クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生
第6話
 ここから一番近いのは・・・・・・道具屋か。とすると、先ずは道具屋から行ってから武器屋、商会の順番に回れば良さそうだ。
 地図を片手に持ちながら道具屋に向けて歩き始めた。
 「街中での輸送クエストだから問題なんて起こるわけないし、気軽にクエストをこなせて良いね!」
 ましてやラノベやマンガみたいなテンプレなんて展開は起こりなんてしない! さっさと終わらせて報告しに行こう!
 「フン、フン、フーン!」
 鼻歌をしながら歩く彼女はこの時まではそう思っていた。
 「フーン、フーンっと! マップと地図によるとこの周辺なんだけども・・・・・・あった、あれだ!」
 お店に近づいて看板の名前が地図に書いている。 アーズリーの道具屋 と言う名前が同じか確認する。
 「合ってるね。荷物を渡そう」
 そう言った後にドアを開き店の中に入って行くと、 いらっしゃい。 と年老いたお爺さんが挨拶してくれる。
 念のため確認しておこう。
 「あのぉ~、すみませんが総合ギルドに茶葉50kgを依頼したのはこのお店で間違いないですよね?」
 「ああ、そうじゃが?」
 「茶葉を持って来たので出しますね。どこに置けば良いでしょうか?」
 「出すじゃと? 大きい容量のアイテムボックススキル持ちとは珍しいのう」
 「まぁ、よく言われますよ」
 ボロが出ないように言葉を濁しておかないとね。
 「茶葉をここのカウンターに置いておくれ」
 約25kgの袋で二つに分けているけど、カウンターが古そうだからに置いたらが壊れるかもしれないぞ。
 「えっとぉ、50kgあるので床に置いた方が良いと思うんですけど?」
 「ああ~・・・・・・そうじゃったな」
 お爺さんはそう言うとカウンターから歩いて俺のところまで来る。
 「お嬢さん商品をたしかめるからここに置いておくれ」
 「はい」
 俺が返事をした後にストレージから茶葉の入った袋を床に出すと、お爺さんは中身を開き確認する。
 「・・・・・・うむ、確かに総合ギルドに頼んだ品物じゃ」
 俺はその言葉を聞いてホッとした後に納品書を三枚出してから、その内の一枚の紙である茶葉の納品が書かれている書類をお爺さんに見せる。
 「では、こちらにサインをお願いします」
 「ほい、分かったぞい」
 お爺さんはそう言うと俺から書類を受け取りカウンターまで持って行くと、置いてある羽ペンを手に取り名前を書いた後に納品書を俺のところまで持って来て差し出してくる。
 「ほい、ご苦労様」
 差し出された書類を受け取ると書類に名前が書いてあるか確認する。
 「・・・・・・はい、ありがとうございました。それじゃあ次のところがあるので行きますね」
 「おお、そうじゃ! お嬢さん」
 「ん? なんでしょうか?」
 次ところに行こうとしたら呼び止められたので、足を止めて振り返る。
 「最近この地区はのう、物騒じゃから気をつけてるんじゃよ」
 「物騒? どうしてそんな事になっているんですか?」
 俺は前世では日本人だったけれども師匠の付き添いで海外も歩いているので、そう言うところの場所はなんとなく分かる。それに危険性のある人が近づいて来たらレーダーが知らせてくれるから安心といえば安心なのだが、念のために聞いておいた方が良いかもしれない。
 「お主には関係ないかもしれない話なのじゃが、最近この辺りで店を嫌がらせして荒らす輩が出てきてのう。わしを含めてみんな困っておるのじゃ」
 うわぁ~、やっぱりそう言う輩はいるんだぁ。
 「お爺さんは大丈夫なの?」
 「ワシの所は道具屋じゃし、総合ギルドに加入しておるから今のところは大丈夫なんじゃ」
 ん? 総合ギルドに加入は分かるけど、道具屋だから今のところは大丈夫。って言うのがちょっと引っ掛かるな。
 「お爺さん、その輩はどんな場所に出てきたの?」
 DQNな大人達なら飲食店が立ち並んでいる場所の脇道で、ストリートギャングなら公園近くの路地裏が主な溜まり場だ。
 「そうじゃのう、確かぁ~・・・・・・飲食店とぉ、鍜治屋とぉ、商会じゃな」
 その辺りになるとヤクザみたいな厄介な人達が絡んでいるかもしれないぁ。まぁ、俺が行くところは総合ギルドに加入しているから関係ないかな。
 「お爺さん、教えてくれてありがとうございました。気をつけながら行きますね!」
 「おお~、気を付けてのう」
 俺はお爺さんに見送られながら道具屋の外に出た。
 「さてと、次はぁ・・・・・・五軒先の鍜治屋さんだね」
 広げた地図を広げたまま歩き ゴッツの鍜治屋 と言う鍜治屋にたどり着く。
 「地図で見るよりも案外近いなぁ」
 そう言った後に地図を折りたたみポケットに入れてから店の中に入ると、カーン! カーン! と金属を叩く音がするので音のする方向に顔を向けると奥でドワーフのおじさんが鎚をを使って剣を形成していた。
 カウンターには人が立っていない。しかも、 いらっしゃいませ。 って言葉はなしかぁ・・・・・・もしかして気づいてないのかな?
 「あのぉ~、すみません」
 「・・・・・・」
 あれ? やっぱり気付いてないのかな?
 「すみませ~ん!」
 「・・・・」
 「す~み~ま~せぇ~~~んっ!!」
 「ん? なんだ?」
 やっとこっちに気づいたよ!
 「総合ギルドに依頼していた鉄鉱石を持って来ました」
 「ああ、ちょっと待ってろ。もうそろそろ弟子が戻ってくるからソイツに聞いてくれ」
 鉱石関係は弟子の方に任せているのかな? 素材の目利きも職人の仕事でもあるしね。
 「アー、クソッ!! アイツらはホントにクズの集まりだなっっっ!!」
 ん? なんだ?
 声のする方向を向くと若いドワーフの男が入り口の前で眉間にシワを寄せながら怒っていた。
 「またアイツらに商品にいちゃもんをつけられたのか?」
 いちゃもん? 誰かに商品の事でなんか言われたのか? しかもまたって事は何度もあったのか?
 「そうですよ旦那! また騎士団のヤツらが俺達の商品を馬鹿にしたんですよっ!!」
 はぁ? 今聞き捨てならない言葉を聞いたぞっ!!
 「ちょっ、ちょっと待って下さいっ!!」
 「あ? なんだお前?」
 睨みつけながらこっちを向くが臆せずに話を続ける。
 「グエルさん達がそんな事をしているんですか?」
 これが事実ならグエルさん達に問い詰めなければいけない!
 「グエル? あぁ、第二騎士団の事か。違げぇーぞ、お前なに勘違いしてんだ?」
 「違う? いや、だって騎士団が市民に迷惑を掛けてるんですよね?」
 「お前さん、もしかして王都に来て間もないのか?」
 さっきまで剣の形成をしていた。おじさんが後ろから声を掛けるので今度はそっちに体を向ける。
 「はい、まだ王都着いて二日です」
 「なら分からなくて当然だな。話してやるからちゃんと聞けよ」
 「はい」
 「ここら東地区で飲食店、鍜治屋、宿屋の何軒かの店が汚い手を使って嫌がらせを受けているんだ」
 「道具屋さんでも言ってましたね。でも、汚い手を使ってですか?」
 「商品の悪口はもちろん店内で態度の悪い行動して困らせるのさ、ヒドい場合は店内を荒らすような事して店を潰す輩がいるのさ。それが・・・・・・」
 「それがグエルさん達の騎士団ですか?」
 「違うがぁ・・・・・・グエル団長の指揮している騎士団も関係しているところはあるな」
 騎士団じゃないけど関係している? んん〜・・・・・・話しの答えが見えて来ない。
 「昔から第一騎士団の連中からの態度のデカさは前々からだが、先週になってから急に様子が変わってきたんだ」
 「様子が変わった? 最初はどんな感じでしたか?」
 「ああ、最初の頃は店の評価を悪びれもなしに口で言う程度だったんだが最近になっては店の評価をウソっぱち混じりで周りに言いふらすのはもちろん。
 店の主人に喧嘩を売るわの醜態をさらしてる。その上ほとんどの犯罪行為を見てみぬふりをしているんだ。暗黙の了解でもしているのか、それとも金を貰っているのか知らねぇけどな。まぁ女に手を出すまではしてないみたいだがな」
 「まぁそんな事をすれば、自分達の立場が危うくなるだけですしね」
 「その通りだな」
 しかし、その人達ゲスだなぁ~。罪人にならない程度にやっているのか? しかし、なんでこんな事をするようになったんだ? それに店に迷惑を掛けている輩との関係は?
 「でだ! ここら辺の治安の悪くなった原因は第一騎士団が東地区の担当になったからと言われている」
 第一騎士団かぁ。グエルさん達とは違う部隊か。
 「その第一騎士団は評判は悪いんですか?」
 「悪いどころじゃない! 最悪だっ!!」
 おっと! お弟子さんが怒り始めたぞ。
 「アイツら総合ギルドに加入していない店を潰そうとしてるんだ! しかも噂じゃ、あの悪名高い ウブル商会 と手を組んでいるみたいだしなっ!!」
 「そう言えばこの前潰れた店もウブル商会が騎士団から格安で買っていたと聞いたな」
 他人の店を潰してから勝手に格安でウブル商会に売る。日本じゃ犯罪確定だな。しかも最悪なヤツらと言う噂まであるのか。
 「確か第一騎士団の連中は店で暴れたヤツらを一回だけ取り締まったな」
 見てみぬふりをしていら輩が取り締まった? なにか引っ掛かる。
 「だけどもソイツらはこの前街の真ん中を我が物顔で道を歩いていたから、第一騎士団の対応が信じられないっつうのっ!!」
 「うーん・・・・・・」
 グルの可能性があるな。しかし、これはある意味問題だそ。
 「まぁ今の話は帰りの時に総合ギルドに報告しておきますよ」
 「お願い出来るか?」
 「はい、任せて下さい。後、鉄鉱石をどこに置けば良いですか?」
 「ああー・・・・・・そう言えばそうだったな。足元に置いてくれれば弟子が運ぶ」
 「ちょっ! ちょっと待て! 鉄鉱石なんてどこにあるんだよ!?」
 「じゃあ、置いちゃいますね」
 食いかかって来るお弟子さんを無視して床に鉄鉱石の入った袋を置くと、納品確認書もついでに出してお弟子さんに差し出す。
 「これで全部ですね。はい、こっちが納品確認書です」
 「あ、ああ・・・・・・アンタ、アイテムボックス持ちだったんだな。中身を確認させて貰うぜ」
 お弟子さんは俺の手から書類を受け取ると、袋の中身にある鉄鉱石を一つずつ出して品質の確認をしているから時間かかりそうだなぁ~。
 「そう言えばお前さん」
 「はい、なんでしょうか?」
 「左腰につけている刃物はなんだ? ナイフか?」
 「左腰? カランビットナイフの事ですか?」
 「ああそうだ。それを見せて貰ってもいいか?」
 まぁ盗むような人じゃなさそうだから渡しても良いか。
 「どうぞ」
 そう言った後に左腰からカランビットナイフを抜くと店主に渡す。
 「ありがとうよ。ん? これはっ!!」
 カランビットナイフがおじさんの手に渡った瞬間、ナイフが消えてった。
 あ、ヤバい! そう言えば武器は誰かの手に渡ると消えるようになってるんだっけ。
 「すみません。そう言えば私が持っている武器は他の人が触れると消えるんでした。完全に忘れてました!」
 「・・・・・・そうか。固有スキル持ちだったとはな」
 「え、なんですかそれ?」
 「そんな事を知らないのか?」
 「まぁ・・・・・・はい」
 大体予想出来るけどねぇ。
 「はぁ・・・・・・固有スキルを知らないとはな。まぁいい。簡単に説明するとソイツしか使えないスキルを固有スキルの事を言うんだ」
 「その人にしか使えないスキル?」
 「そうだ。さっき出したナイフがお前さんにしか使えない武器のようにな。ちなみに魔眼も固有スキルの一つだ」
 じゃあキースさんの魔眼は固有スキルなのか。
 「アンタのそのスキルは今後は注意した方が良いかもな」
 「あれ? お弟子さん、中身の確認終わったんですか?」
 「おうよ。ほら書類を返すぞ」
 仕事が早いなぁ~。
 「ありがとうございます」
 と言いながら書類を受け取り名前が書かれているのか確認した後にストレージに入れる。
 「でさっきの話の続きだが貴族の連中の大半は固有スキルを持っているヤツを、平民だろうと関係なしに自分の血筋に取り入れようとするんだよ」
 え? つまり固有スキルの所有者を身分を気にせずに血筋に取り入れるって事?
 「アンタ、どうして? て顔をしているな。その答えは固有スキルが家柄のステータスになるからだよ」
 ああなるほど。話が見えて来た。
 「あの手この手でアンタを誘ってくる連中がそこらじゅうにいるから気を付けろよ」
 「後、お前さんが注意しないといけないのは別大陸の連中だな」
 なんで別大陸が出てくるのか? 
 「少数の国と宗教だけだが固有スキルを持った者を災厄をもたらす者として排除するからな」
 この世界でそんな輩がいるんだ。怖いなぁ~。
 「連中は達の悪い時は殺しにくるからな。まぁこの大陸いる限りはそのな真似はしないけどな。でも注意だけはしておけよ」
 旅をするから一応国と団体の事を調べておこう。
 「分かりました。あのぉ・・・・・・」
 「ん? なんだ」
 「お話ありがとうございました」
 「ハッハッハッハッ! 良いって事よ! それよりもまだ配達するんだろ?」
 お弟子さんは最初にあった時とは違い笑顔で俺を見つめてくる。
 「はい」
 「嬢ちゃん。さっき話した報告の事を忘れないでくれよ」
 「もちろん、忘れませんよ」
 個人的にもこの問題は見逃せない所がある。
 「それと、第一騎士団の連中に注意しておけ、ヤツらは昼間は巡回。と言っても昼間に酒を飲んでいるだけだが絡まれるんじゃないぞ」
 「忠告ありがとうございます店主さん! 私は三軒めの配達に行きますね。お世話になりました!」
 「ああ、配達ご苦労だったな」
 「またこの店に来いよ! お前さんなら歓迎するぜ!」
 「こちらこそ、いろいろ教えて頂いてありがとうございましたっ!!」
 ドアを開き店を出ると、店の前で腕を組む。
 さてと総合ギルドに報告するにも情報が多い方が良いな。さっき言っていた飲食店と商会にクエスト報告する時に立ち寄って聞いて回ろうかな? う~ん、でもこの報告は早い方が・・・・・・ん?
 「あの嬢ちゃんに頼んでよかったんですか?」
 「さぁ? 分からんが総合ギルドに加入しているから信用出来るだろう。仕事に戻るぞ」
 「・・・・・・了解師匠」
 俺の信用度って低いなぁ~。初対面だから仕方ないか。
 その後も鍜治屋の扉から漏れる声を気にせずに次の店に行のだった。
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