クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生
第19話
 「やれやれ、ようやく行ったかぁ〜」
 「さすがお姉様! 勇者にも臆せずガツンッ!? とやりましたね!」
 「そうかな?」
 「そうですよ! 私自身もあの態度に腹が立っていましたから、スッキリしました!」
 でもガツンッ!? とまではやってない気がするなぁ。
 そう思いながら抱き付いているネネちゃんの頭をなでていると、ドバクさん達が近づいて来た。
 「エルライナ様、ありがとうございました!」
 「我々の為に、なにからなにまで・・・・・・」
 「ああ〜、別に気にしないでください。私がやるべき事をやったまでですから」
 「勿体なきお言葉です。ウウッ!?」
 あら、なぜか泣いちゃった。
 「それじゃあ、私はこの辺でお暇させて頂きます」
 「もう行かれるのですか?」
 「はい。総合ギルドと行って報告するのと、お宿を見つけに行かなきゃいけないので」
 まぁその前にネネちゃんの仲間と合流するんだけどね。
 「それでは、お仕事頑張ってください! 行こう、ネネちゃん」
 「はい、お姉様!」
 ネネちゃんと手を繋ぎながら武具店を後にしたのであった。
 「ん〜・・・・・・」
 「どうされたのですか、お姉様?」
 「やっぱり、この街の住民達の様子が変な気がしてね」
 外で歩いている人、それにお店を経営している人もなにかに警戒している様子だ・・・・・・ん?
 「どうしました、お姉様?」
 「ネネちゃん、これ見て」
 そう言って露店に並んでいる野菜に指を差した。
 「これって、野菜を売っている露店なんて見ても意味がないですよ」
 「違う違う。値段を見てみて」
 「値段ですか・・・・・・あれ? 高い」
 そう、ネネちゃんの言う通り、どこでも栽培されているニンジンやレタスなどの値段が、レーベラント大陸よりも少し高くなっているのだ。
 「買えなくはない金額だけど、他の国よりちょっと高い気がします」
 「ああ〜、それは仕方がないですよ。野菜を仕入れてくれている商会の数が、減少してしまったんですから」
 野菜を仕入れている商会が減少?
 「どういう事ですか?」
 「あまり声を大きくして話せませんが、勇者の連中のせいです」
 「なんかやっちゃった感じですか?」
 「ええ、詳しくは話せませんが、怒らせてしまったんです」
 なるほど、なんとなく察したよ。
 「そうなんですか。大変ですねぇ。あ、そこのジャガイモを五つください」
 「あ、はい。全部で銅貨八枚になります!」
 「はい、どうぞ」
 露店の人にお金を渡してジャガイモを受け取ると、ストレージの中へと入れてから歩き出す。
 「お姉様、どうしてジャガイモを買ったのですか?」
 「私は冷やかしはしないタイプだからね」
 「それだけの理由ですか?」
 「これでお菓子を作ろうかって思っているんだ」
 ポテトチップスとか、ジャガバターとか。
 「是非作ってください、お姉様!」
 「期待しててね」
ウキウキさせながら歩いているネネちゃんの後をついて行くと、広場へと出た。
 「着きました。ここが待ち合わせ場所です」
 「ここが待ち合わせ場所ね」
 辺りを見回してみると子供達が楽しそうに遊んでいて、隅では子供向けのお菓子を売っている露店があり、人形劇もやっていた。
 「賑やかだね」
 「そうですね。あのお店に行きましょう」
 「お店?」
 ネネちゃんが指をさす方向に顔を向けると、門の前で販売していたお弁当屋さんがそこにあった。
 あ、なるほど。そういう事ね。
 「そうだね。行きましょうか」
 そう言ってからお弁当屋さんに入って行くと、 いらっしゃいませ! と元気な声でおじさんがお出迎えしてくれた。
 「すみません。ここで食事をしたいのですが、大丈夫ですか」
 「はいはい。食事スペースがあるので構いませんよ」
 「じゃあ、特製焼き豚チャーハンと唐揚げ弁当レモン抜きを一つずつお願いします」
 「特製焼き豚チャーハンと唐揚げ弁当レモン抜きを一つずつですね。どうぞ、こちらに来てください」
 そう言って奥にある部屋へと案内された。
 「こちらで少々お待ちください」
 そう言うと部屋を出て行ってしまった。
 「ネネちゃん。もしかしてさっきの注文も合言葉なの?」
 「そうですよ、お姉様。恐らくここに部隊長がくると思うので、待っていましょうか」
 あ、責任者自ら話して頂けるのですか。
 「そうだね。それに・・・・・・」
 「それに?」
 「特製焼き豚チャーハンって存在している? お店のメニュー表に書いてなかったよ」
 もしかしたら、存在していない料理なのか?
 「えっとぉ、多分存在していない料理だと思いますよ」
 「ならば私が特製焼き豚チャーハンを作ろうか。師匠からレシピを伝授されてるし、それに加えてポテト料理を作って・・・・・・」
 「特製焼き豚チャーハンはちゃんと存在していますよ。ただ不人気料理なので、カタログ落ちしているだけです」
 「「・・・・・・え?」」
 2人して声のした方向に顔を向けると、エルフの男性が扉の前に立っていたのだ。
 「い、いつの間にいたのですかぁ?」
 「私が特製焼き豚チャーハンを作ろう。って言っていたところで入って来ていたよ」
 微かに扉開ける音していたし。
 「流石エルライナ様ですね。恐れ入りました」
 「いえいえ、それほどでもないですよ。ところでアナタのお名前は?」
 「申し遅れました。私はこのお弁当屋のマネージャーで、ここの魔国の影の情報部に所属している ガルマ と申します。以後お見知り置きを」
 ガルマさんね。
 「ガルマさん。来て早々で申し訳ないのですが、勇者達についての情報を教えて頂けませんか?」
 「構いませんよ。情報がたくさんあるので、なにから話せばよいのやらぁ〜・・・・・・」
 「ん〜、先ずは勇者達の中心的、いやリーダー的な存在とその取り巻きを教えて欲しい。それと、さっき武具店で会った頭を下げていた四人グループの名前ぐらいかな」
 「さっき頭を下げていた四人グループ? あっ!?」
 どうやらガルマさんは思い出したのか、手をポンッと叩いた。
 「リョウヤ・アオノ。ソウタ・クメヤマ。レナ・マガツ。マユ・キサキ さん達ですね」
 「青野 良弥 様。久米山 相太。真月 伶奈。 木崎 麻友ね」
 ああ、名前をやっと思い出した。確か青野と真月はクラス委員で、久米山と木崎が生徒会委員だ。
 「彼らも可哀想に思います」
 「どうしてですか?」
 「自分達の仲間が問題を起こせば、すぐに駆けつけてお店に謝りに言っているんですから。ヒドい場合は店主に殴られた事もあるとか」
 「うわぁ〜・・・・・・本人達可哀想ですね」
 ネネちゃんの言う通り、可哀想だな。
 「まるで親が代わりに謝りに行ってるみたいですね」
 「本当にそうですよ。しかもやった張本人達が洒落になんない事を仕出かしているのに、自覚していないからタチが悪いのですよ」
 「それはそうと、リーダー的な存在は誰ですか?」
 「おっと、そうでしたね。リーダー的な存在は ユウジ・オカノ と マスミ・イノセ です」
 片方は俺を目の敵にしていた不良のリーダーの岡野で、もう片方は親に追い出された馬鹿ご令嬢の猪瀬か。
 「その2人がリーダー的存在なんだね」
 「そう、と言いたいのですがぁ。ちょっと違うとも言えるかもしれませんね」
 「ん? 違うと言えるかもしれない?」
 どういう事なんだ? 馬鹿同士な上に同じ思考回路を持っているから、お似合いカップルだと思うんだけど。
 「二人は対立しているんですよ」
 「「対立?」」
 協力し合っているんじゃなくて?
 「はい、顔を合わせる度に歪み合って訓練もままならない状態なのです。なので、別々で訓練している状態みたいですよ」
 「その言い方ですと、まるで派閥があるみたいに聞こえるんですけど」
 「実は、派閥が出来てしまったんですよ」
 「えっ!?」
 こんな大変な時にクラスメイト内で派閥作って争ってんのかよ。
 呆れて頭を抱えてしまった。
 「ハァ〜・・・・・・成り立ちから聞いた方が良さそうですね」
 「そうですね。では、彼らがこっちの世界に来た当初の話をしましょう・・・・・・」
 彼は丁寧にクラスメイトの話を始めたのだ。
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