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クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生

青空鰹

第8話

 大輝くん、美羽さん、伊織ちゃんの3人の言い争い止まらなかったので、俺が勝手に決める事にした。その結果、美羽さんと伊織ちゃんはニコニコ顔をしていて、大輝くんだけは膝から崩れ落ちていた。

 「どうして・・・・・・」

 「ゴメンね。ロールキャベツとトマトなら混ざっても平気だけど、イカゲソを一緒に入れたら味が移っちゃう可能性があるからさ」

 ガンモの中に入っているのならまだしも、そのまんまのゲソは無理かも。湯がいてからおでんの中に入れるって事も考えたけど、味が落ちてしまうのが恐いので今はやりたくない。

 「とにかく、今日は我慢をしてね。今度来た時はイカゲゾを入れたのを出してあげるから」

 「・・・・・・本当ですか?」

 「うん、ホント。来た時に言ってね」

 俺が忘れているかもしれないからさ。

 「ありがとうごさいます。エルライナさん!」

 彼はそう言うと、泣きそうな顔で俺の手を握った。

 おでんの具一つでそんな顔をしないで欲しい。

 「ねぇ、エルライナちゃん。そろそろ夕食だから食べない?」

 「あ、そんな時間になりましたか」

 って言うよりも早く食べたいと言う気持ちが、エイミーさん達からヒシヒシと伝わってくるんですが。気のせいと言う事にしておこうかな?

 「そろそろ食べましょうか。ほら、大輝くんも座って」

 「はい」

 大輝くんを臨時の席に座らせ、空いている席に行くと司会の挨拶をする為に コホンッ と咳払いをする。

 「えー、つい先ほど帰って来ました! 向こうの国では色々と苦労をしましたが、なんとか無事に終わりました。
 それも、色んな人のお陰で・・・・・・」

 「あんまり長ったらしく話してると、料理が冷めちゃうわ!」

 他の人も そうだ! そうだ! と言いたそうな顔で俺の事を見つめて来た。

 「・・・・・・と言う訳で、乾杯!」

 「「「「「「乾杯っ!!」」」」」」

 そう言うと我先にと言った感じで、おでんに群がり始めた。

 そんなにおでんを食べたかったのか!?

 「具がふわふわで美味しい~!」

 エイミーさん、それは ちくわ ですね。

 「こっちの具は不思議な食感がしますよぉ〜」

 そっちは ちくわぶ だよリズリナさん。

 「この大根、噛めば噛むほど中から出汁の味が出て来て美味しいわぁ〜」

 良かったぁ〜。煮る時間が足りないと思ったから、切り込みを入れておいてて。

 「ロールキャベツ美味しい」

 「トマトの美味しい」

 うんうん。俺が見込んでいた通り味が混ざってない。

 「ウィンナー美味しいですね」

 大輝くん、イカゲソを入れて欲しかったと言いたそうな顔で言わないでよ。

 「玉子も美味しいね」

 ちょっと味が染みてない感じがするが、これはこれで美味しい。

 「ふおおおっ!? この中からお餅が出て来たわぁ〜!?」

 ミュリーナさんが餅巾着を見つめながら驚いている。

 「油揚げの中にお餅が入っている具ですね」

 「この白い糸状の食べ物も中々いける!」

 糸こんにゃくの事ですね。

 と言った感じでワイワイと食事を進めていたのだが、後半になると楽しい食事が変貌してしまった。

 「そのはんぺんを寄越せぇええええええ!?」

 「死守します! 私が美味しく頂きます!」

 エイミーさんとリズリナさんが謎の攻防戦を繰り広げている。

 「こんにゃく取ったどぉおおおおおお!?」

 こんにゃくを天高く掲げるミュリーナさん。何故掲げる?

 「私の獲物がああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」

 しかも美羽さんが狙っていたのか、とても残念そうな顔をさせている。

 「イワシの摘みれ確保」

 伊織ちゃんは誰にも気づかれない様に、自分が食べたい具材を確保していた。

 「う、うずらの玉子しか取れない」

  大輝くんのお茶碗の中に、たくさんのうずらの玉子が入っていた。

 大丈夫? うずらの玉子だけじゃ栄養偏らない?

 「お野菜も食べないと大きくなれないよ」

 「俺はもう十六歳ですよ!」

 ハハハッ、なにを言っているんだ大輝くん。二十五歳まで人は成長をするんだよ。知らなかったの?

 そんな心配をしていると、またまたインターフォンが鳴った。

 「またお客さんが来た」

 アイーニャさん、ラミュールさんと続いて今度は誰だ?

 「ちょっと見て来ますね」

 そう言った後に玄関へ向かいドアを開いて見てみると、なんとそこにはさっき家に来たラミュールさんがいるではないか!?

 「また来たのですか、ラミュールさん」

 「ああ、ミュリーナがここに来ていると言う話を聞いたからな。で、家にいるのか?」

 「ミュリーナさんならお家の中にいますよ。呼んで来ましょうか?」

 「・・・・・・いやいい。上がらせて貰う」

 今鼻をヒクヒクさせたよね? もしかして料理の匂いが鼻についたから、あわよくば頂こうとしていませんよね?

 「・・・・・・どうぞ、ミュリーナさんはリビングにいますよ」

 残念だが俺はラミュールさんに勝つ術を持っていないので、彼女を家に上げた。

 「うむ」

 ラミュールさんはそう言うとズンズンと家の中に入って来て廊下を歩く。

 「うぉおおおおおお!? その最後のウィンナーは私が頂くううううう!?」

 「させないわよぉおおおおおお!?」

 ミュリーナさんはエイミーさんとウィンナーの取り合いをしていた。てか、はしたないから止めてくれ。

 「ミュリーナ、ここにいたのか」

 「あ、お母さん」

 「あ、じゃないぞ。今日は家に帰ってくると約束していた筈だが?」

 「ちゃんとお家に帰るわよ。この食事を終えてからだけど」

 そう言いつつもウィンナーの取り合いを止めない。

 「・・・・・・そうか。ところでお前が食べているのは一体なんだ?」

 「おでん って言ってエルライナが作った料理よ」

 その言葉を聞いたミュリーナさんは、目を開いたまま俺の事を見つめてくる。

 「あの、この料理を作るには手間暇が掛かるので、すぐには作れませんよ」

 「・・・・・・そうか」

 ラミュールさんはそう言うと俺が座っていた椅子に座り、エイミーさんとミュリーナさんが取り合いをしていたウィンナーをサッと取った。

 「「ああっ!?」」

 「お前ら、行儀の悪い事をするな」

 そう言った後に奪ったウィンナーを口へと放り込んだ瞬間、絶望的な顔をする二人。

 結局、ミュリーナはおでんを食べたかっただけじゃないのか? てか俺の席取られたから、座るところがないんですけど。

 それに加えてラミュールさんが残った具をドンドン食べていくので、みんな焦って自分の分を確保しようとしている。

 「私の席が・・・・・・」

 俺の言葉も虚しく、おでんを平らげてしまったのだった。まぁ充分食べたから良いんだけどね。

 「美味かった。ご馳走様」

 「お、お粗末様です」

 ラミュールさんは口元をハンカチで拭くと、ミュリーナさんを見つめる。

 「帰るぞミュリーナ」

 「ええ〜っ!? お腹一杯で動きたくないんだけどぉ!」

 ラミュールさんよりも食べていたから、そうなるのは当たり前か。

 「良いから帰るぞ」

 「いやぁああああああっ!? 今歩いたら食べた物が出て来ちゃう!」

 ミュリーナさんの叫び声も虚しく、えり首を掴まれ引き摺られる様な形で家を出て行ってしまった。

 「嵐の様な人だったわね」

 「そうですねぇ〜」

 二人は満足そうな顔をさせて言うので、心配している様子は微塵もないと悟った。

 「さてと、後片付けでもしましょうか」

 そう言った後に土鍋を台所へと持って行き、中にあったスープを小分けにする。

 「残ったスープを捨てないんですか?」

 「残ったスープはオジヤとか炊き込みご飯に使うから棄てないんだ。それに一部では焼酎をこのダシで割って飲む人もいるんだよ」

 「へぇ〜そうなんですか。俺の両親は終わったらそのまま捨ててたんで」

 ああ〜、普通はそうだよなぁ〜。

 ガタッ!?

 後を振り向くと、エイミーさんとリズリナさんがこっちに向かって歩いてくる。

 「エルちゃん・・・・・・今の話本当?」

 「おでんのスープを焼酎で割ると、どんな味になるの?」

 「さぁ? 分かりません。それに今ここに焼酎がないので諦めてください」

 そう伝えると二人はシュンとした顔で席に戻ったのだった。

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