!? でもぉ〜・・・・・・」
 「でもじゃねぇよ! 犯人が壊してから撃つならまだわかるが、修理代を払わねぇといけねぇじゃねぇかぁ!!」
 「修理代っ!?」
 驚愕している紫音に対して、天野は呆れた顔で上を向いてしまった。
 「ああそうだよ。今回はお前の取り分から差し引かせて貰うからな。覚悟しておけよ」
 「そんなぁ〜!?」
 「お前がやった事なんだから、お前が責任を取るのが当たり前だ」
 窓ガラスの修理代っていくらになるんだろう? 車だから10万? それとも20万?
 「ああ、それなら気にせんでええよ。窓ガラスの修理代ぐらい、ワシの方で出すから安心せいよ」
 壊れた窓ガラス越しに話し掛けて来る。
 「い、いいんですか?」
 「ああ、その子には命を助けられたからのぉ〜。サービスじゃよ」
「寛大なお心遣い感謝致します。岡喜社長」
 「あ、ありがとうございます!」
 天野さんと同じように深く頭を下げてお礼を述べた。
 「さてと。話も済んだ事じゃし、家に帰るとするかのぉ」
 岡喜社長はそう言うと、クラウンの後部座席に乗ると手招きして来る。
 「わかりました。紫音」
 「あ、はい!」
 先に乗っていたリトアさんが僕が乗った事を確認すると、ピックアップトラックに合図を出した。
 「出発をして・・・・・・」
 「シィくんっ!!」
 「・・・・・・え?」
 この声は、まさか!
 窓を破れてない左側を見てみると、何と幼馴染みの舞ちゃんが駆け寄って来ているのだ!
 「舞・・・・・・ちゃん?」
 驚いている紫音に対して、数日前に紫音と会った下谷先生は顔に手を当てて困っていた。
 「糸風! 戻って来いっ!!」
 「えっ!? でも彼がぁ・・・・・・」
 「でもじゃない! 戻って来いっ!!」
 「あ、はい!」
 舞ちゃんはそう言うと、名残惜しそうな顔をさせながら下谷先生の元へと行く。
 「話さんでええのか?」
 「・・・・・・大丈夫です。行きましょう」
 「それでは出発します」
 日曜なのに、どうして舞ちゃんがここにいるんだろう?
 紫音はそう思いながら走る車の中で周囲の警戒をしていたのであった。
 「まさかあんなところで、お主の幼馴染みに会うとは思っても見なかったわい」
 「・・・・・・そうですね」
 「あの舞って言う女の子と連絡を取らんのか?」
 「あ、今は仕事中なので後で連絡を取ります」
 岡喜社長には申し訳ないけど、僕から舞ちゃんに連絡を取る勇気はない。
 「そうかぁ・・・・・・お主と彼女の問題じゃから、ワシはこれ以上何も言わんよ」
 「・・・・・・はい」
 岡喜社長はそう言うと、家に着くまで何も言わなかった。
 「岡喜社長、着きましたよ」
 「うむ、今日は本当にご苦労じゃった」
 岡喜社長が僕の後に続くようにして降りると、岡喜社長の奥さんが青ざめた表情をさせて近寄って来たのだ。
 「アナタ! 怪我はない?」
 「ああ、大丈夫じゃよ、冴子。PMCのお陰で命拾いをしたからのぉ〜」
 「あの、主人の命を助けて頂き、ありがとうございましたぁ!」
 社長夫人の冴子さんは僕達に向けて頭を下げた。
 「いえ、これが我々の仕事なので気にしないで下さい。契約ここまでとなっておりますが、どうします? 契約の延長を致しますか?」
 「ここまでええよ」
 「えっ!? でも狙われている可能性があるでしょう? 契約の延長をした方が、よろしいんじゃないかしら?」
 「奥様の仰る通りです。まだ狙われている可能性があると思います」
 「お主らはそう言うが、もう安心しても大丈夫じゃよ」
 「どういう事ですか?」
 「PMCの方で実行犯と暗躍していた者達を捕まえたそうじゃ」
 ・・・・・・え? 捕まえた?
 そう思いながら天野さんの顔を見つめると、サッと顔を逸らしたのだ。
 「アマノ・・・・・・まさか?」
 「ああ、別のヤツらが脅迫状の送り主を特定しているのを伝え忘れてたな」
 天野がそう口走った瞬間、紫音達はおにの形相で天野に詰め寄った。
 「アンタまた伝え忘れたのっ!?」
 「そういう事があったんなら、ちゃんとボク達に伝えなきゃダメだよぉっ!!」
 「天野さん僕に散々酷い事言っている癖に! 物忘れが激しいじゃないですかぁっ!!」
 「ああ〜、うるせぇ。さっさと事務所に帰るぞ」
 天野さんはそう言うと、逃げるようにしてピックアップトラックの運転席に座った。
 出た、天野さん得意のその場凌ぎ。
 「お前ら、乗らなきゃ置いて行くぞ」
 「うわぁ〜、車を人質に取りましたよ。この人」
 「自分が不利だからって、その行動は卑怯よアマノ!」
 「そうだよ! ボク達に謝ってからじゃないのっ!!」
 「ハァ〜・・・・・・スマン。これでいいだろう?」
 イヤイヤイヤイヤッ!? 何その誠意が籠っていない謝罪は? しかも、さっさと帰ろうぜ。って訴えている表情を向けて来るので腹が立つ。
 「却下! 気持ちが籠ってないわよっ!!」
 「そうだそうだぁ! せめて 申し訳ありませんでした! って謝罪をするべきだと思う!!」
 「天野さん酷い〜〜〜ッ!!?」
 みんなで抗議をしたら、天野さんはピックアップトラックのエンジンを掛けたのだ。
 「で、どうするんだ?」
 「乗るわ」
 「・・・・・・乗ります」
 「ハァ〜・・・・・・乗るしかないよね」
 渋々と言った感じで車に乗り込んでいる間、岡喜社長が 賑やかじゃのぉ〜。 と言っていたのを紫音だけが聞き逃さなかった。
 「それでは、我々はこの辺でお暇させて頂きます。また何かご依頼があれば、PMCの方まで連絡を下さい!」
 「世話になったのぉ〜」
 「ありがとうございました」
 「お気を付けて!」
 こうして事務所に向けて車を走らせるのだが、車内はギスギスしている。原因は知っての通り、天野であるが本人は気にしていない様子で紫音に話し掛ける。
 「紫音。さっきの子だが。お前の幼馴染みで間違いないか?」
 「合ってますよ、天野さん」
 不貞腐れた表情で答える紫音を気にせずに、天野は真剣な表情で話し掛ける。
 「そうか・・・・・・紫音、悪い事は言わない。あの子とはもう関わるな」
 「関わるな。ってどう言う事ですか?」
 「お前とあの子は同じ世界の人間じゃないからだ。だからそのスマホをしまうんだ」
 天野さんの言葉を聞いた紫音は、タブを閉じてポケットへと入れるのであった。
 「じゃあ彼らが襲って来たから、キミ達PMCは応戦したって事でいいんだね?」
 「はい、その通りです」
 「岡喜株式会社から悪質な犯行予告が届いたと聞いていましたが、まさか本当に社長を襲うとは・・・・・・」
 「ワシも元社員が襲って来るとは思っていなかったぞ」
 そう、天野さんが言っていた通り、リーマン・ショックで解雇した社員達が団結して社長を狙ったらしい。
 「話せる程度に意識のある方がいて助かりましたが、あの様子ではちょっとぉ・・・・・・」
 警察官が襲って来た人達を心配するのも、何となくわかる気がする。実行犯6人中2人が意識不明の重体。それに加えて3人が重傷を負ってまともに立って歩けない状態で残り1人は・・・・・・心肺停止状態。
 「ワシがあの時に解雇しておらんかったら、こんな事にはならんかったかのぉ?」
 「社長、それは違います」
 「どうしてじゃ?」
 「社長は彼らを解雇する前に様々な企業に斡旋出来るように努力しておりました。そのほとんどが感謝をしておりましたよ。
 だから社長は気にする事はありませんよ」
 「そうか・・・・・・そう言ってくれると助かるのぉ」
 「お話する事は以上です。詳しい事は追ってお話をするので、もう行っても構いませんよ」
 「ありがとうございました。社長、行きましょうか?」
 「うむ、そうじゃのう」
 運転手と岡喜社長が車に乗ったところで、天野さんが僕に近付いて来たが何故か恐い。
 「えっとぉ〜・・・・・・どうしたんですか、天野さん?」
 「このバカッ!」
 ゲンコツを頭に喰らってしまった。
 「イッタァ〜!?」
 「お前、人の車の窓ガラスを壊してんじゃねぇ!」
 「えっ!? でもぉ〜・・・・・・」
 「でもじゃねぇよ! 犯人が壊してから撃つならまだわかるが、修理代を払わねぇといけねぇじゃねぇかぁ!!」
 「修理代っ!?」
 驚愕している紫音に対して、天野は呆れた顔で上を向いてしまった。
 「ああそうだよ。今回はお前の取り分から差し引かせて貰うからな。覚悟しておけよ」
 「そんなぁ〜!?」
 「お前がやった事なんだから、お前が責任を取るのが当たり前だ」
 窓ガラスの修理代っていくらになるんだろう? 車だから10万? それとも20万?
 「ああ、それなら気にせんでええよ。窓ガラスの修理代ぐらい、ワシの方で出すから安心せいよ」
 壊れた窓ガラス越しに話し掛けて来る。
 「い、いいんですか?」
 「ああ、その子には命を助けられたからのぉ〜。サービスじゃよ」
「寛大なお心遣い感謝致します。岡喜社長」
 「あ、ありがとうございます!」
 天野さんと同じように深く頭を下げてお礼を述べた。
 「さてと。話も済んだ事じゃし、家に帰るとするかのぉ」
 岡喜社長はそう言うと、クラウンの後部座席に乗ると手招きして来る。
 「わかりました。紫音」
 「あ、はい!」
 先に乗っていたリトアさんが僕が乗った事を確認すると、ピックアップトラックに合図を出した。
 「出発をして・・・・・・」
 「シィくんっ!!」
 「・・・・・・え?」
 この声は、まさか!
 窓を破れてない左側を見てみると、何と幼馴染みの舞ちゃんが駆け寄って来ているのだ!
 「舞・・・・・・ちゃん?」
 驚いている紫音に対して、数日前に紫音と会った下谷先生は顔に手を当てて困っていた。
 「糸風! 戻って来いっ!!」
 「えっ!? でも彼がぁ・・・・・・」
 「でもじゃない! 戻って来いっ!!」
 「あ、はい!」
 舞ちゃんはそう言うと、名残惜しそうな顔をさせながら下谷先生の元へと行く。
 「話さんでええのか?」
 「・・・・・・大丈夫です。行きましょう」
 「それでは出発します」
 日曜なのに、どうして舞ちゃんがここにいるんだろう?
 紫音はそう思いながら走る車の中で周囲の警戒をしていたのであった。
 「まさかあんなところで、お主の幼馴染みに会うとは思っても見なかったわい」
 「・・・・・・そうですね」
 「あの舞って言う女の子と連絡を取らんのか?」
 「あ、今は仕事中なので後で連絡を取ります」
 岡喜社長には申し訳ないけど、僕から舞ちゃんに連絡を取る勇気はない。
 「そうかぁ・・・・・・お主と彼女の問題じゃから、ワシはこれ以上何も言わんよ」
 「・・・・・・はい」
 岡喜社長はそう言うと、家に着くまで何も言わなかった。
 「岡喜社長、着きましたよ」
 「うむ、今日は本当にご苦労じゃった」
 岡喜社長が僕の後に続くようにして降りると、岡喜社長の奥さんが青ざめた表情をさせて近寄って来たのだ。
 「アナタ! 怪我はない?」
 「ああ、大丈夫じゃよ、冴子。PMCのお陰で命拾いをしたからのぉ〜」
 「あの、主人の命を助けて頂き、ありがとうございましたぁ!」
 社長夫人の冴子さんは僕達に向けて頭を下げた。
 「いえ、これが我々の仕事なので気にしないで下さい。契約ここまでとなっておりますが、どうします? 契約の延長を致しますか?」
 「ここまでええよ」
 「えっ!? でも狙われている可能性があるでしょう? 契約の延長をした方が、よろしいんじゃないかしら?」
 「奥様の仰る通りです。まだ狙われている可能性があると思います」
 「お主らはそう言うが、もう安心しても大丈夫じゃよ」
 「どういう事ですか?」
 「PMCの方で実行犯と暗躍していた者達を捕まえたそうじゃ」
 ・・・・・・え? 捕まえた?
 そう思いながら天野さんの顔を見つめると、サッと顔を逸らしたのだ。
 「アマノ・・・・・・まさか?」
 「ああ、別のヤツらが脅迫状の送り主を特定しているのを伝え忘れてたな」
 天野がそう口走った瞬間、紫音達はおにの形相で天野に詰め寄った。
 「アンタまた伝え忘れたのっ!?」
 「そういう事があったんなら、ちゃんとボク達に伝えなきゃダメだよぉっ!!」
 「天野さん僕に散々酷い事言っている癖に! 物忘れが激しいじゃないですかぁっ!!」
 「ああ〜、うるせぇ。さっさと事務所に帰るぞ」
 天野さんはそう言うと、逃げるようにしてピックアップトラックの運転席に座った。
 出た、天野さん得意のその場凌ぎ。
 「お前ら、乗らなきゃ置いて行くぞ」
 「うわぁ〜、車を人質に取りましたよ。この人」
 「自分が不利だからって、その行動は卑怯よアマノ!」
 「そうだよ! ボク達に謝ってからじゃないのっ!!」
 「ハァ〜・・・・・・スマン。これでいいだろう?」
 イヤイヤイヤイヤッ!? 何その誠意が籠っていない謝罪は? しかも、さっさと帰ろうぜ。って訴えている表情を向けて来るので腹が立つ。
 「却下! 気持ちが籠ってないわよっ!!」
 「そうだそうだぁ! せめて 申し訳ありませんでした! って謝罪をするべきだと思う!!」
 「天野さん酷い〜〜〜ッ!!?」
 みんなで抗議をしたら、天野さんはピックアップトラックのエンジンを掛けたのだ。
 「で、どうするんだ?」
 「乗るわ」
 「・・・・・・乗ります」
 「ハァ〜・・・・・・乗るしかないよね」
 渋々と言った感じで車に乗り込んでいる間、岡喜社長が 賑やかじゃのぉ〜。 と言っていたのを紫音だけが聞き逃さなかった。
 「それでは、我々はこの辺でお暇させて頂きます。また何かご依頼があれば、PMCの方まで連絡を下さい!」
 「世話になったのぉ〜」
 「ありがとうございました」
 「お気を付けて!」
 こうして事務所に向けて車を走らせるのだが、車内はギスギスしている。原因は知っての通り、天野であるが本人は気にしていない様子で紫音に話し掛ける。
 「紫音。さっきの子だが。お前の幼馴染みで間違いないか?」
 「合ってますよ、天野さん」
 不貞腐れた表情で答える紫音を気にせずに、天野は真剣な表情で話し掛ける。
 「そうか・・・・・・紫音、悪い事は言わない。あの子とはもう関わるな」
 「関わるな。ってどう言う事ですか?」
 「お前とあの子は同じ世界の人間じゃないからだ。だからそのスマホをしまうんだ」
 天野さんの言葉を聞いた紫音は、タブを閉じてポケットへと入れるのであった。
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