クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生
第7話
 「それでは担当者をこちらにお呼びするのでこちらでお待ちください」
 俺は、 分かりました。 と言った後に応接室に入るとソファーに座って職員が来るのを待つ。
 昇格試験の担当者が来るのかな? それともギルドマスターが来るのかな? まぁどちらにしても早く話しを終わらせてバルデック公爵様の所に行きたいな。
 コンコンッ!
 「はい!」
 「失礼します」
 その声と共にドアが開き、さっきの受付嬢さんが部屋に入って来て俺の方を向いて。連れて来た人の説明を始める。
 「エルライナ様、こちらは総合ギルド長の ラミュール・マーレンさんです」
 「リードガルムの総合ギルド長を兎族の ラミュール・マーレン だ。手紙に書いてある通りだな」
 ミュリーナさんの髪は栗色だったが、ラミュールさんは黒髪で左目に眼帯をしていてスレンダーな女性だ。
 「はじめまして、エルライナと申します」
 「ほう、随分礼儀正しい女だな」
 俺の頭を下げながら挨拶する姿を見ながら言うのが普通じゃないのか? それにこの人が試験の担当者なのかな?
 「まぁ、エルライナはそう言うヤツなんだよ」
 ん? この声は聞き覚えがあるぞっ!?
 そう思いながら顔を上げて出入り口を見てみると、そこにはここにいるはずのない人が立っていた。
 「エ、エイドさん!? なんでここにいるんですかっ!!?」
 しかもエイドさんは騎士団の服装ではなくレザーアーマーを着ている。
 「おう! あの後俺は騎士団を止めたんだ。辞職って形でな。その後にバルデック公爵様に総合ギルドに入れて貰ったんだ」
 辞職って・・・・・・まさか!?
 「やっぱり、あの事件のせいなんですか?」
 「・・・・・・そうだ」
 なんて事だ。エイドさんだって騎士団を続けていたかったはずなのに、こんな事になるなんて・・・・・・。
 「そんな顔をするな。お前が悪いわけじゃないんだからよ。それに俺は脅されたと言う理由があっても、あの事件の容疑者の一人だからな。ああしなければ第二騎士団に示しが付かない」
 示しか。確かにここまでの事件に加担していて罰則なしで今まで通り騎士団を続けると言うのは、他人からすれば虫の良い話しだろうし、第二騎士団叩きの良い材料にもなってしまう。
 「えっとぉ・・・・・・話しの途中ですみませんが、彼がアナタの昇格試験の監督官のエイドです。
 詳しい説明の方はギルド長とエイドさん、アナタに任せてもよろしいでしょうか?」
 「ああ、それで構わない」
 「では、私はカウンターの方に戻りますね」
 「そうしてくれ」
 ラミュールさんがそう言うと受付嬢さんは部屋を出て行き、俺を含めて応接室に三人だけになるが、受付嬢さんのさっきの言葉に俺は驚きを隠せないでいる。
 「エイドさんが私の監督官っっっ!!?」
 「そうだ! とりあえず先にDランク昇格試験の内容を説明するぞ。オークとかそう言う残りの事は後だ」
 「は、はぁ・・・・・・分かりました」
 エイドさんは呆けている俺を無視してテキパキと話し始める。
 「先ずはDランク昇格試験の内容についてだ!ちゃんと聞いとけよ! 試験当日に話しを聞いてませんでした。で試験を落ちるヘマはさせないからなっ!!」
 「は、はいっ!?」
 エイドさんの言葉を聞いた俺は背筋を伸ばして身体エイドさんに向ける。
「試験内容は簡単だ。ダンジョンに潜って貰う」
 「ダンジョンですか?」
 「そう、ダンジョンだ! お前の他に三人とパーティーを組んでダンジョンの三階まで攻略をして貰う。もちろん俺も試験官としてパーティーに同行して、その様子を見て合否の判断する。もちろん危険を感じたら介入する。場合によっては昇格試験を中断するぞ」
 「エイドさん質問があります」
 「質問は最後に受け付ける。後、俺はエイド教官だっ!!」
 「は、はいっ! 失礼しましたエイド教官っっっ!!?」
 「よろしい。で、話しの続きだ! 三階まで攻略したらこちらで用意した魔導書を使ってダンジョン入り口まで戻り、その後は総合ギルドに帰り報告して試験終了だ。
 合否については後日こちらから伝える。Dランク試験の日時は明後日、八時ちょうどに総合ギルドに集合。一分でも遅れたらその場で不合格だから覚えておくように!」
 試験は時間厳守! 大学入試と同じぐらい厳しいね!
 「迷宮の場所は亜人の迷宮だ。一応知っていると思うが受験料銀貨二枚をギルドに渡さなきゃならない。ここまでで質問は?」
  「えっと、朝の八時にギルド集合。亜人の迷宮・・・・・・よしっ!!」
 俺はここまでの話しをメニューのフリーメモに書いておく。
 「エイド教官、質問があります」
 「なんだ?」
 
「他の参加者の情報を聞きたいのですが、他の二人はどんな人なんですか?」
 他の人とパーティーを組む以上、その人の情報を知っていた方が良い。
 「残念だがない!」
 「そうですか、分かりました」
 試験当日に本人を見て判断するしかないか。
 「何故ならDランク昇格試験を受けるのはお前だけだからだ!」
 「へぇ? 」
 俺しかいない?
 「それはどういう事ですか?」
 エイドさ、いやエイド教官は俺を見つめて語りだした。
 「簡単にいえばお前は実力ありすぎるから、Dランク昇格試験を一人で行かした方が良いと俺達総合ギルドは判断した」
 「実力ありすぎるって・・・・・・エイド教官、私が他の誰かと組んで試験を受けたらダメなんですか?」
 「ダメだ。お前と組んだ他の二人の冒険科の実力が見れないで終わると言う可能性がある」
 エイド教官の言う事にも一理ある。
 「それに、 コイツに全部任せておけば簡単に合格出来るんじゃないか? と言う輩がいる可能性もあるからな。一応言っておくが、そんな事をすれば不合格になるから気を付けろよ」
 「は、はい・・・・・・」
 誰かとパーティーを組んでダンジョン攻略をしてみたかったな。
 「そんな顔をするな。お前の他のにも実力の違いでDランク昇格試験をソロで受けるヤツもいるからな。お前もその一人だ。ガーッハッハッハッハッ!!」
 エイド教官は口を大きく開けて笑いだす。
 「まぁ、このDランク昇格試験に合格すればDランクになれるのはもちろん、Dランク以上の冒険科の登録者の引率なしでダンジョンに行けるようになるぞ! 失敗してもまた来週受けられるしな」
 一人でダンジョンに行けるようになるのは魅力的だ。
 「後、最後に言っておくぞエルライナ。今回俺がお前の教官を勤めるが総合ギルド職員として不正はしない。分かったな?」
 エイド教官は俺を真剣な顔をしながら真っすぐに見つめてくる。 
 「ッ!? はいっ! 分かりましたっ!!」
 「よし! こちらからの報告はこれで終わりだ。お前が見たオークを話してくれ」
 「分かりました」
 俺はラミュールさんに王都に行く途中で倒したオークの事について話したら、ラミュールさんは腕を組ながら考えた後に、俺を見て話し始める。
 「なるほどな。一応注意勧告を出しておこう。しかし、オークが喋ると言うことは上位種かもしれないな」
 「あの、そのオークを持って来ているので見て貰えませんか?」
 「なに? 持っているのか?」
 「はい。持ってます」
 俺の言葉にエイド教官が反応する。
 「はぁ? 確かお前アイテムボックススキルは持ってなかったはずだろ? それとも拡張カバンでも持っているのか?」
 「あれ? エイド教官は私のステータスを見ていましたっけ?」
 「グエル団長達からお前のステータスの話しを聞いたんだよ!」
 あぁ、グエルさん達がエイド教官に話したのか。
 「いや待てよ・・・・・・エイミーが何もないところからジュウを出したと言っていたな」
 「エイド、本人がそう言っているのなら本当なんだろう? エルライナ、ここで出されると迷惑だから解体場まで着いて来てくれ。そこでオークを見る」
 「はい、分かりました」
 俺はラミュールさんの後ろに付いて行くように応接室を出て廊下をしばらく歩くと、解体場らしき場所に着いた。そしてラミュールさんは解体用の台の隣の空きスペースを指をさす。
 「オークをそこに出してくれ」
 「分かりました」
 俺はラミュールさんに言われた通りにストレージからオークの死体を選んで取り出す。
 「アイテムボックススキルがないのに何もないところからオークを出すなんて・・・・・・お前は何者なんだ?」
 エイド教官は顔をしなめながら聞いて来るから。
 「普通の女の子ですよ」
 俺がそう答えるとエイド教官は眉を吊り上げながら俺を見て来る。
 「アイテムボックススキルがないのに、こんな事が出来る女のどこが普通なんだよっ!!」
 「えぇっ!? エイド教官そんなに怒らなくても良いんじゃないんですか!! さっきエイミーさんに同じ事で怒られたばかりですよっ!!」
 「エイド、そんな事は後にしろ。この五体で全部か?」
 「はい」
 「そうか。このオークの一体以外は顔が潰れているが調べられるな。パッと見ても普通のオークとは異なる所があるのが分かる。もしかしたら特殊個体かもしれないな」
 エイド教官は目を見開きながらオークを見る。
 「特殊個体!? それが本当だったらベイガー達じや対処するのは無理だ。こんなのが王都の周辺にいたとは・・・・・・」
 「・・・・・・すぐに注意勧告を出すぞ。それとエルライナ」
 「はい、なんでしょう?」
 「コイツを総合ギルドで買う。支払いは査定に時間が少し掛かるが大丈夫か?」
 「えっと、これから宿を取ってからバルデック公爵様の所に行くので後日で良いですか?」
 「そうか分かった。明日ギルドに来たら料金を渡そう。私からの話しは以上だ。私はもう仕事に戻る」
 ラミュールさんはそう言うと解体場を出て行く。
 「・・・・・・行っちゃった」
 エイドさんが俺の左肩に手を置いて声をかけて来た。
 「ギルド長のラミュールはあんな感じだが、好い人だから気にするな」
 「そうなんですか?」
 「それはそうと、エルライナ」
 「はい、なんですか?」
 「ベイガー達を助けてくれたんだよな。ありがとう」
 「にゅっ! にゅうぅぅぅぅぅぅっ!!?」
  い、いきなり なにを言っているんだこの人はっ!?
 「まぁ、ベイガーは俺の飲み仲間だし、他のヤツらも・・・・・・元部下で俺の大切な仲間みたいなもんだからな。礼を言いたかった」
 「ひふぅぅぅううううううっっっ!!?」
 顔が、顔が熱いよぉ~・・・・・・。
 「・・・・・・後の事は任せてバルデック会長の所に行け。バルデック会長の邸宅はここを出たら左に真っ直ぐ行った突き当たりだから分かりやすいぞ」
 エイドさんは何故か呆れた顔をしながらバルデック公爵様の邸宅の場所を教えてくれた。
 「そ、そうしゃせていただきましゅぅぅぅっ!?」
 もう行こう。これ以上は身が持たないっ!!
 俺はおぼつかない足取りで総合ギルドを後にした。
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