クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生
第20話
 ・・・・・・これどういう事?
 俺の目の前でミュリーナさんが怒った表情で仁王代しているのだ。
 とにかく理由を聞かなきゃ始まりそうにないなぁ。
 「あの、ミュリーナさん。なんで怒っているんですか?」
 「なんで? 怒っている理由は決まってるでしょ!」
 そう言うと、ネネちゃんの方に指をさした。指をさされたネネちゃんの方も えっ? 私? と言いたそうな顔を見せる。
 「私達以外の人がいるんなら、教えて欲しかったわ!」
 「・・・・・・いや、私も今来たばかりってねぇ?」
 ネネちゃんも同意する様に頷いてくれた。
 「・・・・・・まぁ、良いわ。休憩時間が勿体ないから、早く寝なさい」
 「え? ネネちゃんの事を聞かなくても良いんですか?」
 「アナタと親しくしているんだったら、その子は味方。それで充分」
 ホントそれで良いのか?
 「あの、私は・・・・・・」
 「魔国の影の一人でしょ。私達の味方なのよね?」
 「え? あ、はい」
 ミュリーナさんは戸惑っているネネちゃんに近づくと、肩に手を置いた。
 「それだけ聞ければ充分だわ。明日はよろしくね」
 「は、はい! よろしくお願い致します」
 ミュリーナさんはネネちゃんの返事を聞くと、俺が座っていた椅子に腰をかけた。
 良かったぁ〜。ネネちゃんになにかすると思っていたよ。
 「それじゃあミュリーナさん。任せましたよ」
 「ええ、エルライナもゆっくりしなさいよ」
 「おやすみです。お姉様」
 「うん、おやすみネネちゃん」
 テントの中に入り、エイミーさんの隣で横になる。
 何事もなければ良いんだがな。
 そんな事を思いつつ、眠りにつくのであったが。
 バババンッ!? ババババババンッ!?
 「ッ!?」
 なんだっ!?
 身体を起こし、側に置いていたJERICHO945PSLを手に取る。
 「なにっ!? なにがあったの?」
 隣で寝ていたミュリーナさんも身体を起こした。
 隣がミュリーナさんって事は、交代してから三時間ぐらい経っているのかもしれない。
 「もしかしたら、私が設置したターレットが敵を見つけたのかもしれません。なので確認しに行って来ます」
 そう伝え、立ちあがろうとしたら腕を掴まれてしまった。
 「待ちなさいよ! 危ないわよ!!」
 「危険なのは承知の上です。それに外にいるエイミーさんが心配なので確認をしに行かないと」
 俺がそう言うと、ミュリーナさんが憤怒の表情に変わった。
 「もぉ〜、アンタはいつもそう! 私達が側にいるのに、自分一人で解決しようとしてぇ!!」
 「じ、自分一人でって、そんな事はしてはないです」
 「してるわよ! 今の行動がそうでしょ?」
 違うの? と言える様な瞳を見て、俺はぐうの音も出せない状態になってしまう。
 ここで否定したら、もっと怒ってくるだろうなぁ・・・・・・いや、考えてみたら、ミュリーナさんが言っている事の方が合っているのかもしれない。
 「そう、ですね。ずっと今まで誰かに頼るという事をして来なかったので、無意識にそうなってしまっているのかもしれません」
 もっとちゃんと説明すると両親もクズで頼れなかったし、なによりもクラスメイトが虐めて来てたな。どちらも頼ろうとした時点で馬鹿にされた挙げ句、無理って言って見捨てる未来しか見えない。
 それに比べて今目の前にいるミュリーナさんはどうだ? 俺を困らせる事はあっても、そこまで困る事をされてない上に話していて楽しい。
 ミュリーナさんやエイミーさん。それにリズリナさん達が本当の友人じゃないのか?
 「分かってくれれば良いのよ。外に出てエイミーが無事かどうか見て来ましょう」
 「はい!」
 弓を持ったミュリーナさんと共にテントから出て周囲を見渡す。
 「ミュリーナさん。エイミーさんがいません!」
 「そうねぇ。私が交代する時は、エルライナが用意してくれた椅子に座っていたわ。
 もしかしたら、さっきの音がした場所に確認しに行ってるのかもしれないわ」
 最悪の場合、エイミーさんがやられているかもしれない。
 そう思っていたら、松明の明かりが見えた。
 「ミュリーナさん。あれ」
 「ん? あれは松明明かりね。しかもこっちに近づいて来ているわ」
 ミュリーナさんと共に警戒していると、向こうも俺達に気づいたのか松明の棒を振ってアピールして来た。
 「・・・・・・あっ! 安心して。あれエイミーよ」
 「え? 分かるんですか?」
 「耳が良いの忘れていない?」
 そういえば、ミュリーナさんは兎の獣人だったね。
 「すみません。すっかり忘れていました」
 それにレーダーに敵マークがないから、安心して良いかもしれない。
 そう思い、構えるの止めてエイミーさんがこっちまで来るのを待つが、エイミーさんは走っているのか松明の明かりが揺れている。
 「二人共起きていたのね!」
 「さっきの音を聞いて、起きていない方がおかしいわ。それよりもエイミー、一体なにがあったの?」
 「私もその音に驚いて確認しに行ったら、ゴブリンが2匹倒れていたわ」
 「ゴブリン? しかも2匹もですか?」
 俺の言葉にエイミーさんは頷いて答えた。
 「恐らくだけど、エルライナが用意してくれたターレットってのが、ゴブリンに反応して倒してくれたのかもしれないわ」
 ああ、敵なら無尽蔵に倒すしな。
 「なるほど、そうだったんですかぁ。盗賊とかじゃなくて良かった」
 「そうね。死体の方はこっちで処理したから、安心してちょうだい」
 ああ、もう死体処理の方も完了していたんですか・・・・・・・って問答無用で燃やしてるし。
 「それなら安心ですね。寝直しましょうか、ミュリーナさん」
 「そうね。エイミー、エルライナの交代時間まで任せたわよ」
 「了解よ!」
 その後はテントに戻り寝直したが、ちょっと時間が経った頃にエイミーさんに起こされた。
 「交代の時間よ、エルライナ」
 「もうそんな時間ですかぁ」
 そう言った後、置いてある銃を持って外へと出ると、装備を身につける。
 「さて、火を絶やさない様に気をつけないとな」
 俺はそう言ってから、椅子に座り焚き火に木を焚べると時間を確認する為にスクリーンを出す。
 今は真夜中の二時かぁ。まだ日が出そうにないなぁ。
 そう言った後、コーヒーを飲む為にポットとカップを用意する。
 「こうやってコーヒーを作るのも、いつ以来だろうか」
 師匠に火起こしのやり方を教わった時に、焚き火を利用してお湯を沸かした時以来だったかなぁ?
 焚き火の焚べ方で火力を調整出来ないから、高さで火加減の調整しろって口酸っぱく言われたっけなぁ。
 「でも、このやり方はポットの底が黒くなるから、やりたくはないんだよねぇ〜」
 黒いススを取る為に、何度タワシでしつこく擦った事か。研磨剤まで使ってススを取ったあの苦労を思い出すと・・・・・・。
 「ガスコンロ出してお湯沸かした方が、良かったんじゃないかなぁ」
 今更ながら自分の行いに後悔している。
 「まぁでも、この方法ならミュリーナさんかエイミーさんのどちらかが起きて来ても大丈夫だよね!」
 誤魔化せる範囲なはずだから!
 そんなこんなでポットに入れていた水が沸騰した様なので、コーヒーパックを入れたティーカップに注いでいく。
 「ああ〜・・・・・・この芳ばしい匂いがコーヒーの醍醐味の一つだよねぇ〜」
 お湯を注いでから少し経った後にコーヒーパックを取り出し、角砂糖を一つ入れて混ぜてから、香りを嗜んだ後に少し飲んだ。
 「アチッ!?」
 ちょっと沸かし過ぎたかもしれない。
 その後、コーヒーをフーフーと吹いて冷ましながら飲むのであった。
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