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クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生

青空鰹

第34話

 岡野に決闘を申し込まれた俺は、訓練場で装備を整えている。


 「・・・・・・お姉様」


 「大丈夫だよ。ネネちゃん」


 心配そうな顔で俺を見つめてくるネネちゃんに対して、俺はニッコリと答える。 


 「でも、武器がぁ・・・・・・」


 俺の装備はスタンバトンと投げナイフとカランビットナイフ。後は腰の後ろ側に デトニクス コンバットマスター (45ACP弾使用)をホルスターに入れてポケットに小型ナイフを隠しいてれいるだけ。


 「私は常に保険を持っているから、心配しなくてもいいよ」


 「そう、ですか?」


 「そうだよ」


 それに俺、前世で一回アイツに勝っているからなぁ〜。


 「準備が出来たか、クソ女」


 重そうな鎧を着込んだ岡野が俺に言って来る。


 「ええ、いつでも始められますよ」


 「じゃあこっちに来やがれ!」


 「はいはい。言われなくても行きますよ」


 ぎこちなく歩いている姿を見て、 ホント、バカだなぁ〜。コイツは。 と思ってしまう。そして立ち会い人を挟んで岡野と向き合っていると、立ち会い人が話掛けて来た。


 「これより決闘が始まります! 二人共、ご準備の方はよろしいですか?」


 「いつでもいけるぜっ!!」


 そう言って悪趣味で重そうな大剣を肩に背負う姿に、 いや、それが構えなの? 隙だらけじゃん!


 「私もいつでも大丈夫ですが・・・・・・」


 「どうされたのですか?」


 「可哀想な彼に、戦闘のアドバイスをしてあげようと思います」


 「なんだとぉっ!?」


 ちょっと喰いかかってくる岡野の言葉を無視して話を続ける。


 「かぶとのお面を取っておいた方が身の為ですよ」


 そう、岡野がつけている兜は中世以前のヨーロッパみたいなヤツ。なのでお面のところが大きな穴が均等に空いているのだ。


 「フンッ!? そんな事を言って騙す気なんだなっ!!」


 そう言って聞く耳を持たないので、俺は立ち会い人に顔を向ける。


 「始めても大丈夫ですよ」


 「あ、はい! それでは、両者構えて・・・・・・始めっ!!」


 「死ねええええええええええええっっっ!!?」


 岡野はそう言いながら俺に向かって突っ込んで来て大剣を振り下ろして来たので、俺はヒョイッと避けると大剣の先が地面にめり込んだ。


 「うらああああああっっっ!!?」


 今度はめり込んだ大剣を引き抜きながら、横なぎに振るってくるのでしゃがんで躱した後に距離を取った。


 「どうしたぁっ? 避けてばかりじゃ意味がねぇぞぉ!!」


 「それは攻撃を当ててから言うべき言葉だよ」


 攻撃力は高いが、攻撃のモーションが大きいせいで避けやすい。魔物相手ならまだしも、人間相手じゃ彼の戦い方は通用しないな。


 そんな事を思っている最中、俺の言葉が感に触ったのか今度は叫びながら突っ込んで来た。


 「当たりやがれぇぇぇええええええっっっ!!?」


 袈裟斬りも躱して距離を取ると、今度は俺に向かって手をかざして来た。


 「炎よ業火となりて我が敵を焼き払え! 【ファイアボール】」


 そう言ってから【ファイアボール】を放って来たので、バトンで弾いて防ぐ。その様子に岡野どころか彼のクラスメイト全員が驚いた顔をしていた。


 「キミの実力はこんなもんかい?」


 「な、なんだと?」


 「別大陸にいた勇者の方が、もっと威力があった」


 俺がそう言うと岡野の怒りが頂点に達したのか、身体をプルプルと震わせる。


 「じゃあ、ここから本気で戦ってやらぁぁぁああああああっっっ!!?」


 最初っからそうしろよ。と思いながら俺はとある物を岡野の顔目がけて投げつけた。


 「わっ!? なんだ? 目がっ!!」


 岡野は途中で止まり、顔を手で拭おうにもお面が邪魔で拭えずにいる。そんな事をしている間に岡野に素早く近づく。


 「岡野、危ねぇっ!?」


 手下がそう言うがもう遅い。俺は大剣を握っている右手にスタンバトンを当ててスイッチを押した。


 「〜〜〜〜〜〜ッッッ!!?」


 スタンバトンから流れる電流に、声にならない叫び声を上げながら身体を小刻みに震わせて硬直させる。


 「・・・・・・そろそろいいかな?」


スタンバトンを当てている右手から離すと、岡野は大剣を地面に落とすのと同時に這いつくばる様な格好で倒れ込んでしまった。見て分かる通り相当効いたようだ。


 「テ、テメェ・・・・・・俺の、身体に・・・・・・何をし、た?」


 「このバトンを通じて電流を流しただけだよ。まぁその分だともう戦えそうにないね」


 俺も右腕だけ痺れさせようとしたのだけれども、まさか全身を痺れさせるとは思って見なかった。もしかしたら鎧のせいで全身に回ったのか?


 「ふざ・・・・・・けるなぁ!」


 そう言いながら立ち上がろうとするのだが、ビクともしない様子。


 「審判。止めないとトドメを刺しちゃうけど良いの?」


 俺がカランビットナイフを取り出して兜と鎧の隙間に刃を滑り込ませると、 ヒイイイイイイッ!!? と悲痛な叫び声が聞こえて来た。


 「こっ、降参だっ!! 降参するから殺さないでくれぇぇぇええええええっっっ!!?」


 「残念だけど諦めてね。決闘だし、審判が試合終了って言わないから」


 カランビットナイフの刃先が岡野の喉元に触れた瞬間、審判から ストップ!! と言う声が聞こえて来た。


 「オカノ殿の戦闘不能により、エルライナ様の勝利とします!」


 その言葉を聞いた瞬間、岡野に突き立てていたナイフを抜き取り、ホルスターに収める。


 「命拾いしたね。お漏らしくん」


 そう、コイツは電流を喰らったせいか失禁をしていたのだが、岡野はその事を気にせずに兜を脱ぎ捨てて自分の首に手を当てる。


 「まぁキミの敗因は色々あるけど、一番の要因は自分に見合った装備をしていない事だね」


 そう言ってから岡野から離れた後に、クラス全員を見渡す。


 「世界を救う勇者がこの実力じゃ無理だ! もっと強くなるべき! いや、強くなりなさいっ!!」


 俺がそう言うと猪瀬が俺の目の前に出て来た。


 「お言葉ですがエルライナさん。我々は我々なりに努力しています」


 「努力? ・・・・・・フンッ、笑えますね」


 「何が可笑しいと言うのですっ!!」


 「アナタ方がやってる事は努力じゃなく迷惑でしょ? 自覚が全くないんですね」


 俺がそう言うと腕を組み、俺を見下す様な目で見つめて来た。


 「アナタがどんなに偉くても、我々には我々のやり方で強くなっておりますから、ご心配をなさらずに」


 「心配? なにを勘違いしているのですか?」


 「へ?」


 「私はアナタ達に呆れていると言っているんですよ。理解力に乏しいですね」


 ホント、お前は両親に似てねぇなぁ。


 「それにアナタ達は実力をつけなきゃいけないのに、やれショッピングだの遊んでばかりではありませんか?」


 「それは一部の人間であって・・・・・・」


 「それにアナタと言ったら、経営陣でもないのにお店の経営に口を出してお店を潰してばかりいて・・・・・・勇者じゃなく疫病神になってるとは気づかないのですか?」


 俺の発言に怒りを感じ取ったのか、組んでいた腕を下げて怒り出した。


 「私が関わった商人達が根性なしだったせいよっ!!」


 「相手からすれば、部外者のアナタが自分の経営に口を出すな。と言いたかったと思いますよ。経営がやりたかったら、起業するかその商会を買収するべきではなかったのでしょうか?」


 俺が正論を言うとに一歩下がった。


 「それにつけ加えて言いますと、アナタはそんな事をしている場合じゃないんですよ」


 「はぁ?」


 なにを言っているの、コイツ? 言いたそうな顔をする猪瀬の顔を殴ってやりたいが、ここはグッと堪える。


 「アナタは勇者で脅威から人を守るのがやるべき事が役目ですよ。それに、ご自身が命を狙われている立場だと分かってないのですか?」


 「命を、狙われてる?」


 「そうですよ。魔人からしてみれば、我々は敵ですからね。遅かれ早かれアナタ達の元へくるでしょう・・・・・・アナタを殺す為に」


 俺がそう言った瞬間、クラスメイトがざわつき出した。


 「ま、まだ先の事よ」


 「もうこの王都に侵入されているので、そうとは言えませんよ」


 「えっ!?」


 俺の発言に対して、猪瀬どころか周囲の兵士達も驚きだした。


 「デタラメを言わないで! 怒るわよ!」


 「デタラメなんて言ってませんよ。現に総合ギルド長と国王も知っている事なので、なんなら確認してみてはいかがでしょうか?」


 猪瀬は言い返せないのか、黙り込んでしまった。


 「ああそれと思い出したのですが、メルティナス様から神託を預かっております」


 「メ、メルティナス様!?」


 「ええ、これ以上周りに迷惑をかけるのでしたら、 こちらもアナタ達の事を対処させて頂きます。 と。まぁ、これもデタラメかどうかは判断するのはアナタ達次第ですよ」


 そう言ってから、猪瀬から離れてネネちゃんも元へ行く。


 「ネネちゃん、こんな不快なところから帰ろっか」


 「はい、お姉様!」


 「あ、お帰りでしたらお送りいたしますよ!」


 正門に向かう俺達を、クラスの連中は立ち尽くしたまま見つめるだけであった。

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