東京PMC’s

青空鰹

紫音とオズマとのファイト

 オズマさんがここに来るって事は・・・・・・。


 「オ、オズマさん。もしかして、そっち系が好みだったんですか?」


 物心が付く前からの付き合いだったけど、意外な新事実が発覚した!


 「違うわいっ!」


 オズマさんに怒られてしまった。どうやら違ったみたい。


 「ち、違うぞ。お、お、オズマはププッ! 情報を、も、貰いに来たんだ。ククッ!」


 「そ、そうだ。そこ、ヒヒッ! にいる人は、プッ!?」


 「笑うなお前らっ!!」


 後ろにいるリガードさんと神崎さんに対して怒った。


 「やあねぇ〜、アタシはオズマちゃぁんみたいなワイルド系よりもぉ〜、シオンちゃぁんのような可愛い系の子が好みよぉ〜」


 こっちにウィンクして来たので、ゾッとしてしまった。真理亜さんの冗談・・・・・・だよね?


 「ところでぇ〜、オズマちゃぁんが欲しい情報ってもしかしてぇ〜」


 「ああそうだ。例の事件の事だ」


 例の事件って・・・・・・んん?


 「どうして真理亜さんに情報を求めるんですか、オズマさん?」


 「それはねぇ〜、アタシがスナックの経営者兼情報屋さんたからよぉ〜!」


 「そうなんですかっ!?」


 情報屋ってこう、酒場とか浮浪者みたいな格好をした人がやっているイメージだけど。まさかこの人が情報屋って。


 「そうだな。キミも彼に・・・・・・」


 「あぁん?」


 「ゴホンッ、失礼。彼女にお世話になる事が多々あると思うから、仲良くしておいた方がいいぞ」


 リガードさんが真理亜さんに睨まれてビビった。


 「それよりも、例の件について何か情報を持ってないか?」


 「もぉ〜、いつも言っているけど何か頼んでから聞くのが、筋じゃないのぉ〜?」


 「そうっスよ! お店に入って来て話すだけ話して帰るなんて、ウチの店を冷やかしてるだけっスよ!」


 「「「・・・・・・」」」


 オズマさん達は渋々といった感じで座った。


 「ワシはウィスキーのストレートで」


 オズマさんらしいけど、飲み過ぎには注意して欲しい。


 「仕事中だから、コ◯ラを」


 どうやらリガードさんは、仕事中はお酒を飲まないみたいだ。この姿勢を見習って欲しいものだ。


 「ノンアルコールビールを頼む。運転をするからな」


 運転する人なら賢明な判断だと思う。


 「はぁ〜い! 用意するからちょっと待っててねぇ〜」


 真理亜さんはそう言うと、リモコンでテレビの電源を付けてから台所の下にある冷蔵庫から飲み物を取り出して準備をする。


 『今日午前10時頃、神奈川県川崎市△区にて、顔を隠した男が家に押し入り住人を誘拐される事件がありました。
 現場と中継が繋がっています。新井さん!』


 △区って近い場所で起きたんだ。


 「またか・・・・・・」


 「またって、どういう事ですか?」


 「ワシ達が追っているのは誘拐犯なんじゃ」


 え、誘拐犯を追う。


 「何か、探偵みたいでカッコイイ!」


 「その探偵みたいな事をやっている部署から依頼が来たんだよ。ん? 多分お前のところにも来ている筈だが・・・・・・何か聞いてないか?」


 「僕は天野さん達から、何も聞いてないです」


 ズボラな天野さんの事だから、僕に伝えてないだけかもしれない。


 「そうか・・・・・・お前も苦労しているなぁ」


 あれ? 何でだろう。オズマさんの優しい言葉に、胸の奥にジーン来た。


 『その一部始終を防犯カメラが捉えてました。映像を流します』


 テレビを見ると、玄関に取り付けられていたと思われる防犯カメラの映像が映し出されていた。


 『画面左側を黒い車が通り抜けました』


 「ん?」


 今の車、見覚えがあるぞ。


 『そしてその5分後、黒いパーカーを着た人間がハンマーを使い家へ押し入りました』


 「えっ!?」


 あの丸々太った体型はまさか!


 『その後、肩に袋に詰めた住人を背負いながら玄関から出て来て逃走。現在この男の行方を警察は追っています』


 あの服、あの特徴的な姿! 見間違える筈がないっ!!


 「し、紫音ちゃぁん。驚いているけど、どおしたのぉ〜?」


 「あの、そのぉ・・・・・・えぇ〜っとぉ」


 自分自身思考がこんがらがっていて、どう伝えればいいかわからない状態に陥ってしまった。


 「ハッキリ言うっス!」


 「あ、うん。テレビに映っていた黒いパーカーを着た人、さっき学校で見ました」


 「「「「「えっ!?」」」」」


 「車も、学校に通学する途中で見ました」


 「「「「「何だってぇぇぇええええええええええええっっっ!!?」」」」」


 オズマさん達の声が店内で響き渡っていた。因みに店内は防音対策が施されているので、うるさいと言う心配はしなくていいそうです。


 「本当か? お前本当に言ってるのか? 嘘じゃないよなぁっ!?」


 オズマさんが両肩を掴んで激しく揺さぶって来た。


 「お、おいオズマ!」


 「何じゃ? 此奴から聞き出そうとしている途中じゃ。邪魔するでない!」


 犯人みたいな扱いをしないで下さいよぉぉぉおおおぉぉぉおおおっ!? 話すから揺さぶるの止めて欲しいぃぃぃ・・・・・・。


 「ん? どうした神崎。スマホを持つ手が震えてるようじゃが?」


 「今、本部の方から連絡があってな。今日起きた誘拐事件。ほらさっきニュースでやっていたヤツ。あれ、俺達が追っている犯人と同一犯の可能性があるらしい」


 「何じゃとぉ!?」


 今度は首を締めて来たので、ギブアップのサインであるオズマさんの腕をタップする。


 「さっさと吐け、正直に話すんじゃ!」


 「いい加減にしろやゴラァッ!?」


 オズマさんの頭に拳骨喰らわせたのは、何と怒りの形相の真理亜さんだった。


 「テメェが首を締めていたら、話す事が出来ねぇだろうがぁっ! あぁんっ!?」


 痛そうにうずくまっているオズマさんに対して、腰に手を当てて上から目線で語る。


 「あ、ありがとうございます。真理亜さん」


 「紫音ちゃぁんが無事ならいいのよぉ〜」


 「だからオズマさんを離してあげて下さい」


 今度はアイアンクローされていて、オズマさんが グオオオオオオォォォ・・・・・・。 と言いながら苦しんでいる。


 「そうねぇ〜」


 真理亜さんはそう言うと、パッと手を離してカウンターへと戻る。


 「一応、工藤ちゅぁん天野ちゃぁん達もここに呼んで話ましょうぉ〜」


 「そ、それがいいな」


 と言う訳で天野さん達と工藤さんを呼んだのだが。


 「リトアくん、お酒頼むの禁止!」


 「ええええええええええええっっっ!!?」


 「さっき酔っぱらうほど飲んだでしょ?」


 「こういうお店に来たんだしぃ〜、一杯だけでもいいじゃなぁ〜い!」


 いや、事務所でガバガバ飲んでたじゃないですか。


 「お前、事務所の冷蔵庫の中にある酒を全部飲んだだろ」


 「缶だけよ。一升瓶の方は手を出してないわ」


 「あらそうなのぉ、だったらアタシも許可だせないわぁ〜」


 真理亜さんはそう言うと、リトアさんの目の前にオレンジジュースを出す。


 「これで我慢しなさいよぉ〜。リトアちゃぁん」


 「うぅ・・・・・・意地悪」


 彼女はそう言いつつ、出されたオレンジジュースをチビチビ飲み始めた。


 「それよりも紫音くん。キミが見たのはこの車で間違えないな?」


 さっきニュースに映っていた黒いセダンの写真を目の前に出された。


 「はい間違いないです。僕が学校へ向かう途中で、ものスゴイスピードで追い越して行きました」


 「じゃあこっちの男は?」


 工藤さんはそう言うと、スマホで犯人の姿を映した映像を見せて来た。再生ボタンが真ん中に付いているから、どうやら動画の途中で止めた感じだ。


 「間違いないです。この服、この体型。それに彼が背中に背負っている鞄。見間違える筈がありません!」


 「そうかぁ・・・・・・」


 工藤さんはそう言うと、頼んでいたビールを口に付けた。


 「まさかこんなところで情報を得られるなんて・・・・・・灯台下暗になるところだった」


 「ああ、そうだな」


 天野さんが工藤さんの肩を叩いた。


 「紫音ちゃぁん、他に特徴とかないのぉ〜。例えば、こんな顔をしてたぁ〜。とかぁ〜」


 「う〜ん・・・・・・ゴメンなさい。顔はよく見えなかったんで、わかりません」


 「そうなのぉ〜、残念ねぇ〜」


 ちょっと残念そうな顔を見せる真理亜さん。


 「あ、でも。他に顔以外で特徴的なところなら、ありました」


 「どんなところだ?」


 全員注目して見て来るので、ちょっと恐いと感じてしまった。


 「ポテトチップスをスゴイ勢いで食べてました」


 「・・・・・・他には?」


 「体臭が酷くて、ガンオイルと火薬臭かったです。後油臭い」


 「それ、さっきボク達に話していたね」


 リュークさんはちょっと呆れたような顔をさせていた。


 「それに気になる事を話していました」


 「気になる事。何だ?」


「その犯人、高校を見つめながら “ここか、ぜってぇ見つけ出してやる。” とか言って去って行きました。
 もしかしたら、学校の中にいる誰かを狙っているかもしれないです」


 そう思うとその高校に通っている僕自身が恐くなって来た。


 「そうかぁ・・・・・・紫音くん、俺自らキミに本部から指令を与える」


 「は、はい! 何でしょうか?」


 「それは・・・・・・」


 僕は工藤さんの指令を聞いて、ビックリしてしまう。その場で拒否したが、上からの命令と言う事で拒否権がなく、渋々受ける形になってしまった。

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