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クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生

青空鰹

第7話

 「あの・・・・・・ゴメンなさい。リズリナさん」

 朝食を取っている間にも何度か謝ったのだが、その度にそっぽを向かれてしまう。

 「リズリナ。そろそろ許してあげても、良いんじゃない?」

 「そうよ。髪を梳かしてあげるチャンスは、まだあるんだから」

 元凶のアンタがそう言いますか?

 「それはそうですけどぉ〜・・・・・・」

 「それに私が勝手にやった事なんだから、私に怒るのが正しいと思うわ」

 「う〜〜〜ん・・・・・・」

 そう言って唸っているリズリナさんを他所に、美羽さんと伊織ちゃんが俺の髪をイジって遊んでいる。

 「だから、こうやって三つ編みにした方が似合うって」

 「ん・・・・・・シンプルなツーテルの方が可愛く見える」

 いや、個人的にストレートヘアーが気に入っているんだけど。

 「ポニーテールは在り来り」

 「髪をお団子状にするのは、似合いそうにない」

 「それは同感」

 うん。俺もお団子状は解くのが面倒くさそうだから、やりたくない。

 「じゃあ、また今度の時にするよ」

 うんうん。それが良い。

 と思っていたら、リズリナさんがこっちの方に来て、美羽さん達と共に髪をイジって遊び始めた。

 なんでこうなるの?

 そんな事を思いながらテーブルに肘を着いて、ため息を吐いてしまった。

 「エルちゃんが似合う髪型は、こんな感じだと思うよ」

 「「「「オオ〜ッ!?」」」」

 もみ上げ部分を三つ編みにして、後ろで軽く結った感じのヘアースタイルにさせられてしまった。

 「リズリナ、アナタもしかして、自分と似た髪型にさせたかっただけじゃないの?」

 「うん!」

 ストレートに言うねぇ! 後、ミュリーナさん。アクセサリーをつけて改造を加えようとしないでくださいっ!!

 そんな事を思っていたら、ドアを叩く音が聴こえて来た。

 「誰か来たみたいですね。ちょっと行って来ますね」

 「私もついて行くわ」

 「え? 玄関まで行くだけですよ」

 「なんか、イヤな予感がするから・・・・・・ねぇ?」

 伊織ちゃんの方を向くと、伊織ちゃんも同じ事を思っていたのか、頷いて答えた。

  いや、イヤな予感って言われても、敵の反応はないしなぁ〜。一応警戒だけしていようか。

 そう思いながら玄関へと向かい、扉を開くのと同時に誰かが俺にもたれ掛かって来た。

 えっ!? なに?

 そんな事を思いながら、もたれ掛かって来た人を確認すると、なんと大輝くんだった!

 「大輝くんっ!? どうしたの?」

 しかもよく見てみると、顔色が悪いじゃないか。

 「うぅ〜〜〜ん・・・・・・」

 唸り声を上げているだけで、なにも答えてくれない。

 「とにかく大輝くんを中に入れて、横にしよう!」

 「ちょっと待ってエルライナ!」

 ん? そんなにジロジロ見てどうしたんだ?

 「・・・・・・大輝、お酒臭くんない?」

 「へ?」

 言われてみれば確かに大輝くんの身体から、お酒の臭い漂ってくる。

 「もしかして、朝まで飲んでいたのかな?」

 「多分そうかもしれないわ。ほら、服も昨日のまんまだし」

 酔い潰れるまで飲ませるとか、なんて事をしているんだよ! グエルさんっ!!

 「まぁ、グエル達と楽しく飲んでいたみたいだから、そうなったのは自業自得だ」

 「あ、エイドさん!」

 「よぉ、久しぶりだな。元気にしていたか?」

 エイドさんはそう言いながら、俺の元にやって来た。

 「はい、元気にしていましたよ。ところで、エイドさんが私のお家にくるなんて、珍しいですね」

 「ああ、魔人の根城について話が纏まったから、お前達に話に来たんだ」

 根城ついての話だって!

 「詳しく聞かせてください!」

 「ああ、話す為に来たんだから、そう興奮するな。それにエイミー達もここにいるんだろ? アイツらにも報告しないといけないから、ここに呼んで来てくれるか?」

 「長話になりそうなんで、お家に上がってください」

 それに、大輝くんを横にしないといけないしね。起きたら二日酔いの薬を飲ませよう。

 「ああ、悪いな。気を使ってくれて」

 「いいえ、気にしないでください」

 知らない人だったら、玄関で話を済ませていたし。

 そんな事を思いながら、美羽さんとエイドさんと共にリビングへと行く。

 「お帰りエルライナ。って、あれ?」

 「エイド。なんでアナタがここにいるの? それにグッタリしている子は?」

 「大輝」

 「えっ!? なんで勇者くんがグッタリしているの?」

 酔い潰れているだけだから、そんな心配そうな顔をしなくていいんだけど。

 「酒臭っ!? もしかして、グエル団長達に朝まで付き合わされてたの?」

 「この様子じゃそんな感じだと思う。妻がいるんだから、少しは自重をしたら良いのに・・・・・・」

 「今頃奥さんにコッテリ絞られていると思いますよ。それはそうと、彼を横にしてあげた方が良いんじゃない?」

 ああ、そうだな!

 大輝くんをソファー寝かしてから、エイドさんにお茶を出した。

 「すまないな。エルライナ」

 「いえいえ、エイドさんはお客様なので、気にしないでください」

 正直言って他の人達は遠慮がないから、エイドさんを見習って欲しいぐらいだ。

 「さて、本題に入ろう。全員分かっていると思うが、魔人の根城についての話だ」

 気を失っている大輝くん以外が、真剣な表情でエイドさんを見つめる。

 「昨日の昼に行われた会議の結果。魔人の根城を攻める事が決まった。
 その日時は・・・・・・六日後の早朝。だから間に合う様に五日後に早朝に、集合場所へと向けて出発する」

 五日後の早朝出発か。

 「もちろんリードガルムは軍を率いて根城へと向かうし、俺達総合ギルドも、D以上の実力者達と共にそこへ向かう」

 「遂に魔人との決戦。ってわけですか?」

 「ああ。恐らく多くの犠牲者が出るかもしれないから、総合ギルドは参加者希望者のみ連れて行く事にした。
 だからエルライナ。お前はどうするつもりなんだ?」

 ・・・・・・そっか。俺の場合は総合ギルド所属だから、エイドさんは行くか行かないか聞く義務があるんだ。

 「もちろん行きますよ」

 俺自身、この戦いを終わらせる義務があるからな。

 「・・・・・・そうか。お前ならそう言うと思っていた」

 エイドさんはそう言うと、紅茶を一気に飲み干した。

 「出発は日の出前、南門集合だから遅れない様にな。それに出発には時間があるから、鍛えるなり休むなり、後悔がない様に過ごすんだ。いいな」

 「もう帰るのですか?」

 「ああ、お前と違って暇じゃないんだ。すぐに戻らないとギルド長にドヤされる」

 「ああ〜、なるほど」

 ラミュールさんが怒るところを想像すると、ゾッとする。

 「ラミュールさんに、よろしくと伝えてください。それと見送りしますよ」

 「いや、大丈夫だ。それじゃあな」

 エイドさんはそう言うと、イスから立ち上がってリビングを出て行った。

 「ねぇ、エルライナ」

 「ん? どうしたんですか。美羽さん?」

 「本当に良かったの? 参加して?」

 不安そうな顔で見つめてくる美羽さんに対して、俺は真剣な表情で答える。

 「私自身、良かったって思っているよ」

 「そう、なの」

 「美羽・・・・・・エルライナは私達以上に覚悟がある人。だから聞く必要はない」

 伊織ちゃんの言葉に美羽さんは思うところがあったのか、目を伏せてしまった。

 「そうよね。ゴメンなさいエルライナ。野暮な事を聞いてしまって」

 「いいえ、気にしていませんよ。って、ん?」

 どうやら大輝くんが起きた様だ。寝惚け眼な彼の元へと歩み寄る。

 「おはよう大輝くん。体調の方は大丈夫?」

 「エル、ライナさ・・・・・・んんっ!?」

 えっ!? ちょっ、なに? 口を膨らませて! いや、まさかぁっ!!?

 「ちょっと待って! 今桶を持ってくるから耐えてぇっ!!」

 急いでバケツを持って来て、なんとか間に合ったのだが、大輝くんはまた屍の様に横になってしまったのであった。

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