東京PMC’s
サイボーグと紫音の攻防戦
 サイボーグが身体を小刻みに震わせてゆっくりとこっちに向かって来ているだけなのに、底知れない恐怖を肌で感じる。
 「そ、その声はまさか・・・・・・ギリア国王様なのか?」
 「ギリア国王様?」
 リガードさんの顔を見つめてみると、信じられないと言いたそうな顔をしている。
 「ま、間違いない! リガードの言う通り、ギリア国王様じゃ! 戦火の中で死んだ筈じゃが?」
 「死んだ? 国王? おい、一体どういう事なんだ?」
 あのサイボーグが王様?
 「うわっ!?」
 「紫音くん!?」
 天野さんがおじさんに詰め寄っている姿に気を取られていたら、サイボーグに首を掴まれてしまった。
 「ヒュゥゥゥリィィィイイイイイイイイイイイイ・・・・・・」
 「グッ、あ、うっ」
 首を掴んでいる手にどんどん力が込められていく。何とかして取ろうとしているのだが、相手の方が力が強くてビクともしない。
 「止めなさいクアッドッ!! 今すぐその手を離しなさいッ!!」
 「お、思い出した・・・・・・ぞ! 何もかもっ!」
 今度は首を掴んでまま、僕の身体を持ち上げて宙吊りにする。
 「裏切り者の息子めぇぇぇええええええっっっ!! この手で始末してやるぅっ!!?」
 このままじゃ殺される!
 危機感を感じた僕はホルスターから S&W M327 R8 を素早く引き抜き、サイボーグの顔を狙いを定めて1発撃つとサイボーグは顔を押さえてうずくまった。
 「エホッ!? ウエホッ!? エホッ!?」
 「シオンくんっ!?」
 「大丈夫か?」
 「大丈夫、です」
 側に寄って来たリトアさん達にそう言ってからサイボーグを見つめたら、向こうは憤怒の表情でこちらを見つめていた。
 「流石は裏切り者の倅といったところか」
 「裏切り者? 父さんが?」
 そう言ったら、可笑しいのか口元を歪めて笑い出した。
 「フッ、フハハハハハハッ!? その様子だとキサマの父親が、かつて何をしたのか知らない様子だなぁ! キサマの親父は国を、増してや王であるこの我を裏切り国を壊滅させたのだ!」
 「えっ!?」
 お父さんが国を壊滅させただって?
 「紫音、ヤツの言葉に聞く耳を持つんじゃないっ!!」
 オズマさんがそう言うと、サイボーグに向かって H&K M27 IAR を向けてフルオートを叩き込む。周りにいたギャラリーもその光景に危機感を感じて、叫びながら逃げて行ってしまった。
 そして全弾撃ち尽くしたところで、手を顔の前でクロスさせて顔を守っていたサイボーグが、オズマさんの顔を見つめて気づいた様子を見せる。
 「お前はオズマじゃないか。どうしてお前が裏切り者の・・・・・・」
 「黙れ! ヒューリーは裏切り者じゃない! 裏切り者はお前の方じゃ!!」
 「そうか。我に歯向かう気か?」
 「ワシはもうお前に仕えてないっ!!」
 オズマさんはそう言うと、マガジンを差し替えて H&K M27 IAR を構えたところで走って近付いて来ていたサイボーグに銃口を掴まれていた。
 「・・・・・・クッ!?」
 「我に従わないキサマに用はない」
 そう言ってから僕にしたように、オズマさんの首を鷲掴む。
 「キサマもヒューリーの倅と共に殺してやる」
 「オズマ!」
 「今助けるぞ!」
 神崎さんとリガードさんがそう言うとそれぞれの銃でサイボーグ撃つのだが、サイボーグは掴んでいる手を離して躱すのであった。
 「・・・・・・リガード。キサマも随分と老けたなぁ〜」
 「やっぱり、国王だったんですね」
 「我に様を付けないとは、随分と偉くなったなぁ〜?」
 リガードさんも、このサイボーグの知り合い?
 そう思いながらリガードさんの顔を見つめてみると、サイボーグの事を眉をひそめて見つめていた。
 「俺は昔も今も姫様を守る剣であって、アナタの駒じゃない」
 「フンッ! それでも同じ国の者、何故そやつの事を憎まない?」
 「・・・・・・アナタの知った事ではない」
 リガードさんの言葉に対して、サイボーグがニヤリとさせながら答える。
 「フンッ・・・・・・そこの汚らわしい小僧がセイラの忘れ形見だろう」
 「ほざけ死人がぁっ!?」
 そう言い放つと持っている ステアー AUG A3 を構えてサイボーグに狙いと定めてフルオートを叩き込むが、2〜3発は身体に当たったが残りは全て避けられてしまった。
 「何が起こっているのか分からないけど、これはオズマ達に加勢した方がいいんじゃないのかぁ? 天野?」
 「緊急事態なので、発砲の許可を出します。なので、何としてでも暴走しているサイボーグを止めて下さい!」
 物陰に隠れているサラさんがそう言うと、天野さんは真面目な顔をさせながらリュークさん達を見つめる。
 「188とサラが言うように、あのサイボーグが野放しにしていたらヤバイってのが何となくわかるからな。リューク、リトア! あのサイボーグを壊すぞっ!!」
 「あ、うん!」
 「わ、わかったわ!!」
 天野さん達もサイボーグを狙って、撃ち始めた。
 「紫音、呆けてないでお前も撃てっ!!」
 「は、はい!」
 「私もカセイしますっ!!」
 僕はUMP45を構えて撃ち、コニーさんは愛銃の FN SCAR-H を構えてサイボーグに向けて撃つ。しかし、どの弾も決定打にならず堅いボディーに弾かれてしまうが、サイボーグは防ぐのに精一杯なのか腕を顔の前に出している。
 「グゥッ!? 武が悪い・・・・・・んん?」
 サイボーグ見つめたのは何と床に伏せているエルザさんだ。サイボーグはニヤリと不敵な笑みを浮かべるとゆっくりとエルザさんに近づく。
 「ッ!? 全員撃つなっ!? エルザに当たるっ!!」
 神崎さんのその声に、僕を含めた全員が気が付き撃つのを止めた。
 「フハハハハッ!? やはりキサマらは庶民の命を無下に出来んようじゃな!!」
 サイボーグはそう言うと、エルザさんの髪を掴み無理矢理立たせて盾にする。
 「エルザさんっ!?」
 「おっと! 近づいたらこの女の命がどうなるのか、わかっておるだろうなぁ?」
 「うっ!?」
 首をへし折るとでも言いたのか、余った方の手でアゴの下を掴む。そしてそのままゆっくりと、PMC本部の方へ歩き始めた。
 「王よ。その人を離すのじゃ」
 「黙れ。裏切り者の分際で、我に気安く話掛けるでない!」
 「王だか何だか知らねぇが、これ以上暴れんなよ」
 「ホント、話で聞いた通りの人だね」
 リュークさん、この人の事を知っているの?
 「おいお前ら、これは何の騒ぎだっ!! ってこの状況は一体何なんだ? エルザ、お前はどうしてサイボーグに?」
 「主任、そのサイボーグは暴走しています! 私の判断で発砲許可を出しましたっ!!」
 「何だって?」
 工藤さんはショルダーホルスターにしまってある GLOCK19 を引き抜き、サイボーグに構えた。
 「フンッ、そのような銃では我に傷付ける事は出来んな」
 サイボーグが言っている事も一理ある。何せサイボーグは僕達が撃った弾をシャワーのように身体に浴びているのに、傷や凹みがあるけれども身体の中まで貫通していないのだ。
 「エルザ、コイツの弱点はないのか?」
 「顔と関節部分が剥き出しの状態だから、そこを狙えばいいわ!」
 「しかし、キサマは我の脳が損傷すると困るから、頭蓋骨部分を鉄板で固めておるではないか」
 「でも痛いのには変わりはないでしょ?」
 エルザさんはそう言いながら、上着のポケット部分に手を突っ込んで何かをしようとしている。
 「なぁ、アンタ。どうして紫音の事を狙うんだ? 紫音の親父さんに怨みがある訳で、紫音は関係ないだろう?」
 「関係ないだと? キサマァっ!? 忌々しいヒューリーが君主である我に何をしたのかを知らずに、抜かしおって!!」
 「俺はその時の当事者じゃないからな。アンタとヒューリーの間に何があったのかなんて、俺達には知らねぇよ」
 「私も王国が陥落した事と、国王が戦火の中で人知れず亡くなった事以外は聞いてないわ」
 リトアさんがそう言うと、ギリア国王は怪訝そうな顔をする。
 「ほう? つまりヒューリーと我が娘のセイラが、手を組み我を殺そうとしたのを知らぬのか」
 「お父さんとお母さんが、殺そうとした?」
 どういう事? お母さんは知らないけど、お父さんがそんな事をする人じゃ・・・・・・。
 「ならば話してやろう。セイラが、ァァァアアアアアアアアアアアアッッッ!!?」
 サイボーグが突然エルザさんを手放して苦しみ出したのだ!
 「持っていてよかったわ。緊急停止装置」
エルザさんはそう言いながら、ライターのような形のスイッチを僕達に見せて来た。
 「ぎ、ギザマッ!!」
 「私は念には念を入れるタイプよ」
 「グッ、グソ・・・・・・異邦人、め!」
 サイボーグはそう言い残すと、バタリと倒れてしまった。僕達がポカーンと見ている中、エルザさんはサイボーグに近づき、屈んで見下ろす。
 「さてと、このままラボに連れて行って。データを見ないと、ッ!?」
 言葉の途中で復活したかのように起き上がり、エルザさんの手に持っている緊急停止装置を素早く奪うと、床に叩きつけて壊した。
 「油断したなぁ。エルザァ」
 「う、嘘でしょっ!?」
 絶体絶命のピンチだが、緊急停止装置のせいか足取りがおぼつかない。
 「キサマをこの場でズタズタにしてやりたいところだが、ここは撤退した方がいいな」
 サイボーグはそう言うとPMC本部の方へ駆け出した。
 「追うぞっ!!」
 『了解!』
 工藤さんと共にサイボーグを追い掛けようとしたのだが、既に遅くラボにあった刀を持って何処かへと姿を眩ませたのであった。
 「そ、その声はまさか・・・・・・ギリア国王様なのか?」
 「ギリア国王様?」
 リガードさんの顔を見つめてみると、信じられないと言いたそうな顔をしている。
 「ま、間違いない! リガードの言う通り、ギリア国王様じゃ! 戦火の中で死んだ筈じゃが?」
 「死んだ? 国王? おい、一体どういう事なんだ?」
 あのサイボーグが王様?
 「うわっ!?」
 「紫音くん!?」
 天野さんがおじさんに詰め寄っている姿に気を取られていたら、サイボーグに首を掴まれてしまった。
 「ヒュゥゥゥリィィィイイイイイイイイイイイイ・・・・・・」
 「グッ、あ、うっ」
 首を掴んでいる手にどんどん力が込められていく。何とかして取ろうとしているのだが、相手の方が力が強くてビクともしない。
 「止めなさいクアッドッ!! 今すぐその手を離しなさいッ!!」
 「お、思い出した・・・・・・ぞ! 何もかもっ!」
 今度は首を掴んでまま、僕の身体を持ち上げて宙吊りにする。
 「裏切り者の息子めぇぇぇええええええっっっ!! この手で始末してやるぅっ!!?」
 このままじゃ殺される!
 危機感を感じた僕はホルスターから S&W M327 R8 を素早く引き抜き、サイボーグの顔を狙いを定めて1発撃つとサイボーグは顔を押さえてうずくまった。
 「エホッ!? ウエホッ!? エホッ!?」
 「シオンくんっ!?」
 「大丈夫か?」
 「大丈夫、です」
 側に寄って来たリトアさん達にそう言ってからサイボーグを見つめたら、向こうは憤怒の表情でこちらを見つめていた。
 「流石は裏切り者の倅といったところか」
 「裏切り者? 父さんが?」
 そう言ったら、可笑しいのか口元を歪めて笑い出した。
 「フッ、フハハハハハハッ!? その様子だとキサマの父親が、かつて何をしたのか知らない様子だなぁ! キサマの親父は国を、増してや王であるこの我を裏切り国を壊滅させたのだ!」
 「えっ!?」
 お父さんが国を壊滅させただって?
 「紫音、ヤツの言葉に聞く耳を持つんじゃないっ!!」
 オズマさんがそう言うと、サイボーグに向かって H&K M27 IAR を向けてフルオートを叩き込む。周りにいたギャラリーもその光景に危機感を感じて、叫びながら逃げて行ってしまった。
 そして全弾撃ち尽くしたところで、手を顔の前でクロスさせて顔を守っていたサイボーグが、オズマさんの顔を見つめて気づいた様子を見せる。
 「お前はオズマじゃないか。どうしてお前が裏切り者の・・・・・・」
 「黙れ! ヒューリーは裏切り者じゃない! 裏切り者はお前の方じゃ!!」
 「そうか。我に歯向かう気か?」
 「ワシはもうお前に仕えてないっ!!」
 オズマさんはそう言うと、マガジンを差し替えて H&K M27 IAR を構えたところで走って近付いて来ていたサイボーグに銃口を掴まれていた。
 「・・・・・・クッ!?」
 「我に従わないキサマに用はない」
 そう言ってから僕にしたように、オズマさんの首を鷲掴む。
 「キサマもヒューリーの倅と共に殺してやる」
 「オズマ!」
 「今助けるぞ!」
 神崎さんとリガードさんがそう言うとそれぞれの銃でサイボーグ撃つのだが、サイボーグは掴んでいる手を離して躱すのであった。
 「・・・・・・リガード。キサマも随分と老けたなぁ〜」
 「やっぱり、国王だったんですね」
 「我に様を付けないとは、随分と偉くなったなぁ〜?」
 リガードさんも、このサイボーグの知り合い?
 そう思いながらリガードさんの顔を見つめてみると、サイボーグの事を眉をひそめて見つめていた。
 「俺は昔も今も姫様を守る剣であって、アナタの駒じゃない」
 「フンッ! それでも同じ国の者、何故そやつの事を憎まない?」
 「・・・・・・アナタの知った事ではない」
 リガードさんの言葉に対して、サイボーグがニヤリとさせながら答える。
 「フンッ・・・・・・そこの汚らわしい小僧がセイラの忘れ形見だろう」
 「ほざけ死人がぁっ!?」
 そう言い放つと持っている ステアー AUG A3 を構えてサイボーグに狙いと定めてフルオートを叩き込むが、2〜3発は身体に当たったが残りは全て避けられてしまった。
 「何が起こっているのか分からないけど、これはオズマ達に加勢した方がいいんじゃないのかぁ? 天野?」
 「緊急事態なので、発砲の許可を出します。なので、何としてでも暴走しているサイボーグを止めて下さい!」
 物陰に隠れているサラさんがそう言うと、天野さんは真面目な顔をさせながらリュークさん達を見つめる。
 「188とサラが言うように、あのサイボーグが野放しにしていたらヤバイってのが何となくわかるからな。リューク、リトア! あのサイボーグを壊すぞっ!!」
 「あ、うん!」
 「わ、わかったわ!!」
 天野さん達もサイボーグを狙って、撃ち始めた。
 「紫音、呆けてないでお前も撃てっ!!」
 「は、はい!」
 「私もカセイしますっ!!」
 僕はUMP45を構えて撃ち、コニーさんは愛銃の FN SCAR-H を構えてサイボーグに向けて撃つ。しかし、どの弾も決定打にならず堅いボディーに弾かれてしまうが、サイボーグは防ぐのに精一杯なのか腕を顔の前に出している。
 「グゥッ!? 武が悪い・・・・・・んん?」
 サイボーグ見つめたのは何と床に伏せているエルザさんだ。サイボーグはニヤリと不敵な笑みを浮かべるとゆっくりとエルザさんに近づく。
 「ッ!? 全員撃つなっ!? エルザに当たるっ!!」
 神崎さんのその声に、僕を含めた全員が気が付き撃つのを止めた。
 「フハハハハッ!? やはりキサマらは庶民の命を無下に出来んようじゃな!!」
 サイボーグはそう言うと、エルザさんの髪を掴み無理矢理立たせて盾にする。
 「エルザさんっ!?」
 「おっと! 近づいたらこの女の命がどうなるのか、わかっておるだろうなぁ?」
 「うっ!?」
 首をへし折るとでも言いたのか、余った方の手でアゴの下を掴む。そしてそのままゆっくりと、PMC本部の方へ歩き始めた。
 「王よ。その人を離すのじゃ」
 「黙れ。裏切り者の分際で、我に気安く話掛けるでない!」
 「王だか何だか知らねぇが、これ以上暴れんなよ」
 「ホント、話で聞いた通りの人だね」
 リュークさん、この人の事を知っているの?
 「おいお前ら、これは何の騒ぎだっ!! ってこの状況は一体何なんだ? エルザ、お前はどうしてサイボーグに?」
 「主任、そのサイボーグは暴走しています! 私の判断で発砲許可を出しましたっ!!」
 「何だって?」
 工藤さんはショルダーホルスターにしまってある GLOCK19 を引き抜き、サイボーグに構えた。
 「フンッ、そのような銃では我に傷付ける事は出来んな」
 サイボーグが言っている事も一理ある。何せサイボーグは僕達が撃った弾をシャワーのように身体に浴びているのに、傷や凹みがあるけれども身体の中まで貫通していないのだ。
 「エルザ、コイツの弱点はないのか?」
 「顔と関節部分が剥き出しの状態だから、そこを狙えばいいわ!」
 「しかし、キサマは我の脳が損傷すると困るから、頭蓋骨部分を鉄板で固めておるではないか」
 「でも痛いのには変わりはないでしょ?」
 エルザさんはそう言いながら、上着のポケット部分に手を突っ込んで何かをしようとしている。
 「なぁ、アンタ。どうして紫音の事を狙うんだ? 紫音の親父さんに怨みがある訳で、紫音は関係ないだろう?」
 「関係ないだと? キサマァっ!? 忌々しいヒューリーが君主である我に何をしたのかを知らずに、抜かしおって!!」
 「俺はその時の当事者じゃないからな。アンタとヒューリーの間に何があったのかなんて、俺達には知らねぇよ」
 「私も王国が陥落した事と、国王が戦火の中で人知れず亡くなった事以外は聞いてないわ」
 リトアさんがそう言うと、ギリア国王は怪訝そうな顔をする。
 「ほう? つまりヒューリーと我が娘のセイラが、手を組み我を殺そうとしたのを知らぬのか」
 「お父さんとお母さんが、殺そうとした?」
 どういう事? お母さんは知らないけど、お父さんがそんな事をする人じゃ・・・・・・。
 「ならば話してやろう。セイラが、ァァァアアアアアアアアアアアアッッッ!!?」
 サイボーグが突然エルザさんを手放して苦しみ出したのだ!
 「持っていてよかったわ。緊急停止装置」
エルザさんはそう言いながら、ライターのような形のスイッチを僕達に見せて来た。
 「ぎ、ギザマッ!!」
 「私は念には念を入れるタイプよ」
 「グッ、グソ・・・・・・異邦人、め!」
 サイボーグはそう言い残すと、バタリと倒れてしまった。僕達がポカーンと見ている中、エルザさんはサイボーグに近づき、屈んで見下ろす。
 「さてと、このままラボに連れて行って。データを見ないと、ッ!?」
 言葉の途中で復活したかのように起き上がり、エルザさんの手に持っている緊急停止装置を素早く奪うと、床に叩きつけて壊した。
 「油断したなぁ。エルザァ」
 「う、嘘でしょっ!?」
 絶体絶命のピンチだが、緊急停止装置のせいか足取りがおぼつかない。
 「キサマをこの場でズタズタにしてやりたいところだが、ここは撤退した方がいいな」
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