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クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生

青空鰹

第2話

 「ご主人様、こちらのテーブルでごゆるりとお過ごしくださいニャ!」


 ねぇちょっと! 普通のご主人様に比べて、アイーニャ様への対応が違うのはなぜなんだ? 金か? 金のせいなのか? 金の力があれば人はこんなにも変わるものなのか?


 「さぁエルエル、ご主人様達に失礼のない様におもてなししてニャ」


 「は、はい・・・・・・分かりました。店長」


 うぅ〜〜〜・・・・・・この人達絶対になにかしてくるからやりたくねぇよぉ〜〜〜!!


 俺がそう思っている中、みぃさんは去り際に耳元で、 なにがなんでも満足させて大金を払って貰うニャ。だから頑張ってちょうだいニャ、エルエル。 と言ってカウンターの方へ向かって行く後ろ姿を、俺は目を大きく見開きながら見つめていた。


 ちょっ!? 俺をダシにして大金を貰おうとするなんて! なんてヒドい店長なんだぁっ!!? 絶対今日限りで辞めさせて貰うからなっ!!!
 あと絶対退職金も弾ませて貰わなきゃ割に合わねえっ!!


 「ねぇ、エルエル」


 「は、はい。どうなされました、ご主人様?」


 「料理はメニューにしか載ってないものしか出さないの?」


 「えっ!? そうですがぁ〜・・・・・・」


 「特別メニューとか裏メニュー。って言うのはないのかい?」


 「ありませんよ」


 エルライナはキッパリとアイーニャに言う。


 当たり前だ! 開店したてのお店に裏メニューとか特別メニューとかあるはずがないでしょうがっ!!


 「そう、それは残念だわぁ〜。特別メニューとかあったら、お金をちょっとだけ奮発してあげようかなぁ〜? って思ってたんだけどぉ〜・・・・・・ないなら仕方ないかぁ〜」


 手のひらに金貨数枚を乗せてジャラジャラと音を立てて遊ぶ姿を見て、ちょっとイラッと感じてしまう自分がいた。


 「あら奥方様、そんなに上げちゃダメですよ。エルエル様が困ってしまいますから」


 よかったぁ〜。無茶ぶりを要求されると思った。


 「特別メニューなら存在していますよ!ご主人様!!」


 「うわっ!?」


 店長、どっから湧いて出たの? って、もしかして金貨のジャラジャラ鳴る音を聴きつけて来たのかっ!?


 「へぇー、どの様な特別メニューなのですか?」


 「エルエルのまぜまぜラブリージュースだニャ!!」


 そんなあったなんてメニュー初耳なんですけどぉぉぉおおおおおおっっっ!!?


 「ほっほーう。具体的に説明して頂きたいですよねぇ〜、奥方様」


 「ああ〜、そうさね。どんなメニューなのか聞きたいねぇ〜」


 二人共この上ないほどの笑顔でいらっしゃる! って事はつまり、この二人は頼む気満々って事じゃないかっ!!


 「はい! まずは二つのストローが入っているグラスを、エルエルが愛情たっぷりまぜまぜするニャ!」


 「ほうほう、それで?」


 「そしておまじないを掛けたら、エルエルとご主人様が一緒にストローを使ってジュースをチューチュー飲むのですニャッ!」


 うん、そのサービスは日本でもあったようなぁ〜、なかったようなぁ〜・・・・・・ってぇ、そんな事を言ってる場合じゃないっ!?


 「私そのサービスメニューを絶対やりませんからねっ!?」


 「ええ〜、やってくれないのぉ〜? チップお金を用意したのにか?」


 アイーニャ様はそう言いながら手のひらに乗せている三枚の金貨を取り出して、みぃさんに見せつける様に近づけた。


 「ニャァ〜〜〜・・・・・・」


 うわぁ〜〜〜〜〜〜・・・・・・さっきと同じ目をしているよ。


 「あら、奥方様がお金を出すのでしたら、私も同様にサービスしなければなりませんね」


 メイドさんはそう言うと、みぃさんに見せつけている手のひらに自分自身の給料であるお金を追加で入れたのだ!


 「アンタ、金貨二枚はさすがに少なくない?」


 「イヤですね奥方様、私が奥方様と同じぐらいのお金を持ってると思いますか?」


 「う〜ん・・・・・・まぁ、考えてみればアタシの方がお金を持ってるかぁ〜」


 イヤイヤイヤイヤ! 金貨二枚って庶民からしてみれば大金だよ! アイーニャ様がやってる事を日本で例えるなら福澤諭吉さんが書いている十枚の一まとめにしたお札を三つ軽々しく出している様なもんだぞっ!?
 って言うかぁ! メイドさんがあんな風に軽々しく金貨を二枚出してるって事は、バルデック公爵様の使用人って高給取りなのか?


 「金貨・・・・・・五枚っ!!」


 あ! やべぇー・・・・・・みぃさんの目が、獲物を狩ろうとしているような目に変わっている。


 「エルエル!」


 「ハ、ハイッ! なんでしょうかぁっ!!?」


 その目のままこっちを向いて来たから、思わずビビって一歩下がってしまった!


 「今すぐに まぜまぜラブリージュース をご用意するから、ちゃんとやってニャ!」


 「えっ!? ちょっ、私だって やる。 やらない。 の意思決定権が!」


 ガシッ!?


 「い・い・か・ら・や・る・ニャ」


 両肩を掴まれた上に間近で言われてしまうと、怖くて断われない。助けて、ミハルゥ〜〜〜ンッ!!


 そう思いながらミハルちゃんに助けを求める様な目で顔を向けたのだが、 私の給料にも関わる問題だから頑張りなさい!! と口パクで言われてしまった。


 チクショーッ!! ミハルン、お前との友情は今日限りにさして貰うからなっ!!!
 てかそもそもミハルンと俺との間に友情ってあったっけ?


 「あのぉ〜、そのぉ〜・・・・・・えぇっとぉ〜〜〜・・・・・・」


 逃げたい! 今すぐにここから逃げたいっ!!


 「ご主人様、エルエルが逃げそうなので捕まえていて下さいニャ!」


 「あいよぉ〜、分かった」


 アイーニャ様はそう言うと俺の背中から腕を回して拘束をするが、なぜか両手は俺の胸を掴んでいる。


 「ふわぁっ!?」


 「おっ!? いい声で鳴くねぇ〜。このままモミモミすればエロティックな声が聞けそうだぁ〜!」


 止めろこのセクハラ女っ! って言いたいけど相手が公爵だから言えないよぉ〜!!


 「ちょっと、奥方様!」


 お! この人を叱ってくれるのかっ!?


 「なに?」


 「奥方様ズルいです! 私もエルエル様のお胸を揉んでみたいですっ!!」


 エエエエエエエエエエエエッッッ!!!?


 「アイーニャ様を止めてくれないんですかっ!?」


 「えっ!? これもサービスの範疇はんちゅうではないのですか?」


 「ありませんよ、そんなサービスはっ!!」


 「え〜・・・・・・せっかくお金を用意したのにですか?」


 メイドさんはそう言いながら手のひらを俺の顔の前まで持って来たので視線を移してみると、なんとそこには金貨三枚が乗っているではないか!


 「き、金貨三枚って、えぇ〜・・・・・・」


 バルデック公爵様のところで働いてる使用人達の月収がいくらか聞きたくなって来たぞ。


 「どうぞ! 好きなだけエルエルの身体をお触り下さいニャ!」


 「うわぁっ!? て、店長ぉ! いつの間に来たんですか?」


 「さっきから後ろにいたニャ。それよりも、はいこれ」


 はいこれ。ってストローが二つついた混ぜてないカフェオレを渡されても、どうすればぁー・・・・・・まさか!


 「さぁエルエル、おまじないの言葉を唱えながらカフェオレをまぜまぜするニャ!」


 「私はそのおまじないの言葉を習ってないんですけどぉっ!!?」


 「大丈夫、みぃに合わせて復唱すればいいニャ!」


 うわぁ〜・・・・・・目が、 やれ! 拒否権はない!! って語っているよぉ〜。


 「うぅ〜〜〜・・・・・・分かりました! やりますよ!!」


 ちくしょおおお〜〜〜! 絶対にボーナス金を払って貰うからなっ! 店長、覚悟してろよぉっっっ!!!?


 伝わっているかどうか分からないが目でそう語ると、覚悟を決めてストローを摘み怒っている顔から笑顔に変える。


 「みぃさん、準備出来ました!」


 「それじゃあ、みぃに合わせてね。エルエル」


 「わ、分かりました!」


 うわぁ〜・・・・・・アイーニャ様達がニヤニヤした顔でこっちを見てくるから、スゴくプレッシャーを感じる。


 「エルエルの愛情ぉ〜、マゼマゼェ〜〜〜!」


 「エ、エルエルの愛情ぉ〜、マゼマゼェ〜〜〜!」


 そう言いながらストローを回してカフェオレをかき混ぜる。


 「ラブラブちゅう〜、にゅう〜〜〜!!」


 「ラブラブちゅう〜、にゅう〜〜〜!!」


 「そして最後にぃ〜、美味しくなぁ〜れ! 萌え萌えキュンっ!!」


 「美味しくなぁ〜れ! 萌え萌えキュンっ!! ・・・・・・・ってやっぱり付け焼き刃で考えてないですか?」


 「そっ、そんな事ないニャッ!!」


 みぃさん、目が泳いでます。うん、ウソ吐いてるっていう反応だよねこれ?


 「・・・・・・あざとい」


 ホラ! アイーニャ様だってこう言ってるじゃん!!


 「まぁ良いさ。それじゃあ飲むとしますか」


 「それじゃあ、私がこっちのストローで飲みますから、アイーニャ様はこっちのストローを・・・・・・」


 チュゥ〜〜〜〜〜〜・・・・・・・・・・・・。


 あ、あれ? なんでアイーニャ様とメイドさんがカフェオレを飲んでるの?


 「「ご馳走さまでした」」


 「お二人で飲み干しちゃったら、私のいる意味がないじゃないですかっ!!」


 「まぁそう言いなさんなって、あまりここに長居出来ないからこうしてるのさ」


 えっ!? 長居出来ないから? ・・・・・・あっ! そう言えば。


 「お家が出来たから呼びに来たんでしたね」


 「そうさ、旦那もそこで待ってるから行くよ」


 「でもぉ〜、バイトの方はどうしましょう?」


 仕事の途中で抜けたら迷惑掛かるでしょう? ましてや今は俺のおかげで売り上げが伸びている途中なのに。


 「それなら心配ないさ。店長!」


 「は、はいニャッ!?」


 「はい、これを受け取りなさい」


 そう言うと、金貨十枚をみぃさんの目の前に出した。


 「え、ぇぇぇええええええっっっ!!!?」


 金貨十枚もいきなり目の前に出されたら、そんな反応になるわな!!


 「大丈夫大丈夫! エルエルの一日お借りする料金を出しているだけだからさ!」


「一日・・・・・・お借りする料金?」


 「そうさ、一日お借りする料金! あ、ちなみにそのお金の中に服の購入料金があるけど、足りるかい?」


 「はい! 充分足りますから、どうぞエルエルを連れてって下さいニャ!」


 みぃさんはそう言うとアイーニャ様から金貨を受け取る。


 「うんうん、商談成立。さぁ、アタシについておいでエルエル」


 「えっ!? あ、はい・・・・・・分かりました」


 そう言いながらアイーニャ様の隣に行くのだけれどもぉ〜・・・・・・。


 「あの、すみませんがお胸を揉むのは止めて欲しいんですけどぉ〜」


 「あら、いいじゃないですか。減るものではありませんし」


 確かに減りはしないけどメンタル面で影響が出るんです!


 「それに奥方様ばっかり揉めてズルいです! 私だってエルエル様のお胸をモミモミしてみたかったんですぅ〜っ!!」


 アンタは駄々っ子か!


 「まぁ向こうに着くまで好きなだけ揉むと良いさ。さぁ二人共、行くよ」


 「はい、奥方様!」


 「イヤイヤイヤイヤ! お胸を触られたまま外を歩くなんて、痴女扱いされるのが目に見えてるから嫌ですよっ!!」


 「移動する時は馬車を使うから安心!」


 「えぇ〜〜〜・・・・・・」


 貞操面で安心出来ないんですけどぉ〜・・・・・・。


 「そんな事よりも旦那を待たせているから、さっさと馬車に乗るよ! あ、ご馳走になったね!」


 「いえいえ、とんでもありません! またのご来店をお待ちしております! ご主人様!!」


 みぃさんは俺が馬車へ連行されているのを、にこやかな笑みを浮かべながら見送る。そしてお店のドアが閉じた瞬間に、 今日は儲けたニャァァァアアアアアアッッッ!!! ミハルン! このお金で一杯奢るからついてくるニャッ!! と聞こえたのは気のせいだと思いたい。
 ・・・・・・気のせいじゃないですよね、はい。そもそもその売り上げは俺のおかげなんだから、俺を差し置いて盛り上がらないで欲しいです。

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