クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生
第48話
 ネネちゃんと共に総合ギルド内で人が集まっているところで待機していると、ギルド長が俺達の元へとやって来た。
 「ん? 人はこれだけか?」
 「はい、ここにいる方々で全員です」
 「・・・・・・そうか」
 恐らくギルド長も人数がもっといると思っていたのだろうか、少し顔が強張りながらも俺達の前に出て来た。
 「全員分かっていると思うが、王都西側の森で魔物が大量に発生した。ここに居る者達にはその対処を頼みたい。この依頼は参加した者には金貨1枚、そして功績次第では上乗せする事を約束する。
 それと、これは強制ではないので戦いたくない者は挙手してくれ」
 ギルド長はその後しばらくの間、黙り込んだまま見渡した後に声をかけて来た。
 「全員参加って事で良いんだな。城壁の防衛をする班。補給物資を輸送する班、負傷者を医療する班。市民の安全を確保する四つの班に分かれて貰う。ここまでで質問がある者は?」
 「はい!」
 「なにを聞きたいのだ、エルライナ殿?」
 「魔物の種類と数を知りたいのですが、教えて頂けないでしょうか?」
 「魔物はゴブリンに加えて、下級オークに火炎鳥が確認されている。数はおよそ二百体以上だ」
 「二百・・・・・・ですか」
 そんな数がいきなり出てくるなんておかしい。いや待てよ。出て来たのは西・・・・・・まさか!?
 「反乱軍が遂にクーデターを起こしに来た?」
 俺の言葉に周囲がざわついた。
 「それはあり得ない」
 「どうしてですか?」
 「いくら反乱軍でも、あの数をいっぺんに召喚出来る訳がない。召喚出来る以前に魔力の枯渇で死んでいる」
 「そう、ですか」
 だとすると、魔物達が勝手に集まった結果なのか? いや、それだったらもっと早い段階で気づいているはずだ。
 「聞きたい事はそれだけか?」
 「はい、それだけです」
 「よし、なら班分けをするぞ。全員俺が言った通りに分かれてくれよ」
 こうしてギルド長直々に班分けが始まり、戦闘に不慣れな人は補給部隊か市民の安全を確保する部隊。回復が得意な人達は負傷者を回復させる班。そして戦闘が得意な俺とネネちゃんはお城の城壁を守る班になった。
 「市民の安全を確保する班は、街に散らばって市民を安全地帯に連れて行ってくれ。補給部隊は俺の秘書と共に城に行って兵士に指示に従ってくれ。最後に城壁を守る班は西門の方へ向かってくれ! 後で俺も追いつく! 解散ッ!!」
 ギルド長のその言葉と共に、それぞれの持ち場へと向かう。無論俺もモンスターが押し押せている西門へと走って向かう。
 「お姉様」
 「ん? どうしたの、ネネちゃん?」
 「お姉様が持っている物は一体何なんですか?」
 「ああこれ? これは爆弾を遠くへ飛ばす武器だよ」
 今回は愛銃である IWI ACE32 ではなくバレルの短い ACE31 の方を背中に背負い、ダネル MGL-140 (40mmグレネード弾使用)をメインで使う事にした。
 「爆弾を飛ばすんですかぁ!?」
 まぁ正確にはグレネードだから榴弾なんだけど・・・・・・いや待てよグレネード弾を変えれば色んな事に使えるから、爆弾と例えなくても良かったのかもしれないが、今回はHEグレネードを使うからそう説明しなくても良いか。
 「これで4〜5体をまとめて倒せれば良いんだけどね」
 ぶっちゃけ言ってしまうとグレネード弾は弾帯にして持っているが12発と数が限られているし、リロードに時間が掛かるから失敗だったかもしれない。
 M203のみたいな単発の方にしたら・・・・・・それはそれで1発づつしか撃てないから問題か。ヘリとか飛ばして対応したいが、飛んでいるモンスターがネックになるから無理だよな。
 「今ある武器でなんとかするしかなさそう」
 街から離れていればもっと派手に戦えたのだけれでも、街に近い状態で戦うとなると余計な被害を出さない様にする為、ゾンビの時の様な戦い方が出来ない。
 「え? なにか仰いましたか、お姉様?」
 「あ、いや! なんでもないよ」
 そう言った後に MGL-140 にグレネード弾が入っているか確認をする。
 入れ忘れていないな。
 「お姉様、正面!」
 「ッ!?」
 正面に顔を向けると城壁の上ではバリスタを身構えている兵士がいて、その周りではバリスタ用の矢を忙しく運んでいる兵士がいる。そして西門の前にはこの国の兵士達が整列していた。
「総合ギルド、ただ今到着しました!」
 ギルド長がそう言うと団長と思わしき人がこっちを向いて、驚きの表情を見せてくる。
 「そ、それだけなのか?」
 「すまないが、前線で戦える者達はこれしかいないんだ」
 今さら話すが、あの四つのグループに分かれる時に大体十人から十二人のグループ構成になっていたのだ。その様子を見ていた部下達は不安そうな顔でギルド長を見つめている。
 「こんなにいないのは無理もないでしょう。その原因はアナタ方がよく知っていますよね?」
 「はい・・・・・・そうですね」
 やっぱり、兵士長も心当たりがあるみたいだな。ってちょっと待てよ!
 「すみません! 私聞きたい事があるのですが、発言してもよろしいでしょうか?」
 「ん? あ、アナタは!? エルライナ様ッ!!」
 団長らしき人はそう言うと俺に向けて敬礼をする。バルデック公爵令嬢の地位の凄さを身を持って知ったわ。
 「姿勢を崩して良いです」
 「ハハッ!? それで、この私に聞きたい事とは一体なんでしょうか?」
 「この国の勇者が見当たらないのですが、一体どちらにいらっしゃるのですか?」
 「あ、はい・・・・・・あちらに居ますよ」
 そう言って手を差し伸べた方向を見てみたら、なんとそこには生徒会の仲良しグループしかいないのだ!
 「・・・・・・え? 確か私の記憶では、二十五人ほどいたはずなのですが?」
 「彼らはそのぉ〜・・・・・・、病になってしまってぇ〜」
 「先ほど宿に帰っている途中に、私はあそこにいる四人以外の勇者達に絡まれたのですが? 急に二十人も病に伏せるのは、誰がどう考えてもおかしいとしか考えられませんよね?」
 俺がそう言ったら、団長が誤魔化せないと思ったのか ハァ〜・・・・・・。と深くため息を吐いた。
 「彼ら以外は魔物の多さに怯えてしまったのか、集団で城に引きこもってしまったんです」
 「「ハァ!?」」
 余りの衝撃発言にネネちゃんも同じ様に言ってしまっている。
 「彼らの訓練を担当している方々も前線に出る様に説得しようとしたのですが、全く動こうとしないんですよ。こう説得しているのも時間の無駄なので、諦めて放っておく事にしたのです」
 「弱き者を悪から助ける人達がこの場にいないなんて! 許し難い出来事ですよっ!!」
 「・・・・・・いや、彼らは人としては間違ってない行動だよネネちゃん」
 「お姉様は勇者達の行動を許せるのですかぁっ!?」
 「私だって許せない。でも今はその事で怒っていても仕方ないよ」
 俺の言葉を聞いたネネちゃんは気持ちを落ち着かせる為か、目を瞑り大きく深呼吸をした後に俺の顔を見つめる。
 「取り乱して申し訳ありません、お姉様」
 「うん、今は門の向こうから迫って来ているモンスター達の対処しよう。勇者の事は後回しね」
 「はい、お姉様」
 うん良かった。冷静になってくれて。それはそうと。
 「あの、彼らと話をして来て良いですか?」
 「え? あ、構いませんよ」
 「ネネちゃん、私の代わりに二人の会話を聞いて欲しいんだけど。頼めるかな?」
 「お姉様のお願いでしたら、お受けいたしますよぉ!」
 「ありがとう、ネネちゃん」
 「どういたしまして」
 ネネちゃんに軽く手を振ると、勇者達の方へ向かって歩き出したのであった。
 「ん? 人はこれだけか?」
 「はい、ここにいる方々で全員です」
 「・・・・・・そうか」
 恐らくギルド長も人数がもっといると思っていたのだろうか、少し顔が強張りながらも俺達の前に出て来た。
 「全員分かっていると思うが、王都西側の森で魔物が大量に発生した。ここに居る者達にはその対処を頼みたい。この依頼は参加した者には金貨1枚、そして功績次第では上乗せする事を約束する。
 それと、これは強制ではないので戦いたくない者は挙手してくれ」
 ギルド長はその後しばらくの間、黙り込んだまま見渡した後に声をかけて来た。
 「全員参加って事で良いんだな。城壁の防衛をする班。補給物資を輸送する班、負傷者を医療する班。市民の安全を確保する四つの班に分かれて貰う。ここまでで質問がある者は?」
 「はい!」
 「なにを聞きたいのだ、エルライナ殿?」
 「魔物の種類と数を知りたいのですが、教えて頂けないでしょうか?」
 「魔物はゴブリンに加えて、下級オークに火炎鳥が確認されている。数はおよそ二百体以上だ」
 「二百・・・・・・ですか」
 そんな数がいきなり出てくるなんておかしい。いや待てよ。出て来たのは西・・・・・・まさか!?
 「反乱軍が遂にクーデターを起こしに来た?」
 俺の言葉に周囲がざわついた。
 「それはあり得ない」
 「どうしてですか?」
 「いくら反乱軍でも、あの数をいっぺんに召喚出来る訳がない。召喚出来る以前に魔力の枯渇で死んでいる」
 「そう、ですか」
 だとすると、魔物達が勝手に集まった結果なのか? いや、それだったらもっと早い段階で気づいているはずだ。
 「聞きたい事はそれだけか?」
 「はい、それだけです」
 「よし、なら班分けをするぞ。全員俺が言った通りに分かれてくれよ」
 こうしてギルド長直々に班分けが始まり、戦闘に不慣れな人は補給部隊か市民の安全を確保する部隊。回復が得意な人達は負傷者を回復させる班。そして戦闘が得意な俺とネネちゃんはお城の城壁を守る班になった。
 「市民の安全を確保する班は、街に散らばって市民を安全地帯に連れて行ってくれ。補給部隊は俺の秘書と共に城に行って兵士に指示に従ってくれ。最後に城壁を守る班は西門の方へ向かってくれ! 後で俺も追いつく! 解散ッ!!」
 ギルド長のその言葉と共に、それぞれの持ち場へと向かう。無論俺もモンスターが押し押せている西門へと走って向かう。
 「お姉様」
 「ん? どうしたの、ネネちゃん?」
 「お姉様が持っている物は一体何なんですか?」
 「ああこれ? これは爆弾を遠くへ飛ばす武器だよ」
 今回は愛銃である IWI ACE32 ではなくバレルの短い ACE31 の方を背中に背負い、ダネル MGL-140 (40mmグレネード弾使用)をメインで使う事にした。
 「爆弾を飛ばすんですかぁ!?」
 まぁ正確にはグレネードだから榴弾なんだけど・・・・・・いや待てよグレネード弾を変えれば色んな事に使えるから、爆弾と例えなくても良かったのかもしれないが、今回はHEグレネードを使うからそう説明しなくても良いか。
 「これで4〜5体をまとめて倒せれば良いんだけどね」
 ぶっちゃけ言ってしまうとグレネード弾は弾帯にして持っているが12発と数が限られているし、リロードに時間が掛かるから失敗だったかもしれない。
 M203のみたいな単発の方にしたら・・・・・・それはそれで1発づつしか撃てないから問題か。ヘリとか飛ばして対応したいが、飛んでいるモンスターがネックになるから無理だよな。
 「今ある武器でなんとかするしかなさそう」
 街から離れていればもっと派手に戦えたのだけれでも、街に近い状態で戦うとなると余計な被害を出さない様にする為、ゾンビの時の様な戦い方が出来ない。
 「え? なにか仰いましたか、お姉様?」
 「あ、いや! なんでもないよ」
 そう言った後に MGL-140 にグレネード弾が入っているか確認をする。
 入れ忘れていないな。
 「お姉様、正面!」
 「ッ!?」
 正面に顔を向けると城壁の上ではバリスタを身構えている兵士がいて、その周りではバリスタ用の矢を忙しく運んでいる兵士がいる。そして西門の前にはこの国の兵士達が整列していた。
「総合ギルド、ただ今到着しました!」
 ギルド長がそう言うと団長と思わしき人がこっちを向いて、驚きの表情を見せてくる。
 「そ、それだけなのか?」
 「すまないが、前線で戦える者達はこれしかいないんだ」
 今さら話すが、あの四つのグループに分かれる時に大体十人から十二人のグループ構成になっていたのだ。その様子を見ていた部下達は不安そうな顔でギルド長を見つめている。
 「こんなにいないのは無理もないでしょう。その原因はアナタ方がよく知っていますよね?」
 「はい・・・・・・そうですね」
 やっぱり、兵士長も心当たりがあるみたいだな。ってちょっと待てよ!
 「すみません! 私聞きたい事があるのですが、発言してもよろしいでしょうか?」
 「ん? あ、アナタは!? エルライナ様ッ!!」
 団長らしき人はそう言うと俺に向けて敬礼をする。バルデック公爵令嬢の地位の凄さを身を持って知ったわ。
 「姿勢を崩して良いです」
 「ハハッ!? それで、この私に聞きたい事とは一体なんでしょうか?」
 「この国の勇者が見当たらないのですが、一体どちらにいらっしゃるのですか?」
 「あ、はい・・・・・・あちらに居ますよ」
 そう言って手を差し伸べた方向を見てみたら、なんとそこには生徒会の仲良しグループしかいないのだ!
 「・・・・・・え? 確か私の記憶では、二十五人ほどいたはずなのですが?」
 「彼らはそのぉ〜・・・・・・、病になってしまってぇ〜」
 「先ほど宿に帰っている途中に、私はあそこにいる四人以外の勇者達に絡まれたのですが? 急に二十人も病に伏せるのは、誰がどう考えてもおかしいとしか考えられませんよね?」
 俺がそう言ったら、団長が誤魔化せないと思ったのか ハァ〜・・・・・・。と深くため息を吐いた。
 「彼ら以外は魔物の多さに怯えてしまったのか、集団で城に引きこもってしまったんです」
 「「ハァ!?」」
 余りの衝撃発言にネネちゃんも同じ様に言ってしまっている。
 「彼らの訓練を担当している方々も前線に出る様に説得しようとしたのですが、全く動こうとしないんですよ。こう説得しているのも時間の無駄なので、諦めて放っておく事にしたのです」
 「弱き者を悪から助ける人達がこの場にいないなんて! 許し難い出来事ですよっ!!」
 「・・・・・・いや、彼らは人としては間違ってない行動だよネネちゃん」
 「お姉様は勇者達の行動を許せるのですかぁっ!?」
 「私だって許せない。でも今はその事で怒っていても仕方ないよ」
 俺の言葉を聞いたネネちゃんは気持ちを落ち着かせる為か、目を瞑り大きく深呼吸をした後に俺の顔を見つめる。
 「取り乱して申し訳ありません、お姉様」
 「うん、今は門の向こうから迫って来ているモンスター達の対処しよう。勇者の事は後回しね」
 「はい、お姉様」
 うん良かった。冷静になってくれて。それはそうと。
 「あの、彼らと話をして来て良いですか?」
 「え? あ、構いませんよ」
 「ネネちゃん、私の代わりに二人の会話を聞いて欲しいんだけど。頼めるかな?」
 「お姉様のお願いでしたら、お受けいたしますよぉ!」
 「ありがとう、ネネちゃん」
 「どういたしまして」
 ネネちゃんに軽く手を振ると、勇者達の方へ向かって歩き出したのであった。
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