東京PMC’s
第2章 暴虐と時
 「う・・・・・・あぁ・・・・・・・・・・・・んん?」
 男はうめき声と共に目を覚まし、薄暗い部屋を見回した。
 ここは何処だ? コンビニから出て帰ろうとしたら、顔を殴られて・・・・・・ッ!?
 男は今置かれている立場を理解した瞬間、イスから立ち上がろうとしたのだが、ロープで手と足を縛られていて動けない。
 早く逃げないと!
 必死になってもがくが、ギシギシと音を立てるだけで逃げられない。
 『バリッ!? バリッ!? ゴリッ、ゴリッ・・・・・・クッチャ、クッチャ。ゴクンッ! 無様だなぁ』
 部屋の隅に置いてあるスピーカーから声が聞こえて来た。
 「誰だ! 何で俺にこんな事をするんだっ!」
 『何で? テメェ、自分が何をやったのか覚えていないのか?』
 何を言っているんだ、コイツ? 俺が一体何をやったと言うんだ?
 必死になって思い出してみようとしたが、全く持って思い当たる節がない。
 「俺は、悪い事をした覚えはない」
 『あんな事をしてゲラゲラ笑って、挙げ句の果てに相手が自殺する一歩手前まで追い詰めたのにか? テメェはやっぱりクソだったんだな!』
 「ゲラゲラ笑った? 追い詰めた・・・・・・ッ!?」
 縛られている男は思い出したのか、顔を青ざめさせた。
 『テメェのせいで俺の人生が滅茶苦茶になったんだ! 今度は俺がテメェの人生を滅茶苦茶してやる! 見て見ぬふりをしてたアイツらもなっ!!』
 「ま、待ってくれ! 悪ふざけで、そんなつもりはなかったんだ! 俺が悪かった! 俺には妻と息子がいるんだ! だから俺の命だけは助けてくれぇっ!!」
 声が枯れるほど叫び続けたのだが、スピーカーからは何も返事が返って来なかったのだった。
 〜〜〜 紫音 side 〜〜〜
新しいブレザーを着て玄関でローファーを履くと、振り返り天野さん達を見る。
 「行ってきます!」
 「ん、気を付けろよ」
 天野さんは相変わらずやる気がなさそうに返事をして来た。
 「行ってらっしゃい。事故に巻き込まれないように気を付けてね」
 リトアさんがそう言ってウィンクをする。
 「行ってらっしゃい。午後からも仕事あるから、ちゃんと帰って来るようにね」
 そう話すリュークさん達に、 はぁ〜い。 と返事をしてから事務所を出る。何故ブレザーを着ているのか? 今日は高校の入学式。だからこうして学校指定のブレザーを着ているのだ!
 ルンルン気分で道を歩いていると、後ろから黒いセダンが勢いよく追い抜いて行った。
 「危ないなぁ。ここであんなスピード出したら、事故起きちゃうよ」
 そう言いつつも高校へ向い、校門の席の割り振られた看板を見て、どのクラスに割り振られたのかを確認した後に自分の教室へと向かって教室へと入って行った。
 あ、席が名前順で割当られている。
 席に自分の名前が紙が置いてあったので、そこへ座ると鞄の中から天野さんから受け取った仕事が書かれているプリントを取り出し、読み返す。
今日午後の4時から スナック マザー・ラブ で6時まで仕事かぁ。これってバイトの間違いじゃない?
 しかもスナックって、高校生が働いてもいいところじゃないんじゃないかな? あ、でも僕はPMCだから大丈夫なのかな?
 そう思っているとチャイムが鳴り響き、先生と思わしき女性が教室に入って来た。
 「ホームルームを始めるから、みんな自分の名前が書かれている席に座って!」
 これからクラスメイトになる同級生達は返事はしなかったものの素直に席に着いて自己紹介等を済ませるが、何故かちょこちょこ僕の事を見つめて来る。と言うよりも表情には出していないが睨んでいるって言った方が正しい。
 あの人に何かしたっけ?
 「これから体育館に移動するから、2列なって付いて来て」
 不安に思いつつも はぁ〜い! と返事した後に、言われた通り並び体育館へと移動した。その後も校長先生からの挨拶に新入生歓迎会をすませて教室に戻り担任の先生のホームルームがあって終了した。
 因みに担任の先生の名前は、 筒城 姜 と言うらしい。
 午前中で終わっちゃったな。そんな遠くもないから、一旦事務所に帰ってからマザー・ラブに行こうかなぁ。
 「大園くん、私と一緒に職員室まで来なさい」
 「えっ!?」
 な、何で僕が呼び出されているの? しかもクラスメイトのいる前で言うから、みんなもビックリしてこっちを見てるじゃん!
 「入学早々に呼び出しって、どうしたんだ?」
「もしかしてあの子、何かやっちゃったの?」
 ほらぁ、悪い意味で目立っちゃってるじゃないかぁ。
 「あの、先生・・・・・・僕何か悪い事やりましたか?」
 「何も悪い事はしてないから安心していいわ」
 あ、そうなんだ。怒られないんだよかった。
 「だったら何で呼び出されなきゃいけないんですか?」
 「アナタの将来の・・・・・・いえ、誤魔化さずに言った方がいいわね。PMCの活動している事についてよ。
 単刀直入に言うわ。今からでもいいからPMCを辞めなさい」
 先生がそう言った瞬間、教室内がざわついた。
 「え、嘘! PMCってあの?」
 「銃を持って戦っている傭兵達の事で間違いないわよ」
 「アイツがPMC? マジかよ。ヤバイぜアイツ」
 うわぁ〜、言っちゃったよこの先生。なるべく隠し通そうと思っていたんだけど、無駄にしたよ。
 「ここの高校ではPMCの僕でも受け入れるし、仕事を優先にしてもいいという事だったはずですが。もしかしてPMC活動はダメでしたか?」
 そう、高校側にPMC活動OKを貰っていたので、また入学試験か編入手続きをする羽目にならなかった。多分だけど、工藤さんのおかげだと思う。
 「確かに許可は出ているわ。でも・・・・・・ね」
 「なら、じゃあ問題はないですよね。ならもう行きますね」
 さっさと逃げた方がいいと思い、席を立つが筒城先生に肩を掴まれてしまった。
 「待ちなさい。まだ話は終わってないわよ」
 う〜ん、これは困ったぞ。後ろにいるのは先生だからむげにも扱えない。
 「あの、この後仕事があるので離して貰えませんか?」
 「中途半端な気持ちでPMCになるなんて、私は許さないわっ!!」
 はぁ? 何を言ってるのこの人。
 「・・・・・・先生本気で言ってます?」
 「え、ええ。本気よ」
 筒城先生はそう言うが顔が強張っていた。そう、紫音は怒っていたのだから。
 「中途半端な覚悟を持っていたら、もうPMCを辞めてますよ。それに、僕にはもうこの道しかお金を生活費を稼げる方法がないんですから」
 「どう言う意味?」
 頭ごなしに言ってたのか、この人は。
 「僕の事を何も知らないまま言ってるのなら、もう引き止めないで下さい」
 「え?」
 「それじゃあ」
 掴んでいる肩を振り解き、その場を去って行く。ちょっと待ちなさい! と先生が引き留めようとする声もしたみたいだが、筒城先生は他の先生に引き止められた。
 「帰らないと」
 そう言ってから校舎を出ると、校門の向かい側で校舎を見つめている人がいた。
 「ここか。ぜってぇ見つけ出してやる」
 顔はフードで隠れて見えないが、 ヒヒヒッ! と奇妙な笑い声を出していて、合間にスナック菓子をボリボリと食べていた。その上、何日も身体を洗ってないのか、体臭が酷い。それに太っていて、服が贅肉に喰い込んでいた。
 あれは関わらない方がよさそうだなぁ・・・・・・ん?
 ぱっと見で気付かなかったけど、酷い体臭の中に火薬の臭いと銃独特のオイルの臭いが臭いが鼻に付いた。
 あの見た目でPMCなのかな? どう見ても戦闘出来るようには見えないけど。まぁでも、僕には関係なさそう。
 男を見つめながらそう思っていたら、ブツブツ独り言を呟きながら歩き出したので僕も事務所へと向かう。
 「天野さん達にあの人の事を聞いてみようかな? 見た目も特徴的だから、すぐにわかるよね」
 この時までは、まさかあんな事になるとは思っても見ない紫音であった。
 男はうめき声と共に目を覚まし、薄暗い部屋を見回した。
 ここは何処だ? コンビニから出て帰ろうとしたら、顔を殴られて・・・・・・ッ!?
 男は今置かれている立場を理解した瞬間、イスから立ち上がろうとしたのだが、ロープで手と足を縛られていて動けない。
 早く逃げないと!
 必死になってもがくが、ギシギシと音を立てるだけで逃げられない。
 『バリッ!? バリッ!? ゴリッ、ゴリッ・・・・・・クッチャ、クッチャ。ゴクンッ! 無様だなぁ』
 部屋の隅に置いてあるスピーカーから声が聞こえて来た。
 「誰だ! 何で俺にこんな事をするんだっ!」
 『何で? テメェ、自分が何をやったのか覚えていないのか?』
 何を言っているんだ、コイツ? 俺が一体何をやったと言うんだ?
 必死になって思い出してみようとしたが、全く持って思い当たる節がない。
 「俺は、悪い事をした覚えはない」
 『あんな事をしてゲラゲラ笑って、挙げ句の果てに相手が自殺する一歩手前まで追い詰めたのにか? テメェはやっぱりクソだったんだな!』
 「ゲラゲラ笑った? 追い詰めた・・・・・・ッ!?」
 縛られている男は思い出したのか、顔を青ざめさせた。
 『テメェのせいで俺の人生が滅茶苦茶になったんだ! 今度は俺がテメェの人生を滅茶苦茶してやる! 見て見ぬふりをしてたアイツらもなっ!!』
 「ま、待ってくれ! 悪ふざけで、そんなつもりはなかったんだ! 俺が悪かった! 俺には妻と息子がいるんだ! だから俺の命だけは助けてくれぇっ!!」
 声が枯れるほど叫び続けたのだが、スピーカーからは何も返事が返って来なかったのだった。
 〜〜〜 紫音 side 〜〜〜
新しいブレザーを着て玄関でローファーを履くと、振り返り天野さん達を見る。
 「行ってきます!」
 「ん、気を付けろよ」
 天野さんは相変わらずやる気がなさそうに返事をして来た。
 「行ってらっしゃい。事故に巻き込まれないように気を付けてね」
 リトアさんがそう言ってウィンクをする。
 「行ってらっしゃい。午後からも仕事あるから、ちゃんと帰って来るようにね」
 そう話すリュークさん達に、 はぁ〜い。 と返事をしてから事務所を出る。何故ブレザーを着ているのか? 今日は高校の入学式。だからこうして学校指定のブレザーを着ているのだ!
 ルンルン気分で道を歩いていると、後ろから黒いセダンが勢いよく追い抜いて行った。
 「危ないなぁ。ここであんなスピード出したら、事故起きちゃうよ」
 そう言いつつも高校へ向い、校門の席の割り振られた看板を見て、どのクラスに割り振られたのかを確認した後に自分の教室へと向かって教室へと入って行った。
 あ、席が名前順で割当られている。
 席に自分の名前が紙が置いてあったので、そこへ座ると鞄の中から天野さんから受け取った仕事が書かれているプリントを取り出し、読み返す。
今日午後の4時から スナック マザー・ラブ で6時まで仕事かぁ。これってバイトの間違いじゃない?
 しかもスナックって、高校生が働いてもいいところじゃないんじゃないかな? あ、でも僕はPMCだから大丈夫なのかな?
 そう思っているとチャイムが鳴り響き、先生と思わしき女性が教室に入って来た。
 「ホームルームを始めるから、みんな自分の名前が書かれている席に座って!」
 これからクラスメイトになる同級生達は返事はしなかったものの素直に席に着いて自己紹介等を済ませるが、何故かちょこちょこ僕の事を見つめて来る。と言うよりも表情には出していないが睨んでいるって言った方が正しい。
 あの人に何かしたっけ?
 「これから体育館に移動するから、2列なって付いて来て」
 不安に思いつつも はぁ〜い! と返事した後に、言われた通り並び体育館へと移動した。その後も校長先生からの挨拶に新入生歓迎会をすませて教室に戻り担任の先生のホームルームがあって終了した。
 因みに担任の先生の名前は、 筒城 姜 と言うらしい。
 午前中で終わっちゃったな。そんな遠くもないから、一旦事務所に帰ってからマザー・ラブに行こうかなぁ。
 「大園くん、私と一緒に職員室まで来なさい」
 「えっ!?」
 な、何で僕が呼び出されているの? しかもクラスメイトのいる前で言うから、みんなもビックリしてこっちを見てるじゃん!
 「入学早々に呼び出しって、どうしたんだ?」
「もしかしてあの子、何かやっちゃったの?」
 ほらぁ、悪い意味で目立っちゃってるじゃないかぁ。
 「あの、先生・・・・・・僕何か悪い事やりましたか?」
 「何も悪い事はしてないから安心していいわ」
 あ、そうなんだ。怒られないんだよかった。
 「だったら何で呼び出されなきゃいけないんですか?」
 「アナタの将来の・・・・・・いえ、誤魔化さずに言った方がいいわね。PMCの活動している事についてよ。
 単刀直入に言うわ。今からでもいいからPMCを辞めなさい」
 先生がそう言った瞬間、教室内がざわついた。
 「え、嘘! PMCってあの?」
 「銃を持って戦っている傭兵達の事で間違いないわよ」
 「アイツがPMC? マジかよ。ヤバイぜアイツ」
 うわぁ〜、言っちゃったよこの先生。なるべく隠し通そうと思っていたんだけど、無駄にしたよ。
 「ここの高校ではPMCの僕でも受け入れるし、仕事を優先にしてもいいという事だったはずですが。もしかしてPMC活動はダメでしたか?」
 そう、高校側にPMC活動OKを貰っていたので、また入学試験か編入手続きをする羽目にならなかった。多分だけど、工藤さんのおかげだと思う。
 「確かに許可は出ているわ。でも・・・・・・ね」
 「なら、じゃあ問題はないですよね。ならもう行きますね」
 さっさと逃げた方がいいと思い、席を立つが筒城先生に肩を掴まれてしまった。
 「待ちなさい。まだ話は終わってないわよ」
 う〜ん、これは困ったぞ。後ろにいるのは先生だからむげにも扱えない。
 「あの、この後仕事があるので離して貰えませんか?」
 「中途半端な気持ちでPMCになるなんて、私は許さないわっ!!」
 はぁ? 何を言ってるのこの人。
 「・・・・・・先生本気で言ってます?」
 「え、ええ。本気よ」
 筒城先生はそう言うが顔が強張っていた。そう、紫音は怒っていたのだから。
 「中途半端な覚悟を持っていたら、もうPMCを辞めてますよ。それに、僕にはもうこの道しかお金を生活費を稼げる方法がないんですから」
 「どう言う意味?」
 頭ごなしに言ってたのか、この人は。
 「僕の事を何も知らないまま言ってるのなら、もう引き止めないで下さい」
 「え?」
 「それじゃあ」
 掴んでいる肩を振り解き、その場を去って行く。ちょっと待ちなさい! と先生が引き留めようとする声もしたみたいだが、筒城先生は他の先生に引き止められた。
 「帰らないと」
 そう言ってから校舎を出ると、校門の向かい側で校舎を見つめている人がいた。
 「ここか。ぜってぇ見つけ出してやる」
 顔はフードで隠れて見えないが、 ヒヒヒッ! と奇妙な笑い声を出していて、合間にスナック菓子をボリボリと食べていた。その上、何日も身体を洗ってないのか、体臭が酷い。それに太っていて、服が贅肉に喰い込んでいた。
 あれは関わらない方がよさそうだなぁ・・・・・・ん?
 ぱっと見で気付かなかったけど、酷い体臭の中に火薬の臭いと銃独特のオイルの臭いが臭いが鼻に付いた。
 あの見た目でPMCなのかな? どう見ても戦闘出来るようには見えないけど。まぁでも、僕には関係なさそう。
 男を見つめながらそう思っていたら、ブツブツ独り言を呟きながら歩き出したので僕も事務所へと向かう。
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