東京PMC’s
紫音と顔の知った転校生
 翌朝授業を再開した学校へやって来て自分の席に座った。
 「おはようございます、紫音さん」
 「おはよう、真奈美さん」
 真奈美さんが僕のところへ来て、和かな笑みで挨拶をしてくれる。
 「昨日のお仕事の方はどうでしたか?」
 「あれ? 真奈美さん、何で知っているの?」
 PMCの仕事とバイトのシフトが重なってなかったので、何の連絡もしていなかった筈なんだけどなぁ〜。
 「お父上から聞いたのですよ。紫音さんは昨日は仕事があるって」
 情報屋の情報力は侮れないと今知った。
 「うん。まぁ、基本的に暇だったよ」
 「暇、ですか?」
 「うん、アメリカから持って来たサイボーグの試験導入の護衛がメインだったから、敵も倒さず周囲を警戒しているだけだった。あ! 後はサイボーグが倒したモンスターの死体処理ぐらい」
 僕がそう言うと真奈美さんは、ちょっと驚いた顔をさせた。
 「そうだったのですか。そのサイボーグはどんな格好をしていましたか」
 「う〜んとぉ・・・・・・全身、て言うかメイン色が黒で姿がカッコイイ。後は真っ直ぐな刀で、モンスターを1人で斬り倒していたよ」
 「まぁまぁ、凄く強いのですね。ところで紫音さん、今日留学生がこの学校に来るのをご存知ですか?」
 「ああ、うん。工藤さんから聞いたよ。て言うよりも、本人と会って話した」
 僕がそう言うと周囲のざわついた。
 「あら、そうなのですか? どんな感じの子だったんですか?」
 「女の子で金髪でオッドアイの女の子だったよ。PMC本部で働いているサラさんの甥っ子みたい」
 「そうなのですかぁ」
 真奈美さんは顎に右手を当てて考える姿をするが、周囲にいるクラスメイト達は僕の言葉に盛り上がっている。
 「僕と同じクラスに来るから、後の事は本人に聞いてみて」
 「わかりました、紫音さん。ところでアナタの叔父と会いましたか?」
 「うん、会ったよ。それで僕の左腕の長さを計ったよ」
 「ああ、例の渡したい物の寸法ですね」
 真奈美さん、もしかして。
 「叔父さんが渡したい物を知っているんですか?」
 「ええ、ご存知ですよ。実際に作っているところを見ましたから」
 「えっ!?」
 僕が驚いていると、真奈美さんはその反応が面白いのか クスリッ と笑った。
 「おじさんがどんな物を作っているのか、教えて欲しいです」
 「そうですねぇ〜。アナタの叔父が作っているのはぁ〜・・・・・・」
 そう言ってから顔を目の前まで近づけて行くので、ドキッとしてしまう。
 「そ、それは?」
 「・・・・・・秘密です」
 「えっ!?」
 何で秘密なの?
 「アナタの叔父さんとの約束でもあるので、私の口からは話せません」
 「そう、なんですかぁ」
 「そんな残念そうな顔をさせなくてもいいですよ。今日中にはアナタの元へ持って来ると思いますから」
 「はぁ・・・・・・そうですか」
 僕がそう言ったところで予鈴が鳴って筒城先生が留学生と共に入って来た。
 「全員席に着いて、ホームルームを始めるわ」
 筒城先生はそう言いながら教壇に立つとクラス全体を見渡すが、僕と目が合った瞬間にサッと目を逸らした。やっぱり、僕の事を恐れているのかもしれない。
 それとは反対にコニーさんは顔をニコニコとさせながら、僕の事を見つめて来る。
 「今日からしばらくの間だけ、このクラスに留学生が入る事になりました。コニーさん、みんなに挨拶をして下さい」
 「私のナマエは コニー・エドワーズ です! アメリカで育ちました! シオンと同じ、PMCとしてカツドウしていまぁ〜す! 皆さん、ヨロシクです!」
 彼女がそう紹介すると、クラスメイトが騒ついた。
 「しーずーかーに! 質問がある人は手を上げて!」
 「ハイッ!」
 「はい、上村さん!」
 筒城先生がそう言うとクラスの女子の上村さんが立ち上がり、コニーさんに質問をする。
 「コニーさんはPMCとして活動しているんですよね?」
 「ハイ、ニューヨークでカツドウをしていました!」
 「じゃあ、コニーさんはどんな銃を使っているんですか?」
 興味があると思ったのか、笑顔で上村さんに答える。
 「私が使っているのは、 FN SCAR-H をスナイパーカスタムしたのと、セカンダリーに S&W M&P9 です!」
 「・・・・・・スカー? エ、エムアンド?」
 目を点にしてそう言う彼女に、ちょっと僕と真奈美さんは呆れていた。
 銃の種類がわかりもしないのに、聞くからそうなるんだよ。
 「SCAR-Hのスナイパーカスタムって事は、コニーさんはポイントマンの僕と違ってマークスマンなのかな?」
 「聞く限り紫音さんのご想像通りだと思いますよ」
 「一緒に組めたら頼もしいだろうなぁ〜」
 「PMCなのですから、チームを組める事がありますよ」
 そんなやり取りをしていると、僕の前にいる男子学生がこっちを向いて話し掛けて来た。
 「なぁなぁ、FNスカーとか何とかナインとか何なの?」
 「FN SCAR-Hは7.62×51mm弾を使うバトルライフルで、 S&W M&P9 は9mmパラベラムを使うハンドガンの事だよ」
 「スナイパーって言うから、遠くの敵を撃ち抜いて倒すのか?」
 「まぁそれも一つの仕事だけど、基本的には偵察や他の部隊が進む先を遠くの場所から見て安全確認をしたり、安全なルートへ誘導。そして危険の排除をするのが基本的な仕事かな」
 役割も講習の時に教わりました。
 「それにスナイパーは誰でもなれるものじゃないのですよ」
 「そうなのか?」
 真奈美さんにそう言ってから、僕の方を向いて来る。何故僕に聞こうとするんだろう?
 「う、うん。高い射撃精度はもちろんの事、集中力、気温や風速。それに距離に基づいて着弾点の予想。それに隠密行動が出来ないとスナイパーにはなれないんだ。
 PMCでもスナイパー訓練は希望すれば出来るけど、6割以上は挫折して止めてしまうほど厳しい」
 だから大抵の人はかライフルマンかガンナーになる人が多い。でも、必要となればマークスマンになる事がある。スナイパーライフルをメインで使うのであれば訓練をした方がいいらしい。
  「マジかよ。スナイパーって大変なんだな」
 「彼女はその厳しい訓練に受かったのか、もしくは自己流の方なのかなぁ?」
 「シオン、私は厳しいクンレンに合格しましたよ! しかも14歳という史上最年少なので、家族はとても喜んでいましたぁ!」
 「えっ!?」
 今の話、聞こえていたの?
 「ああ〜、他に質問はないか?」
 「はい!」
 「はい、村田!」
 男子学生が立ち上がり、コニーさんに質問をぶつける。
 「好みの男性を教えて下さい!」
 「好みのダンセイですかぁ。う〜んとぉ・・・・・・」
 そう言いながらクラス全員の顔を見つめると、村田を見つめる。
 「シオンのような、モフモフな人が好みです! ミミとかシッポを触ってみたいです!」
 「えっ!? 羽田空港で会った時は興味なさそうな顔をしていませんでしたか?」
 「あの時はオネエちゃんがシオンに触っていたから、チャンスがなくて残念だったのです!」
 サラさん恐いぐらいに触って来たからなぁ〜。おかげてヘロヘロだったよぉ。
 「コニーさんのお姉さん?」
 「その人にモフモフされたぁ?」
 「しかも、耳や尻尾に触りたいなんて・・・・・・」
 クラスの男子達が僕の事を睨んで来てる。こ、恐い。
 「あ、その気持ちはわかるかも!」
 「何か気持ちよさそうだよね!」
 「あの尻尾をブラシでお手入れしてあげたいなぁ〜!」
 クラスの女子達がそう言うと、男子達の顔が一層険しくなった。
 火に油を注いでいるぅぅぅううううううっっっ!!?
 「時間もないので質問はこの辺にしておきましょう。えっとぉ〜、アナタの席はぁ〜・・・・・・」
 「シオンの隣がいいです!」
 「え?」
 コニーさんの言葉に全員が固まったが、コニーさんは気にせずに真奈美さんとは反対側の女子の元へと向かう。
 「あの、退いて頂けませんか?」
 「え、いや。でもぉ〜・・・・・・」
 「伊勢さん、退いてあげて」
 「あ、はい」
 伊勢さんは先生の指示に素直に従い、コニーさんに席を譲った。そして譲って貰ったコニーさんは、顔をニコニコさせながらそこに座った。
 「これからヨロシクね。シオン!」
 「こ、こちらこそ。よろしくお願いします」
 痛い視線を受けながら、コニーさんにそう答えたのであった。
 「おはようございます、紫音さん」
 「おはよう、真奈美さん」
 真奈美さんが僕のところへ来て、和かな笑みで挨拶をしてくれる。
 「昨日のお仕事の方はどうでしたか?」
 「あれ? 真奈美さん、何で知っているの?」
 PMCの仕事とバイトのシフトが重なってなかったので、何の連絡もしていなかった筈なんだけどなぁ〜。
 「お父上から聞いたのですよ。紫音さんは昨日は仕事があるって」
 情報屋の情報力は侮れないと今知った。
 「うん。まぁ、基本的に暇だったよ」
 「暇、ですか?」
 「うん、アメリカから持って来たサイボーグの試験導入の護衛がメインだったから、敵も倒さず周囲を警戒しているだけだった。あ! 後はサイボーグが倒したモンスターの死体処理ぐらい」
 僕がそう言うと真奈美さんは、ちょっと驚いた顔をさせた。
 「そうだったのですか。そのサイボーグはどんな格好をしていましたか」
 「う〜んとぉ・・・・・・全身、て言うかメイン色が黒で姿がカッコイイ。後は真っ直ぐな刀で、モンスターを1人で斬り倒していたよ」
 「まぁまぁ、凄く強いのですね。ところで紫音さん、今日留学生がこの学校に来るのをご存知ですか?」
 「ああ、うん。工藤さんから聞いたよ。て言うよりも、本人と会って話した」
 僕がそう言うと周囲のざわついた。
 「あら、そうなのですか? どんな感じの子だったんですか?」
 「女の子で金髪でオッドアイの女の子だったよ。PMC本部で働いているサラさんの甥っ子みたい」
 「そうなのですかぁ」
 真奈美さんは顎に右手を当てて考える姿をするが、周囲にいるクラスメイト達は僕の言葉に盛り上がっている。
 「僕と同じクラスに来るから、後の事は本人に聞いてみて」
 「わかりました、紫音さん。ところでアナタの叔父と会いましたか?」
 「うん、会ったよ。それで僕の左腕の長さを計ったよ」
 「ああ、例の渡したい物の寸法ですね」
 真奈美さん、もしかして。
 「叔父さんが渡したい物を知っているんですか?」
 「ええ、ご存知ですよ。実際に作っているところを見ましたから」
 「えっ!?」
 僕が驚いていると、真奈美さんはその反応が面白いのか クスリッ と笑った。
 「おじさんがどんな物を作っているのか、教えて欲しいです」
 「そうですねぇ〜。アナタの叔父が作っているのはぁ〜・・・・・・」
 そう言ってから顔を目の前まで近づけて行くので、ドキッとしてしまう。
 「そ、それは?」
 「・・・・・・秘密です」
 「えっ!?」
 何で秘密なの?
 「アナタの叔父さんとの約束でもあるので、私の口からは話せません」
 「そう、なんですかぁ」
 「そんな残念そうな顔をさせなくてもいいですよ。今日中にはアナタの元へ持って来ると思いますから」
 「はぁ・・・・・・そうですか」
 僕がそう言ったところで予鈴が鳴って筒城先生が留学生と共に入って来た。
 「全員席に着いて、ホームルームを始めるわ」
 筒城先生はそう言いながら教壇に立つとクラス全体を見渡すが、僕と目が合った瞬間にサッと目を逸らした。やっぱり、僕の事を恐れているのかもしれない。
 それとは反対にコニーさんは顔をニコニコとさせながら、僕の事を見つめて来る。
 「今日からしばらくの間だけ、このクラスに留学生が入る事になりました。コニーさん、みんなに挨拶をして下さい」
 「私のナマエは コニー・エドワーズ です! アメリカで育ちました! シオンと同じ、PMCとしてカツドウしていまぁ〜す! 皆さん、ヨロシクです!」
 彼女がそう紹介すると、クラスメイトが騒ついた。
 「しーずーかーに! 質問がある人は手を上げて!」
 「ハイッ!」
 「はい、上村さん!」
 筒城先生がそう言うとクラスの女子の上村さんが立ち上がり、コニーさんに質問をする。
 「コニーさんはPMCとして活動しているんですよね?」
 「ハイ、ニューヨークでカツドウをしていました!」
 「じゃあ、コニーさんはどんな銃を使っているんですか?」
 興味があると思ったのか、笑顔で上村さんに答える。
 「私が使っているのは、 FN SCAR-H をスナイパーカスタムしたのと、セカンダリーに S&W M&P9 です!」
 「・・・・・・スカー? エ、エムアンド?」
 目を点にしてそう言う彼女に、ちょっと僕と真奈美さんは呆れていた。
 銃の種類がわかりもしないのに、聞くからそうなるんだよ。
 「SCAR-Hのスナイパーカスタムって事は、コニーさんはポイントマンの僕と違ってマークスマンなのかな?」
 「聞く限り紫音さんのご想像通りだと思いますよ」
 「一緒に組めたら頼もしいだろうなぁ〜」
 「PMCなのですから、チームを組める事がありますよ」
 そんなやり取りをしていると、僕の前にいる男子学生がこっちを向いて話し掛けて来た。
 「なぁなぁ、FNスカーとか何とかナインとか何なの?」
 「FN SCAR-Hは7.62×51mm弾を使うバトルライフルで、 S&W M&P9 は9mmパラベラムを使うハンドガンの事だよ」
 「スナイパーって言うから、遠くの敵を撃ち抜いて倒すのか?」
 「まぁそれも一つの仕事だけど、基本的には偵察や他の部隊が進む先を遠くの場所から見て安全確認をしたり、安全なルートへ誘導。そして危険の排除をするのが基本的な仕事かな」
 役割も講習の時に教わりました。
 「それにスナイパーは誰でもなれるものじゃないのですよ」
 「そうなのか?」
 真奈美さんにそう言ってから、僕の方を向いて来る。何故僕に聞こうとするんだろう?
 「う、うん。高い射撃精度はもちろんの事、集中力、気温や風速。それに距離に基づいて着弾点の予想。それに隠密行動が出来ないとスナイパーにはなれないんだ。
 PMCでもスナイパー訓練は希望すれば出来るけど、6割以上は挫折して止めてしまうほど厳しい」
 だから大抵の人はかライフルマンかガンナーになる人が多い。でも、必要となればマークスマンになる事がある。スナイパーライフルをメインで使うのであれば訓練をした方がいいらしい。
  「マジかよ。スナイパーって大変なんだな」
 「彼女はその厳しい訓練に受かったのか、もしくは自己流の方なのかなぁ?」
 「シオン、私は厳しいクンレンに合格しましたよ! しかも14歳という史上最年少なので、家族はとても喜んでいましたぁ!」
 「えっ!?」
 今の話、聞こえていたの?
 「ああ〜、他に質問はないか?」
 「はい!」
 「はい、村田!」
 男子学生が立ち上がり、コニーさんに質問をぶつける。
 「好みの男性を教えて下さい!」
 「好みのダンセイですかぁ。う〜んとぉ・・・・・・」
 そう言いながらクラス全員の顔を見つめると、村田を見つめる。
 「シオンのような、モフモフな人が好みです! ミミとかシッポを触ってみたいです!」
 「えっ!? 羽田空港で会った時は興味なさそうな顔をしていませんでしたか?」
 「あの時はオネエちゃんがシオンに触っていたから、チャンスがなくて残念だったのです!」
 サラさん恐いぐらいに触って来たからなぁ〜。おかげてヘロヘロだったよぉ。
 「コニーさんのお姉さん?」
 「その人にモフモフされたぁ?」
 「しかも、耳や尻尾に触りたいなんて・・・・・・」
 クラスの男子達が僕の事を睨んで来てる。こ、恐い。
 「あ、その気持ちはわかるかも!」
 「何か気持ちよさそうだよね!」
 「あの尻尾をブラシでお手入れしてあげたいなぁ〜!」
 クラスの女子達がそう言うと、男子達の顔が一層険しくなった。
 火に油を注いでいるぅぅぅううううううっっっ!!?
 「時間もないので質問はこの辺にしておきましょう。えっとぉ〜、アナタの席はぁ〜・・・・・・」
 「シオンの隣がいいです!」
 「え?」
 コニーさんの言葉に全員が固まったが、コニーさんは気にせずに真奈美さんとは反対側の女子の元へと向かう。
 「あの、退いて頂けませんか?」
 「え、いや。でもぉ〜・・・・・・」
 「伊勢さん、退いてあげて」
 「あ、はい」
 伊勢さんは先生の指示に素直に従い、コニーさんに席を譲った。そして譲って貰ったコニーさんは、顔をニコニコさせながらそこに座った。
 「これからヨロシクね。シオン!」
 「こ、こちらこそ。よろしくお願いします」
 痛い視線を受けながら、コニーさんにそう答えたのであった。
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