クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生
第8話
 お花屋さんでこうなるとは、まさか次もないよね?
 「さ、さてと・・・・・・牙鬼組に行こうか!」
 寄り道で時間を食ってしまったが欲しい情報も手入れられたからよしとしよう。
 そう思って歩こうとしたら後ろから声をかけられた。
 「あら、お嬢さぁ~ん! 牙鬼組に行くのねぇ! アタシもついてってあげるわよぉ~ん!」
 「だ、大丈夫です! 気にしないで下さいっ!!」
 「あぁ~んっ! そんなに遠慮しなくても良いのよぉ~! さっき店員さんに言われた通り、ここらへんは物騒だから二人でいる方が安全そ・う・よ!」
 安全は自分でなんとかなるから良いとして、魔法少女なりのピンク色の衣装の変質者と一緒にいると俺まで奇異な目を見られるのが気になってしまう。
 「なによりもあの第一騎士団だから、なにをしてくるか分からないのよぉ」
 さっきとは違い真剣な顔つきで俺に言ってくる。多分、第一騎士団の事を知っているからこそそう言ってるのかもしれない。
 「そ、そうですかぁ。でも私は・・・・・・」
 「ダ・メ・よぉ~! アタシはアナタの事が気に入っちゃったからぁ〜、どこまでもついて行くわよぉ~!」
 これはなに言ってもダメそうだ。仕方ない、俺が折れるしかないよね。
 「ハァ〜・・・・・・分かりました。なにも面白い事はないと思いますよ」
 「良いのよぉ。側にいるだけで面白いわぁ~。そういえばアナタの名前を聞いてなかったわね。教えてくれるかしらぁ~?」
 「私の名前はエルライナです」
 俺は呆れた顔をしながらピーチさんに名前を教えた。
 「エルライナ、不思議な名前だわぁ。私の名前はピーチよぉ。よろしくねぇ〜」
 「・・・・・・よろしくお願いします」
 「アナタの事をぉ、ライナちゃんって呼ばせて貰うわぁ~!」
 「・・・・・・どうぞお好きに」
 今回つきあえば次はないと思うから、他人から変な目で見られても我慢していよう。
 「あいさつも済んだ事だし、牙鬼組に行きましょうかしらぁ」
 「そうですね。そうしましょう」
 自分で言った言葉を自分自身に言い聞かせるようにピーチさんに答えた。
 「牙鬼組はこの道を真っ直ぐ進んで突き当たりにあるみたいです」
 「それじゃあ、レッツゴーよっ!!」
 「了解です・・・・・・うん」
 拳を作り右腕を上げているピーチに対して俺は肩を落として返事して牙鬼組に向けて歩き始めた。
 「・・・・・・ねぇ、ライナちゅぁ~ん」
 「なんですか?」
 「もしかしてアナタ、第一騎士団の事が気になるのかしらぁ?」
 「え!? なんで分かったんですか?」
 たしかに第一騎士団の情報がもう少しあればいいなぁ~。と気にしていたけど。
 「いいわぁ~。アナタに第一騎士団の事を軽く説明をしてあげるわぁ~!」
 「良いんですか、第一騎士団の事を私に話しても?」
 それはそれでありがたいが、その中に機密情報が入ってないよね?
 「報告するのなら、情報が多い方が良いでしょぉ~! そ・れ・にっ! 喋っちゃいけない事まで話す気はないわよぉ〜!」
 まぁ俺自身も機密事項まで話して欲しいってわけじゃないから良いけどさ。
 「・・・・・・はい、簡単で良いのでお願いします」
 「そうねぇ~。ざっくり説明しちゃうとぉ、第一騎士団は他の騎士団全く違うところがあるのよぉ〜!」
 「違うところ?」
 「そうよぉ~、この国は第三騎士団まであるのぉ~。基本的に騎士団長は兵士を三年間勤めた上に志願する兵から人材を選んで入団させるか、団長から見て兵士や市民や総合ギルドから実力のある人をスカウトして入団をさせるかの二つよぉ~」
 ふ~ん、だからあの時に騎士団に入らないか? って誘われたんだ。
 「でもねぇ〜・・・・・・第一騎士団の場合は貴族を中心に人材を取っているのよぉ〜」
 「貴族中心に?」
 「そうよぉ~、リードガルム魔法学園を卒業した貴族達の他にその線の次男や三男とかの問題ある人をね。
 だから昔っから実力は低いし問題を起こしてるから、なるべく関わらない方がいいわよぉ~。って言われているわぁ〜」
 ふ~ん、なるほど。リードガルム王国のどこに所属していたのかは分からないけど、ピーチさんも俺にこう言ってるから第一騎士団は注意した方が良さそうだなぁ。
 「ライナちゅぁ~ん、牙鬼組が見えてきたわよぉ~!」
 「あ、はい!」
 スクリーンマップにある通り目的地が近いなぁ。と思いなからお店に近づい行く。
 「う~ん・・・・・・」
 「あらぁ〜? どおしたのかしらぁ〜?」
 「いえ・・・・・・なんでもないです。気にしないで下さい」
 ピーチさんにはこう言ったのだが気になる。だって周りが西洋的な建物でここだけ時代劇で見た事あるような外装なのだから。
 それに俺が想像していた通り、しっかりした門構えの柱に家紋と組の名前が付いた看板が太い柱についていた。
 やっぱこれさ、昔風の極道の事務所じゃないの?
 「ま、まぁとにかくぅ・・・・・・中に入って荷物を渡しましょうか・・・・・・うん」
 「そうねぇ〜!」
 身の安全の為に早く荷物を置いてとっとと出ようっ!!
 そう思いながら門をくぐり抜けて店の入り口に掛けてある暖簾をめくりながらお店の中に入って行く。そしてお店の中を見渡して見ると所狭しと武器から家具まで色々な道具が置かれていた。
 「うわっ!? すごいところだなぁ~」
 「そうよぉ~。牙鬼組はこう言うところなのよぉ~!」
 「知ってたんですか?」
 「えぇ、知ってたわよぉ〜。最近有名なお店なのよぉ〜」
 「有名って、ここってどんな物を取り扱っているお店なんですか?」
 「ここは家具屋件魔道具屋さんなんやぁ。本店は魔国にあってなぁ。ここは支部なんやぁ」
 声のする方向見ると、爽やかそうな顔にオデコから角を生やした男性が畳の上に敷いた座布団に座っていた。
 「こんにちは、店長の キオリ・フォルド よろしゅうなぁ~」
 俺が今まで会ってきた魔族はキリッとしたクールな顔の人だったけど、この人はタイプが全然違う。ニコニコしてどっか抜けてそうな顔をしている。
 「あ! はじめまして、エルライナと申します」
 軽く会釈をすると向こうも軽く頭を下げてくれた。もしかして、この世界に日本と同じ文化を持っている国が存在しているのかもしれない。
 「ご丁寧にどうも、うちの店になんかご用意で?」
 「はい、実は総合ギルドから荷物を届けに来ました」
 「ありがとさん。荷物は外にあるんか?」
 「いえ、アイテムボックスから荷物を取り出します。どこに置けばいいでしょうか?」
 「アイテムボックス? ・・・・・・ああ、なるほどぉ~! また総合ギルドに残りのもんを行ってくるんやろ? 全部揃った時にサインしてあげっから心配要らへんよぉ。うちらは急いどないからゆっくり行ってきなはれやぁ~」
 う~ん。やっぱりこの世界のアイテムボックススキルは俺のストレージとは基本的なところから違うみたい。後で神様に聞いてみようかな? それはそうと荷物全部を渡さないとね。
 「えっとぉ・・・・・全部持ってますよ。なのでどこに置けばいいでしょうか?」
 「ウソやろ? そんなに入るアイテムボックスを持っとるん?」
 その言葉を聞いたキオリさんは驚いた顔をして俺に顔を近づけて言ってくる。
 「え、ええ・・・・・・」
 「そんなら、ここに全部置いてみぃや!」
 店員さんは畳を軽く叩いて俺に促してくる。
 「はぁ、分かりました」
 俺はそう言った後にストレージを開き、次々に魔道具を畳の上に置いていくとキオリさんは驚いた顔しながら俺と荷物を交互に見ていた。
 「ホ、ホンマに依頼してんた品物を出しおったぁ~っ!?」
 「それとこれ確認の書類です」
 「あんがとな、キレイなお嬢ちゃん」
 「ふにゅうっっっ!!?」
 反射的に変な声と共に顔を赤くして身体強張らせてしまう。
 「お嬢ちゃん。顔を赤くんしてどうしたんや?」
 「き、きにひないへくだひゃい・・・・・・」
 軽く顔を振って呂律を戻そうとする。
 「そ、そうか? まぁ品物確認するからそこの座布団に座ってなぁ~!」
 「は、はひぃ・・・・・・」
 「うふふぅ~、失礼しまぁ~す」
 顔の赤い俺とピーチさんは座布団に座るとピーチさんがこっちを向いてくる。
 「アナタもしかしてぇ~、照れ性なのかしらぁ~?」
 「・・・・・・はい」
 「だからってあんな反応は異常よぉ~」
 「うぅぅぅ~〜〜・・・・・・だってぇ・・・・・・」
 自覚はしてるけど治せないから困ってるのにぃ~〜〜っ!!
 「ウフフ~、素でその反応ならアナタのチャームポイントになるわねぇ~」
 「か、からかわないで下さいよっ!!」
 そんな会話をしていると、店の奥からお茶をお盆に乗せた従業員さんが俺達の側まで来てお茶を置いてくれた。
 「こちらのお茶をどうぞ」
 「あ! ありがとうございます。頂きます」
 「あらぁ~、気が利くわねぇ頂くわぁ~!」
 「いえいえ~、ごゆっくりぃ〜」
 店員さんが店の奥へ歩いて行くの見送くると、お茶を手に取り フーッ、フーッ、と少し息をかけて冷ましてから飲み始める。
 あぁ~・・・・・・懐かしい味がするねぇ~・・・・・・。
 「やっぱり魔国のお茶は色と味が違うわぁ~。これはこれで美味しいけどねぇ~」
 「それはそうですよ。魔国は緑茶が主流で、ここら辺は紅茶が主流ですからね」
 ちなみにウーロン茶の方は需要が少ないらしく、一部の地域しか取り扱ってないらしい。残念、虫歯予防と肥満予防に良いのに・・・・・・。
 「まぁ、そうよねぇ~・・・・・」
 「キオリの旦那ぁ~っ!! 大変だぁ~〜〜〜〜〜っっっ!!?」
 声のする方向を向くと魔族のおじさんが慌てた様子で入り口から走って入って来た。
 「そんな血相変えて走って来てどうしたんや?」
 「な、なぜかここが・・・・・・オイラ達の買ったこの土地が今日からウルブ商会に所有地されて、立ち退きを命じてるんですよっ!!?」
 「なんやてっ!? そんなデタラメあってならへん! 横暴やから従う必要あらへんわっっっ!!!」
 「キオリの旦那。それだけじゃないですよっ!!」
 「まだなんかあるんか?」
 「第一騎士団の連中と一緒にここに向かって来てるんですっ!!」
 「ウソやろっ!?」
 なんか話を聞いているとヤバい事になってきてる。しかもウルブ商会と第一騎士団の名前まで出てきてるし。
 「え、えらい事になったなぁ、こっちは三日前に総合ギルドに登録したから安心やと思ってたんになぁ・・・・・・」
 「それなら実際大丈夫だと思いますよ」
 その場にいる全員が俺に顔を向けてくる。
 「どうしてそんな事言えるん?」
 「ライナちゅぁ〜ん、なにか根拠か方法があるのかしらぁ~?」
 首をかしげながら聞いてくる二人に対して俺は平然な顔をして答える。
 「ありますよ。根拠の方はキオリさんはこの土地を借りたのではなく買ったのですよね?」
 「そうや。前の所有者から買ったんや」
 「その契約書はちゃんと保管してますよね?」
 「ああ、ワイのアイテムボックスの中に保管しとるで」
 よし! 契約書を持ってるのなら文句を言えるな。
 「それを突きつければいいですよ」
 自分の所有地だと言う事を証明出来るけど相手は第一騎士団がバックについている悪徳商業者。保険は絶対必要だ。
 「・・・・・・そして」
 「「「そして?」」」
 「総合ギルドの職員を呼びましょう。仲裁役になって貰いましょう!」
 まぁ実際、仲裁役ではなく味方を呼ぶんだけどねっ!
 「なので、今すぐ総合ギルドの職員さんをここに呼んで来てください!」
 「分かった。チノル、急いで総合ギルドに行って来てくれや!」
 「キオリの旦那、分かりましたぁぁぁ~〜〜っ!!」
 チノルと呼ばれたおじさんは振り返っってから店の出入り口を走って出て行く。
 「ライナちゃぁ~ん。やるわねぇ~。カワイイ上に頭良いなんてアタシ感激だわぁ~!!」
 「みゅっ!?」
 ピーチさんが不意に言ってくるので顔が熱くなってしまうが、まだ話の続きをしなくちゃいけないので顔を振って意識を取り戻そうとする。
 「わひゃっ・・・・・・私達もやることはありますよ」
 「私達も? それはなにかしらぁ~?」
 「それはウルブ商会から言われてる。土地の明け渡しをここで食い止める事です。明け渡してから問題解決では遅い事がありますからね」
 「遅い事?」
 「問題解決して、 店を返って来たのはいいけど内部改装されて直すには費用がかかって困ってしまう。とか、 取られた土地を返して貰ったのは良いけど、更地のまま返された。お店を再開するどころじゃない・・・・・・どうしよう? ましてや、 店の中を荒らされてから解決したけど荒らされてしまったから直ぐには営業出来ないから困ったなぁ。 とかですね」
 「なるほどぉ・・・・・・」
 それに今ここで第一騎士団とウルブ商会をなんとかしないと次の被害者が出てしまう。
 「と言うわけでキオリさん!」
 「なんや、お嬢ちゃん?」
 「この問題、無償で関わらせて頂きますよ」
 「ええんか? 嬢ちゃんには関係ない話やと思うけど?」
 「構いませんよ。総合ギルドの一員なんで」
 「うーん・・・・・・そか、分かったで!」
 キオリさんは手を叩いた後に俺の顔を見て話し始める。
 「そうと来たらお嬢ちゃんを頼りにするでぇ~!」
 「はい、喜んで頼られますっ!」
 「ウフフ~ッ! アタシも協力してあげるわよぉ~!」
 え? マジでっ!!
 「私が言うのもなんですけど、どうして協力してくれるんですか?」
 「ライナちゃんだけが協力してアタシが帰るなんて、そんな事情けなくて出来ないわよぉ~。それに第一騎士団には借りがあるから返さなきゃいけないのよぉ~!」
 ・・・・・・まぁ、実力はありそうだから頼りにはなる・・・・・・・・・・・・よね?
 「お願します。ピーチさん」
 「ウフフ~ッ! このアタシ、ピーチに任せなさぁ~いっ!!」
 ピーチさんはそう言った後に俺とキオリさんに向かってウィンクしてくると、キオリさんは顔を強張らせた。
 「あ、うん。期待・・・・・・して・・・・・・・・・・・・おるで?」
 うん、そんな反応になるよね。
 「それじゃあ店の中に入れないように外に出て待ちましょうか。お店の中を荒らされたら困るからね」
 「分かったわぁ~!」
 「せやな。ミタツ、念のために店番は頼むでぇ~!」
 店の奥に向かってそう言うと、はーい! って言う返事が反ってくる。
 「ほな外へ行くでぇ~!」
 「はい」
 「ウフフ〜ッ! 腕がなるわねぇ〜!」
 俺とピーチさんはキオリさんに返事をした後にウルブ商会を対峙する為一緒に店の外に出るのであった。
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