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クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生

青空鰹

第15話

 ギルドでの用を済ませたのは良いのだが、新たな問題が発生したので現在は総合ギルドのエントランスで悩んでいる。


 「そんな険しい顔をして、どうなされたのですかお姉様?」


 「あ、いや。今日中に王都に着く予定だったんだけど、この時間だとここの街に泊まるしかないなぁって思って」


 「でしたらここで良い宿を聞いて取りましょうよ」


 「そうだね。総合ギルドお墨付きの場所なら安心出来るしね」


 どこかに職員がいないかなぁ? と思っていたら、向こうから駆け寄って来た。


 「先程話忘れていましたが、モンスターの料金だけでも受け取らなくても、よろしかったのですか?」


 「ああ〜・・・・・・」


 別にお金なら有り余っているから貰わなくても良いけど、モンスターのお金だけでも受け取らないと怪しまれるか。


 「そうですね。モンスターの報酬だけ受け取ります」


 「こちらが報酬です。銀貨八枚と銅貨六枚が入っております」


 袋を受け取ると中身を確認した後に、受付けの人を見つめる。


 「確認出来ました。それと宿屋を紹介して頂けると助かるのですが、良い宿屋がどこか教えて頂けませんか?」


「ああ〜、それでしたらギルドを出て向かい側にある宿か、右隣の宿をご利用なさってはいかがでしょうか?」


 「ありゃ、意外と近いところにあるんですね」


 「はい、向かい側の宿はここの総合ギルドが出来てすぐに開店した宿なんですよ」


 なるほど、総合ギルドの側に宿屋を構えれば儲かると考えたんだな。


 「それじゃあ、その二軒に行ってみることにします。ありがとうございました!」


 「ありがとうございました」


 「いえ、こちらこそご利用ありがとうございました!」


 そう言って総合ギルドの外に出ると、背伸びしてからネネちゃんに顔を向ける。


 「さて、どっちの方に行こうか?」


 総合ギルドの反対側にある宿はホテルの様な豪華な感じに対して、隣にある宿は昔ながらの宿って感じの建物だ。


 「正面の方は貴族御用達って感じで私はイヤです。出来れば隣の方が良いです」


 「じゃあ隣の宿から聞いてみようか、ダメだったら正面の宿に聞こうか」


 「はい、お姉様」


 「ああ、それとこれ」


 先程受付けの人に貰ったお金の半分を取り出してネネちゃんに渡たした。そしたら手のひらを見つめながら驚いた顔をさせていた。


 「こんなに貰って良いのですかっ!?」


 「半分はネネちゃんのおかげなんだから、ちゃんと受け取ってね」


 「ありがとうございます、お姉様ぁ〜!」


 彼女はそう言うとお金を受け取り、自分のお財布の中へ入れた。


 「部屋は別々が良い? それとも・・・・・・」


 「一緒が良いです!!」


 「あ、うん。そう・・・・・・分かったよ」


 とりあえず確認が取れたので、隣の宿屋の中へ入って行く。


 「いらっしゃいま・・・・・・せ?」


 「ん?」


 俺を見た瞬間、宿屋の人が不機嫌な顔になった。俺、なにか彼女に悪い事をしたっけ?


 「あの、部屋一つのシングルベッドが二つある部屋空いていますか?」


 「はい、空いてますよ。念の為にギルドカードを確認させて貰いますね」


 「えっ? ギルドカードを?」


 「はい、ギルドカードの提示をお願いします」


 おかしいなぁ。婆さんところで宿を取った時は、そんな事を言われなかったのに。


 「分かりました」


 そう言ってからギルドカードを取り出して宿の人に提示したら、 ふむふむ。 と言って確認をしている途中で眼を見開いたまま倒れてしまった。


 「え、ちょっ!?」


 「あわわわわっ!?」


 慌ててカウンターを乗り越えて気絶している宿の女性を抱える。


 「大丈夫? 怪我は!?」


 頭とか身体に傷がないか確認をしていると、 う、う〜ん・・・・・・。 と言ってから目を覚ました。


 「えっとぉ〜。何処か痛いところはない?」


 「え、あ、ひゃい。大丈夫ですエルライナ様」


 「「様?」」


 よく見て見ると、照れているのか顔を赤くして頬に手を当てている。


 「この人も、もしかして?」


 「私の同士っぽいですね!」


 「キャァ〜〜〜ッ!? 本物のエルライナ様に会えたぁ〜〜〜っ!! しかも抱きしめられてる! 私幸せですぅぅぅうううううううううううううっ!!?」


 彼女はそう言いながら腕の中で悶えていた。


 ちょっと引くわぁ〜。あ、でもなんでもないのなら、心配しなくても良さそうだな。


 「なんともなくて良かったです。それで、さっき言ったシングルベッド二つある部屋は空いていますか?」


 「空いていますよ!」


 「料金はいくらですか?」


 「本物のエルライナ様でしたら、無料で提供します!」


 オイオイオイ、そりゃダメだろう。


 「私達はお客様なんだから、ちゃんと料金を払いますよ。いくらですか?」


 「ええ、そんなっ!? 泊まってくれただけで宣伝になるのに!」


 俺が泊まっただけで宣伝になる訳ないでしょうが! そこそこ有名なだけなんだから!


 「私も一人のお客なので、キッチリと払わせて頂きます!」


 「えっとぉ〜・・・・・・銅貨一枚になります」


 「ウソはダメです。本当の金額は?」


 「ぎ、銀貨一枚になります」


 余り問い詰めると虐めている様な気分になるから、追求するのは止めておこう。


 「銀貨一枚ね。はい」


 言われた通りの金額を彼女に渡すと、目に涙を溜めた。


 「やっぱり、偽物と違って本物はちゃんとしていますねぇ!」


 偽物と違って?


 「もしかして、この街でお姉様を名乗った偽物が現れたのですか?」


 「はい、その通りですぅ〜!」


 マジかよ。


 「ちょうど一週間前ぐらいになるます。アナタ様の名を借りた黒い杖を持った女性が、この街にやって来たんです!」


 「それで、その人が街中で好き放題やっていた感じ?」


 「はい! 我が物顔で街を歩いて好き放題していたのですが、三日後に捕らえられました。
 そしてその捕らえられた時も 私を捕らえるとは良い度胸だなぁ! リードガルム王国と戦争になるぞぉ! と叫んでいました」


 ああ、多分総合ギルドが偽物だと気づいたんだろうな。


 「・・・・・・ギルティ。その虫ケラはどこに行きましたか?」


 どっから出したのか分からないが、クナイを扇子の様な感じに広げて持ってネネちゃんはる気満々だ!


 「ストップ、ネネちゃんストップッ! もう終わった事みたいだから、ネネちゃんが手を下さなくても大丈夫だよ。ね?」


 そう言って宿屋の人を見つめたら、ウットリとした顔で俺を見つめて来た。


 「はい。エルライナ様のおっしゃる通り、その偽物はもう処罰を受けております」


 「ね、だからそのクナイを仕舞おうね?」


 「・・・・・・そうですか。処罰されたのでしたら構いません」


 ネネちゃんはそう言ってから、クナイをどこかへ仕舞った。


 良かった、ネネちゃんが暴走してその人を殺そうとしなくて。っと、それよりも。


 「立てますか?」


 「はい」


 彼女の手を取りながら起こしてから、カウンターから出る。


 「部屋の鍵が欲しいのですが」


 「あ、はい。こちらになります!」


 彼女から部屋の鍵を受け取ったら、なんとカウンターから出て来たのだ。


 「お部屋に案内をしますね」


 「単にお姉様と少しでも一緒に居たいだけではありませんか?」


 「仰る通りです! ネネ様ぁっ!?」


 「分かりますよ、同士っ!!」


 彼女達はお互いの手を握りしめて友情を確かめ合っていた。


 「こ、ここに本物のエルライナ様がいらしているのは本当かっ!?」


 ん? なんだろう?


 出入口の方を見てみると、太った中年の男が息を切らせていた。宿の子はおじさんを見るなり げっ!? と言った。どうやら知り合いらしい。


 「ウチの宿になにか御用ですか?」


 「いいえ用はありません」


 「なら出て行ってくれませんか? 今お客様をご案内するところなので!」


 トゲのある言い方をするって事は、どうやら因縁があるみたいだ。


 「ハッ!? もしや、アナタがエルライナ様ですか?」


 「さぁ〜、どうでしょうかぁ」


 「惚けないでくださいよ。アナタのその容姿がなによりの証拠じゃないですか」


 まぁ確かに、アメジスト色の瞳に白い髪と言ったら俺しか存在しないしな。


 「是非とも! 総合ギルド正面に構えている私のホテルに泊まってくださいませんかぁっ!? 無償で最上階の部屋をご用意しますので!」


 うわぁ、宣伝目的なのバレバレじゃん! あ、でもこの宿もそうだったな。


 「あのぉ。今日はもう疲れたので、部屋に案内して頂けませんか?」


 「はい、エルライナ様の泊まる部屋はこちらになります」


 「そんな、スイートルームが無料で泊まれるのですよ! エルライナ様! エルライナ様ぁぁぁあああああああああああああっっっ!!?」


 宿屋の女性の後を追いつつ、 向こうの宿に行かなくて良かった。ネネちゃんナイス! と思うのだった。
 それとこれは後日聞いた話なんだけれども、俺が泊まった宿は出て行った後に繁盛したそうだが、総合ギルドの向かいにあるホテルの方は“客で贔屓ひいきする店”と有名になり、このやり取りの半月後にホテルが潰れたそうだ。
 俺のせいではないと願いたい。

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