クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生
第24話
 因みに俺達はハンヴィー1151に乗っている。
 「臨時で作ったキャンプだったから、畳むのも楽でしたね」
 「そうね。負傷者が少なかったのもあるけど、エルライナが早く駆けつけて敵を倒して、治療の方も良かったてのもあるわね」
 「応急処置程度なので、後で治療し直さないとダメですよ」
 しかも大半は魔法で治療をしていたしな。
 「それは他の人も分かっている。向こうに着いたら、ちゃんとした治療をするわ」
 「そうした方が良いです」
 あのまま放って置いていると他の病気が発症する原因にもなるからな。
 「それはそうとぉ・・・・・・後ろは気にしなくても良いんですか?」
 バックミラー越しに、俺達を羨ましそうに見つめてくる魔国の兵士達を見たが、これまたバックミラーに写るエイミーさんとネネちゃんが睨んでくる。
 「お姉様は優し過ぎるんです!」
 「そうよ。ここで誰か乗せますなんて言ったら、魔族のお偉いさんが入ってくるわよ!」
 「いや、そんな事はないでしょう」
 普通に考えて、身体への負担を考えて負傷者を入れるに決まっている。
 「甘いわよ。上の連中ってのは自分の事しか考えない人が多いから、気にせずこのまま進んでちょうだい」
 うん。みんなからの威圧がスゴいので、素直に従がった方が良さそうだな。
 「分かりました」
 「それで良いのよ」
 俺達は自分達のキャンプに着くまでワイワイと車内ではしゃいでいたのであった。そしてそのキャンプに到着すると、キャンプを守ってくれていた影の者達が出迎えてくれた。
 「皆様、お持ちしておりました」
 「キャンプの様子はどうでした?」
 「エルライナ様達が居ない間、我々で見回りをしていましたが魔物が数匹出たぐらいで、なにもありませんでした」
 「魔物・・・・・・どんな魔物がここに来たんですか?」
 「ホーンラビットにウルフ種。それに猪種など合わせて五匹ほどです」
 メジャーなモンスターしか来なかったんだな。
 「そうですか。皆さんご苦労様です」
 「いえいえ、エルライナ様達の方が大変だったでしょう。こちらでお食事の方をご用意致しましたので、どうぞ食べてください」
 あらま、食事まで用意してくれたんだ。
 「食事まで用意して頂けるとは、なんてお礼を申し上げれば良いのか・・・・・・」
 「いえいえ、お礼を申し上げるのは同胞を救って貰った我々の方ですよ。料理をお出ししますので、そちらに座って頂けますか」
 「あ、はい」
 そう返事をしてからイスに座ったが、先に座っていたリズリナさん達がこっち見つめる。
 「やっぱエルライナって、変なところで遠慮するよねぇ」
 「まぁ、そこがエルライナの良いところなんだから。気にしなくても良いんじゃない?」
 「お姉様のそういったところも、素敵ですぅ〜!」
 お前らは遠慮って言うのを知った方が良い!
 俺が心の中でそう思っていると、キャンプを守ってくれていた影の者達が鍋を持って来てくれて蓋を開いた。
 「これは、雑炊ですか?」
 「ええ、お味噌汁と食材を入れているので、どちらかと言いますとチャンコに近いかもしれません」
 言われてみれば確かにそうかもしれない。
 そう思っていると、お茶碗を差し出してくれた。
 「好きなものを粧って食べてください」
 「ありがとうございます」
 「「「頂きまぁ〜す!」」」
 俺は影の者にお礼を言ってから料理に手を出すが、エイミーさん達の方は待ち切れなかったのか、我先にとお玉で鍋の中身を救っている。
 せめてお礼だけでも言うべきでしょ。
 そんな事を思っていたのだが、側にいた影の者の一人が耳元に顔を近づけてこう言った。
 「我々は気にしていないので、エルライナ様も気にせず食べてください」
 「はぁ・・・・・・」
 ホントに申し訳ない。
 そう思いながら器に入れた食べ物を口へと運ぶ。
 「ん? これは中々美味しいですね! 鹿肉に臭みを感じない!」
 「ええ、エルライナ様に教えて頂いた解体方法で肉を解体したのと、魔国産の味噌の特有の味で臭さを緩和しました」
 「え? お味噌に臭みを消す効果があるんですか?」
 俺、そんな話聞いた事ないんですけどぉ!
 「はい。我々クシュンで作られた味噌には、食べ物の臭みを緩和する効果があります」
 「へぇ〜、そうなんですかぁ」
 今度魔国に行った時は、味噌を買おうかな?
 「まぁ臭みが取れると言っても気休め程度なので、期待しないでください」
 「ああ〜・・・・・・」
 でもちゃんと処理をすれば、こんなに美味しく出来るんだろ? なら買うよ俺は。
 そう思った後、そのまま食事を進めて行くとテーブルの上に鷲が降り立ったのでビックリしてしまった。
 「ッ!? もしかしてこの子、美味しそうな匂いに釣られてやって来たのか?」
 俺がそう言っている中、その鷲がミュリーナさんの元へと歩み寄る。
 「ん? 伝令を届けに来たのね。ありがとう」
 「え? 伝令って・・・・・・もしかしてリードガルムで飼っている鷲ですか?」
 「そうよ。この子はリードガルムの伝令係なのよ」
 そう言いながら脚につけられていた手紙を取ると広げた。
 「うん、うん・・・・・・リードガルム王国の方は、半日ぐらいかかりそうだから、目的地の守っていて欲しいって書いているわ」
 「ああ〜。じゃあ魔国兵はもう着いている事と、魔物と交戦した事を報告した方が良いんじゃないですか?」
 「そうするわ。紙とペンを貸してくれる?」
 「はい」
 ミュリーナさんはそう言うと食事を中断し、俺から紙とペンを受け取るとサラサラと手紙を書き始めた。
 「なんか、書くスピードが早くないですか?」
 「え? まぁ情報は早いほど良いって言われているからね」
 「じゃあなんでキャンプにいた時に、手紙を送ろうとしなかったんですか? 普通問題が起きたら報告しませんか? んん?」
 俺の言葉にミュリーナさんの顔が青くなる。
 「え? もしかしてミュリーナ、リードガルムに定期報告を忘れていたの?」
 「忘れていなかったわよ! ただ、落ち着いたら連絡を入れようとしていただけよ」
 なんかウソ臭いなぁ。
 エイミーさんも俺と同じ様な事を考えているのか、ミュリーナさんをジト目で見つめている。
 「ねぇミュリーナ。私に言っていたわよね? 連絡は私に任せなさいって」
 「アハハハハ・・・・・・ゴメン、私忘れてた」
 ああ〜、これはグエルさんに怒られそうだなぁ。
 俺はそう思いながら食事をしていると、ミュリーナさんが俺の方を向いて来た。
 「お願いエルライナ! 私と一緒に謝って!」
 「どうして私がミュリーナさんと一緒に謝らなきゃいけないんですか? 弁解するのに打ってつけ人物が後ろにいるじゃないですか」
 「エイミーを見てみなさいよ。弁解してくれる顔をしてる?」
 ・・・・・・うん。エイミーさんは弁解する気なさそうだね。だって険しい顔でミュリーナさんを見てるもん。
 そんな事を思っていたら、ミュリーナさんが俺の肩を掴んで来た。
 「一生のお願い! 私の事を助けてっ!!」
 「一生のお願いを使わなくても良いですよ」
 「え? 私の事を助けてくれるの?」
 「ミュリーナさんが思っているほど、グエルさんはヒドい人じゃないですよ。注意するぐらいで済むと思いますから・・・・・・ね?」
 エイミーさんにそう聞いてみたら、頷いてくれた。
 「その注意が恐いのよぉ!」
 まぁ怒ると恐そうな人だからね。
 「ところで、エイミーさんを止めなくて良いんですか?」
 「どうして?」
 「なんか、追伸を書いて鷲に括りつけているんですけどぉ」
 しかも晴れやかな顔で飛ばしているし。
 「へ?」
 「これで良し。グエル団長に送ったわよ」
 「そんなぁああああああっ!? 待ちなさぁああああああああああああいっ!!?」
 ミュリーナさんがそう言って飛んでいる鷲に手を伸ばしたのだが、もう遅かったのだった。
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