東京PMC’s
紫音と筒城先生との再会
 次の日の朝。事務所の玄関で靴を履いた後にリュークさん達に顔を向ける。
 「行って来ます」
 「気を付けてねぇ!」
 「昨日も言ったけど、何かあったら駆け付けるから安心してて」
 昨日と違っているところは安全の為にUMPを入れたガンケースを背負っている点だけで、後はいつも通りの武装をしているのだけれども、安心出来ないです。リトアさん、僕外へ出たくないです。
 昨日の犯人との銃撃戦を思い出して、ドアノブを握ったまま身震いしてしまう。
 「さっさと行け紫音」
 「え、でも・・・・・・」
 いつまた襲われるか、わからないし。
 「でも。じゃねぇよ。負傷した状態で閉鎖区域に逃げたんだから、しばらくは来ねぇよ」
 「本当ですか?」
 「まぁ、あくまでも俺の予想ではの話だけどな。それにお前だって銃を持っているんだ。なら大丈夫だろう?」
 「確かにそれはそうですけどぉ〜・・・・・・」
 相手はAKにドラムマガジンを付けていて、所構わず撃つからある意味恐い。
 「いいから、遅刻する前に行け」
 天野さんがそう言いながら僕に近づくと、ドアを開いて僕を押し出してドアを閉めた。
 「天野さんの鬼っ!!」
 振り返りそう言い放ったが、何も言い返して来なかった。なので仕方なく学校に向かう事にした。
 どうしてこんな事になったんだろう? もういっその事、高校まで駆け抜けようかな?
 「うおおおおおおぉぉぉんっ!?」
 「ん?」
 何だろう、この泣き声は?
 泣き声のする方向に顔を向けると、小太り気味のおじさんが車庫の中で膝を着いて泣いていた。
 「フゥゥゥ〜〜〜〜〜〜ガァァァ〜〜〜〜〜〜っ!!?」
 「社長、悲しいのはわかるッスけどぉ、そろそろお仕事に行くッスよ」
 「でも・・・・・・でも愛車がぁっ!」
 おじさんがそう言いながら、落としたメガネを探すような感じに地面をペタペタ触っていた。
 「昨日 吹っ切った。 って言ってたじゃないッスか。あの言葉は嘘だったんスか?」
 「そのつもりだった・・・・・・そのつもりだったんだ! でもここを見ると。う、うわぁぁぁああああああんっっっ!!? フゥ〜〜〜ガちゃぁぁぁ〜〜〜〜〜〜ん!!」
 おじさんはそう言うと蹲るようにして、また泣き出した。
 「ハァ〜・・・・・・しばらく休業って事にするッス」
 痩せ型のおじさんがそう言うとスマートフォンに操作して、誰かに電話を掛けて話し始めた。
 「見てママ! あのおじさん、今度は泣いてるよ!」
 「しぃ〜! こら、指をさしてはいけませんよっ!」
 母親はそう言うと、子供の手を引っ張り、逃げるようにして何処かへと行ってしまう。
 僕も行こう。
 紫音自身も目を付けられたくないので、注意深く周囲を見渡しながら高校へと向かった。
 「うぅ〜〜〜ん・・・・・・いない」
 犯人の人影どころか、臭いすらしない。天野さんの言う通り本当に大丈夫なのかもしれない。
 「そういえば、昨日よりも警察官が多い気がする」
 そう、高校の近くまで来たところで、警察車両とバイクが巡回しているのか3〜4回ぐらいすれ違った上に十字路とかに警察官が立っていて、僕の事をジィーッと見つめて来ていた。
 悪い事をしてないのに警察官に見つめられると、胃が痛くなって来たよぉ・・・・・・こんな思いをするなら天野さん達と一緒に戦ってた方がマシに思えて来たぁ。
 胃痛に耐えつつ歩いて行き、何とか高校に着いたのだが、校門の目の前に人集りが出来ていたので思わず足を止めてしまった。
 何あれ?
 デッカイカメラを肩に背負った男性とスーツ姿の女性がマイクを手にした女性、それにボイスレコーダーを持った人がまばらに集まっていた。
 その光景をポカーンと見つめていたら肩を軽く叩かれたので、 何だろう? と思いながら後ろを振り向いたら、リガードさんがそこにいた。
 「リガードさん?」
 「シオン、こっちに来い」
 「わぁっ!?」
僕の手を握ったリガードさんは脇道へと連れて行くと、停車しているシルバーのクラウン脇で止まり、辺りを見回してからドアウィンドをコンコンッと軽く叩いた。そしたらドアウィンドを下げた。
 「あっ!? 唯凪さん!」
 僕がそう言うと、唯凪さんはニッコリと喜んだ顔で僕を見つめる。
 「おお、覚えていてくれたんだ。ありがとうね」
 「あ、はい」
 あの時の印象が強かったから、名前を覚えてしまっていた。
 「キミも登校時間があるから手短に話そう。ちゃんと話しを聞くようにね」
 「あ、はい!」
 「筒城さんの身を守る為に、我々警察官はここにいるだ。筒城さんの身に何かあればキミ達PMCに、頼る事を覚えていてね」
 「えっ!? 筒城先生が学校に来ているんですか?」
 僕がそう言うと、唯凪さんは頷いた。
 「それって危ないんじゃないんですか?」
 犯人に狙われているかもしれない僕が言うのも何だけど、筒城先生はいつ何処で犯人に襲われても、おかしくない。だから警察署とかで保護して貰った方がいいと思う。
 「流石にね。上の人達に “そこまで出来ない。” と言われちゃったから、仕方のない事なんだよ」
 「どう言う事ですか?」
 「つまり、こうやって彼女の近くにいて、身を守ってあげる事までしか出来ないって事だよ」
 「えっ!?」
 これじゃまるで筒城先生が、犯人をおびき出す為の囮みたいじゃ・・・・・・。
 「だから紫音くん、この中で筒城さんに一番近いのはキミだから、彼女に何かあった時は頼んだよ」
 「は、はい」
 真剣な顔付きで言われたので僕はちょっと恐がりながら返事をした。
 「それでよし。キミ、もしくは筒城さんに何かあったら、こっちに連絡が来るからね。
 あっ! そうそう。報道人の中をかき分けて入るのは難しいでしょ。向こうの裏口を開けて貰っているから、そこから学校に入って行きなさい」
「わかりました! ありがとうございます!」
 唯凪さんに頭を下げながらお礼を述べると、指をさしていた裏口の方へと向かって走る。
 「勉強を頑張るんだよぉ!」
 その声を背にした後に道の角で顔を覗かせて、報道人がいないかどうか確認をした。
 「右よし。左よし。いない」
 報道人と犯人がいない事を確認したところで、十字路へ出て裏門へと向かう。
 「おはよう・・・・・・」
 「おはようございます!」
 ちょっとお疲れ気味の先生に挨拶しながら学校へ入り、教室へと向かう。
 「おはようございます、紫音さん」
 真奈美さんはそう言うと僕の横の席に座り、ニッコリと微笑む。
 「おはよう、真奈美さん」
 「昨日は大変な目に会いましたね」
 「うん。僕自身もまさかあんな事に巻き込まれるとは、思っても見なかったよ。筒城先生が学校にいるって警察の人に聞いたんだけど、真奈美さんは見掛けてない?」
 僕がそう聞くと、真奈美さんは ああ〜・・・・・・。 と言ってから、何か考えるそぶりをさせながら、そっぽを向いた後にこっちを見つめた。
 「筒城先生でしたら、今職員室にいる筈ですよ」
 「そうなんだ」
 「ただ、個人的に申しますと、犯人に狙われているのに学校向かわせるのは、些か問題があると思います。
 現に筒城先生のお顔が優れてませんし」
 昨日あんな目にあったのだから、怯えてしまっても仕方のない事だろう。
 「そう言えば、お父上が紫音様にお店に寄って頂きたいと申しておりました」
 「真里亞さんが?」
 「はい」
 しばらくの間はお店を手伝えない。って伝えたのに。
 「紫音様、そう考え込まなくても大丈夫ですよ。お父上はアナタ様に、あるものを渡したいそうですから」
 「あるもの? それって何?」
 「それは・・・・・・」
 顔を目の前までずいっと近づけて来たので、ドキッとしてしまった。
 「そ、それは?」
 「その時のお楽しみです。それとそろそろホームルームが始まりますよ」
 腕に付けているスマートウォッチを確認して見ると、8時29分を示していた。
 「あ、本当だ」
 そう言った瞬間に予鈴が鳴り、筒城先生が入って来た。
 「みんな席に着いて。ホームルームを始めるから」
 クラスメイト達が筒城先生に言われた通り、自分の席へと座る。筒城先生は全員が席に座ったのを確認するとホームルームを始めるが、自分が犯人に殺されるかもしれないというストレスのせいか、昨日のような元気がない。
 「先生からの話は以上です。誰か質問はありますか?」
「はい、先生」
 「はい、何ですか紫音くん」
 「僕から聞きたい事があるので、お昼時間を開けて貰えませんか?」
 僕がそう言うと、筒城先生はサッと目を逸らしてから話し始める。
 「ゴメンなさい。先生も忙しいから、時間を開けられないの。これでホームルームを終わりにします」
 筒城先生はそう言うと、逃げるようにして教室を出て行ってしまった。
 「行って来ます」
 「気を付けてねぇ!」
 「昨日も言ったけど、何かあったら駆け付けるから安心してて」
 昨日と違っているところは安全の為にUMPを入れたガンケースを背負っている点だけで、後はいつも通りの武装をしているのだけれども、安心出来ないです。リトアさん、僕外へ出たくないです。
 昨日の犯人との銃撃戦を思い出して、ドアノブを握ったまま身震いしてしまう。
 「さっさと行け紫音」
 「え、でも・・・・・・」
 いつまた襲われるか、わからないし。
 「でも。じゃねぇよ。負傷した状態で閉鎖区域に逃げたんだから、しばらくは来ねぇよ」
 「本当ですか?」
 「まぁ、あくまでも俺の予想ではの話だけどな。それにお前だって銃を持っているんだ。なら大丈夫だろう?」
 「確かにそれはそうですけどぉ〜・・・・・・」
 相手はAKにドラムマガジンを付けていて、所構わず撃つからある意味恐い。
 「いいから、遅刻する前に行け」
 天野さんがそう言いながら僕に近づくと、ドアを開いて僕を押し出してドアを閉めた。
 「天野さんの鬼っ!!」
 振り返りそう言い放ったが、何も言い返して来なかった。なので仕方なく学校に向かう事にした。
 どうしてこんな事になったんだろう? もういっその事、高校まで駆け抜けようかな?
 「うおおおおおおぉぉぉんっ!?」
 「ん?」
 何だろう、この泣き声は?
 泣き声のする方向に顔を向けると、小太り気味のおじさんが車庫の中で膝を着いて泣いていた。
 「フゥゥゥ〜〜〜〜〜〜ガァァァ〜〜〜〜〜〜っ!!?」
 「社長、悲しいのはわかるッスけどぉ、そろそろお仕事に行くッスよ」
 「でも・・・・・・でも愛車がぁっ!」
 おじさんがそう言いながら、落としたメガネを探すような感じに地面をペタペタ触っていた。
 「昨日 吹っ切った。 って言ってたじゃないッスか。あの言葉は嘘だったんスか?」
 「そのつもりだった・・・・・・そのつもりだったんだ! でもここを見ると。う、うわぁぁぁああああああんっっっ!!? フゥ〜〜〜ガちゃぁぁぁ〜〜〜〜〜〜ん!!」
 おじさんはそう言うと蹲るようにして、また泣き出した。
 「ハァ〜・・・・・・しばらく休業って事にするッス」
 痩せ型のおじさんがそう言うとスマートフォンに操作して、誰かに電話を掛けて話し始めた。
 「見てママ! あのおじさん、今度は泣いてるよ!」
 「しぃ〜! こら、指をさしてはいけませんよっ!」
 母親はそう言うと、子供の手を引っ張り、逃げるようにして何処かへと行ってしまう。
 僕も行こう。
 紫音自身も目を付けられたくないので、注意深く周囲を見渡しながら高校へと向かった。
 「うぅ〜〜〜ん・・・・・・いない」
 犯人の人影どころか、臭いすらしない。天野さんの言う通り本当に大丈夫なのかもしれない。
 「そういえば、昨日よりも警察官が多い気がする」
 そう、高校の近くまで来たところで、警察車両とバイクが巡回しているのか3〜4回ぐらいすれ違った上に十字路とかに警察官が立っていて、僕の事をジィーッと見つめて来ていた。
 悪い事をしてないのに警察官に見つめられると、胃が痛くなって来たよぉ・・・・・・こんな思いをするなら天野さん達と一緒に戦ってた方がマシに思えて来たぁ。
 胃痛に耐えつつ歩いて行き、何とか高校に着いたのだが、校門の目の前に人集りが出来ていたので思わず足を止めてしまった。
 何あれ?
 デッカイカメラを肩に背負った男性とスーツ姿の女性がマイクを手にした女性、それにボイスレコーダーを持った人がまばらに集まっていた。
 その光景をポカーンと見つめていたら肩を軽く叩かれたので、 何だろう? と思いながら後ろを振り向いたら、リガードさんがそこにいた。
 「リガードさん?」
 「シオン、こっちに来い」
 「わぁっ!?」
僕の手を握ったリガードさんは脇道へと連れて行くと、停車しているシルバーのクラウン脇で止まり、辺りを見回してからドアウィンドをコンコンッと軽く叩いた。そしたらドアウィンドを下げた。
 「あっ!? 唯凪さん!」
 僕がそう言うと、唯凪さんはニッコリと喜んだ顔で僕を見つめる。
 「おお、覚えていてくれたんだ。ありがとうね」
 「あ、はい」
 あの時の印象が強かったから、名前を覚えてしまっていた。
 「キミも登校時間があるから手短に話そう。ちゃんと話しを聞くようにね」
 「あ、はい!」
 「筒城さんの身を守る為に、我々警察官はここにいるだ。筒城さんの身に何かあればキミ達PMCに、頼る事を覚えていてね」
 「えっ!? 筒城先生が学校に来ているんですか?」
 僕がそう言うと、唯凪さんは頷いた。
 「それって危ないんじゃないんですか?」
 犯人に狙われているかもしれない僕が言うのも何だけど、筒城先生はいつ何処で犯人に襲われても、おかしくない。だから警察署とかで保護して貰った方がいいと思う。
 「流石にね。上の人達に “そこまで出来ない。” と言われちゃったから、仕方のない事なんだよ」
 「どう言う事ですか?」
 「つまり、こうやって彼女の近くにいて、身を守ってあげる事までしか出来ないって事だよ」
 「えっ!?」
 これじゃまるで筒城先生が、犯人をおびき出す為の囮みたいじゃ・・・・・・。
 「だから紫音くん、この中で筒城さんに一番近いのはキミだから、彼女に何かあった時は頼んだよ」
 「は、はい」
 真剣な顔付きで言われたので僕はちょっと恐がりながら返事をした。
 「それでよし。キミ、もしくは筒城さんに何かあったら、こっちに連絡が来るからね。
 あっ! そうそう。報道人の中をかき分けて入るのは難しいでしょ。向こうの裏口を開けて貰っているから、そこから学校に入って行きなさい」
「わかりました! ありがとうございます!」
 唯凪さんに頭を下げながらお礼を述べると、指をさしていた裏口の方へと向かって走る。
 「勉強を頑張るんだよぉ!」
 その声を背にした後に道の角で顔を覗かせて、報道人がいないかどうか確認をした。
 「右よし。左よし。いない」
 報道人と犯人がいない事を確認したところで、十字路へ出て裏門へと向かう。
 「おはよう・・・・・・」
 「おはようございます!」
 ちょっとお疲れ気味の先生に挨拶しながら学校へ入り、教室へと向かう。
 「おはようございます、紫音さん」
 真奈美さんはそう言うと僕の横の席に座り、ニッコリと微笑む。
 「おはよう、真奈美さん」
 「昨日は大変な目に会いましたね」
 「うん。僕自身もまさかあんな事に巻き込まれるとは、思っても見なかったよ。筒城先生が学校にいるって警察の人に聞いたんだけど、真奈美さんは見掛けてない?」
 僕がそう聞くと、真奈美さんは ああ〜・・・・・・。 と言ってから、何か考えるそぶりをさせながら、そっぽを向いた後にこっちを見つめた。
 「筒城先生でしたら、今職員室にいる筈ですよ」
 「そうなんだ」
 「ただ、個人的に申しますと、犯人に狙われているのに学校向かわせるのは、些か問題があると思います。
 現に筒城先生のお顔が優れてませんし」
 昨日あんな目にあったのだから、怯えてしまっても仕方のない事だろう。
 「そう言えば、お父上が紫音様にお店に寄って頂きたいと申しておりました」
 「真里亞さんが?」
 「はい」
 しばらくの間はお店を手伝えない。って伝えたのに。
 「紫音様、そう考え込まなくても大丈夫ですよ。お父上はアナタ様に、あるものを渡したいそうですから」
 「あるもの? それって何?」
 「それは・・・・・・」
 顔を目の前までずいっと近づけて来たので、ドキッとしてしまった。
 「そ、それは?」
 「その時のお楽しみです。それとそろそろホームルームが始まりますよ」
 腕に付けているスマートウォッチを確認して見ると、8時29分を示していた。
 「あ、本当だ」
 そう言った瞬間に予鈴が鳴り、筒城先生が入って来た。
 「みんな席に着いて。ホームルームを始めるから」
 クラスメイト達が筒城先生に言われた通り、自分の席へと座る。筒城先生は全員が席に座ったのを確認するとホームルームを始めるが、自分が犯人に殺されるかもしれないというストレスのせいか、昨日のような元気がない。
 「先生からの話は以上です。誰か質問はありますか?」
「はい、先生」
 「はい、何ですか紫音くん」
 「僕から聞きたい事があるので、お昼時間を開けて貰えませんか?」
 僕がそう言うと、筒城先生はサッと目を逸らしてから話し始める。
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