東京PMC’s
紫音と事情聴取
 僕と天野さん。それにリトアさんの3人で、犯人に撃たれてしまった警察官の応急処置を救急隊員が来るまで懸命に続けた。そして今は、その救急隊員が救急車に重度の怪我をした警官達を乗せようとしている。
 「じゃあ乗せます! せぇーの!」
 救急隊員がそれぞれに救急車に警察官達を乗せると、扉を閉めてからこちらに一礼した後に救急車に乗り込み、サイレンの音を出しながら発進させた。
 「あの人達、大丈夫ですかね?」
 「脚を撃たれたヤツは何とかなりそうだが、上半身を撃たれたヤツの方はヤバイ状態だからな。医者の腕次第としか言えないな」
 「でも、リトアさんが回復魔法を掛けていたから大丈夫な筈じゃないんですか?」
 傷口を塞いで止血する事が出来るから、傷口からの感染と失血死は免れたんじゃないのかな?
 「シオンくん、ちょっと勘違いしてるわ」
 「勘違い?」
 「回復魔法も万能じゃないわ。流れた血は戻らない。それに回復魔法を行っている途中で細菌が傷口から入ってしまっていたら、そのまま感染するの。恐いでしょ?」
 「確かにそれは恐いです」
 「だからね、擦り傷程度なら病院に行かなくても大丈夫だけど、あそこまでの大怪我をしたら流石に私の回復魔法じゃある程度しか治せないから、病院で検査と手術をしなきゃいけないわ」
 そうなんだ。僕は回復魔法の事はからっきしだから、全く持って知らなかった。
 「それよりも紫音。どうしてお前が狙われたんだ?」
 「あの天野さん。狙われていたのは僕じゃなくて、筒城先生の方なんです」
 「何? どういう事だ?」
 「気になるわね」
 天野さんとリトアさんは顔をずいっと近づけて来た。
 「はい実は筒城先生と一緒に・・・・・・」
 「その話を私達にも聞かせて貰えないか」
 反対方向から声がしたので、そちらの方向に顔を向けるとスーツ姿の男性3人が後ろで立っていて、向かって左側の男性だけは睨んで来るのだ。
 「えっとぉ、どちら様でしょうか?」
 「神奈川県警の捜査一課。唯凪 政人。よろしくね紫音少年」
 「あ、大園 紫音です。よろしくお願いします」
 県警の人が現れるのは驚きだ。
 「えっとですねぇ。とおホガァッ!?」
 話そうとしたら、リトアさんに後ろから塞がれてしまった。
 どうしてこんな事をするの? と聞こうとしても口を塞がれているので話せないが、リトアさんが耳元で僕が聞き取れるぐらいにボソボソと話掛けて来た。
 「いいから静かにしていて。面倒くさいヤツがいるから」
 面倒くさいヤツ?
 僕がそう思っていると、天野さんが面倒くさそうな顔で県警の人に話し掛け始める。
 「ああ〜・・・・・・話してやりたいのは山々だがなぁ〜」
 そう言ってさっきから睨んで来ている男性をチラチラと見て、唯凪さんに何かを訴え掛けている。
 唯凪さんも天野さんが何を訴え掛けているのか理解したみたいで、 ハァ〜・・・・・・。 とため息を吐いた後に、先ほどから僕達を睨んでいる人を見つめる。
 「鈇田、お前は本部へ戻って頂戴」
 「ど、どうしてですか?」
 「見ればわかるでしょぉ? キミがここにいるとね」
 「でも、事情聴取の仕事をしなければ・・・・・・」
 「いい加減理解して欲しいなぁ」
 唯凪さんがそう言い放つと、鈇田さんは チッ!? と舌打ちした後に去って行った。
 「すまなかった。話を聞いても大丈夫か?」
 「ああ、アイツがいないのなら大丈夫だ。紫音、唯凪さん達に正直に話してやれ。もちろん俺達にもな」
 「あ、はい」
 僕は天野さん達にこうなった経緯を伝えたら、 うんうん。 とか どういう風な感じで? とか言われたので、その場所まで行き詳しく説明をした。
 「あの、僕から唯凪さん聞きたい事があるんですけど」
 「ん、何だい? 話せる範囲であれば話してあげるよ」
 話せる範疇があるんだ。でも、筒城先生の事なら聞けるよね?
 「筒城先生は無事ですか?」
 「ああ、彼女かい。彼女なら警察署で保護したから無事だよ。ただね。キミの事を心配していたよ」
 「えっ!?」
 筒城先生が僕の心配?
 「どうして先生が?」
 「紫音くん。キミは犯人を喰い止める為にここで残って犯人と銃撃戦を繰り広げていたんでしょ? なら心配するのは当たり前だと思うよ」
 「そう、ですかぁ」
 ちょっと理解出来ない。 と思っていたら、リトアさんが背後から抱きついて頭を撫でて来た。
 「まぁ何にせよ、シオンくんは人を助けたのだから、いいんじゃないのかしら」
 「まぁリトアの言う通りだな、狙われているヤツを遠くへ逃して自分は犯人を足止めするところは褒められるな。ただ、タクシーの運転手を危険な目に合わせるところと、残弾配分を考えず撃つ点だけは褒められない。
 今後は銃に挿しているマガジンの残弾数だけじゃなく、後弾の入ったマガジンを何発持っているか意識して戦えよ。お前の場合は他のヤツとマガジンが違うから、お前に渡して使わせる事が出来ないからな」
 残弾管理をしているつもりだったけど、意外と出来てなくてなかったから自分でもビックリしている。
 「はい、わかりました。今後は注意します」
 「よろしい。紫音、一旦事務所に帰るぞ」
 「えっ!? 事務所にですか?」
 「ああ、事務所に工藤達が来るから、そっちにも説明しないとダメだからな」
 「ええ〜、また説明をしないといけないんですかぁ。スマートウォッチを持っているのにぃ〜・・・・・・」
 絶対これを通して聞いている筈だから、説明は不要だと僕は思っている。
 「お前のその気持ちもわかるが、工藤以外の人間も来るらしいからな。すまないが諦めてくれ」
 天野さんの言葉を聞いて、 ハァ〜・・・・・・。 と深くため息を吐いた。
 「そんな顔しないで、向こうの人も大体の事情は把握していると思うから、ちょっと話して終わりだと思うわよ」
 「本当にそうですか?」
 「多分の話だけどね」
 心の中で ダメだこりゃ。 と思ってしまった。
 「おお、そうだ天野くん!」
 「ん?」
 「神崎は元気にしているかい?」
 「そんなの張本人かオズマに聞け」
 天野さんはそう言うと歩き出したので、僕も 失礼します。 と唯凪さん達に言った後にリトアさんと一緒に天野さんを追った。
 でもどうして、唯凪さんは神崎さんの事を気にかけているんだろう?
 どうしても気になったので、ピックアップトラックのエンジンを掛けようとしている天野さんに話し掛けた。
 「あの、天野さん」
 「悪いが答えられん」
 「まだ何も言ってないです!」
 「聞かなくてもわかってる。唯凪と神崎の関係についてだろ? 顔に出ていたぞ」
 え、顔に? 本当に出ていたの? 天野さんが僕の心を読んだんじゃなくて?
 僕が戸惑っていると、隣に座っているリトアさんが可笑そうにクスクス笑っていた。しかも尻尾をモフモフしながら。
 「とにかく、他人の事だから気にするな」
 天野さんはそう言いつつピックアップトラックを発進させて事務所へ向かうが、備え付けてあるラジオをONにする。
 『速報です。今日の午後3時40分ごろに、銃を持った男が住宅街で発砲を始め、近くにいたPMCと警察官と銃撃戦をし、車を奪って逃走しました。この銃撃戦で警官が2人負傷したようです。
 引き続き、情報が入り次第お伝えします』
 「・・・・・・、早速ニュースになっているな」
 「ついさっき起きた出来事なのに、もうニュースになっているんですか?」
 いくら何でも早過ぎるけど、そろそろ掴んでいる尻尾を離して欲しいです。
 「あらまぁ〜、最近のニュースは早いわねぇ。SNSがあるせいかしら?」
「まぁ、ニュースも曖昧な情報を流せない時代だから、確定している情報だけを伝えてるんだろう。ん?」
 もうすぐ事務所に着くというところで、天野さんはピックアップトラックを停めた。
 「どうしたの?」
 「あれは、石野じゃないか?」
 「え? あ、本当だ!」
 石野さんもこちらに気づいたらしく、ピックアップトラックの横まで来ると、こちらをニヤニヤした顔で見つめて来る。
 「遅かったわね紫音くん。もうとっくに診療の時間が過ぎてたから、死んじゃったのかとゾクゾクしていたわぁ〜」
 ボサボサな髪で両腕に赤く滲んだ包帯を巻いている白衣の女性こそが、闇医者の石野さんなのだ。
 「ちょっと、色々ありまして・・・・・・すみません」
 「別にいいわ。診療の方は事務所の方でやってあげるからね。いいわよね、天野?」
 「ああ、構わない」
 彼女はウキウキしているのか、鞄を持ち笑顔(※恐いけど)で事務所の階段を登って行った。
 「私アイツ苦手」
 リトアさんは僕を抱きしめながら、そう言うのであった。
 「じゃあ乗せます! せぇーの!」
 救急隊員がそれぞれに救急車に警察官達を乗せると、扉を閉めてからこちらに一礼した後に救急車に乗り込み、サイレンの音を出しながら発進させた。
 「あの人達、大丈夫ですかね?」
 「脚を撃たれたヤツは何とかなりそうだが、上半身を撃たれたヤツの方はヤバイ状態だからな。医者の腕次第としか言えないな」
 「でも、リトアさんが回復魔法を掛けていたから大丈夫な筈じゃないんですか?」
 傷口を塞いで止血する事が出来るから、傷口からの感染と失血死は免れたんじゃないのかな?
 「シオンくん、ちょっと勘違いしてるわ」
 「勘違い?」
 「回復魔法も万能じゃないわ。流れた血は戻らない。それに回復魔法を行っている途中で細菌が傷口から入ってしまっていたら、そのまま感染するの。恐いでしょ?」
 「確かにそれは恐いです」
 「だからね、擦り傷程度なら病院に行かなくても大丈夫だけど、あそこまでの大怪我をしたら流石に私の回復魔法じゃある程度しか治せないから、病院で検査と手術をしなきゃいけないわ」
 そうなんだ。僕は回復魔法の事はからっきしだから、全く持って知らなかった。
 「それよりも紫音。どうしてお前が狙われたんだ?」
 「あの天野さん。狙われていたのは僕じゃなくて、筒城先生の方なんです」
 「何? どういう事だ?」
 「気になるわね」
 天野さんとリトアさんは顔をずいっと近づけて来た。
 「はい実は筒城先生と一緒に・・・・・・」
 「その話を私達にも聞かせて貰えないか」
 反対方向から声がしたので、そちらの方向に顔を向けるとスーツ姿の男性3人が後ろで立っていて、向かって左側の男性だけは睨んで来るのだ。
 「えっとぉ、どちら様でしょうか?」
 「神奈川県警の捜査一課。唯凪 政人。よろしくね紫音少年」
 「あ、大園 紫音です。よろしくお願いします」
 県警の人が現れるのは驚きだ。
 「えっとですねぇ。とおホガァッ!?」
 話そうとしたら、リトアさんに後ろから塞がれてしまった。
 どうしてこんな事をするの? と聞こうとしても口を塞がれているので話せないが、リトアさんが耳元で僕が聞き取れるぐらいにボソボソと話掛けて来た。
 「いいから静かにしていて。面倒くさいヤツがいるから」
 面倒くさいヤツ?
 僕がそう思っていると、天野さんが面倒くさそうな顔で県警の人に話し掛け始める。
 「ああ〜・・・・・・話してやりたいのは山々だがなぁ〜」
 そう言ってさっきから睨んで来ている男性をチラチラと見て、唯凪さんに何かを訴え掛けている。
 唯凪さんも天野さんが何を訴え掛けているのか理解したみたいで、 ハァ〜・・・・・・。 とため息を吐いた後に、先ほどから僕達を睨んでいる人を見つめる。
 「鈇田、お前は本部へ戻って頂戴」
 「ど、どうしてですか?」
 「見ればわかるでしょぉ? キミがここにいるとね」
 「でも、事情聴取の仕事をしなければ・・・・・・」
 「いい加減理解して欲しいなぁ」
 唯凪さんがそう言い放つと、鈇田さんは チッ!? と舌打ちした後に去って行った。
 「すまなかった。話を聞いても大丈夫か?」
 「ああ、アイツがいないのなら大丈夫だ。紫音、唯凪さん達に正直に話してやれ。もちろん俺達にもな」
 「あ、はい」
 僕は天野さん達にこうなった経緯を伝えたら、 うんうん。 とか どういう風な感じで? とか言われたので、その場所まで行き詳しく説明をした。
 「あの、僕から唯凪さん聞きたい事があるんですけど」
 「ん、何だい? 話せる範囲であれば話してあげるよ」
 話せる範疇があるんだ。でも、筒城先生の事なら聞けるよね?
 「筒城先生は無事ですか?」
 「ああ、彼女かい。彼女なら警察署で保護したから無事だよ。ただね。キミの事を心配していたよ」
 「えっ!?」
 筒城先生が僕の心配?
 「どうして先生が?」
 「紫音くん。キミは犯人を喰い止める為にここで残って犯人と銃撃戦を繰り広げていたんでしょ? なら心配するのは当たり前だと思うよ」
 「そう、ですかぁ」
 ちょっと理解出来ない。 と思っていたら、リトアさんが背後から抱きついて頭を撫でて来た。
 「まぁ何にせよ、シオンくんは人を助けたのだから、いいんじゃないのかしら」
 「まぁリトアの言う通りだな、狙われているヤツを遠くへ逃して自分は犯人を足止めするところは褒められるな。ただ、タクシーの運転手を危険な目に合わせるところと、残弾配分を考えず撃つ点だけは褒められない。
 今後は銃に挿しているマガジンの残弾数だけじゃなく、後弾の入ったマガジンを何発持っているか意識して戦えよ。お前の場合は他のヤツとマガジンが違うから、お前に渡して使わせる事が出来ないからな」
 残弾管理をしているつもりだったけど、意外と出来てなくてなかったから自分でもビックリしている。
 「はい、わかりました。今後は注意します」
 「よろしい。紫音、一旦事務所に帰るぞ」
 「えっ!? 事務所にですか?」
 「ああ、事務所に工藤達が来るから、そっちにも説明しないとダメだからな」
 「ええ〜、また説明をしないといけないんですかぁ。スマートウォッチを持っているのにぃ〜・・・・・・」
 絶対これを通して聞いている筈だから、説明は不要だと僕は思っている。
 「お前のその気持ちもわかるが、工藤以外の人間も来るらしいからな。すまないが諦めてくれ」
 天野さんの言葉を聞いて、 ハァ〜・・・・・・。 と深くため息を吐いた。
 「そんな顔しないで、向こうの人も大体の事情は把握していると思うから、ちょっと話して終わりだと思うわよ」
 「本当にそうですか?」
 「多分の話だけどね」
 心の中で ダメだこりゃ。 と思ってしまった。
 「おお、そうだ天野くん!」
 「ん?」
 「神崎は元気にしているかい?」
 「そんなの張本人かオズマに聞け」
 天野さんはそう言うと歩き出したので、僕も 失礼します。 と唯凪さん達に言った後にリトアさんと一緒に天野さんを追った。
 でもどうして、唯凪さんは神崎さんの事を気にかけているんだろう?
 どうしても気になったので、ピックアップトラックのエンジンを掛けようとしている天野さんに話し掛けた。
 「あの、天野さん」
 「悪いが答えられん」
 「まだ何も言ってないです!」
 「聞かなくてもわかってる。唯凪と神崎の関係についてだろ? 顔に出ていたぞ」
 え、顔に? 本当に出ていたの? 天野さんが僕の心を読んだんじゃなくて?
 僕が戸惑っていると、隣に座っているリトアさんが可笑そうにクスクス笑っていた。しかも尻尾をモフモフしながら。
 「とにかく、他人の事だから気にするな」
 天野さんはそう言いつつピックアップトラックを発進させて事務所へ向かうが、備え付けてあるラジオをONにする。
 『速報です。今日の午後3時40分ごろに、銃を持った男が住宅街で発砲を始め、近くにいたPMCと警察官と銃撃戦をし、車を奪って逃走しました。この銃撃戦で警官が2人負傷したようです。
 引き続き、情報が入り次第お伝えします』
 「・・・・・・、早速ニュースになっているな」
 「ついさっき起きた出来事なのに、もうニュースになっているんですか?」
 いくら何でも早過ぎるけど、そろそろ掴んでいる尻尾を離して欲しいです。
 「あらまぁ〜、最近のニュースは早いわねぇ。SNSがあるせいかしら?」
「まぁ、ニュースも曖昧な情報を流せない時代だから、確定している情報だけを伝えてるんだろう。ん?」
 もうすぐ事務所に着くというところで、天野さんはピックアップトラックを停めた。
 「どうしたの?」
 「あれは、石野じゃないか?」
 「え? あ、本当だ!」
 石野さんもこちらに気づいたらしく、ピックアップトラックの横まで来ると、こちらをニヤニヤした顔で見つめて来る。
 「遅かったわね紫音くん。もうとっくに診療の時間が過ぎてたから、死んじゃったのかとゾクゾクしていたわぁ〜」
 ボサボサな髪で両腕に赤く滲んだ包帯を巻いている白衣の女性こそが、闇医者の石野さんなのだ。
 「ちょっと、色々ありまして・・・・・・すみません」
 「別にいいわ。診療の方は事務所の方でやってあげるからね。いいわよね、天野?」
 「ああ、構わない」
 彼女はウキウキしているのか、鞄を持ち笑顔(※恐いけど)で事務所の階段を登って行った。
 「私アイツ苦手」
 リトアさんは僕を抱きしめながら、そう言うのであった。
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