クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生
第16話
 無事にリズリナさんを救った俺は、リズリナさんと主犯格を連れてバルデック公爵の屋敷に戻って来た。そうそう、死体処理についてはグエルさん達に任せているので、後で報告がくるはずだ。
 「リズリナさん、目と喉はもう平気?」
 「うん、エルちゃんのおかげで治ったよ」
 正確には目と喉を水で洗っただけなんだけどね。
 「一人で全てを解決したとは、お前の力は底知れないな」
 「まぁ、このガスグレネードのおかげですからね」
 そう言ってラミュールさんに見せつけたら、一歩引いた。
 「どうして下がるんですか?」
 「目や喉を痛めたくないからだよ」
 まぁそう思う気持ちも分かるけど、ピンを引っこ抜かなければ平気なんだからさ。あからさまに引かないでよ。
 「それに、それじゃなくても光を出す方のヤツを使えば簡単に無効化出来ただろう?」
 スタングレネードの事か。
 「スタングレネードだと一時的な効果しかないので、私一人に対して複数の敵を相手する時は不向きですよ」
 「そうかぁ。それとお前が捕まえて来た主犯格だが、お前はどうするつもりなんだ?」
 「どうするんだ? って、決まっているじゃないですか。私自ら尋問をするつもりですよ」
 「ハァ?」
 なにを言っているんだ。コイツは? と言いたそうな顔をするラミュールさんに対して自信満々に話をする。
 「私には今回の経緯を吐かせる策があるんですよ」
 「策ぅ? なにをするつもりだ?」
 「まぁ、任せてくれたら分かりますよ」
 「・・・・・・分かった。お前を信じて任せるとしよう。お前が連れて来た主犯格は個室に隔離している。ついて来い」
 「はい!」
 ラミュールさんの後をついて行く様にして犯人を隔離している部屋へとやって来たら、主犯格が俺の事を睨んで来た。
 さっきまで許して欲しいって言ってたヤツが、そんな目をするかぁ?
 「・・・・・・チッ!? 上手くいけば大金が手に入るはずだったのに」
 心残りはそれかよ。まぁいい。
 「どうせアナタ達寄せ集めチームの事だから、私を倒したとしても仲間内でお金の分配で争いが起きてるでしょう」
 「なんで俺達が寄せ集めだと分かった?」
 「ギルド経由で情報を貰ったんですよ」
 警備していた奴ら自体も統率が取れてなくて、おかしいなぁ。って思って言ってみたら、マジの寄せ集めだった。
 「そんな事よりもアナタに聞きたい事があるんですけど、聞いてもよろしいですか?」
 「なんだ? お前に話す事なんてないぞ」
 「念の為に確認をしますが、本当に私を殺した人にお金を渡すと闇ギルドは言ったのですか?」
 「だから何度も言っただろう。お前を殺した者には金貨百五十枚を渡すと依頼書に書いてあった」
 主犯格はウンザリした顔をさせながら言うのに対して、俺はニヤリと頬を吊り上げながら話始める。
 「その依頼書の内容、本当に信じられるんですか?」
 「どういう意味だ?」
 「依頼者の名前は公表されているんですか?」
 総合ギルドでは依頼者の名前の開示は義務づけられているので、誰が依頼を出したのか分かる。
 「いや・・・・・・ない。そもそも匿名で依頼を出している場合が多いぞ」
 「それで、お金の方は誰が支払ってくれるんですか?」
 「本人が闇ギルド経由で・・・・・・って、なんでそんな事を聞くんだ?」
 「なんとなく闇ギルドの支払いの仕組みが知りたくなったんで」
 総合ギルドでは依頼をする時に報酬となる金額を払わないといけないが、魔物退治などの場合は一部負担してくれる。
 「なるほど。闇ギルドの場合は成功を確認してから払う形だから、後払いって形なんだ」
 「どうして後払いなんですか? 依頼主がトンズラする可能性もあるでしょう」
 「そうだな。しかし、暗殺や窃盗の仕事は必ずしも成功するわけではないし、ましてや先払いの場合だと金を貰ってやらないっていう事が起きるからな」
 そうだよね。闇ギルドの人達ってならず者の集まりだもん。その可能性が大きいよね。
 「とにかく、もしかしたらその依頼主は払うつもりはないかもね」
 「どうしてそんな事を言えるんだよ?」
 主犯格がそう聞いてくるので、俺はニッコリとした顔で答える。
 「依頼を受けておかしいと思いませんか?」
 「闇ギルドの依頼はおかしいのが普通だ」
 「まぁそうでしょう。だけど私一人を殺すだけの仕事なのに、金額が高すぎると思いませんか?」
 俺がそう聞くと、ラミュールさんと主犯格はお互いの顔を見つめる。
 「そう言われてみれば、確かにそうだな」
 「ああ、王族の暗殺ならともかく、貴族の暗殺場合は金貨百枚が妥当な金額だ。身分にもよるがな」
 「そうでしょう。それで、私の事を邪魔と思っている人はどこの誰だと思いますか?」
 「それはもちろん・・・・・・まさか!」
 お、どうやら気がついた様だな。
 「ラミュールさん、気がついたみたいですね」
 「ああ、魔人と闇ギルドが密接に関わっていると噂話で聞いていたが、今回の件で信憑性が強くなったな」
 「え? ええっ!? 魔人が依頼?」
 主犯格は魔人が依頼したとは思ってもみなかったのか、混乱した様子で俺とラミュールを交互に見つめている。
 「そうだよ。恐らく魔人が依頼を出したんだと思うよ」
 「もしそれが本当なら、大変な事になりそうだな」
 「大変になりそう?」
 「ああ、闇ギルドが魔人と繋がりがあるのなら、接点を調べていかないとな。しかし、闇ギルドの本部が場所が分からない以上どうする事も出来ないな」
 「とりあえず、支部を総当たりして地道に探す方法は?」
 俺がそう聞くと、ラミュールさんは首を横に振った。
 「そうすると、向こうに勘づかれてしまう上に、我々が発見した時には本部を別の場所に移している可能性がある」
 「だからスピード解決の方が理想的って感じですか?」
 「そうだな」
 じゃあシラミつぶしの方法は諦めるとして・・・・・・おっと、忘れていたのが一つ。
 「アナタはもう帰って良いですよ」
 「帰って良いって・・・・・・え?」
 「お前、なにをしているんだ!」
 「なにをって、縄を解いてあげたのですが。なにか悪いんですか?」
 俺の行動に呆れてた表情を見せるラミュールさんに対して、主犯格は信じられない顔をしている。
 「おまっ、俺を帰すとか正気なのか?」
 「正気ですよ。私にとってアナタはもう必要ないので帰ってください・・・・・・あ、でも無事に家に帰れるか分かりませんし、もう闇ギルドの方へも行けそうにないですねぇ〜」
 「どういう意味だ?」
 「どういう意味もなにも、アナタが仕事に失敗している件については闇ギルドは把握していると思いますよ。
 それに加えて無事にこの屋敷から出て来たのを見られたら、闇ギルドの人達はどう思いますかね?」
 俺の言葉を聞いたラミュールさんは、 ハッ!? と俺がなにをしたいのか理解した様子になった。
 「全部喋った。と思て有無も言わさずに殺すだろうな。仮に私達とやり合うとしても、我々に勝てる勝算があるかどうかだな」
 「私的には知りたい事は知っているから、ここでやり合っても良いけどね」
 そう言ってから主犯格に目を向けて見たら、顔を青ざめさせている。
 「そういう事だから、どうぞ帰ってください」
 「ちょっと待ってくれ!」
 主犯格はそう言いながら土下座のポーズを取る。
 「お、俺は死にたくないです! 助けてください!!」
 「こっちとしては殺そうとして来た人を助けるのは、釈に触るのですが」
 「なんでもするんで助けてください!!」
 必死なのか、涙声で訴えかけてくる。
 「う〜ん・・・・・・それじゃあ、アナタが知っている情報を全て話してくれたら、助けてあげるよ」
 「はい! 喜んでお話し致します!」
 こうして、男から情報を聞き出した。もちろんウソかどうか知る為に真理の水晶を使用して情報を聞き出したので真実だという確証はある。
 後はこの情報と総合ギルドの情報を照らし合わせて、今後どう行動するか考えるのであった。
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